俺がこの残酷な世界を救いたい   作:ネネネノノ

2 / 15
2話『呪術師について』

 

 

俺は今日、心に誓った――。

呪霊を倒し、この残酷な世界を救う。

 

「助けてくださり、ありがとうございます」

 

俺は、昨日俺の母を救えなかった男に、礼を言った。

 

「全然いいよー。君、ツイてないネー」

 

笑いながら言う男。

言葉の端々に、少し不気味な余裕がある。

 

「この呪霊は、2級といったところかな。かわいそっ」

 

見たこともないような、よく分からない言い方だ。

 

男の見た目は――若い、20代くらいか、もしかしたら10代かもしれない。

赤い帽子を被り、ほっぺたにはお札のようなものが張り付いている。

そのせいか、近寄るだけで少し怖い。

 

「そんなに人のことジロジロ見ないでよー、照れる~」

 

「えっ、あー、すいません。見た目が少し……アレだから、つい」

 

「まぁ、僕に見惚れちゃうのはほどほどにしなよ、ハハ」

 

確かに見た目は奇妙だ。でも顔はイケメンだ。

いや、可愛い系も混ざっている。ホストとかにいそうな、モテ顔。

 

「君は高校生でしょ。お母さんをこの年で失うとは大変だね。これからどうするの?どっかの施設に預けてもらったら?」

 

確かに、それも選択肢かもしれない。

だが、この世界には呪霊がいる。施設にいても安全とは限らない。

それに――家族の仇も、困っている人たちも、放っておけない。

 

「とりあえず、警察に届けて、あとは……」

「あのっ」

 

「ん?どうした?」

 

呪霊を倒したい、と言おうとしたが、声が震えて出ない。

目の前の男は、絶対に強い。

俺にできるのか、不安で胸が押しつぶされそうになる。

 

「なに? どうしたの? 早く言ってよ」

 

小さな声で、俺は言った。

 

「化け物を……倒したい……」

 

男は聞こえなかったのか、笑う。

 

「呪霊を……困っている人を助けたいんです。家族の仇もとりたい。難しいのは分かってる。でも、やりたいんです! 教えてください!!」

 

言い終えた瞬間、男はしばらく沈黙した。

やがて笑った。

 

「いいよ、教えてあげる」

 

「本当に……ですか!?」

 

目の前で笑っている男は、昨日の戦闘で見せた強さのままだ。

あんな一瞬で呪霊を倒す力が、自分にあるのだろうか――。

 

「この世界には、呪力で呪霊を倒す呪術師という者がいる。

呪力とは、簡単に言うとその人自身のエネルギーみたいなものさ。

呪霊を倒したいなら、君も呪術師にならなきゃ」

 

「呪術師になるには……?」

 

「試験が毎月15日にあるんだ。それに合格すれば、呪術師になれる。

簡単じゃない。呪術師は厳しい世界さ。弱いやつはすぐ死ぬ。

悪い人間や呪霊と、戦わなきゃならない。それでもいいのか?」

 

「待ってください……悪い人間って、何ですか?」

 

「ん~説明しづらいな。これは呪術師にしか知られていないことなんだ。

あの呪霊は、僕たちにとっては弱い存在だ。でも、敵サイドには呪力を持った人間がいる。

彼らのせいで呪霊が生まれると考えられている。それに、殺し屋集団もいて、呪力を使えるらしい。

そういう連中を倒すのが、俺たち呪術師の仕事だ」

 

「なるほど……わかりました」

 

まずは試験に合格しないと、話は進まない。

 

「試験の会場は、東京・中央区の呪術師本部だ。ネットで調べれば出るよ。

内容は呪霊を倒せるか、才能を見られるんだ」

 

「才能?」

 

「呪術師は才能が重要なんだ。努力も大事だけど、才能がなければ話にならない」

 

才能か……俺にそんなものがあるのか?

不安で胸がいっぱいになる。

 

「ハハハ、大丈夫。もし君が落ちても、僕が推薦してあげられる」

 

「推薦……そんなことも?」

 

「できる人は限られてるけどね。僕でも、上の存在の力を借りれば可能だ。

だが、推薦されるにはそれなりに強くならなきゃいけない。君はまだ弱い。残念だけど、今は無理だね」

 

すごい人なんだ……。

 

「ありがとうございます! 試験、絶対に合格してみせます!」

 

男が立ち去ろうとする。

 

「アハハ、お礼なんていらないよ。試験、頑張ってね」

 

あ、名前を聞いていなかった。

 

「俺、中村颯人です。あなたの名前は?」

 

男は振り返らず、ニヤリと笑う。

 

「俺の推薦なしで呪術師になって、会えたら教えてあげるよ」

 

そう言い残し、男は去っていった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。