ポチ達は決心してテガソードの里で全て、自分が知る全てを吠達に話す決心をする。
本に載っている『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』と『魔法少女にあこがれて』の出来事は既に外れつつあるが、元々この通りになると思っていない、問題なのは時空では『気まぐれに中途半端で再現される』というあるあるネタの方、これが新時代では洒落にならない。
「でも本当にいいんですか? ネタバレは混乱を招くとか言ってたような……」
「仕方ないよこんな状況じゃ! なんかもうノーワン倒しちゃったって聞くしこのままじゃもっとカオスなことに……失礼しま!」
覚悟を決めてオムライスでも頼みながら彼らと話でもしようと中に乗り込んでいくとそこには想像だにしない光景が繰り広げられていた。
「そっちも学生のようだけど……大丈夫なんですか? 学校生活に支障は?」
「大丈夫大丈夫! むしろトレスマジアどハマリって人が増えて盛り上がりって感じ」
「ゴジュウジャーの皆さんの戦い方を参考にしてトレスマジアもノーワンから人を救出出来るようにしました! これで彼女達だけでも人々を救えます」
「ノーワンの被害は少ないほうがいい、指輪争奪戦の為にも今後とも頼ることになりそうだ」
「てかお前らいつもその姿で来るよな」
「魔法少女の正体は機密事項なので……皆さんは隠したりしないのですか?」
「私はゴジュウジャーの姿をテガソード様を浸透させていくための神聖な装いとして……」
「アイツの話は参考にしなくていいぞ」
(えええ──!? なんだか知らないうちにめちゃくちゃ馴染んでる!?)
元々指輪争奪戦の対戦相手としていつか戦い合う運命にも関わらず5人仲良く? 過ごしているような面々だ、魔法少女が3人増えたところで吠達からすれば対応も変わらないしトレスマジアも吠達と争う理由もないどころか、ノーワン退治に協力することもあり悪い関係でもない。
ただしサルファは今も尚踏み込みすぎないように警戒し陸王はそんな彼女にも心を開いてほしいと近づいている。
「ほら、そんなに険しい顔していると子供達に向ける笑顔も固くなってしまうよ」
「えらく積極的やなぁ色男はん、ウチらに粉かけてたらいつかファンに刺されてもおかしくないで?」
「……そればかりは肝に銘じてるさ、いつもね」
「おっと初めて余裕崩れたな?」
「サルファもあまり喧嘩腰にならないの……あら、貴方は確か」
「ポチさんだよ!! さっきから居たんだけど!? どんだけ存在感無いの俺!?」
「ポチさん俺達の今後の振る舞いマジで考え直したほうがいいんじゃ……」
しばらく立ち続けてようやく存在に気づいてもらえたポチ達はどうにか席に座らせてもらい、オムライスを注文しながら今回起きている状況を説明する。
ゴジュウジャーの物語、魔法少女にあこがれてる物語。
2つの世界ごと融合したことでかなりめちゃくちゃなことに……ということは一気に話すには立場的に危なすぎるので省略して、世界が融合してどうのこうのって話を始めるが吠達からすれば何を今更という形だ。
「そもそもの話こんなことになったのアンタの上司のせいやろ、どないなっとるねん」
「それが全然繋がらないし俺たちも帰れなくなって……」
「出来ることと言ったら今後起きる予定だった未来を本として読めるくらいかな」
「えーと前提として皆様方の活躍や経験は他所の世界ではマンガ……というか架空の作品として反映されてるんですよ、貴方達は他所では日曜朝の人気特撮番組です」
「日曜朝……え? ウチらが?」
「テレビ内でマジアベーゼが目立たない世界もあるにはあるんですよ……」
「んなことはどうでもいいんだよ、俺達はどうすれば元の世界に帰れる」
「帰れるというかくっついたものをもとに戻すことって」
「無理、多分無理……俺達に繋がらないし、なんというか察しちゃったんだよね」
「察したとはなんだ分かるように説明してくれ」
「……うちの局長、最近実験してるんだよ……世界を合体させて新しい世界を作る実験!!」
「追い出せ!! 全力で追い出して監理局にクレーム電話攻撃や!!」
