『ノーワン』
虚構から生まれた世界からキーワードをもとに欲望を再構築することで生まれる怪人を表し、人間の思いから
そして『大食い』『料理』『山盛り』『人間』『ナンバーワン』5つの言葉が融合することで大食いノーワンが顕現する!
アリクイのような顔つきで巨大な腹を持つノーワンはその細長い口から周りのものを吸い込んでまるで掃除機のように人も物体も見境なく腹の中へ詰め込んでいく。
「ブハーッ食った食った! しかしまだ食べられるぞ! おかわりどんどん持ってこい!」
「あ……あれがノーワン!? 確かにエノルミータが出してくるのとはわけが違う!」
マゼンタ達もこの間似たようなことがあったとはいえ、普段はあまり見ない大規模な街の襲撃と市民への攻撃に驚きを隠せないが怖気づくことなく武器を構える。
吠達も後から追いついていつでも変身できるようにはしているが……。
「そこまでよノーワン! 私達トレスマジアが来たからにはこれ以上街を破壊させたりはしない!」
「ん? なんかちょっと多い気もするが……まあいい! 俺こそノーワンワールド・大食いナンバーワン! この街に存在するもの全部俺が食い尽くしてやる!」
「なるほど、なんかのナンバーワン名乗るってのはそういうわけかその胃の中全部ぶちまけさせたろか!!」
「待った! ノーワンは人を取り込んであの姿になっている、中の人を助けないと!」
「そうね……どうすれば助けられるのかしら?」
「その答えが知りたければ俺の大食い勝負に勝ってみることだなあ!」
『大食いナンバーワンバトル! ファイト!』
謎のゴングとナレーションが世界各地に響き、まだ決めてもいないのに大食いでバトルすることになってしまった。
サルファとしてはやり方はふざけているものの敵の称号を引きずり下ろすというのも悪くないと乗り気であり、鈴のような人が丸い物体から現れて大食いバトルの舞台を広げる。
世間的に知名度の高いトレスマジアもいることも相まっていつの間にかテレビ局やカメラまで集まっている。
「うわっ、なんか撮影始まってるけど!」
「貴方達って結構影響力とかあるタイプの魔法少女なのね……」
「へ、へへへ……そんなつもりはないんですけど」
「そんなことより大食い勝負どうするんだ?」
「え?」
そういえばこの戦いは大食い、多分あの怪人より多く食べないといけない。
というかもう既にテーブルと椅子、並びにクローシュが被せられた皿まで乗っている、この様子を見てヴァーツの頭上で豆電球が光る。
「話を聞いてみたところあの怪人は『ナンバーワン』に固執しているとみました! ですので皆さんが勝利することでアイデンティティを失い、元の人は解放されて倒せると思います……たぶん!」
「今はそれを信じてやってみよう!」
「マジアベーゼにやらしいことされるよりはよっぽどマシやな」
普段やられてる内容も含めてノーワンの戦いに関してなんの抵抗もない彼女達はそのままゴジュウジャー達と作戦会議……ただ一人その様子をこっそりビルの隙間から眺めていたマジアベーゼは突拍子もないというか奇想天外すぎる流れに困惑していた。
「な……なんですかあの怪物は、軽い流れでバラエティ番組みたいになりましたけど」
「ボクから言わせてもらうと君が普段やってることも大昔前の過激な番組みたいなものだよ、まあ君の言いたいことも分かるがアレがノーワン、特定のナンバーワンを誇りに思いその称号にちなんだ行動を進んで行う、例えばトレジャーハンターノーワンなら宝を求め、お節介ノーワンならとことん自分本位で優しさを見せる」
「なんかこう……動物と電化製品とか兵器が融合したようなようなの想像してましたがまさかこんな」
「折角だから見ていくといい、ナンバーワンバトルがとういうものか」
「ナンバーワン……ですか」
今自分が現れたところで空気が読めない奴になるだけだ、魔法少女と全力で戦って最後には気持ちよくやられるのがベーゼのポリシーであるためノーワンを含めた立ち回り方を覚えるためにもこの試合は決して見逃せない、何よりトレスマジアがどんな戦い方をするのかめちゃくちゃ気になるからと適切な位置で温かい目で観察する。
