翌日。
無事に試験に受かり、俺たちは呪術師の本部に来ていた。
「よく来た、おまえたち」
れいかが本部の前に立っていた。
「案内しよう。ついてこい」
そう言って、中に入っていく。
本部の建物はとても広く、多くの人が行き交っている。
おそらく、みんな呪術師だろう。
「知っていると思うが、ここは呪術師の本部だ。訓練や情報共有、指示など、主にそういうことを行う場所だ」
れいかは歩きながら、建物のあちこちを指し示し、説明を続けた。
しばらく歩き、ひとつの部屋に案内される。
中に入ると、狭くも広くもない普通の部屋。
中央には大きなソファーが置かれていた。
「ここで色々説明をしよう。座りな」
俺たちは言われた通り、ソファーに座った。
「まずは、本部のLINEを君たちに繋ごう。スマホは持ってきてるな?出してくれ」
「本部のLINEから情報がくるんですか?」
あかねが心配そうに訊く。
「ああ、そうだ。任務の指示や連絡にも使われる」
俺たちはLINEを繋いだ。
「挨拶とかは不要だ」
れいかは落ち着いた口調で言った。
「そんなことより、説明しなくてはならないことがいくつかある。階級のことだ」
「階級のことなら、前に聞いたよね?」
あかねが不貞腐れた顔で返す。
「前の説明は簡単に言っただけだ。今からは詳しく説明する。ちゃんと聞いておけ」
「はーい」
あかねは少し口をとがらせつつも、うなずく。
「さて、あかねの言う通り、前に階級のことを話した。だが改めて説明しよう。呪術師の階級を───」
「───」
「そして、呪霊にも階級がある」
呪霊にも階級があるのか、と俺は少し驚いた。
「呪霊も呪術師と同じく、4級から特級まである。強さは、呪術師の一つ下と思っておけ」
「一つ下ってどういうこと?」
「呪術師の1級は呪霊でいう特級の強さ。2級は呪霊で1級ぐらいだ。理解できたかい?」
なるほど、分かりやすい。
「僕たちはどの階級にいるんですか?」
「おまえたちは、昨日受かったばかりだろ?4級に決まっている」
当たり前のことだが、さくは4級と聞いて少し落ち込んでいた。
「どうやったら階級をあげられるの?」
「実績だ。強い敵を倒したり、多くの敵を倒せば、1級までは行けるだろう」
「特級には行けないのか?」
「君たちは入ったばかりで、まだ任務も受けたことがない。特級は別格だ」
特級───呪術師の中でもトップの存在。
あかねが疑問そうに訊く。
「そんなに強いの?れいかみたいな人がいっぱいいるの?」
「めっちくちゃ強いぞ。私は特級の中では下の方だ」
れいかは特級の中でもまだ下の方らしい。
戦闘中の姿を見たことはないが、そのオーラは圧倒的だ。
「特級の話はこれくらいにして、次は給料の話だ。給料は任務の回数、難易度、階級によって決まる。回数は多いほど、難易度は高いほど、階級は高いほど給料も増える」
「なるほど、金が欲しかったら任務を受けろということか」
だいきは目を輝かせながら言った。
「そうと決まれば、任務を受けに行こう」
さくも、早く任務を受けたそうにしている。
「もう少し待て、まだ話は終わっていない」
れいかは静かに制した。
「敵サイドについてだ」
その言葉で、一瞬にして部屋が静まり返った。
敵の情報は、生き残るために必須だ。
「まず、呪術師が敵としているのは二つある。ひとつは影の仲間というチーム、私たちはこれを“K”と呼んでいる。二つ目は殺し屋集団だ。今の日本には殺し屋も多い。幸いなことに、殺し屋同士は仲間意識がない。お互い殺しあったりもする」
「Kと殺し屋に気をつければいいんだな」
「そういうことだ。呪霊を生み出しているのはおそらくKのせいだと考えられる。それを警戒せよ。ただし、呪霊以外にはまだ接触を避けろ」
「なんで?」
俺も含め、全員が疑問に思った。
「敵の強さは未知数だが、強いことは間違いない。1級以上でないと呪霊以外と接触するな、ということだ」
つまり、1級以下は戦力外扱いということか。
「というわけで話は終わりだ」
その瞬間、だいきとさくが立ち上がった。
早く任務に行き、実績を残したいのだろう。
「なんだ、そんなに行きたいのか。いいだろう。今から初の任務を与えてやる」
「おまえたち4人で行って来い」
れいかは俺たちに任務の情報を送った。
「ありがとう、れいか。それじゃあ行ってくる」
俺たちは気合を入れながら言った。
「がんばれよ」
れいかは微笑んで見送った。