特級──
呪術師の中でも最強の存在。
すごい。
そのあと、俺たちも名前を言った。
「へー、初任務なんだ。すごいじゃん。初めてでここまでやれるなんて」
とても優しい口調だった。
「奏斗さん、さっきの呪霊は何級の呪霊だったんですか?」
あかねが恐る恐る聞く。
「1級ぐらいだろうね。お前たちは昨日入ったばかりで4級だろう。さすがに、勝つのは厳しいね」
なるほど、1級か。だからあれだけ動きが速かったわけだ。
「任務の内容って、福岡にいる呪霊を倒すことだったりするんですか?」
「はい、そうですけど」
「運がいいね。俺も同じ任務だったんだ。だから、もうほとんど呪霊はいないよ。それより、そこの倒れている子は大丈夫そう?」
奏斗さんは、大輝を見て言った。
「気絶してるだけなので、大丈夫です」
「なら良かった。ところでさ、今日の夜暇?」
突然の質問に、俺たちは一瞬キョトンとした。
「なんでですか?」
「今日の夜、福岡市にある豪邸でパーティーがあるんだ。一緒にどうかなって」
「ぜひ、行きたいです。でも、それって俺たちも行っていいんですか?」
「自由参加だからね。豪邸を建てて今年で10年目、そのためのパーティーだ」
──金持ちは考えることが違うな。
⸻
そのあと、大輝は目を覚ました。
パーティーは6時からなので、それまで周辺の店で時間を潰すことにした。
「呪霊に、銃は効くんですか?奏斗さん、銃で倒していましたよね」
「普通の銃は効かないよ。あれは呪具だからね」
呪具……呪力がこもった道具。
「俺は銃しか持ってないけど、他の呪術師は刀とか持ってるね。基本、呪術師や呪霊には、呪力がこもった攻撃しか効かない。普通の銃や刀で攻撃しても意味がない。呪具は、最初から呪力がこもっているから効くんだ」
「なるほど、普通の武器は使えないってことですね」
「そういう訳じゃない。普通の武器でも、自分で呪力を込めれば効くんだ」
「呪力を込める?」
「人には誰しも呪力がある。それを武器に込めると、武器自体が呪力を持つ。だが、自分で込めるのは消費が大きい。だから、元から呪力のこもった呪具は便利なんだ」
「なるほど……知らなかった」
「もしかして、呪力ガードとかも知らない感じ?」
「呪力ガード?なんですかそれは?」
奏斗さんは軽くため息をついた。
「ほんとに何も知らないんだな。呪力ガードとは、攻撃を受けそうな部分に呪力をこめてダメージを軽減する技術さ。呪術師はそれを呪力ガードと呼んでいる」
「へー、説明ありがとうございます」
──今度の任務で、試してみよう。
⸻
6時。
パーティーの会場に到着した。
俺たちは服を着替え、会場に入る。豪邸は広く、天井も高い。テーブルには色とりどりの料理が並んでいる。
「よし、全部食べるぞ」
「私もいくー」
大輝とあかねはすぐに料理の前に向かい、ガツガツ食べ始めた。
さくとかなとはそれぞれ別の場所へ行ってしまった。
「俺も食べるか……」
迷いながらも、料理の前に立つと、声をかけられた。
「ねぇ、君は何も食べないの?」
髪型はボブ、スタイルが良く、柔らかい笑顔の女性だ。
「ちょうど何を食べようか考えていたところです」
「ふーんそっか、じゃあこれあげるよ」
手に持っていたチキンを渡してきた。
「いいんですか?もらっちゃって」
「いいよ。どうせ料理は沢山あるんだし」
「ありがとうございます」
「君、名前は?」
「中村颯人です」
「颯人ね、覚えておくよ」
「あなたは?」
「僕の名前はハツカ」
名前を言うと、ハツカはどこかへ行った。
不思議な人だ……。
「あ〜どこ行ったのよ、あのバカは!」
大声で叫ぶ女子がいた。高校生ぐらいの灰色髪の女子だ。
関わりたくないと思い、俺はトイレへ行くことにした。
3階にあると聞き、階段を上る。
3階にはベランダもあり、景色を見て時間を潰すことにした。
すると、ピンク髪の女性がベランダにいた。
「あら、どうしたの?ベランダなんかに来て」
「景色を見ようかなと……」
時間を潰すためだとは言えなかった。
「へー、変わってるね」
「あなたは?」
「ん〜詳しくは言えないんだよね」
「企んでるの?」
「神を監視していたの」
「はい?」
「だから〜神を監視していたの!!」
──関わらない方が良さそうだ。
「ふふ、こんな場所で出会うなんて運命じゃん」
スカートを軽く持ち上げ、微笑む。
「どうした?わたしの可愛さに見惚れてた?」
その時、灰色髪の女子が現れた。
「レグウィスが呼んでたわよ」
ピンク髪の彼女は、ため息をつきつつ灰色髪の女子と一緒に去っていった。
戻ってきた時、名前を聞いてきた。
「颯人です。あなたは?」
「あたし?!えーと……アクア。覚えておきな」
──アクア……嫌な予感がする。
深く考えず、流すことにした。