「ニハハハハ。まさかまた、マシロ君と行くことになるとはね」
「たしかに、僕たちがペアになること多いですよね。あとその笑い方いい加減やめてください」
「考えておこうかな。ニハハハハ」
マシロの言葉にアヴィが笑う。
呪良木真白(じゅらぎましろ)――アヴィと同様の特級に属している。
二人は『蝶々綺麗』を討伐するために広島に来ている。
よく任務で一緒になることがあるため、仲がいい。
「そろそろつきそうだね。マシロ君油断はしないようにね」
「わかってますよ」
二人の目に、豪邸が映し出される。
「あの豪邸ですか?ずいぶんと広いですね」
「うむ、そのようだね」
アヴィたちは、庭に侵入する。
庭には、たくさんの蝶が飛んでいる。
「マシロ君、あの蝶には近づかない方がいいよ」
「蝶から近づいてくる場合はどうすればいい」
「…………」
蝶が二人に近づいてくる。
「刃物だ。蝶の羽が刃物でできている。アヴィ。気をつけろ」
「ニハハハハ。それは少々厄介かもね」
マシロが三節棍を出す。
三節棍(さんせつこん)はマシロが使っている呪具だ。
マシロがサンセツコンを振る。
蝶が一掃される。
「ニハハハハ。その調子だよマシロ君」
早速、建物の中に入る。
中は広々としている。
声のする方に行ってみる。
「あの部屋から、声がしますね」
ばれないように、扉を少しだけ開いて中をのぞく。
「どうやら食事中のようだね」
幹部たちは食事をしていた。
「ニハハハハ。敵が固まっているのはありがたいね」
アヴィは毒の入った瓶を投げた。
「!?」
「何かが飛んできたぞ」
「おいあそこを見ろ。侵入者だ」
「よし、みんなでつかまえ……」
幹部は、みんな毒で死んだ。
「アヴィの毒はこういう時に便利だな」
「ニハハハハ。景気がいいね」
幹部は全員殺ったが、ボスと思わしき人物がまだ現れていない。
そんなことを思っていると、
「なんかここ、空気が汚いわね」
ふと背後から声がした。
女性が立っていた。
「そいつは失礼したね。おそらくそれは僕の毒のせいだ。ニハハハハ」
「ふーん。なんか変な人が来たわね。あなたたち呪術師でしょ?」
アヴィに少しムカついているような顔をして女性が聞いてきた。
「ああ、俺たちは呪術師だ。お前がここのボスってことでいいんだよな?」
「ええそうよ。私はここのボス。彩羽美鈴(いろはみれい)よ」
ミレイが、誇らしげに語る。
アヴィがマシロに薬を渡すと、
「そうと分かれば、ちゃちゃっと殺ってしまうよ。マシロ君」
アヴィがマシロに呼びかけると共に、瓶をミレイに向かって投げる。
ミレイは避けようとするが、瓶は空中で割れ、広範囲に毒がまき散らされる。
マシロに渡した薬はアヴィの作った毒などのデバフ効果のあるものが効かなくなるものだ。
アヴィは常に飲んでいるため、今薬を飲む必要はない。
「ニハハハハ。どうだい?僕の作った毒は」
「さいあくよ。このクソ女」
ミレイがアヴィに目がいっている間にマシロが近づく。
「おらぁ」
マシロのサンセツコンをミレイが躱す。
「死蝶廻(しちょうかい)」
ミレイが術式を発動させる。
大量の蝶が放出された。
「くっ」
距離が近かったマシロは、全てを捌き切れなかった。
「大丈夫かい。マシロ君」
「ああ、大丈夫だ」
マシロは血の出た体を反転術式で治す。
アヴィは笑いながら、
「さて、続きをいくとしようか」
アヴィが手に持っている瓶を自分とマシロの真下に投げる。
二人にバフがかかる。
「バフもできるなんて、あなた優秀ね。私にもかけてくれない?」
「ニハハハハ。君にはデバフをかけてあげよう」
瓶をミレイに投げる。
ミレイはかからないようにアヴィが投げた瞬間、蝶で瓶を割らせる。
瓶の中身が、アヴィたちにかかる。
薬を飲んでいるので、大丈夫だ。
「さて、そろそろ決着をつけようか」
ミレイが蝶を出す。
マシロが蝶を捌こうとするが、蝶は二人の近くで爆発した。
「なっ」
二人は反応できずにもろに喰らう。
ミレイはその隙を逃さずに、アヴィに蹴りを入れる。
アヴィは吹き飛ぶ。
「くそっ」
マシロが攻撃を仕掛ける。
ミレイはそれをよけながら、再び蝶を出す。
マシロに向かって蝶は飛ぶ。
羽が体のあちこちに触れ、マシロの体が血だらけになる。
何とかマシロは蝶を殺る。
「やるじゃん」
ミレイがマシロをほめる。
だが、攻撃の手をやめない。
また、蝶を出す。
しかしさっきまでとは違う。
蝶はマシロの上を飛ぶ。
「なんだ?」
蝶から花粉が落ちてくる。
「いたっ」
「ふふ。その花粉は、人間の皮膚を溶かすわ。まあ、あんたたち呪術師はそううまくはいかないけどね」
ミレイは余裕そうだ。
「マシロ君、こっちだ」
アヴィが上にいる蝶を毒で倒してから言った。
マシロに向かって二つの瓶を割る。
「傷を癒すやつと、痛みを抑えるやつだ」
「助かるよ、アヴィ」
「あんたのそれ、ほんとに便利ね」
ミレイがアヴィに言う。
「デバフのやつなら君にもかけてあげられるんだがねぇ」
「ふん、遠慮しとくわ」
すると、ミレイはマシロの方を向き、
「あなた、術式使ってないでしょ?」
そう聞かれた。
「ああ、使えはするがまだ使ってないな」
「舐めプでもしてるの?」
「あまり手の内を見せたくなくてな」
そう、マシロはまだ術式を使っていない。
いつもサンセツコンだけで敵を倒してきたからだ。
ただ今回はそうともいかない。
「術式を使うぞ」