まあ、その姿はがっつり見られているわけだが。
「もしかしなくてもアレが吠くんが見た……」
「無視しとけ」
「ストーカーでも直接手を出さんだけ普段よりええわ、それより誰からいくかやけど」
「うーん……大食いと言われてもそんなに食べられるわけでもないし」
「なんかこう、いくらでも食べられる魔法とかないのか?」
「魔法少女といってもそこまでなんでもありでもないのよ」
「ここは俺がいく、タダで飯食えるんだったら俺はいくらでも入るぜ」
「ストレートに最低すぎること言ってるわ……一旦私達は様子見、トレスマジアがどこまでやれるのか見ておきたいでしょ?」
「如何にもウチらがやれって雰囲気だしな……よっしゃ魔法少女の生き様見せたるわ!! マゼンタ! アズール三人がかりでいくで!!」
「よし! 行こう皆!」
マゼンタ達が3人揃って席に座り、ようやく大食いバトルが始まりそうということでクローシュが開かれ開戦。
「いただきます!」
「チェンジ!!」
「早くね!?」
皿に乗っかっていたのは綺麗にバランスよく山のように乗せられたたこ焼きの数々。
もう既に大食いノーワンが1個ずつ丸呑みしていく中、サルファだけが箸が動かずまさかの始まって数秒で料理に口出し、これには世界のノリ的には全員ずっこけてもおかしくないがマゼンタとアズールは何かを察してそうな顔で目を逸らし、こういうことに察しが悪い吠も気付いてしまう。
「まさかお前……そんな喋り方なのにタコ嫌いなのかよ……」
「文句あるか!? ウチは普段からたこ焼きはタコ無しで食っとるんや!」
「タコのないたこ焼きはただの団子じゃないのか……?」
「一応ラヂオ焼きってものもあるらしいわよ」
「好き嫌いがどうこう言うなよ魔法少女が! んなもん半分食ってタコだけ切り取って飲み込めばいいじゃねえか!」
「そんな行儀の悪いことが出来るかテレビの前で!」
しかしあれだけ啖呵を切った手前自分だけが何もしないというのも問題があるのも事実、どうにか箸を持って食べようとするが汗が止まらない、もしかしたらマジアベーゼ戦よりも大ピンチかもしれないしなんなら今1番見られたくない相手なのでこの時だけ眼球潰れてくれないかと願うなか、こんな時に役に立つのが指輪の魔法少女。
「ねえ知ってる? 指輪はただ変身できるだけじゃなくて固有の力を持っている、そして私には魔法を使える戦隊の力が備わっている……この意味が分かるかしら?」
「印魔真銀! まさかお前も使えるんか魔法!?」
「当然私だって魔法少女! その中でも自慢の大技見せてあげる! せーので!!
「熱ぅい!!」
真銀がマジレンジャーの指輪を光らせて魔法を放つとたこ焼きか一瞬のうちに火の海になる、燃やしたというよりは火に変換したようでありマゼンタがまだ食べている途中のたこ焼きまで咄嗟に飛びまして火の玉になる、まるでどっかの亀の魔王みたいになってるがそんなこと考えてる暇もなく両者燃え尽きてしまった。
「これで大食いは成立しなくなって仕切り直しよ!」
「お……おう……そうか」
「有り難い気持ちと怒る気持ちが両立してサルファが複雑な顔してるわ……」
「アズール今も噛んでるけど火傷しないの!?」
「人の大食い勝負を邪魔するな! まだ食ってたのに火加減して! ええい次のメニューだ!」
しかしこのドタバタだけでもある程度大食いノーワンに差がつけられてしまった、次のメニューで一気に逆転しないことにはこの勝負勝つことが出来ない……サルファにずっしりとプレッシャーがのしかかるがその不安は次のメニューが出た途端消失する。
クローシュが開いてわずか1秒、皿に乗せられていた料理が一瞬のうちに煙のように消える、また真銀が燃やし尽くしたのではない、完全に食い尽くしたのだ。
それも大食いノーワンが吸い込み終えるよりもずっと早く! これには観戦していたゴジュウジャーや呑気していたノーワンもビビった!
