クリスマスは1人でケーキを食べる予定です…
ユリカと出会って、数ヶ月。夏が来た。俺達、学生は夏休みに突入し、休みを謳歌している。でも、バイトがあるため、働かなくてはならない。外は猛暑で、なるべくなら出たくない。だが、本日はゴミ捨てのため、外に出なければならない。
「暑すぎる…」
なんて暑さだ…こんな時は、アイス食べたり、クーラーの効いた部屋でゆっくりするに限る。だが、バイト中なのだ。バイトしないとお金は手に入らない。バイクの維持費が無くなってしまうのは痛手だ。となりにいるユリカ様はもう溶けそうな勢いだ。
「杉崎…この暑さ…どうにかしなさい…」
「ユリカ様…どこかに涼みにいきましょ…」
「そうね…」
△▼△
ユリカ達は、奏太の更衣室にやってきた。
「アナタの部屋、結構凄いのね」
「でしょ!学園長に許可もらって改造したんだ!」
更衣室が広く、ロッカーとエアコンしか設置されていなかったが、奏太が1人でゆっくり出来るように、テーブル、ソファ、テレビ、ゲームなど奏太が家から持ち込んで設置したのだ。
「ユリカ様も暇な時とか、ここにきていいからね。冷蔵庫もあるから、食べ物も持ってこれるし、パーティーとか出来そうだね」
「え…いいのかしら…///」
ユリカはあまり、男の子達と接することが無かった為、男の子の部屋に入るということに少し恥ずかしさがある。
「気にすること無いよ。俺だいたい休憩時間の時はここでゆっくりしてるし」
「じゃあ、お邪魔させてもらおうかしら…///」
「いちごちゃんとか、お菓子食べにくるよ」
その話を聞いて、ユリカは少し胸がチクッとした。
私が初めて入った女の子じゃないんだ…なんでだろ…胸がチクッってする…
「そ、そうなのね」
「とりあえず緑茶飲む?」
「うん…」
さっきまで初めて入った子だと思ってた。一気に気分が下がった。今日は自主練の日だけど、サボって部屋に籠ろうと思ってしまった。
「夕方この部屋に来てよ」
「へぇ!?///」
「ユリカ様とゆっくりお話したいんだ」
「べ、別に構わなくもなくもなくもなくてよ///」
ど、どうしよ…いきなり誘われちゃった…こんなことって初めてだよ…だ、誰かに相談してみよう…
「ユ、ユリカ様は練習あるから!し、失礼するわね!」
「練習あったの!?誘っちゃって悪いことしたかな…」
ユリカはお茶を一気に飲み干し、廊下を全速力で駆け抜けて、ダンスルームで練習中の蘭に相談することにした。
△▼△
「杉崎の部屋に誘われた!?」
「そ、そうなの…///こんなことって初めてだから...」
「へぇ~あのユリカ様がね~」
「な、なによ!///」
「普段通りに行けばいいんじゃないか?」
「や、やっぱりそうよね」
「お互いの事をよく知るチャンスだと思うぞ」
「普段通りに喋ってみるわ///」
ユリカは蘭に相談したが、ずっと心臓がバクバク唸りをあげている。部屋に戻ってコーデを決めに行く。
「ユリカ!上手くいくといいな」
「うん!」
ユリカは練習着からお気に入りの服装を着ることにした。
「お化粧も直して…ワンピースも準備して…」
一人で準備に取りかかる。恋愛漫画でしか見たことない展開が広がっている。
「杉崎くん…褒めてくれるかな…///」
考えるだけで顔が緩んでしまう。
「杉崎くんのこと…好きなのかな…///」
正直まだわからない。恋なんてしたことない。漫画でしか知らない。まだお互いのことなんて、わからないことだらけ。今日のお話でたくさん話せたらいいな…
一人で考え事をしていると、奏太から連絡が来た。
『休憩室にきて~』
『わかったわ』
いつものユリカ様モードに切り替え、休憩室に向かう。
△▼△
「杉崎いるかしら?」
「いらっしゃい!入って!入って!」
奏太に案内されユリカは部屋に入る。
「ユリカ様!ワンピースとても似合ってるよ///」
「あ、ありがとう///」
お気に入りのワンピースを褒めてもらえてすごく嬉しい。
「お茶しかなくて、ごめんよ…」
「お構い無くてよ」
奏太と二人きりの密室が初めてだ。緊張してなにも喋れない。
「ユリカ様もしかして緊張してる?」
「そ、そんなわけないでしょ!///」
「俺は緊張してるよ」
意外だ。こういうのには、馴れていると思っていた。
「ユリカ様ってさ、休日はなにしてるの?」
「休みの日は本を読んだり、体を休めたりしているわ」
「ユリカ様よく本読んでるもんね」
「本は知識を豊かにするのよ。杉崎も読みなさい」
「漫画なら読むんだけどな~」
「そういう杉崎は休日になにしてるのかしら?」
「休みの日は、バイク乗ってるか、イジってるかだね」
「バイクは楽しい?」
「すっごく楽しい!今度乗ってみる?」
「乗ってあげないこともなくってよ」
ユリカは今のこの二人きりの時間が凄く楽しい。初めてこんなに男の子と喋ったユリカは、いつのまにか緊張も解けて、すんなりと会話できていた。
「ユリカ様は特技ってあるの?」
