アクア───どこかで聞いたことがあるような名前だ。
あのパーティーで出会った、ピンクの髪の女性。少し危なっかしい雰囲気があったけど、どこか印象に残っている。
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翌日、俺たちは本部へ戻った。
「初任務ご苦労だったな。奏斗と一緒にパーティーにまで行ったそうだな」
麗華の声は落ち着いているが、どこか微笑んでいるようにも聞こえた。
「はい、ありがとうございます」
俺は丁寧に頭を下げる。
「今日はお前たちに合わせたい者が何人かいる。ついてこい」
麗華に促され、俺たちは後を追った。
廊下を歩くと、広い部屋に案内された。
扉を開けると、中には1人の女性が立っていた。
「あっ、この子達が新しく入ってきた人ね」
「そうだ、仲良くしてやってくれ」
緑色の髪をした、綺麗な女性。
「この人は、呪術師ではないが、協力してくれる者だ。ミザーリだ。ただ名前を呼ぶ時は本名ではなく、Mと呼んでやってくれ。」
「本名で呼んだらダメなんですか?」
「本名は事情があって呼ばない方がいいそうだ。--ただ、信用はできる」
理由を知りたい、、、
少し不安になりながらも、俺たちは挨拶をした。
相手も挨拶をかえす。なんとなく信頼できそうな気もする。
紹介が終わると、麗華は俺たちを引っ張り、奥の広い部屋に連れて行った。
薄暗く、重厚な雰囲気の部屋だ。中には8人ほどの人物が座っていた。
「その人たちが麗華の話していた新入り?」
「ニハハハハ、可愛い新人だ。歓迎しようじゃないか」
「アヴィ、その笑い方やめろ」
「アキラ、アレハナンダ?」
「新しく入ってきた子だよ。麗華が説明してたじゃん」
あまりの状況に、俺は思考が追いつかない。
知らない顔ばかり……いや、一人知っている顔があった。
「颯人、大輝、あかね、朔、よく聞け。今ここにいるやつらは特級だ。全員はいないがな」
特級……呪術師の中で最も強い階級。
こんなに近くで会えるとは思わなかった。
「よし、みんな紹介してやれ」
「ボクからでいいかな?」
水色の髪に白衣を着た女性が手をひらひらさせながら前に出た。
「やあやあ、ボクはアヴィ。科学者をやっている者だ。博士と呼んでくれ」
見た目はふわっとしているが、科学者か……人は見た目じゃわからないな。
「俺はあきら、清水 晶(しみず あきら)だ。よろしく」
小柄で黒髪の青年が自己紹介する。
「そして、こいつが死神だ。基本俺と一緒にいる」
「ヨオ、オレシニガミ。ヨロシク」
隣に立つ死神は無表情だが、存在感はある。
俺はその先、見覚えのある顔を見つけた。
「あ〜やっぱり気づいてたんだ」
笑いながら話しかけてくるのは、花澤 凛人(はなざわ りんと)だ。
家が襲われたとき、俺を助けてくれた人物だった。
「凛人さん、無事呪術師になることが出来ました。ありがとうございます」
「礼なんていらないよ。結果で示してくれればいい」
凛人は軽く笑い、他の二人の前に歩いていく。
「みんな、紹介が長くなるから、俺が紹介しておくね。2人は不知火 陽真(しらぬい ようま)、宮森 (みやもり )けい。こいつらはいつも一緒だ」
「なんでお前が言うんだよ」
「自分で言いたかった」
残りの二人も凛人が適当に紹介し、四宮 周(よつみや あまね)と夏宮裕翔(なつみやゆうと)の名前を言った。
紹介が終わると、全員が席に着き、凛人が笑みを浮かべた。
「さて、本題に入ろうか」
本題……?
俺たちは麗華を見る。
麗華は説明するかのように、口を開いた。
「ここに特級が集まった理由は、殺し屋についてだ」
「前にも言ったが、殺し屋の大きなグループが6つある。それを潰すために集まってもらった。本来なら特級だけで行く予定だったが、お前たちには特別に参加させる」
「それは、僕たちも行っていいんですか?相手次第では足手まといになるかもしれません」
朔(さく)が目を輝かせながら聞く。
「いい体験になるだろう。どうだ?行きたいだろ」
相手は殺し屋……危険は大きいが、チャンスでもある。
「行かせてください」
俺が言うと、あかね(あかね)と大輝(だいき)も続いた。
「よし、それじゃ作戦を立てよう」
場を仕切るのは凛人(りんと)だ。
「6つのグループのうち、奏斗(かなと)が1つ担当してくれている。だから残り5つを俺たちでやろう」
「5つのグループの名称は、『食IN猫』『元嬉』『蝶々綺麗』『闇のテレトリー』『キルゥウェアー』だ」
ネーミングセンスに、俺は思わず目を伏せた。
凛人(りんと)が入口に歩き、ドアを開けた。
一人の男が入ってくる。
「この人は高貴(こうき)。『キルゥウェアー』の一人で、裏切ってここに来てくれた」
「高貴、2人の存在について説明してくれ」
高貴(こうき)は暗い表情で周囲を見回す。
「2人の存在は謎に包まれている。術式も完全には分からない。噂では、片方が未来を見れる。もう片方はスピードが速い」
「なるほど……未来予知とスピードか。相当厄介だな」
「その2人の名前は?」
高貴(こうき)は一呼吸置き、低く答えた。
「────ルカ、クロエ」
──────ルカとクロエ。
その名を聞いた瞬間、俺の心臓が跳ねた。
この任務、想像以上に危険かもしれない。
でも、これは俺たちが強くなるための、挑戦の始まりでもある。