「やめてください!! 貴方達はそんな人達のお膝元で物語を築くために生まれてきたんですよ!?」
「漆黒君言い方ァ! なんか俺達ラスボスみたいになっちゃうから! むしろ救う側だからね!」
「私はテガソード様の膝に乗っている!!」
「とりあえず話聞いてください!!」
〜20分後〜
とりあえず自分たちがなんとしても知っておきたい物語を進める上での一大事というかほぼ必ず訪れる出来事というか大事件的なもの……時空を生きる人は『ゴッドイベント』と呼ばれるものについて説明するポチ、物語のターニングポイントにもなり他人事でもないポイントがわかるのはポチだけだ。
なお、完全に融合実験に関してはアドリブ事故である。
「本当になんとかならないのか?」
「俺達にはどうにも……それよりこっち何とかしないと貴方本当にまずいよ」
「中間管理職辛いんですよ」
「話しても無駄だ遠野追い出せ」
「よしきた」
「このままだとテガソード様死にますよ?」
「やっぱり茶菓子持ってくるんだ」
「切り替わり早っ!!」
テガソードの危機となれば聞き捨てならないと座席を用意してじっくり聞く姿勢の竜義、吠達もまだまだ『時空監理局』というどこかのアニメのパクリみたいな名前の組織に信用ならないながらも大事な話だからと聞く姿勢に入り、トレスマジア達はそろそろ退散しようというところでポチの首が人間には出来ないレベルで曲がって見つめてくる。
「君等の話もだいぶヤバいよ、このままだとマゼンタは闇堕ちする」
「あたし将来不安になってきたけど一体何見てるのこの人」
そんな大事そうな話をしている所とは別の視点、エノルミータがいつものように街に映像流してトレスマジアとこの場所で戦っちゃいましょうとか市民からすれば毎度おなじみすぎる流れで楽しんじゃおうと思っていた矢先、待機していたマジアベーゼとルベルブルーメの前に現れたのは真銀だった。
話は聞いていたが本当に異風なのでやる気も出ず欠伸しながら適当に相手しようとするブルーメと神妙な顔をするベーゼ。
「どうする? お望みじゃないやつ来たぞ」
「まあ……ファイヤキャンドルさんよりは当たりなので、戦力的にも彼が乗り込んできたら少々厄介ですよ……しかしほら、指輪欲しいじゃないですか」
「え? 何? 指輪の戦士でもないくせに指輪集めてるの?」
「こっちにも事情があるんだよ、お前の方こそアタシらに喧嘩を売ってくる理由あるのか? 無関係だろ」
「何よ私だって魔法少女よ! 指輪の力が足りないからまだ発火しか出来ないけど、指輪を全部集めて魔法少女になるって願いを叶えてもらうの!」
真銀の願いとは完全な魔法少女になること……もともと数十人の指輪の戦士は各々願いを込めて叶えるために戦っているが、真銀の場合はベーゼからすればなんとも羨ましいような感じもした。
ある意味では自分と同じなのかもしれない……たとえ炎しか使えなかったとしても自分達に立ち向かう意思は変わらない、推せるかもしれない。
「それにさ、魔法もっと使えるようになったら生活が豊かになるじゃない? 楽して生活できるわよー!!」
「……ん? なんか流れ変わったな?」
突然の発言にベーゼはフリーズしてしまうか、真銀は全く気付かずに持論を展開して魔法少女になれたらどんなに生活が楽になれるかという持論……というよりはダメ人間ぶりを披露していく。
「たとえばマゼンタの回復いいじゃん! どんな怪我しても病院行かずに治せるし、サルファのバリアとか雨降っても傘いらないし災害でも安心! アズールの水分操作なんて洗濯やお風呂、飲水に困らないし……今のあたしの炎と合わせたら生活には困らないよ! だから指輪を集めて魔法少女になる! 魔法を使えば働かなくても生きられるじゃない? 空を飛べば運転免許もいらないし、植物を育てる魔法で野菜を育てて食事も解決!」
「魔法の私利私欲? 己の怠惰の為に魔法を悪用するような人間が魔法少女……? いけませんいけませんいけませんいけません、魔法とは身勝手な振る舞いで使ってはならないものです!」
「おいそれ悪の組織のお前が言うのか?」