「こう見えてバタフライが得意だわ」
「バタフライ?水泳の?」
「えぇ」
「確か吸血鬼って水苦手じゃ…」
「ユリカ様は強い吸血鬼だから大丈夫なの!///」
「徹底した設定は何処へ…」
二人で談笑していると、雲行きが怪しくなってきた。
「天気悪くなってきたね」
「さっきまであんなに晴れてたのに」
二人で空を見ていると、ポツポツと雨が降ってきた。しかも次第に雨は強さを増して行く。あっという間に、どしゃ降りになってしまった。
「ヤバイ!バイク避難させないと!」
「こんな雨の中、外に出る訳!?」
「大切なバイクなんだ!」
奏太は急いで外に出る。駐車場に着き、急いでバイクを屋根のある建物に避難させる。
「仕方ない。倉庫にしまおう」
大きめな掃除用具などを片す、デカイ倉庫があり、そこにバイクを避難させた。そのまま濡れながら、休憩室に戻る。
「ただいま!」
「アナタ!びしょ濡れじゃない!」
「どうってこと無いよ」
「早く服着替えなさい!」
「おっけ~」
奏太はその場でシャツを脱いだ。
「キャー!アナタ何考えてるの!ユ、ユリカ様がいるのよ!///」
「あ、そっか!ここ整備科のクラスじゃないもんね」
これは失敬、失敬と言いながら予備のシャツに着替えるが、ズボンも濡れていて使い物にならない。
「仕方ない…ツナギに着替えるか…」
「見えないところで着替えなさい!///」
は、初めて男の子の体、みちゃった…///杉崎くんって結構筋肉質なんだ…///
「終わったよ~」
「アナタ風邪引くとか言わないでよ!」
「大丈夫でしょ。てか...こんな雨の中どうやって寮に帰る...?」
「確かに…どうしよう…」
「とりあえず学園長に電話してみよう」
△▼△
「はい…わかりました…」
「どうだって?」
「最悪の場合、俺の部屋にユリカ様を泊めるしかないってさ。学園長も出張先から帰れないみたいだ」
「わかったわ…」
どうしよう…このままだと杉崎くんと2人っきりで朝を迎えちゃうよ…///
「ユリカ様、悪いんだけど、ここの部屋カップ麺しかなくて、お腹空いたらこれを食べて」
「気にすることないわ。こんな激しい雨が降るなんて誰も思わなかったわ」
今いる校舎には普通、先生達がいるのだが夏休み期間ということもあり、いない。なので今この校舎には2人しかいない。しかも寮と校舎は別れているので、外にでないと寮に戻れないのだ。
「なにしよっか?テレビなら見れるよ」
「なにかやってるかしら?」
テレビをつけると、恋愛映画がやっており、2人で見ていたが、話が進むとエッチなシーンが始まってしまった。
「普通の恋愛映画だと思ったんだけど…///」
「はわわわわ…///」
あれ?ユリカ様が壊れちゃった?
「大丈夫?」
「あ、あんまり…エッチなの…見たことなくて…///」
驚きすぎて、素のユリカが出てきてしまった。ユリカには、まだ刺激が強すぎていつもの吸血鬼キャラが保てなくなっていた。
「チャンネル変えよっか…///」
「あの…!杉崎くんもこういうエッチなの…好きなの…?///」
「好きか嫌いかで答えるなら…好きだけど…///」
「やっぱり好きなんだ…///」
ユリカの胸は、ドキドキして息もあがってきた。
「杉崎くんは…好きな人とか…いる?///」
「い、いないけど…///」
ユリカ様の様子がいつもと違う。いつもならプンスカ!プンスカ!してるのに、赤くなった頬に、綺麗な唇、サラサラとした銀髪、全てが魅力的だった。ユリカ様が、ゆっくりと俺に近付いてくる。
「杉崎くん…///」
「ユリカ様…///」
ピッポ!ピッポ!
2人して驚き、一気に離れる。
「も、もう18時だね、///」
「そ、そうだね!///」
まだ雨はやむ気配がない。ずっと降り続けている。
「これは寮に帰れないね…」
「うん…このままだと杉崎くんに迷惑かかっちゃう…」
「気にすることないって!」
「ダメだよ!」
「このソファ、ベッドになるから、いざとなったらユリカ様使ってよ」
「杉崎くんは、どうするの?」
「俺は部屋出て、すぐにあるベンチで寝るよ」
「杉崎くんが、ベッドで寝て!」
「ユリカ様が寝て!」
2人とも引かないで、言い合っている。一向に譲らないユリカと奏太。
「お願いだからユリカ様が寝てください!」
「じゃあ!もう2人で寝よ!!」
はい?本当ですか!?
「え…?」
「あ!いや!その!」
顔を真っ赤にしているユリカ。頭から煙が出始めている。そのままユリカはベッドに倒れてしまった。
「大丈夫!?ユリカ様!?」
ユリカに布団を掛け、そのまま寝かして休ませることにした。
「おやすみユリカ様」
奏太はそのまま部屋を出て、雨が止むのを待った。
メリークリスマスですね
1人でケーキを食べながら書いてました。
更新、遅くなって申し訳ございません。
年内はこれが最後の更新になるかと思います。
もしかしたら最新話が上がるかもしれません。