一人残されたイミタシオは傷だらけになった陸王から指輪を奪おうとするが、その時スマホから着信がありそれに応える。
「……パンタノペスカ? どうした、今私は大事なところなんだが」
『イミタシオ様、ベルゼルガが予想以上に苦戦していますの、私の土人形でもいつまでもつかどうか……』
「最初から勝つことは計画に入れてない、相手は私の想定していないマジアベーゼだ……隙を見て撤退しろ、私もこれが終わったらすぐに向かう……」
イミタシオが会話していた隙をついて陸王は姿を消していたが、その後ろ姿は一瞬捉えた。
……マジアベーゼとタカミを逃がした男と瓜二つだった。
逃げられてしまったが、これが『話の都合』というものだろうか、よほど陸王を生かしておきたいらしい。
「……指輪の戦士はこいつが倒した分を抜いてもまだ何十人もいる、その全てが私のマジアベーゼへの復讐の妨げになるのなら、全て潰す」
「よう、待てよそこのガキンチョ……いや、魔法少女というんだったか? 俺は見てたぜあのとんでもねえビーム、面白えことするじゃねえか」
「……ああ、悪者ってやつはどうしてこうも絶え間なく現れるのか……ムカついてくるなの♡」
一難さってまた一難、戦闘の様子を見られたファイヤキャンドルとナンバーワンバトル第2ラウンド開始。
ファイヤキャンドルはマジアベーゼとの戦いを得て向こうの世界の戦士がどんなものか興味があった、見た目こそ小さいがとんでもないものを秘めていることは分かる、それが余計に燃え上がらせる。
イミタシオにとってもブライダンは自分たちには関係ないとはいえ悪の組織であり、自分達の世界を滅ぼす可能性があることは散々
「……少し遅れる、その前に情報だけ送れ、何番エノルミータのマジアベーゼと相手した?」
『あっ……え〜っと、4番『暴食』の
「そうか、暴食か……奴はおおかた『色欲』といったところだな」
増えたマジアベーゼがイベントに絡んでくるのは、まだまだ先の話。
今は黒影が用意したクオンのゴッドイベントを済ませてから……それまでにポチは陸王を安全な所に送ってすぐに物語を進めなくてはならない。
スマホでゴジュウジャーに連絡しようとするが……。
「もしもし竜義さん! ちょっと百夜陸王さんがやらかして!! 確か貴方医者でしたよね!? すぐに……え? 嘘だよね?」
黒影に投げ飛ばされてマジアベーゼがビルに侵入していることは露知らず、クオンが案内したのは地下施設。
培養液に浮かぶのは……ハート型の宝石のようなアクセサリーだった。
間違いなくトレスマジアの使用しているものと全く同じもの、それがもう何十個も作成されている。
「う、嘘……!? 本当に作られてる、魔法少女の変身アイテム」
「一般的には
「倒されていない、想定外が多すぎて対処しきれなかっただけだ」
「うーんそれにしても『憤怒』のマジアベーゼ様も素敵でございましたね」
「それによ、アタシが回収して命も守り宝も奪い取った、それでいいじゃねえか社長さん」
奥には包帯を巻いた3人の見慣れない魔法少女、1人は竜の装飾が付いたサルファに似た風貌の荒々しい見た目。
2人目はマゼンタの雰囲気があるハートマークが彩られたフリフリの服にマジアベーゼのぬいぐるみが腰に備わっている。
そして最後の一人はアズールのように和風の彩りに海賊の服装と武器が合わさった異質な女性。
どうやらこれがクオンの複製アイテムで選ばれた3人の魔法少女らしい。
トレスマジアを見ても特に反応がない辺り、敵意はないが味方というわけでもなさそうだ。
「ドラグヒース、キスマーク、ジュエリーロジャー、君たちと同じく素質のある魔法少女だ」
「私たちのことは……クオン社長の手で作られたので『クオちゃんズ』とでも呼んでください」
「おい、本当にそれでいいのか?」
「どうでもよくね? 呼び方なんて」
アズールはクオちゃんズの3人に近づき、マゼンタを手招きする、どうやら回復魔法を彼女達にかけてもらおうとしているようだがそれを見た途端ジュエリーロジャーは武器である碇を飛ばして牽制する。
「待ちな、アンタらわざわざ社長の所に乗り込んでアタシら調べに来たんだろ……タダで身体治してくれるわけでもない、対価はなんだ?」
「なんや随分物分りがええ奴やな、ほわほわしてるだけじゃ魔法少女やっていけんで」