「正義のヒロインとしての矜持を持たない魔法少女は許しません! 変身とはそれだけの責任と力を抱えて……」
「気に入らないならゴチャゴチャ言うよりあの指輪奪うほうが早いだろ」
「う……う──ん、腑に落ちないですが抑制にはなるか」
真銀の振る舞いにオタクとしてイマイチ共感は出来ないが、かといって取り上げるのもどうかと思う複雑な気持ちだったが襲ってきたのは向こうの方。
指輪の戦士も魔法少女と同じでいくらでもいるのでたった一人芽を摘んだところで罪悪感はない、元々そういう魔法少女を潰してきたのがルベルブルーメだ。
真銀は気合い入れて仕事しようとマジレッドに変身し一気に炎を向けるが姿が無いかと思えば影を掴まれる。
「ここだよ」
「えっ影に入る魔法!? なんか使いにくい! 陰湿!」
「人の魔法にケチつけんな! これだからニート生活しか考えてないやつは!」
そのままルベルは背後を取り足払いで転ばせて星型のナイフを引っ掛けて指輪を奪おうとするが弾かれる、影を自在に移動して翻弄しながら動きを止める。
ベーゼはというと近くの公園に立っている時計を見ながらブルーメの戦闘を観察している。
今回は趣味でもプロレスでもなく調査だ。
ファイヤキャンドルと軽く戦闘を交えてブライダンの強さは分かった、ゴジュウジャーもいずれやり合う。
問題はこの指輪の戦士だ、ある意味では両陣営にとって完全に部外者、敵とか味方で判断できないこの勢力だけは想定外防止のために徹底的に知っておきたい。
しかし戦隊の戦いは真っ向からの肉弾戦が多いため裏方のルベルブルーメには荷が重く疲労も早い。
「ぜえぜえ……あー派手に動きすぎた、おい早く代わってくれよ」
「はい一旦休んで大丈夫ですよ、後は任せてください」
ブルーメは影の中に沈んで撤退しベーゼは本格的に魔法で人生舐めている女の子にお仕置きタイムとばかりに一気に本気モード、髪と角が長く伸びて星が肌のあちこちに付着、真面目にやりたい時には星壁獣は必要ないとそのまま目の前まで詰めていき、ちょっと軽く見ていた真銀はビビった。
「ひ……発火!!」
ファイアで一気にベーゼを燃やすが炎に包まれたまま首根っこを教え付けられて投げられる。
だがこれで終わらず叩きつけられた瓦礫を発火で燃やして溶けかけたものを投げ飛ばし、炎から突っ込んできたベーゼを間一髪で逸れさせる。
「そういえば思ったんだけどさぁ悪の総帥とか真面目になんでやろうと思ったわけ? 世界征服とか働くよりめんどくさくない?」
「どこかの総帥と一緒にしないでください、私はただ……私の見てきた魔法少女というものが皆、強くて、可愛くて、本当に可愛いから……めッッッちゃくちゃにしたいだけなんで」
「変態よおおおおお!!!! こんな奴に関わってたら将来も進路も暗雲に飲まれるわ!! これ無かったことにしよう!!」
「どこの世界に全力ダッシュで目の前の悪から逃げる魔法少女がいるんですか待ちなさ──い!!」
ここに来てようやくマジアベーゼが真面目に関わっちゃいけないタイプの変態であることを理解した真銀はマジでヤバいと判断して全力の敵前逃亡。
これが住んでいる世界が違うということか次元が違いすぎる、こんな奴らに絡んでいたら頭がおかしくなる。
ベーゼも完全に調教から矯正にシフトチェンジしておりいつもとは逆に絶対に逃さないとばかりに鬼詰め爆走。
過去最低レベルの逃走中がスタートしても市民は相変わらずまたやってるよみたいなノリだから真銀は引く、もう嫌だこの世界。
そうして走っていると唯一テガソードの里にいなかった角乃がコーヒーを飲んでいたので大慌てで背後に回って盾にする、スーパー戦隊様の戦い方じゃない。
「はいバリア!! 無敵バリア張ったので捕まえられません!!」
「小学生の鬼ごっこですか!! お前それ下手したらライン越えだぞ!? 一般人手を出していいんですか!?」
「指輪の戦士は一般人に含まれませんー!!」
「はあ……魔法少女(自称)が二人揃って何してるの?」
「貞操の危機!!」
「ちょっといい感じに××を▲▲した後に最終的には○○ッッッ♡するだけですから」
