15日の朝。
俺は目を覚ます。
家が呪霊に壊された今、近くの公民館で暮らしていた。
母を失った日から、俺は呪術師になることを決め、努力を重ねてきた。
筋トレをし、呪力の初歩的な感覚を鍛え、今日の試験に全てをかける。
呪術師になれるか否か――今日の試験で、運命が決まるのだ。
朝7時、俺は公民館を出た。
試験開始は10時。余裕を持って会場に向かえる。
コンビニでおにぎりとお茶を買い、朝食を取りながら駅へ向かう。
電車に乗ると、隣から声がした。
「おまえ、颯人か?」
振り返ると、中学・高校時代の友人、松下大輝だった。
「だいきじゃん、久しぶり」
「おまえ、今日学校じゃないのか? まさかおまえも試験を受けるのか?」
今日が試験日であることを確認すると、二人は自然と話しながら会場へ向かった。
心臓の高鳴りが少し和らぐ。知っている顔がいるだけで安心できる。
会場に到着したのは9時50分。
ロビーには、試験者が20人ほど集まっていた。
「この中から何人合格するんだろう?」
俺がつぶやくと、だいきも頷く。
その時、後ろから声がした。
「ねぇ、君たち、高校生でしょ? 私もよ」
振り返ると、女子が立っていた。
「わたし、平野あかね。あかねって呼んでね」
「俺はまつしただいき、だいきで」
「俺は中村颯人、はやとで」
三人で自己紹介を済ませると、安心感が増した。
「まぁ、おたがい頑張ろうぜ」
「そうだな」
ちょうど10時、アナウンスが響く。
「皆さん静かにしてください。今から試験を開始します」
前のドアが開き、女性が入ってきた。
「皆の衆、よく来たな。早速だが今から試験を行っていく。が、その前に自己紹介をしておこう。私は一ノ瀬麗華。毎月この試験の監督をしているものだ」
れいかはショートカットで、かっこいい印象。完璧そうな雰囲気を纏っている。
「まずは、個人の才能を見ていく」
そう言って、スタッフと共に丸い玉を机の上に置いた。
「これは、手をかざすだけで術式が分かる呪具だ。今から1人ずつ手をかざしていけ。術式が判明しているやつはしなくても構わんぞ」
術式とは、呪力を使って発揮する技のこと。
呪具とは、呪力がこもった道具で、術式の効果を増幅する。
あかねが不安そうに声を上げる。
「術式?呪具?なにそれ?」
れいかは落ち着いた口調で答える。
「術式が使えない者もいる。才能の有無は重要だが、術式がなくても呪力で戦える」
試験者たちは、玉に手をかざし順番に術式の有無を確認されていく。
何人かは何も起こらなかった。
そして、俺の番。
手をかざすと、玉が微かに光った。
「ほう、お前の術式が判明した」
俺の心臓が跳ねる。
「なんの術式ですか?」
「発表は全員の検査後だ」
ほかの受験者も、術式が使える者が次々に判明する。
だいき、あかね、そして石川朔という高校1年生の少年。
術式が使えるのは、20人中わずか4人だった。
特別な部屋に案内され、順番に術式が発表される。
• さく:「時止空了(ときのたび)」
• 棒型の呪具「エンペラートール」を使用
• 相手の動きを止める能力
• だいき:「絶爆破強(デトロモード)」
• 呪力で爆発を放つ
• 威力は呪力次第で拡大
• あかね:「風神跳砲(デスウィンディ)」
• 風を操る
• 強化すれば切れ味のある風を放てる
最後は俺。
• はやと:「崩壊暴王(はかいライド)」
• 呪力で自身を強化
• 主にパワーと防御に特化
「それだけ?」
「ああ、これだけだ。術式を使えない者もいるが、それでも試験は合格できる」
俺は少し落胆したが、だいきとあかねが励ましてくれる。
「試験には合格できたんだ。よかったじゃないか」
れいかは落ち着いた声で続ける。
「術式がなくても、呪力で戦える。試験者は皆、多少の呪力を持っている。万が一の時はスタッフが助ける」
俺たちはその言葉に少し安心する。
「今日の試験はここまでだ。明日10時に再び集合し、詳細を伝える。合格おめでとう」
俺は胸に決意を新たにした。
呪術師として生きる道が、今ここに始まったのだ。