「……そうね、確かに私達は複製魔法少女の事について気になることがあるから来た、私達は貴方達が活躍したり一緒にエノルミータと戦う分にも構わないし、クオン社長のことも咎めないけど気になることはある」
「気になること? 確かに私達は元々顔をちょっと小綺麗にしに来たのが始まりですが、魔法少女に選ばれた以上あなた達のように戦う覚悟はありますよ?」
「ええ、その心意気は私も立派とは思う……けど見過ごせないのよその力の源は……クオン社長、1つだけ質問していいですか?」
「ああ、僕は忙しいから本当に1つだけ聞こう」
「では……彼女達の元になるトランスアイテムの大元はどこから手に入れたんですか?」
クオンAIコンツェルンは最先端で流行りのAI出力による機械工学やプログラムを得意とする大企業。
しかしいくら優れたAIといえど根本となる物が存在しなければ出力することは出来ない、トレスマジアの戦闘データだけでそれっぽいものを作るにしてもクオちゃんズのクオリティはかなり高い、これはもうトランスアイテム其の物を回収してそこからAIプロンプトを作成しなければここまでの物は出来ないだろう。
「つまり貴方は持っているんですね、私達トレスマジアと同じ性質の変身アイテムを……どこで?」
「確かに僕といえど魔法とやらをゼロから複製することは難しかった、ましてや僕らと大きく異なる別世界の道具だからね……」
「え? でも手に入れるだけならあっちにも偽物の指輪とかあるんだし……その力でトランスアイテムの偽物を描くとか出来るんじゃ?」
「魔進戦隊キラメイジャーの指輪の力か、あれは僕も回収したが所詮は紛い物……本物の指輪に比べて効力も劣る、それと同じで僕が本物を手に入れたと?」
「巷じゃ魔法少女狩りなんてものもあるしな、こっちから奪い取るってのもありえる」
各々がクオン製の由来となった物の出どころについてガヤガヤと議論を広げていく中、クオンは足音に気付いて背後の存在に気付く。
「彼が僕に譲ってくれたんだ、最初は僕も疑ったものだが交渉の末にトランスアイテムを手に入れた」
「交渉? 社長がそんなものを?」
「過程や結果は問わずこの世に魔法少女を増やすことを条件として……この世界により混沌を与えてほしいと、だから僕は望みを叶えた、AIで人々を喜ばせるのが会社の理念だからね」
「お……お前は!!」
「あっ、トレスマジア? まさかこんなところで会えるなんて……おにぎり食べます?」
「ローレン・漆黒!!」
ローレン・漆黒、ポチと一緒にこの世界に派遣されて現れたのが彼……そうだ、思い返してみれば彼の仕事は元々魔法少女タイアップ商品の開発……それをトレスマジアには出来なかった。
なら目的を果たすために魔法少女を作ってしまえばいいという簡単な発想。
「なるほど逆転の発想、商売のための魔法少女がおらへんなら作ればええと……監理局様も思い切ったなぁ」
「商売?」
「この人、魔法少女と契約してタイアップ商品でお金を稼ごうとしていたんです」
「なるほど、クオちゃんズをスポンサー契約させて作ってみるか……?」
「え? 社長マジで言ってるのか?」
クオンの真意はともかくビジネスの為ならきっとここまでするだろう、世界を救うことに躍起になっているのはポチぐらいでローレンは元々隣でくっついていたくらいの認識。
ちゃっかりと自分の仕事をしていてもおかしくないのだが……ローレンは首を傾げて答えた。
「ああタイアップ? 確かにそれで目的も達成されるけど……俺元々はそのつもりじゃなかったですよ」
「ええそうね、これで答えに至ったわけじゃない、クオン社長は漆黒さんから譲り受けたと言った……じゃあ貴方は!? 貴方はどうやって魔法少女の変身アイテムを……」
「うーん、ほらえっとさ……君等の街以外にも魔法少女っているだろ? その中で
もう死んでるやつから拾ってきた」
「……は?」
何を言っているのか、分からない。
なんでそんな顔できるのか、わからない。
ようやく結論が見えたのに、わからない。
トレスマジアだけじゃなくてクオちゃんズのドラグヒースも彼に対して気味悪い顔をしている者もいるので彼女達も知っていたわけではなさそうだ。
だが、クオンとキスマークだけは笑みが崩れない。
「……どういうことか説明してもらえますか?」