「なんとかしてえ!! お金でもなんでもあげるから!!」
所々で変身アイテムのギミック音やロボットの合体音が隠語代わりに挟まれそうな表現を交えた台詞を並べて角ぽよも事の異常性を理解する、これから自分達こんなの相手しながら指輪を集めたりノーワンと戦うのか……。
あとベーゼは手で輪っかを作って指を通す動きを心底やめてほしい。
「だいたいそいつ私たちと違うでしょ? なんで指輪の戦士狙うのよ」
「なんでもいいじゃないですか1つや2つくらい、魔法少女と同じグッズ欲しくなるものなんですよ、ほらこれマゼンタの槍の折った部分……大体そっちこそ願いを叶えたら魔法少女の力でニート生活したいとか言い出したんですよ」
「はあ? あなたそんなくだらない願いで……吠すらちゃんと働こうとしてるのに」
「将来を見据えていると言いなさい! 大体あんたこそ、いつまで悪の総帥なんてやるつもりなの」
「は!? い、いつってそれはトレスマジアに最高のシチュエーションで倒されるその時までですよ!」
「それっていつ!? 明日!? 10年後!? てかそれ終わったらどうなるの貴方、無職!?」
「…………」
なんと突然ここで進路という現実を突きつけてくる、戦隊や魔法少女たるもの現実をおろそかに出来ないのもまたそう。
テスト勉強、試験、体育祭……うてなも無関係ではないというか、一時期はマゼンタへの性欲でマジで追い込まれたこともあっただけに考えたこともある視野……将来。
「貴方、平日の朝〜昼までは絶対に姿を現さないから表向きの姿は学生でしょ」
「大体の人間は平日ずっと忙しいのよ、私だってこれ探偵業! あんたはブラブラしてるだけ!」
「ちゃんとボランティアとしてエノルミータと戦ったりしてるじゃない! それでアンタは将来どうするの、エノルミータって給料出るの? てか総帥だからあげる側でしょ、普段何で予算立ててるの? 怪人代とか」
「え……そ、それはその……お金は各自でやりくりしてますし……」
「てかほんの一言で分かったけどいつまでその変態性いつまで続くと思うの?」
「へ」
「シミュレートしてみる? エノルミータの将来について」
「私もう帰っていい?」
さっきまで逃げてたのはどこへやら真銀はどこからか書いた紙芝居のような物を取り出してイメージ映像に移行していく。
休憩から回復したルベルブルーメも看板の影から何やってんだという目でその様子を眺めていた。
※しばらく演出として台本形式に移行します、ご了承ください。
────ー
マジアベーゼ(30)「んひょひょひょ、今日もトレスマジアと戦いますよ〜よがり散らす姿はたまりませんね〜」
マジアアズール(30)「はあ……マジアベーゼ、貴方まだそんなことしてるの?」
マジアベーゼ(30)「あっ……ハハ、アズール……さん、どうも、来てたんですか……」
マジアアズール(30)「あの頃を知ってるのは私だけだから付き合ってあげてるけど、いい加減その年で魔法少女がどうとかいやらしくをどうとか続けても痛いだけよ、マゼンタは結婚して子供もいるしサルファも良いところに就職して大人になったのよ、残ったのは婚期を逃した貴方だけ、魔法でも現状は変わらないわ」
マジアベーゼ(30)「あのその話だけは本当にやめてくれませんか」
マジアアズール(30)「まあ今更辞められないのも無理もないわね……前職は悪の総帥やってましたってどこの企業でも通用しないしそこまで裕福そうにも見えない、でも若い頃のノリで現実逃避しても何も変わらないままよ、貴方のかつての仲間どれだけ寿退社した?」
マジアベーゼ(30)「……もう戦いはいいのでさっさと倒しちゃってください、もう心は屈しています」
マジアアズール(30)「それで? 倒されて帰った後どうするの? 明日は進展する? 明後日は? ここまでの人生で何か進展するようなことをしてきた? 日曜朝の30分作品でも少しずつ成長しているのに、貴方は第1話から全く足が止まったまま……」
──────
「共感性羞恥ィィ──ッ!!!」
