俺たちは今、キルゥウェアーのボスのすぐ近くにいる。
作戦通りまずは、ボスをやる。
「みなさん、準備はいいですか?いきますよ」
「ああ、だいじょうぶだ」
コウキの声にユウトは応える。
「では、リントさんお願いします」
コウキの掛け声をかける。
その瞬間リントが動く
「ソウルロヴゥ」
リントの術式が発動する。
リントの術式――ソウルルーラ 主に魂を扱う術式。
ソウルロブゥは手から魂を出して、相手の魂を攻撃する技。普通の人間ならワンパンできる。
ボスにリントの攻撃が当たる__ボスは死んだ。
その瞬間あたりがざわめいた。
「なんだ?!」
「おい、ボスが死んだぞ」
幹部が慌てている。
ざわめいている中、ゆっくりと酒を飲んでいる姿、食事をしている姿、スマホをいじる姿がコウキの目に映った
―――ルカとクロエ、シオンだ。
シオンはまだしも、ルカとクロエは自分たちの組織のボスが死んでも何の動揺もない。
ただ、コウキからすると想定外ではなかった。
もともとルカとクロエは、ほかの人間にも興味がないし、この状況もなんとも思っていないだろう。
まあいい。あの二人が動かないなら、今のうちに幹部を倒してしまったほうがいいだろう。
「おまえら、あいつらがボスを殺したんだ。あいつらをやれー!」
幹部の声によりほかの幹部もこちらへ向かってくる。
しかし、
「ローウルキューブ」
その声とともに、吹き飛んだ。
ユウトの術式だ。
「ソウルロブゥ」
迫りくる幹部にリントも技を出す。
こちらには特級が二人いるとはいえ、ここまで圧倒してしまうとは。
3分程度で幹部は全滅した。
パーティに来ていた人たちも今はいない。
ただし、いまだにルカとクロエ、シオンはいた。
三人ともスマホをいじっている。
「あらぁ、ここのカフェ新作が出るの?いいじゃない。今度アクアと行こうかしら。レグウィスやデリザスタ、マツリも誘ったら来るかしらぁ?、、、ちょっとあんたたち騒がしいんですけど。ねぇ、バカなの?バカなんじゃないの?バカだったのね。何様のつもりなの?シオン様がここにいるっていうのに、殺し合いなんてしないでくれるぅ?空気を読みなさいよ。ねぇ。シオンからすればあんたたちなんて秒殺よ。いい?謝って。これからはちゃんとシオンのことを考えて行動しなさい。そしてわたしを敬って。」
スマホを持ちながら空気の読めないことをいう女――シオンが騒ぐ。
「シオン、いい加減にしろ。うるさいんだけど」
「はぁ?ちょっと!ルカ!!なんでそんなことを言うの?!せっかくルカ達も誘ってあげようと思ったのに。いいわ。もういいわ。あんたたちは誘ってあげないから!!、、、って、ちょっとまって。無視?!あんだけ騒ぎを起こしたくせに無視!ふざけてんの?ねぇ、ねぇってばー。なんか言いなさいよ。さぁ、早くあやまって!!シオン様騒がしくしたうえ無視してすいませんでしたってあやまって!!土下座よ土下座。これは許されないわ!!」
「―――すまん」
ユウト達があやまる。
「はっ、シオンは優しいからそれでも許してあげるわ。感謝しなさい。さぁ、感謝して。いい?シオン様ありがとうございますって感謝して!!」
こいつめんどくさいな。
そんなことを思っていると、ルカとクロエがこちらにやってきた。
「いやーすごいねー。幹部たちみんな死んでるじゃん」
ルカは棒読みで話す。
表情はだれが見てもわかるほどの作り物の笑顔だ。
ルカの人間性がだいぶわかるかもな。
おそらく、裏表が激しそうな人だ。
一方、クロエはあまり話さない。
「お前たちは戦わないのか?」
ユウトがルカ達に聞いた。
すると、ルカがなぜ当たり前のことを聞くのかという表情をし、
「殺したって意味がないからかな。どうせ生きてても何もできないし、俺たちを殺すこともできない。それとも、ボスの敵を討たなくてもいいのかという意味できたのかな?」
その言葉を聞いてダイキが睨むようにルカを見る。
「なんだと、こっちには特級が二人いるんだぞ」
ダイキの発言にシオンが笑う。
「ハッハハハ、特級ですって、特級。特級なんてザコの集団じゃない。いやー弱いやつってほんとにかわいそうよね。とくに、ザコのくせに自分が強いと勘違いしてるやつ。ああいうのほんとにむかつく。とっとと死ねばいいのに。あんたたちに教えといてあげる。特級とかいうザコには人権ないの。いい?弱いやつに人権なし。強いやつが偉い。これ常識だから!!」
シオンの言葉でさらにダイキがイラッとする。
ダイキが暴れようとするが、ハヤトがそれを止める。
リントがルカのほうへ歩き、
「じゃあ、ここは戦わずにいったん引こうぜ。お互いにな」
そう言ってルカのほうに手を出す。
おそらくリントは握手をしようとしたのだろう。
しかし、リントの腕は切り落とされた。
「おまえ、ルカに気安く触ろうとするな」
クロエがそう言ってリントにナイフを向ける。
その表情は怒りで満ち溢れている。
―――さっきのやつもそうだがクロエの攻撃は見えない。いつの間にか切られている。それは特級でさえもだ。
「まあそういうことだから」
と言い残し、ルカとクロエは去っていった。
「はぁー。面白い言葉が聞けたから満足だわ。ザコはいいわね、笑わせてくれるわ」
シオンも満足気な表情をしている。
「なによ?悔しいの?あたしにここまで言われて。そっかそっかー。ザコってのはほんとに哀れだねー。シオンには勝てないからそうやって睨むしかないもんね。かわいそー。弱いやつは損しかしないもんね。よいしょっと」
シオンは、ほうきに乗りながらしゃべる。
「じゃあね―」
シオンは空に飛んでどこかに行った。