そして、更にローレンの背後から鞭を持って構えるのは傷だらけのマジアベーゼ。
ただでさえ負傷してるのに黒影に投げられたせいでダメージは尋常ではないが偶然マジアマゼンタの後ろ姿を見つけて大胆にも後ろを追ったらこの通りだ。
「エノルミータ!? えーと見た目からして1番の悪! 『色欲』のマジアベーゼじゃねえか!」
「えーと、これって俺は命狙われてるのかな……なんでここにいるかって……ああなるほど局長が手を出したのか、あの人をここに誘ったの俺だし」
そして視点は通話中の爆神竜義とポチへと移る……ポチもここで、ローレンが勝手な行動をしていたことを知る。
知らなかった、だってポチがローレンのそばにいる時にはゴジュウジャーとトレスマジアと力を合わせて自分達なりに融合した世界をもとに戻す算段を立てているものかと思っていた。
「そんなまさか……信じられないけど、漆黒くんはてっきりバイトと金欠でヘロヘロになって動けないものかと!?」
『どうやら……貴方は完全に弄ばれていたようだ、単純すぎる、得体のしれない漫画を
「うっ……酷い言い方だけど貴方側から見れば事実か、でもなんで漆黒くんの事は分かっていたんですか?」
『我々の設定とやらを把握しているなら一河の指輪のことも当然知っているな?』
「触れた人間の心を読むことが出来るんでしたね……トレスマジアやエノルミータの認識阻害は突破することは出来ませんが、まさかそれで漆黒くんを?」
それどころか角乃は元々探偵だ、時空監理局にトレスマジア、エノルミータに今回の色々……それに加えて自身の目的もあり探りを入れるとしたら間違いなく彼女が誰よりも情報を掴んでいる。
もしかしたらマジアベーゼの正体まで知ってしまったのか、それはともかく気になるのはローレン・漆黒の調査結果だが今は陸王の治療が優先したい。
竜義としても不本意な形だが爆神病院で合流する形になり、陸王を入院させた後に竜義、角乃、ポチと3人が揃う。
「あと少しで禽じいも来るって……それまではチャットで報告ね」
「それで一河さん、一体漆黒くんの何を調べたの?」
「そもそもあんた同僚でしょ? なんで把握してないのよ」
「同僚って言ってもこの仕事やる前で言えばつい昨日みたいな付き合いだし……そもそも時空監理局って局長除けば俺と漆黒くん合わせて5人しかいない組織なので」
「はあ!? よくそれで監理局名乗れたわね!!」
「そ、それはそうなんだし……漆黒くんも元は別の人のコンシェルジュだからほぼ他人っていうか……」
「コンシェルジュ?」
「ああ〜話すと長くなるんだけど、要するに副局長とお付で3人、そこから俺と俺の兄貴分みたいな人が所属して5人、トレスマジアの認識阻害みたいなのを黒影が発してるから周囲は500万規模の大組織に見えるけど実際はコンビニの上げ底弁当ってわけ」
「上げすぎておにぎりも作れない規模よそれは……じゃあ見てみる? これが真実よ」
角乃が調査資料を複数用意する、ポチは何かあった時の為に自動的にバックアップしながら確認するとそこには……。
「うわぁ」
「見ての通り、あんたの相方はウソだらけのサギ師よ……名前も嘘、経歴も嘘、年齢も嘘、もしかしたら性別も……色々スキル持ってるけどそれも全部偽装! バリバリの犯罪者よ!」
過去に『副局長』に偶然にも見つかって雇われた男はのらりくらりと生きていた? それは知っていたのか定かではないが、ポチは違うところを見て頭を抱えていた、ローレンが『犯罪者』なのが問題だ。
『時空犯罪者』ではない。
「皆さんは時空に出てないから知らないと思うんですけど、時空犯罪者っていういわゆる『別世界で悪事する人』が当てはまるんだ、マジアベーゼも新時代になってからたま〜に旅行して他所の魔法少女にちょっかいかけるから時空犯罪者ってわけ」
「……ただの犯罪者、我々で言えばブライダンがどんなに世界を荒らしてもお咎めなし……許されるというのか!?」
「そうだよ、エノルミータがどんなに魔法少女相手に楽しんでも、世界征服してもその世界だけで済む問題ならそれはお話の展開に過ぎないからね……ただの犯罪者は裁かれる対象じゃなくて
当時の肩書を背負ったままその時のノリを捨てきれず、ひたすらに『お話の展開』としての破滅、それは自分の罪を誤魔化すためかあるいは面白いと思っている享楽主義者か、はたまた自分の手を汚さず悪人を増やし続ける死の商人か定かではない。
