また逢うために   作:ゆうた660

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第2話 彼の行方を追いかけて

「ハーマイオニー、お疲れ様。今日もありがとうな」

「パパ、いいのよ。私が好きでやっていることだから」

 

ロンドン郊外の歯科医院で、閉院の作業を終えて、ミントとアルコールの香りが残る待合室で親子は話していた。

 

ハーマイオニーは、魔法省職員として働く傍ら、週に1度、両親の経営する歯科医院の手伝いをする生活を1年ほど続けている。

 

それは、日刊予言者新聞が「死んだ」と報じた親友ハリーボッターの行方の手がかりを掴むためでもあった。

 

彼女は、ハリーはどこかで生きていると信じて止まなかった。

 

マグル界にも彼の行方を探して、この生活を始めたのだった。

 

「最近、眠れているか?」

「ええ… ほどほどにね…」

父親アルフレッドの問いかけに、ハーマイオニーは一瞬、戸惑ったが、曖昧に答えた。

 

「魔法界での仕事もあるんだろう?あまり無理するなよ。うちは余裕があるときでいいからな」

父の優しさを含む言葉にハーマイオニーは泣きそうになった。

 

魔法界にある自宅に帰ったところで、夫婦関係が完全に冷え切ってしまった夫のロンが待っているだけだった。

 

彼女は、これらの2つの仕事に追われることで自分を保っていたのだった。

 

病院を閉めて、父親の車に乗ったハーマイオニーは、実家へと向かった。

 

 

食卓には、ベーコンとほうれん草のキッシュ、温かいポトフ、全粒粉のパンが並べられ、アルフは紅茶をカップに注いでいる。

 

ハーマイオニーは、母が作ったキッシュが子どもの頃からの大好物で、自分の好物を作ってくれた母エイミーの気遣いに嬉しさを感じていた。

 

「お仕事…忙しいんでしょ?」

エイミーは、娘に暖かい眼差しを向けながら聞いた。

 

「ええ、まあまあね」

ハーマイオニーは、母の質問に曖昧に答えた。

 

「ハーマイオニー、君は昔から、ひとりで抱え込んで少し頑張りすぎてしまうところがある。ほどほどに休むんだよ」

娘の疲れた顔を見透かすかのような発言をしながら、アルフはハーマイオニーのカップにお茶を注いだ。

 

「パパ… ママ…」

ハーマイオニーは、父が注いでくれた紅茶のカップを口元に運び小さく呟いた。

 

ひとりで抱え込んでしまうところがある。

ハリーも… 彼もそうだった。

彼女は、今自分が探している親友のことを思い出しながら、食事を続けた。

 

「ロンとは最近話せたの?」

「まったく話せてないわ… ロンとはもう無理かもしれないわ」

母に、不意打ちで聞かれてハーマイオニーはため息を吐いた。

 

ホグワーツ在学中にお互いに好き合って、卒業後に結婚まで至った夫 ロンとは、関係が完全に冷え切ってしまった。

 

日刊予言者新聞の報道を信じていて、「ハリーはもうこの世に居ない」と言い張る夫とはまったく意見が合わず衝突してしまう。

 

その他の小さな習慣の違いも積み重なり、関係の修復が難しい状態になってしまった。

 

直近で話を持ちかけたときには、「いつもいつもどうしてハリーなんだ。君の夫は僕だろう?」と言われ呆れられてしまったのだった。

 

「そう… ひとつ言えることがあるとするなら、私もパパも、あなたがどんな選択をしてもいいと思うわ、自分の心に正直になるのよ、ハーマイオニー…」

 

エイミーは、優しい眼差しで娘を見つめ語りかけた。

 

 

 

夕食を終え、自室に戻ったハーマイオニーは、机にうなだれるように座っていた。

 

しばらく考え込んだあと、机の引き出しから、しまい込んであった手紙を取り出して眺めた。

 

手紙の差出人は、ホグワーツ在学時の寮監 マクゴナガル先生からのものだ。

 

グレンジャー、お久しぶりです。

お手紙読ませてもらいました。

日刊予言者新聞のポッターの報道について、懐疑的に思っていること、あなたが彼を探したいこと、とても伝わりました。

私も、あの報道については気になる点がありました。

 

以前、グリンゴッツ銀行に、金庫の照会状を出してみたのですが、ポッターの報道が発表される少し前に、彼の金庫の開錠記録があると回答が返ってきたのです。

グリンゴッツ銀行の金庫は、ポッター本人もしくは血縁者でないと開錠ができないはずです。

仮に、ポッターが開けたとするならば、日刊予言者新聞に矛盾が生じることになります。

 

どうか、ご無理をなさらずに…

 

ミネルバ・マクゴナガル

 

この手紙をきっかけに、マクゴナガル先生との文通が始まったのだった。

 

「ハリー、生きているのよね…? あなたは今、どこにいるの…?」

そう呟きながら、彼の笑顔を思い出した瞬間。

親友のはずなのに、思い出すと胸が苦しくなる。

ハーマイオニーは、まだ気づかないふりをしていた。

 

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