紙芝居の途中で地獄でも見てきたかのような悲鳴で蕁麻疹を出してはみ出してる肌を搔きながら吐血して跳ね上がるルベルブルーメ、影から飛び出して苦しそうにのたうた回るその姿はさながらガノ●トス、肝心なこれを聞かされたベーゼはもう出だしで白けていたので話の大半を真面目に受け取っていない様子、角乃も自分は一体何を見せられているんだろうという顔になっていた。
「なんでマジアアズールだけ30歳になっても魔法少女してるんですか? 作り込み甘くないです? 性格面の解像度も低いですよ、厳しく言ったにしてもネチる言い方しませんよ? お局さんですか?」
「話の粗見つけると詮索してくるタイプの最悪なオタクねこいつ……」
「第1話から止まったままの言ってやった感がキツイわ!! 将来とか真面目に聞いてやろうと思ったアタシがバカみてえじゃねえかよ!」
「というか貴方なんでこの子らが表向き真面目に勉強してないみたいな前提で話進めてるの? 本当に表向き学校行ってるなら勉強して趣味も広げて充実した生活を送っているじゃない……悪の組織は肯定できないけど、最低限人間並みの生活は出来ていることになるわよ」
「うえ!? 何言ってるのよ、こんなドスケベピンク頭が私生活なんて」
(ぶっちゃけアタシも時々そう思う)
「失礼ですが貴方おいくつですか?」
「26だけど」
「じゃあさっきの殆どテメーの事じゃねえかァァァァ!!!!」
遂に堪忍袋や血管にパンツの紐と怒りで何かと色んな物がまとめて切れたルベルブルーメが短刀片手に真銀をぶん殴ってキレの強いツッコミを放つ。
影の魔法を使うことで吹っ飛びながらも追いついていくらでもボコボコに出来る。
「年下のクソガキの人生ゴチャゴチャ口出す暇あるなら自分の人生見直せ!! 第1話から進んでないどころかオープニングのダンスシーンをリピートしてんのかテメーは!! 足元タップダンスか!?」
「ちょ、ちょっと落ち着いて……うちらだっていい歳して世界征服真面目にやろうとした人いたじゃないですか」
「そいつお前がしばき倒すまでアタシの上司だった奴だけどな」
「じゃあさっきの台詞ってなんか凄い言葉こもってるとめちゃくちゃ体験談ってこと?」
「往歳巡ゥゥゥッ──!! 大学教授だかなんだか知らないけどあんな酷いこと言わなくてもいいじゃない! なーにが『戦隊は正義のためで私欲を求めるのに力にすがっちゃアカンのや』よぉ!!」
「なんかやる気失せたんで帰ってもいいですか?」
「本当ならトレスマジアの代わりに止めるべきなんだけどなんか私もどっと疲れた……いいわよ、誤魔化しておくから」
「すみませんねこの埋め合わせはしますので……」
なんというか星壁獣を作ろうという気分でもなくなってきたので一旦帰ることに、立場も忘れてゴネる真銀を引っ張ってテガソードの里に帰る角乃。
今回マジでなんだったんだろうと思いながらベーゼとブルーメは空から帰っていく。
「ところで実際、お前アラサーくらいになった時どうなってると思う?」
「さあ? 全然見当つきませんよ、だって私達がそんなに年を取るくらいダラダラと進めていたらヴェナさんは全員見捨てますよ」
「まっそれは違いないな……あいつの言ってた話についてだが実際聞いていたか?」
「指輪を失ったら願いはもう叶わない、私たちも魔法を使えなくなればこれまで通りにはいかない……そんな事は承知の上です、数多くの人間蹴落として願いを求めるということはいつか自分が失ったときの身の振り方まで考えておかなくてはならないことです」
「それはどんなに恵まれた立場や才覚を持つ総理大臣でもただ憧れを抱いていただけの傍観者であっても土俵に立てば立場はその間だけ対等になります、だからこそ失うという重みを理解しなくては」
「……お前、意外とそういうこと考えたりするんだな」
「私だっていつまでもこんなこと続けられないことくらい言われなくても分かってますよ……ああ、そういう意味ではあの人は今どんな風に過ごしているのでしょうかね」
テガソードに力と夢を叶える資格を与えられた数十人の戦士達は、もしも願いが叶わなかったらどうなるのだろうか。
いつか指輪を失うとしてあの5人も奪い合うとして、いつ終わってしまうのか。