だが簡単に言えばその人は……。
「無敵の人……なんて呼ばれることもあるよ、実際俺は監理局に入って安定した職について、仕事のために分身まで作ったので実質不死身になりました」
「分身やと?」
「リアルタイムで数千数万を超える作品世界でお仕事があるのでそれを全部解決するために時空監理局は分身を山程……」
「なるほど……じゃあ、ここで1人消えても問題ないわけか」
話が終わりクオンはポケットからテガソードに似た形状の銃を取り出してローレンの額に一発撃ち込むと表情はそのまま倒れ込み、マジアベーゼが驚くまもなくクオンが飛び出して地下から降りるように駆け出し、そのまま外へと向かう。
「キスマーク、その死体片付けて犬にでも食わせておけ」
「かしこまりました〜」
「えっ……まっ待って!! さすがにっさすがにそれは!!」
「ああ大丈夫ですよマゼンタ先輩、私達慣れてますし……死なない体を一方的に行使する監理局の人間に人権はありません!」
「クオン社長はもう既にローレン・漆黒を30回は殺してますの」
ガラスが割れて外に落ちていきながらクオンはベーゼを道路に叩きつけようとする。
「どうしたんだい? ああそうか、悪の総帥ともあろう存在だがまだ人が死ぬところを経験していないか」
「当然ですよ、生で見ればくるものはありましたが……関係ない人が死んだところで面白くないじゃないですか」
「なるほど面白くない……ハハ、参考にするよ! 確かにちっとも面白くなかった! だがこれで分かっただろう! 僕の世界もお前の世界も時空監理局局長の為のお遊戯の為に作られた!」
「お前も乙女なら開いて飛び出す立体的な絵本を知っているだろう、それと同じさ、その程度なんだよ彼にとって……いや話すだけムダか、その顔、自分の趣味以外には無関心と見た」
魔法少女と関係ない事に関してはとことんやる気が出ないマジアベーゼは黒影に関する話をされてもだからどうしたという顔で急降下着地して黒影に投げ飛ばされたところまで戻る。
「そんなことよりクオちゃんズといいましたか、彼女は私達と戦わせてくれないのですか?」
「さあね? 元々アレは吠を襲わせるためのものだったから……」
「はぁ……ああ、さっきの話の答えですけど、時空監理局とやらが敵だとして私に何をしろと? 世界の敵ならそれは魔法少女が倒すのが役目です、トレスマジア、クオちゃんズ、そして……あの方がいましたね、カイザー・イミタシオ、もっとも私は魔法少女以外に負けるつもりは毛頭ありませんが!」
「……魔法少女が倒すのが役割か、ならちょっと試してみる?」
「試す? えっちょっ……貴方まさか!? それダメですよ!! そういうジャンルあるにはありますけど!! 根底的に!!」
クオンが取り出したのはバツ印が描かれたクオちゃんズと同じ特殊なトランスアイテム、それを使ってやることなんて決まっているのでマジアベーゼは大いに焦るがクオンは無視して構えを取る。
「トランスマジア……」
「止めて──ーッ!! レオちゃん止めてっ!!!」
「あっ今ベーゼちゃんの声がした気がする!!」
ボロボロになって倒れていたレオパルトも愛する女の悲鳴に駆けつけて決死の思いで駆けつけた頃に見たのは……28歳のいい男のキラキラとした変身シーンだった! それを間近で見せられたマジアベーゼは既にメンタルを傷つけられて吐血!!
「安心するといい……僕にもそういった趣味は持ち合わせていないからちゃんと男物だ、名前も魔法少女ではない……名前も同じでいいか」
「ガリュード、姿形がアレとは異なるがリングハンターとしての名前だ」
「リングハンター……指輪集めてんのかアイツ! それだけじゃねえ……魔法少女のアイテムで変身しやがった!! 男が!!」
トランスアイテムで変身したガリュードは西部劇のガンマンに魔法のアレンジが加わったスタイリッシュとガリュードという象徴のダークヒーローじみた雰囲気。
恐らく何回も変身し慣れている武器には拳銃のような剣、いわゆる銃剣を構えていたがそれどころではない。
(が……ガリュード……なんてやつだ!! 堂々と変身しやがったのもあるけど魔力が段違いだ! トレスマジアを参考にしてんのにエノルミータみたいな反応しやがる……いや、それよりも!!)