「な……一体何が起こった!?」
(恐ろしく早い完食……私でなければ見逃してましたね)
マジアベーゼも実際は見えてないのに後方理解者ツラ、この現象が起きたのは何故か? その答えはすぐに分かる。
「おかわり」
「ま……マゼンタァァァ!!」
いつにもましてマジアマゼンタがカッコよく見える瞬間オーディエンス熱狂ベーゼは絶頂。
何が起きているのか分からない中次々とマゼンタの独壇場になる勢いで皿を重ねていく大逆転。
一体何が起きているのか真っ先に気付いたのは指輪の力によって視力が超発達した禽次郎であった。
「見えた! 完食される前に出てくるメニュー! あれはそう、エリンギ! エリンギ単体をソテーにしたものだ!」
「よっしゃツイてるで! エリンギに限らずキノコ類はマゼンタの好物や!!」
「山盛りのエリンギを一瞬のうちに平らげる魔法少女なんて聞いたことがないぞ……」
「だがこれで大食いノーワン相手に一気に差をつけた、あいつらもやるじゃねえか」
「ぐ……ぐぬぬ……このままではまずい! キノコもまずい!」
「キノコは不味くない!! 栄養もあゥ゙っ!!」
「もうほら食べてる途中で叫ぶから……すみません水あります?」
その後キノコ料理で大幅リードしたマゼンタはさすがに胃袋は常人だったので一旦手を止めるがサルファがたこ焼きの失態を撤回するかのように高カロリーで味の濃い中華料理をがむしゃらに平らげていく。
一方で大食いノーワンは確かに食べられる量も勢いも凄まじいが結局この怪人の由来となっているアリクイの細長い口では少しずつ食い尽くすのは時間がかかる、この手の輩にしてはルールがきっちりしてるので周囲丸ごと一気に飲み込むのはダメだとセットを用意した鈴のような人間からもバツ印を出される始末。
結果的にプロレス的なショートして盛り上がっていくトレスマジアVS大食いノーワンの大勝負、しかしゴジュウジャーは肝心なことを言い忘れていた。
ノーワンは物語による悪でありナンバーワンとなるキーワードはそのまま出力されているわけではない、自分の称号を誇示し表現する際には手段を選ばない、それでいて正しい解釈が出来ていないことに……。
ノーワン大食い勝負終了まで残り5分を切り、食べるペース自体は差が縮んでいくがここまで来るともう可愛さなんて気にしている場合ではなく意地で勝つ姿勢に入る。
「この勢いなら勝てる! 後少しだ」
「だがやべえな……ピンクはもう限界来てるしあの金髪は勢いを付けすぎて腹パンパン通り越してるぞ、下手すりゃ逆流発射だ」
「ドストレートに言っちゃダメだよ吠っち! でも大食いノーワンとの差はあるし、後少しで!」
「まだ……まだ食べる手段は存在する!! アレ持ってこい!!」
「アーイー!」
「ああ?」
突如大食いノーワンは指示をしたかと思えば新しい料理と一緒にスムージーミキサーを取り出し、電流が走ったように竜義が何かに気付く。
「ぬう……あれはもしや!!」
「知っているのですか眼鏡のお兄さん!」
「ある世界には食事をする上で禁忌とされている『邪道喰い』と呼ばれるものが存在するとテガソード様からの御言葉で聞いたことがある……!」
「テガソードもなんでそんなこと知ってんだよ」
「そーれがっちゃんこ!!」
「その中でもあのノーワンがやろうとしていることは禁忌中の禁忌、まさに食への冒涜……!!」
なんと大食いノーワンは全ての料理をスムージーに入れて混ぜてただの冒涜的な液体へと変えてしまった、確かにこれも食べるという範疇には入っているがとてもあんなものを食べてみようとは思えない、沢山食べるという事しか考えていないと出来ないような狂気の沙汰、液状化させた物体を大食いノーワンが啜る事で一気に追い付かれそうになってしまう。
絶体絶命のピンチ、時間はわずかで序盤中盤と一気に飛ばしたトレスマジアの体調はギリギリ、なんならドロドロに混ぜられたものを見て余計に嘔吐を連想させてサルファはノックアウト。
「ヴ……ヴァーツ……持ってくるんや……」
「え!? あの手段は僕としては勧められません!」
「いやちゃうわ、必要なのはポリ袋と『しばらくお待ちください』のテロップや……」
「リバースを受け入れちゃダメです!! 女の子として色々まずいので!!」
「いやもうキツいわ……マゼンタも顔真っ青になっとるしこれ以上入れたら爆発してまう……けど諦める気はないんやろ、アズール!!」
「瞬間冷凍開始」
