レイガストさんは不遇ではありません!   作:黒霧春也

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3話・女性陣の強引さに振り回されてないか?

 防衛任務終わり。

 報告書も書き終ったし、新米の二人とも別れた。

 このまま夜ご飯を食べに行くか悩んでいると、黒髪ショートヘアの女子オペレーターに呼び止められた。

 

「霧雨さん、このあとは時間ある?」

「ご飯ついでならいいぞ」

「美少女のわたし相手に即答しないのね」

「相変わらずお前は刺々しいな」

「あら? 真木よりもマシだと思うけど?」

 

 マキリッサはもう処刑人だよ。

 彼女と関わりたい人なんてそうそういないだろ。

 俺は冷や汗を流しながら、最近はオペをしてもらう機会が多い相手へ言葉を返す。

 

「真木に次ぐ性格の悪い黒羽さんが何を言っているんだ?」

「性格が悪いのは元からよ。それよりも早く何か食べに行きましょう」

「なんで自然に一緒に行くことになっているんだよ!?」

 

 ほんとコイツは自分のペースに持ち込むのが得意だな。

 黒羽さんのマイペースさに頭を抱えるが、本人は特に気にせずニヤリと笑った。

 

「ほんと霧雨さんは面白いわ」

「俺からすれば君は悪魔だけどな」

「自分でも悪魔と思うわよ」

 

 なんで自分でも認めているだよ!?

 嬉しそうに笑う黒羽さんに腕を掴まれ、ボーダー本部内にある食堂へ移動する。

 

 深夜にやっている食堂はありがたいな。

 ここは24時間営業で夜勤で働く職員や隊員に重宝されている。

 俺はトンカツ定食、黒羽さんは豚の生姜焼き定食の食感を購入して、受け取り口で料理を受け取った。

 そのまま二人席に座り、料理を食べながら会話を始めていく。

 

「霧雨さん的に今日組んだ新人はどうだったの?」

「経験を積めば伸びるタイプだと思うぞ」

「そう? じゃあ質問を変えるけど、チームに入れたくなる人材かしら?」

「悪いけど俺はソロがいいんだよ」

 

 ポイント稼ぎなら個人で充分で、チームを組むと原作崩壊するかもしれない。

 どこか不満げに頬を膨らませている黒羽さんをよそに、俺はマイペースにトンカツを食べる。

 

「霧雨さんはなんでチームを組まないの?」

「さっきも言ったけど、ソロで充分なんだよ」

「ほんともったいないわね!」

 

 もったいないね……。

 マスタークラスはボーダーでも限られているが、俺以外のB級ソロでもいる。

 

「もったいないのはお互い様だろ」

「ふふっ。なら、アナタのチームに入れてよ」

「サイドエフェクト持ちのオペレーターは俺には贅沢すぎる」

 

 優秀なトリオン持ちが稀に発現するサイドエフェクト。

 有名なのは迅悠一さんの『未来予知』や影浦先輩の『感情受信体質』などが有名どころ。

 一見すれば強い能力だけど、サイドエフェクト持ちは『周りと違うこと』で苦しんでいる人も多い。

  

「いつもその言い訳でチーム勧誘を断るわね」

「だったら、俺と組もうとするのは諦めろよ」

「悪いけど命の恩人にはしつこいほど絡みたいの」

「ほんといい性格をしているな」

「それはお互い様でしょ」

  

 コイツ、ほんといい性格をしているな。

 俺は苦笑いをしながら残りのトンカツやご飯を書き込む。

 対する黒羽さんは笑顔でこちらを見ており、どこか怖く感じてしまう。

 

 早く食べて離れるか。

 残りの味噌汁を食べて終えて俺は席から立ち上がる。

 

「もしかして女子高生を残して帰るのかしら?」

「言い方……。俺は個室に戻るだけなんだが?」

「ならわたしを待ってくれてもいいじゃない!」

「ほんとお前はワガママだな……」

 

 ワールド・トリガーの世界で女性に振り回されているんだ?

 確かに俺は受け身だけど、グイグイと食いついてくる黒羽さんも強いな。

 彼女の食事が終わるまで会話に付き合わされた。

 

 ⭐︎⭐︎

 

 次の日の日曜日。

 ボーダー本部のランク戦ブースでは多くの隊員が集まり模擬戦を行っている。

 

 今日は誰がいるかな?

 昨日は荒船さんと戦ったから、辻ちゃんか米屋あたりがいてくれるとありがたい。

 そう思いながらランク戦ロビーでのんびりしながら周りを見る。

 

「なんで霧雨君はロビーで黄昏ているのよ」

「別にいいだろ。てか、熊谷こそ鈴鳴の対策をしなくてもいいのか?」

「それは三浦君にも言われたから考えているところよ!」

 

 対面のソファーに座ったミディアムショートの女子隊員・熊谷。

 原作にも登場しており、那須さんの護衛のイメージが強いアタッカー。

 

「それでなんのよう?」

「少し恥ずかしいけど村上先輩にどう勝てばいいか相談したいのよ」

「なるほど……。ちなみに個人かチーム、どっちだ?」

「両方と言いたいけど、今はチームで勝ちたいわ」

 

 まだチームの方が村上先輩を崩しやすい。

 原作ではNo.4アタッカーだけど、今はNo.7アタッカーで一万点を超えたあたり。

 しかもレイガストは持っておらず、孤月とシールドで戦うタイプなので崩しようはある。

 

「あくまで俺が思いつく範囲だけど、熊谷は防御メインで動けばいいと思うぞ」

「確かにアタシは防御は得意だけど、村上先輩に勝てなくない?」

「チーム戦で前衛のタイマンをやるよりも、那須隊が有利な中距離で戦った方が勝率が上がるだろ」

「確かに……。なんでその方法が抜けていたんだろう?」

「灯台下暗しだっんじゃない?」

 

 俺がお勧めした戦い方は原作で使われた戦法。

 熊谷は俺のアドバイスを聞いた後、目を輝かせながら一つ頷いた。

 

「なんだかんだ話を聞いてくれてありがとう」

「いいよこれくらい」

 

 とりあえず対戦相手をどうしよう。

 そのことで頭がいっぱいになっていると、熊谷がニヤリと笑った。

 

「お礼に模擬戦をしてあげるわ!」

「それはお礼と言えるのか?」

「いいじゃない! てなわけでブースに入りなさい!」

 

 一応、対戦相手が見つかって良かったのかな?

 俺は熊谷に誘われてブースの中に入る。

 そのまま彼女と戦い21対9で勝ち越したので、俺は満足しながらコーヒーを飲むのだった。

 

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