「やだあああああああ!!!! あんなのやだああああああ!!!!」
「ベーゼちゃんが変身シーンだけで蕁麻疹が出るほど拒絶反応出してる!! やべぇベーゼちゃんマジで死んじゃう!!」
まだ戦闘に入ってもいないのにマジアベーゼとなってから今まで以上の大ダメージを負い冗談抜きの致命傷を受ける、ここまで解釈違いな変身があっただろうか、実を言えばこの後にもあるっちゃあるがもはや戦いに入れるほどの状態ではないが容赦なくガリュードは銃を向けたが、弾丸は鋼に弾かれるような感触で跳ね返される。
ガリュードを横切ったのは一昔のプロペラ戦闘機、それが一瞬のうちにベーゼとレオパルトを回収し、パイロット席に座っていた金髪の少女は……。
「タイミングバッチリだ!! よくやったネロアリス!!」
エノルミータおねむ本部長ネロアリス、レオパルトも何もしていなかったわけでもなく倒れながらもこっそりスマホで迎えに来るように連絡しておいたのだ。
ネロアリスは玩具を媒体にすることで様々な事象を現実にする魔法の持ち主、その辺の模型も一癖加えれば本物に匹敵する乗り物になる!
クオンは撃ち落とすことも出来たが敢えて見逃すことにした、スマホでドラグヒースから連絡が入る。
『トレスマジアが逃走しました』
「ほっといていい、監理局は共通の敵だクオちゃんズにとやかく言うことはない」
『しかし社長は……それに魔法少女の事まで奴らに知られている、そのまま』
「ゴジュウジャーもトレスマジアもそれどころじゃなくなる、僕らもこの絶え間なく発生する出来事に追いつけるようにしないとね」
「よしっ! ゴジュウジャーのゴッドイベント『ガリュード登場』も無事達成した! これでまほあこもゴジュウも次のゴッドイベントまで行間がだいぶ開くぞ!」
上から経過報告をゲームの目標達成のように眺める黒影と、普通に背後から帰ってくるローレン。
そして黒影に助けられたまま何もよく分かっていないタケミ、まだ自分は使えるからと生かされて助けられ、そして……この始末。
魔法少女と戦隊を両立するイミタシオと戦隊と魔法の姿を使い分けられるガリュード、融合によって新たな敵も変質させることに成功した、このようにして本来の流れからとにかく歪めていくことが黒影の目的である。
「ローレン君何回ここで死んだ?」
「まあ俺人間なのでね、30回死んでも仕方ないじゃないですか!」
「うーんそれもそうだね! 俺らみたいに不老不死って感じじゃないもんね」
「は……不老不死!? なにそれ!? そんなの存在してるだけでズルいじゃん!!」
「ズルくないよ、だって俺は
「いよっ社長! なろう系主人公の開祖!」
戦隊と魔法少女の世界を一方的に混ぜて、勝手に大惨事の種を撒き散らして2人で勝手に盛り上がっている中……タケミは言葉を漏らした、共犯者だからこそこの男には関わらないといけない、知らないといけない……。
「貴方はこの世界に来て、融合させて、こんなめちゃくちゃに話を書き換えて一体何が目的なの!?」
「さあ?」
「はぁ!?」
「……逆に聞くけど、『やりたい』って頭に思ったことを実行する時に君はいちいち『目的』を考えるの? 無駄に動かす暇あったらとにかくやっとけばいいんだよ」
ああ、駄目だ。
答えはわかるが理解が遠く及ばない。
この男はただ……思いついたことをなりふり構わずやっているだけ。
こんな奴が私達の今の神なんだ、でも何かおかしい……そこまで能天気に見えない、むしろ手柄をなんとしても取りたいと傲慢に焦っているような……?
きっと……いつかどこかで。
誰かがシャドー・メイドウィン・黒影を倒す日が来るでしょう。
それはきっとマジアベーゼではないのかもしれないし、今この物語でもない。
しかし現実と同様に時空には数千を超える作品があり、その数だけポチ達が事業をして、その数だけ物語があります。
この作品で出している2作品はその歴史のほんの一欠片に過ぎませんが……あくまでこの作品内ではうてなの時空で生きていく物語として集点を当て続けていきます。