アズールが魔法を使い瞬時に周囲を冷凍させ、液体だった物は凍りついて固形物に戻り大食いノーワンが啜っていたものも詰まってどうにか飲み込む。
「何をする! さっきから燃やしたり冷やしたり食べ物をなんだと思っている!」
「……食べるという行いについてや食材に対する矜持は持たないの? ナンバーワン」
「俺は大食いナンバーワンだ! 口に入りさえすればなんでもいい! グチャグチャになろうがゴミだらけになろうが食べてしまえば一緒だからな!」
「そんなことはないわ、貴方は食事の前にどうして『いただきます』というのか分かるかしら」
「……?」
「私達は何かの命を奪って生きている、それは時に生い茂る植物だったり……小さな小動物だったり、自分が生きるためにこの手で命をいただいている、だから私達は感謝の為に手を合わせて味わい動くための糧に変えていく……」
「まあ1回私燃やしちゃったけどへへへ」
「笑い事じゃねえだろ」
「もちろん食材だけに対する感謝ではないわ、この料理を提供したであろう貴方の仲間……野菜を作る人から調理する人達にも私達に心から味わってもらうために愛を込めてこの料理を作った」
「何故そんな事を言い切れる!?」
「とても美味しかったから、ただ勝ちたいだけの戦いなら料理を食べるだけで出来はすぐに分かる」
「アーイー……」
「食べるという行為は愛を持ってその人や食材に応える行為……貴方の場合『食べる』というただの行為に固執し、料理の形を歪に作りかけて作った人の思いを裏切り、命を粗末に啜る、そんな振る舞いをする人がはたして『大食いナンバーワン』と呼べるの!」
「うぐっ……ならばお前は食えるのか!! お前の方こそ魔法のせいで残った料理は凍りついてカッチカチだ! 食べることが愛というのなら食ってみろ!」
「ええ」
「乗るなアズール! お前も一緒に食い続けてパンパンやろ! そんな状態で凍ったもん腹に入れてみろ!!」
「まさか……腹がピーゴロゴロになっちまうのか!?」
「何故か大食い勝負で乙女の尊厳の危機に陥っている……これはまずい!」
「胃腸薬を取りに行ってくるか……」
「えっいくの!? まさか本当にやるの!? 冗談だよね!?」
「いただきます!!」
「いった────!!! 氷塊ごといった──!!!」
氷の塊をバリバリ砕いて食べるカオスな光景に見ていた遠くから見ていたベーゼはいつまでも情報が完結しない!!
星壁獣を作り出すべきと考えているがどのタイミングにすべきか、そもそも悪の総帥とか以前に人として労うべきなのか脳はパニック寸前、レオパルトらその他メンバーは来ない。
「財布から何でも飲み込むものを作るかそれとも即席トイレを使うかどっちがいいと思います?」
「まず君は一旦正常な思考に戻ったほうがいい、別に大したことじゃない、食べたものが上から帰って来るだけじゃないか」
「ちょっと私にはマニアックすぎます!! その域には達してないのでちょっとなんとか見えないところでというか……!!」
「ん? なんだお前」
「っ!?」
しかし考えてる暇もない、蝋燭のような槍が首筋に突き立てられて赤い服を着た男と大量の鈴人間が逃げ場をなくすように包囲させている。
「隊長! さっきからゴジュウジャー以外にこの子がずっとナンバーワンバトルを観ていたんです!」
「きゃっきゃっきゃっ……俺にはわかる、お前只者じゃないな?」
「隊長……つまりこの人は」
「ああそうさ、あのノーワン達の元締め、君が危惧していた悪の組織『ブライダン』特攻隊長……ファイヤキャンドルだ!」
「くっ……仕方ない星壁獣! 持ち合わせがないのでその辺のモノで!!」
ベーゼは構えをとって鞭を振るい、ファイヤキャンドルに攻撃を当てるフリをして近くの電灯を叩くと瞬時に形が変化して虫のような怪物になり光りながら群がっていく。
【星壁獣デントウムシ】
元にしたもの:その辺に生えていた電灯
値段:実質タダ。
能力:発光、光線。
「おっと……随分面白れぇモノを出すじゃねぇか! 名を聞かせろ!」
「私の名はマジアベーゼ、『エノルミータ』総帥として魔法少女と戦い……動向次第ではブライダンの敵になる物です」
「ん……魔法少女? よく分からんが敵なら容赦しねぇぜ!!」
「もしかしてあそこでブライダンと戦ってるの吠くんが言っていたマジアベーゼって子じゃないかい?」
「ほっとけ! 潰し合ってくれるなら好都合、それより制限時間は後どれくらいだ!?」
「残り10秒! 信じられないわ、現代人の戦いとは思えない……氷を齧り合っている!!」
