レイガストさんは不遇ではありません!   作:黒霧春也

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4話・諏訪さんは面倒見が良すぎるな

 模擬戦で熊谷相手に21対9で勝ち越した後、ランク戦ブースのロビーは冷えた空気になっていた。

 

「アイツ、女子相手に容赦ねーな」

「流石にクマちゃんが可哀想よ」

「ヘタレのくせにムカつくぜ」

 

 やっぱりこうなるか。

 熊谷との模擬戦は勉強になったが、ロビーにいるC級隊員からの言葉が痛い。

 ブースから出てきた俺は目を逸らしていると、隣のブースから出てきた熊谷がため息を吐く。

 

「あたし達は普通に模擬戦していただけなのに酷いわね」

「別に気にしてない。それよりも離れてもいいか?」

「あっ、霧雨!」

 

 悪いけどココにはいたくない。

 C級隊員は性格が悪い奴もいるから、警戒すべきだったな。

 学ばない自分のアホさに悔しさを感じながら離れようした時、見覚えのある金髪長身でタバコを咥えた不良大学生がこちらに歩いてきた。

 

「またなんか面白いことになっているな」

「諏訪さん……。なんでロビーにいるんですか?」

「日佐人からお前らがランク戦をしていると聞いて情報集めのためにきたんだよ」

 

 なるほど、今回のランク戦シーズンは諏訪隊と那須隊が初めてぶつかっていた。

 と、なると、熊谷の戦闘スタイルを見るために諏訪さんがきたのも理解できる。

 自分の中で理解していると、熊谷が驚いた表情でこちらに近づいてきた。

 

「あれ? 諏訪さんは堤さんと一緒じゃないんです?」

「堤は加古のゲテモノチャーハンを食べてダウンしているぞ」

「な、なるほど……。相変わらず堤さんはギャンブラーですね」

「その勘が上手く働く時もあるが、今回はハズレみたいだぜ」

 

 ギャンブル性の高い加古さんのチャーハン。

 俺は挑戦したことはないが、先輩達の顔が死んでいたのを思い出す。

 本来の話からズレていく中、ロビーに集まったC級隊員達はこちらをジッと見ている。

 

「相変わらず立方体の諏訪さんは顔が角ばっているな」

「あたしが聞いた時はナタデココと言われたわよ」

「マジか! オレはシューターのキューブだったぜ」

「おいこら!? 俺は立方体でもナタデココでもキューブでもねぇ!」

「「「すみません!」」」

 

 立方体ネタはリアルでもあるのね。

 誰が噂を流したかはある程度は予想できるが、C級隊員達は割と容赦がない。

 

「まあいい。それよりもお前らは何かあったのか?」

「あー、その、ランク戦であたしが霧雨君にボコボコにされて陰口を叩かれていた感じです」

「黒羽が聞いたらえらいことになりそうだな……」

 

 それはどういうこと?

 諏訪さんと熊谷が苦笑いを浮かべる中、ランク戦の出入り口の方から数人の正隊員が現れた。

 

「おっ! あの二人がいるってことはアタッカーの腕比べだよな!」

「今日こそマスターに近づいてやる!」

「あたしだって負けないわよ!」

 

 やっぱりボーダーのアタッカー勢は血の気が多いな。

 俺は冷や汗を流しながら離れようとするが、諏訪さんと熊谷に肩を掴まれる。

 

「もちろん霧雨君も参加するよね」

「いやあの、俺は遠慮……」

「別にしなくてもいいし、何かあったら俺が情報部に伝えてやる」

 

 諏訪さんー!?

 確かにアナタのケツ持ちはすごくありがたいですが、今は違いますよね!?

 俺は苦笑いを浮かべつつ、集まるアタッカー達と共に腕比べをしていくのだった。

 

 ⭐︎⭐︎

 

 噂を聞きつけた太刀川さんや生駒さんにボコボコにされた。

 今も続く腕比べを見て俺はどこか安心してしまう。

 

 ほんと諏訪さんには感謝だな。

 このアタッカー腕比べを提案して段取りしてくれたのは諏訪さんらしく、感謝しきれない。

 俺はソファーに座りながら隣に座る諏訪さんに頭を下げる。

 

「諏訪さん、今日はありがとうございます」

「ん? 別にお前を助けたわけじゃねーよ」

「偶然でも助かりました」

「そうか? なら、俺としては満点だぜ」

 

 諏訪さんは面倒見がいいな。

 ランク戦のメインモニターに映る太刀川さんVS生駒さんの模擬戦を見ていると、諏訪さんがニヤリと笑った。

 

「話は変わるが、相変わらずお前はチームを組まないんだな」

「その話は他の人にもされましたよ……」

「二年以上、Bソロなのはお前くらいだから目立っているぞ」

 

 そう言われると目立っているのか? 

 確かに同期の隊員はチームを組んだり、他の部署に回ったりしている。

 

「俺が言える立場じゃねーが、お前はヘタレすぎるんだよ」

「確かに、麻雀で突っ込んで数え役満食らった諏訪さんの言うセリフではないですね」

「おう! お前に32000点取られた記憶は今でも残っているぞ」

「ちょっ!? 髪をくしゃくしゃにしないでくださいよ!?」

 

 ちなみに、一緒に麻雀をやっていた東さんと冬島さんは諏訪さんがぶっ飛んで笑ってたな。

 少々乱暴な諏訪さんのわしゃわしゃに、俺はアタフタするのだった。

 

 そんな中、ランク戦を終えた熊谷がこちらに戻ってきた。

 

「二人は何をやっているの?」

「諏訪さんに絡まれているんだよ」

「おいおい、俺は大切な後輩を可愛がっているだけだぜ」

「大切な後輩ならもう少し優しく扱ってください」

「これが俺のやり方なんだよ!」

 

 ほんと諏訪さんはガサツだけどいい人だな。

 自分の頬が自然に緩んでいると、対面のソファーに座った熊谷が苦笑いを浮かべた。

 

「ほんと二人は仲がいいですね」

「そりゃ麻雀仲間だしな!」

「ですね」

 

 ちょくちょく諏訪隊の隊室にいくが、大半は麻雀しかしてない。

 最近は草壁とも麻雀をしているが、フルボッコにして恨まれている気がする。

 自分が女難の持ちが悩む中でも、諏訪さん達との会話は楽しかった。

 

 その後、腕比べを終えたアタッカー&諏訪さんで打ち上げをして、満足しながら俺は自宅に帰るのだった。

 

 

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