それと同じく、自分が『マジアベーゼ』として振る舞えるのはいつまでなのか、終わったとしても何事もなく『柊うてな』として生きていけるか……までは確信を持てない。
そしてエノルミータが現在進行している作戦、自分が指輪を1つ独占し封印すればテガソードに気付かれるまで彼らの願いは叶わない。
夢まであと一歩届かないというのはかなり外道じみた振る舞いで個人的には楽しくないが、いつまでも常に自分好みにとはいられない。
「決まりでいいんだな? アタシ達はこれから1つ指輪を奪う……ターゲットはあの女、印魔真銀! 本格的にアイツらに喧嘩売るぞ」
「ええ、今更魔法少女以外は嫌だとかこだわっていられませんからね……ただしくれぐれも他の市民に手を出さないラインは維持したままで、それとさっきの紙芝居見て思いついたことあるので、ちょっとマジアベーゼ名義でローン組んでバイク買ってきます」
「どんだけ高え買い物する気だお前マジで破産するぞ……てかお前その名前でローン組めんの!?」
改めてテガソードの里に引っ張り出された真銀は何やら大事な話を終えた後でネタバレ祭りでお通話な中に放り込まれて、何も知らない中でベーゼにいじめられたとかあることないこと言うがトレスマジアには全部お見通し。
おまけに指輪の願いや動機を語ればサルファにドン引きされる始末だ。
「魔法の私物を通り越してよくまあそこまで魔法を信用出来るな……」
「よく分かんねえが魔法ってのはそんななんでもありなのか?」
「なんでもありにするためにテガソードを頼るってことじゃないのか? とても褒められたものじゃないが……」
「将来を見据えた夢願って何が悪いの!? 人生は指輪争奪した後のほうが長いのよ! あと70年よ!」
「もしかしてテガソード様とやらって結構雑に指輪配っとるんやないか……?」
「冷静になって考えてみなさいサルファ、普通に生きて普通の夢を持つような人は指輪集めしたくなるほど願いを強く持たないわ……」
「ああー言われてみれば来るべくして変人が揃うんやなぁ」
「魔法少女に変人扱いされるのなんかむかつくんだけど! いいじゃないせっかく力を使えるんだから有効活用しても」
「んじゃ実際どうやって魔法で生活するんだ? どうなんだ専門家」
「えっ僕に振ります!? そもそも魔法をそんな風に使うことをダメっていう立場ですよ」
「前にお前がテガソード様を利用して不純な行いをした時を忘れたか? アレと同じだ」
「だが指輪持ってるってことはテガソードは聞き入れたんだからいいんじゃねえのか?」
「そうよ! あたしは絶対に夢の働かなくていい生活を手に入れるんだから」
「……あれ? じゃあ今はどうやって生活してるんですか? 確か貴方、炎の魔法しか使えないって……」
「待った、今は彼女について話している場合じゃなさそうだよ」
指輪の力で驚異的な聴覚を持つ陸王は悲鳴をすぐに聞き取れる、この世界で問題があるとすれば半分はノーワン、残り半分はエノルミータだ。
さっきマジアベーゼが帰ったばかりと考えるとノーワンが現れたとしか思えないと考えた途端、真銀は果敢に攻めにいったのかあるいはこの状況から逃げ出したのか分からないが一気に飛び出していき、結果的にそれを追いかける形となり……。
覚えているだろうか? ポチとローレンが完全に忘れられている。
「俺達、ちゃんとメッセンジャーくらいにはなってますよね?」
「しかしあの……角乃という方だけ情報伝えられませんでしたよ?」
「むしろ彼女がいないタイミングを狙ってたんだよ、彼女の願いは妹を助けること……俺達はその答え合わせを知ってるようなものだからまずいよ」
「前もって知っちゃうのがまずいってことなんですか?」
「なんというか……本の通りなら本来ゴッドイベントを何個も挟むレベルには大事だからさ、ただでさえ『熊手真白』がいつ復活して『イミタシオ』が乗り込んでくるかも分からないというのに……」
「えーとその、改めて絶対に物語がどう変わっても絶対起きることがゴッドイベントとして……次に起きることは……うわどうしよう、その……リングハンターのガリュードがいつか来る」