秒刻みで刻一刻と時間が迫る中、完全に氷った料理を貪り尽くしてアズールの皿は空っぽに、大食いノーワンは潰しきれず溶けて汁になったものがぽたりぽたりと溢れ出し……結果としては大食いノーワンがギリギリまで差を縮めたものの、アズールが食べ尽くした分でわずかに上回れてしまい結果はトレスマジアの勝利となる。
勝負の後ついに限界が訪れたアズールは燃え尽き……というか凍りつくように真っ白に座ったまま目を閉じる。
「アズールー!!」
「端から見たら1番しょうもない戦いやったけど1番死にかけたわ……大丈夫かマゼンタ」
「ねえサルファ……この仕事が終わってさ、家に帰って体重計に乗ったとしても……それは必要経費って考えるようにしようね」
「ああやめてくれ!! ウチも途中から気にせんようにしとったのに!!」
「ぐ、ぐぬぉ……こうなったらお前達を食べてしまえば」
「おっと、食後の運動なら我々が付き合う……エンゲージ!」
執念深い大食いノーワンがそのままぐったりと満腹で動けないトレスマジアを捕食しようとするが、胃腸薬を持って駆けつけた竜義に口を押さえ込まれてそのままゴジュウジャー達は一斉変身。
ヒロイックに変身した5人の戦士達が余興はおしまいだとばかりに一斉に鈴人間達を倒していき、大食いノーワンもティラノのような装飾に変貌した竜義のパワーに圧倒される。
ファイヤキャンドルも今はマジアベーゼと戦闘中の為に割り込むことが出来ない。
「なんの! こっちは沢山食べてエネルギー満タン! こんな攻撃!! ……ぐええええ腹が痛い!!」
攻撃を何回も避けようとした大食いノーワンだったが突如脇腹を抑え込んで膝を突き、顎を持ち上げられて告げる。
「消化の際には血流が働くがそれに合わせて運動する力が加わると脾臓が急激に収縮して痛みとなる、ノーワンが人間と同じ原理なのかは知らないが……これで終わりだ」
「あっちょっ待ってお腹殴られたら吐いちゃう!」
「一発で済ませる!! いやさかァァァ!!」
持っていたハンマーを捻りながら腹部に叩き込み悶える大食いノーワン、綺麗な丸い穴が現れて手を伸ばすと取り込まれていた人間を掴み引っこ抜いて吸収させる、宿主を失ったノーワンはヒビ割れて今にも爆発しそうな流れ。
「食うつもりが逆に食われてしまった! 恐ろしき食物連鎖の流れ〜!!」
「……ちょっと待て、この場合ナンバーワンを受け継ぐのは誰だ? 倒したのは私だが勝負はしていない」
「これは……誰よりも食べることに対して真剣に取り込み、誠意を見せた彼女じゃないかな?」
『WINNER! マジアアズール!』
「起きれるか?」
「い……一旦事務所的なところで降ろして……」
大食いノーワン撃破後ゴジュウジャー達はトレスマジアを担いでちょっと安静に出来る場所へと避難させる。
同じ頃にファイヤキャンドルは壁を駆け上がって飛び上がり空から落ちてデントウムシを貫き撃破、一息ついたところでノーワンが倒されていたことに気付く。
「マジかよ大食いノーワンが! 仕方ねえここは一時撤退だな……エノルミータのマジアベーゼと言ったな! その魔法少女って奴らも俺の敵ならこの手で倒してやる」
「倒せませんよ貴方には、彼女達は誰にも負けません」
「きゃっきゃっきゃっ! それは楽しみだなぁ!」
ファイヤキャンドルからすればある意味邪魔されたようなものだが不愉快そうな様子も見せず去っていく。
マジアベーゼも本格的に向こうの悪役ブライダンとの衝突は避けられないことを感じ取り、まるで残り火のように残った熱い気持ちがベーゼの心に残ったまま。
「これからファイヤキャンドルは僕らの計画にも支障をきたすほどに妨害してくるだろう、奴をどう思った?」
「どう思ったか……ですか、典型的なバトルマニア? しかしトレスマジアと戦うというのは期待しているところはあります、時空の敵とトレスマジア……どちらが上か」
その一方で帰ってきたファイヤキャンドルも上機嫌のまま、砕け散った星壁獣の欠片を握りしめて天井に飾られたベーゼの瞳のように真っ黒な星を眺めていた。
「他世界の例の外敵と戦ったのですね、それでどうでしたか?」
「総帥と闘ってきた! 最初はオドオドしてなんてことねえガキと思っていたが……魔法少女とやらの話をしている時の顔を見て分かった、強い奴との戦いに期待してやがる俺と同じ目をしていた! きゃーっきゃっきゃ!」
「だが……もう俺はゴジュウウルフにも負ける気はねえんだ、エノルミータもトレスマジアも俺がぶっ潰してやるぜ!!」