防衛任務、それは異世界からの化け物であるネイバーの尖兵であるトリオン兵から三門市を守ること。
14時から22時までの8時間の間、ボーダー本部の周りにある警戒区域で、ゲートが現れないかを監視する。
今回のメンバーは俺を含めたB級ソロ三人と中央オペレーターの編成。
俺は半壊した家の屋根に乗り、ボロボロになった街中を見る。
漫画と現実は違うな……。
ボロボロになった家や道路を見ると胸が痛くなる。
「ネイバーめ絶対にぶっ殺してやるわ!」
「ああ! あんなやつを野放しにしたくない!」
『お二人とも、防衛任務では先輩の霧雨さんの指示に従いなさいよ』
たぶんオペレーターの声は二人に届いてないな。
新米B級隊員のガンナーの男女二人は、ギラギラとした目で周りを睨みつけている。
俺は頭を抱えていると、オペレーターの女性の声がイヤホン越しに響いた。
『霧雨さんもお疲れ様です』
「慣れているので問題ないですよ」
むしろ、女性オペレーターと話す方が緊張するんだよな。
一応知り合いのオペレーター女子さんからの優しい言葉に、俺は極めて普通に返す。
そんな中、男子ガンナーの少年がこちらを見てため息を吐いた。
「天才のオレと組む奴がヘタレとは思わなかったぜ!」
「確かにワタシも嵐山さんや烏丸先輩と組みたかったわ!」
『……贅沢すぎます』
オペ子さんの言う通り。
ボーダーが誇るトップイケメンと組みたい女性正隊員はたくさんいる。
俺は組むことになった新米B級隊員のワガママを聞いて、思わず目を回してしまう。
『イケメンや強いやつと組みたいはよくある話だろ』
『確かにそうですが、わたし的には霧雨さんもかっこいいですよ!』
『お世辞をありがとう』
『んー、お世辞じゃないんだけどな』
なんか彼女からの好感度が高いのは気のせいか?
原作では登場してないオペレーター女子と話しながら、俺は新米からの鋭い言葉に胸をやられる。
「使いにくいレイガストをメインにするとかセンスないよな」
「確かに突撃銃の方が使いやすいよね」
「だな!」
C級ランク戦の環境はアタッカーよりもシューター・ガンナーの方が有利。
理由はシールドがないので射程持ちが強く出れて、正隊員になるアタッカーはガンナーの半分くらい。
新米の二人は突撃銃片手に笑っており、レイガスト使いの俺は肩身が狭く感じる。
まあでも、レイガストも強いところはある。
シールドモードがあるおかげで弾トリガー相手でも割と戦える。
そう内心で言い訳していると、オペレーターからの指示が耳に届く。
『ゲート発生! 相手はモールモッド三匹とバンダー二匹です!』
『こちらも確認した!』
かなり近いところにトリオン兵が現れたな。
相手は戦闘型トリオン兵のモールモッドと、砲撃型バンダー。
俺達三人は軽く頷いた後、トリオン兵が現れた場所に急行する。
「B級ソロ部隊、現着! これより戦闘を始める!」
ガンナーが二人なら、俺は前衛をしないとな。
アスファルトが割れて地面が見える道路に降り、腰の鞘からレイガストを引き抜く。
新米の二人は余裕そうに突撃中を構え、モールモッドに射撃を始めた。
「この程度なら余裕で倒せる!」
「さっさと倒して次に行くわよ!」
『二人とも! まずはバンダーを狙ってください!』
なんでアイツらはこっちに来るんだよ。
俺はモールモッドから放たれる斬撃をレイガストで弾き、アステロイドを目に放つ。
一匹目は仕留められたが、新米の二人が他のモールモッドに夢中でバンダーを野放しにしている。
「チッ! サソリのくせに硬いな!」
「アンタの火力が低いせいよ」
「テメェだって、オレと同じトリオン7じゃねーか!」
『二人とも喧嘩しないでくださいよ』
これじゃあダメだな。
バンダーが顔をこちらに向け、目に光を集めている。
俺は倒したモールモッドを足場にして蹴り、一体目のバンダーに向けてレイガストをぶん投げた。
「スラスター・オン!」
ぶん投げる直前にスラスターを使い、バンダーの目にレイガストを突き刺す。
これで一体目は倒せたが、もう一体のバンダーが二人に顔を向けた。
レイガスト再生成。
腰の鞘にレイガストを作り直し、俺はすぐさま引き抜く。
二人はモールモットを倒したことで浮かれているのか、バンダーを無視している。
「もう一体のモールモッドを倒すぞ!」
「アンタが指図しないで!」
『二人とも、バンダーの砲撃が来ますよ!』
「「え?」」
アイツらマジで何をやっているんだよ!?
建物の上で余裕そうにしている二人に向けて、バンダーの砲撃が放たれた。
固まる二人の前に俺は立って、レイガストのシールドモードとシールドでバンダーの砲撃を受けきる。
「た、助かった……」
「アンタはヘタレじゃないの?」
「話は後! モールモットは俺が倒すからお前らはバンダーを頼む!」
「「りょ、了解!」」
なんとか耐えきれた。
俺のトリオンは6で富豪ではないが、レイガストのシールドモードはかなり固くて助かった。
俺はホッとしながら刃をこちらに向けるモールモッドを睨みつける。
「お前の相手は俺だ」
ドスドスと近づいてくるモールモッドへ、俺はサブのアステロイドを64分割を放つ。
相手はブレードで弾丸を防いだりするが、一部が弱点の目に当たり動きが大きく鈍った。
「コイツで終わりだ」
レイガストをシールドモードからブレードモードに変更。
動きの鈍ったモールモッドへ一撃を浴びせ、そのまま弱点の目を切り裂いた。
残ったバンダーは新米の二人がなんとか倒したので、これでトリオン兵の処理は終わった。
『さて、新米の二人にはお説教が必要ですね』
「ちょっ!? オレ達は頑張ってネイバーを倒したぞ」
「今回は少ししくじったけど、次は圧倒するわ!」
『霧雨さんの援護がなければ、アナタ達はベイルアウトしてましたよ』
「「うぐっ!?」」
確かにオペ子の言う通りだな。
俺は顔を背ける新米二人に戸惑いながら、オペ子のお説教を横で聞くのだった。
その後、交代の時間まで冷たい空気が流れたのは別のお話。