恋する歌姫と恋した俺   作:ゼレス

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あまりアイカツキャラが出てこないですが、最新話です
この前、画鋲を踏んで思い付いたので書いてみました。


杉崎奏太の不運不幸な1日

レースが終わり、時期的にそろそろ冬休みに入ろうとしている、そんなある日の事。奏太は今日1日不運であった。

 

 A.M 7:00

 

 最近の朝は、とても寒くそろそろ1月に入るのだなと身をもって感じる。

 

「かーちゃん…親父…おはよ…」

 

「おはよ!朝ごはん食べちゃいな!」

 

「おはようさん!今日からママと2人で旅行だから留守番頼むぞ」

 

「うぃ~」

 

「もうママ達、出ちゃうからよろしくね!」

 

「いってらっしゃ~い」

 

 母親達は1週間の温泉旅行に出掛けてしまった。今日は金曜日であり、明日明後日と学校が休みだ。しかもバイトも休みだ。ずっと寝て過ごす休日も悪くないかなと考えつつ、学校に行く支度をする。

 

「誰もいないけど行ってきます~」

 

 バイクに跨がり、学校に向かう。学校の前に昼飯を買いにコンビニに入る。

 

 A.M 7:30

 

 いつも寄っているコンビニついて、お気に入りの唐揚げ弁当を買おうと思っていたが、唐揚げ弁当が売り切れていた。

 

「え~マジか…」

 

「かなちゃん、今日は売り切れなのよ…ごめんね…」

 

 いつも良くしてくれるコンビニのおばちゃんが声をかけてくれた。唐揚げ弁当をいつも買っていくから覚えられている。

 

「じゃあ、トンカツ弁当にしよう!」

 

 たまには違う弁当を食べるのも有りだな。

 

 弁当とおやつに、飲み物を買って学校に向かうが、このコンビニで春斗と健司といつも集合している。2人がくるのを待つ。

 

 A.M 8:00

 

 なかなか来ないな~、暇だしスマホをイジって待つか。2人が時間通りに来ないのは普通の事だしな!気長に待とう。

 

 

 A.M 8:15

 

「遅くなっちった!」

 

 春斗が来た。健司は、まだ寝てそうだ。

 

「おはよ~学校行くぞ~」

 

「健司は連絡つきません。これは寝てると思われます」

 

 だろうな。

 

「じゃあ、連絡いれて向かおうぜ」

 

「だな!」

 

 健司に先に行くことを連絡して、2人でバイクで向かう。インカムで春斗と会話しながら通学する。そろそろ学校に着くタイミングでRZ350の後ろのタイヤからバスッ!とデカイ音がした。

 

「はい!?後ろのタイヤ変な音した!」

 

「マジ!?」

 

 2人で路肩に寄せると後ろのタイヤがパンクしていた。タイヤを見ると釘が刺さっていたであろう穴がある。釘を踏んで走ってしまい、走行中に釘が抜けた感じだ。運が悪い。最悪だ…

 

「パンクだ…タイヤ学校に落ちてるかな?」

 

「あるんじゃねーか?あの学校、大概の物はその辺に落ちてるからな」

 

「とりあえず押していくわ」

 

「俺も一緒に歩いて行く。奏太1人じゃ寂しいだろうからな」

 

 春斗は本当に良い奴だよ…

 

 2人で話をしながら歩いて向かう。時間には、余裕がある。しかも学校のほぼ目の前でパンクしたのが、そこそこ助かった。もしこれが家の目の前なら遅刻確定だった。

 

「休み時間に工場探してみようか」

 

「春斗手伝ってくれるのか!?」

 

「たりめーよ!」

 

 駐車場にバイクを止めて、校舎に入る。バイクの事は後で考えよう。

 

 

 P.M 12:00

 

 

 昼休みになり弁当を食べて、春斗と遅刻してきた健司と三人でタイヤを探しに工場に来た。

 

「後ろのタイヤ置き場には無かったな」

 

「この辺に無いかな…?」

 

「無さそうだな…」

 

 どこ探しても無い…仕方ない家から持ってくるか…

 

「2人ともありがとうな…」

 

「今日は歩きで帰るのか?」

 

「そうなるね~」

 

「今日バイトは?」

 

「無いよ」

 

 春斗の問いに答える奏太。

 

「俺と健司は今日バイトだしな…乗せて帰れないんだよな…」

 

「大丈夫だよ!ちょっと歩けば家だし!」

 

「ごめんな…」

 

 P.M 16:00

 

 学校が終わり、工場にバイクを置かせてもらって、歩いて帰ろうと校門を出る。家に着いたら何か映画でも見ようとサブスクのアプリを開いて映画を探していた。アクション系にしようか、コメディ系にしようか、とか考えていたら頭にベチョと何か落ちてきた。

 

「え…」

 

 考えたくないが…まさか…ね…

 

 頭に触れると手に鳥のフンがついている。

 

「やっぱりか…もぉ~!最悪!」

 

 何て日だ…朝からツイてない…さっさと家に帰ろ…

 

 P.M 16:10

 

 早く家に帰って風呂に入りたい…

 

 歩くスピードを上げて帰る。商店街を抜けた方が早く帰れる為、奏太は商店街を通ることにした。小さい時はよく母親と来た商店街だ。懐かしいな…いつも魚を買っている魚屋がある。魚屋の目の前を通った時、魚屋のおっちゃんがバケツを持って出てきた。その瞬間、横から水が飛んできた。

 

「あ!奏太じゃねーか!すまねぇ!誰もいないと思って水ぶちまけちった!」

 

「おっちゃん大丈夫だよ…」

 

「今タオルもってくっから!」

 

 タイミング悪いな…今度は横から水飛んできたよ…もしかして俺は、そのうち死ぬんじゃないか?

 

「タオル使ってくれ!」

 

 おっちゃんにタオルを借りて、体を拭く。

 

「また魚買いにくるからね」

 

「今度来た時、安くしてやるからな!お母さんによろしくいっといてな!今日はすまねぇ」

 

 魚屋を後にして家に向かう。絶対に早く帰る。なにがなんでも早く帰る。死んでも早く帰る。

 

 P.M 16:30

 

 もうすぐ家だ…やっと家だ…早く制服を洗濯して風呂に入るぞ…

 

 家がすぐ近くだから少し気を緩めた奏太。あとはこの公園を左に曲がれば家だ…この公園もよく親父と遊んだな…サッカーとかやったし、友達と鬼ごっことかもした。思い出がたくさん詰まった公園だ…今でも、たまに春斗達とサッカーして遊んでいる。公園を見ると子ども達がサッカーしている。

 

 元気だな…俺は今日、運が悪い。元気なんて無いよ…

 

 はぁ…とため息をつくと、ボンッ!とサッカーボールを蹴る音が聞こえた。子ども達が盛り上がっている。ゴールが決まったのかと思っていたら頭にドンッ!と何か飛んできた。

 

「いってぇ…今度は何よ…はい?」

 

 コロコロとサッカーボールが転がっている。奏太の頭にはサッカーボールが当たった。

 

 本当に死ぬのでは…?

 

「奏太にぃちゃん!ごめんなさい!」

 

 近所の小学生の翔太だった。

 

「翔太か…良いシュートだな!上手くなったな!」

 

「奏太にぃちゃんが教えてくれたからだよ!」

 

 翔太は、サッカーチームに入っており、時々家にサッカーを教えてと遊びに来る元気な子だ。

 

「気をつけて遊んでな!」

 

「奏太にぃちゃんありがと!また教えてね!」

 

「おう!じゃーな!」

 

「ばいば~い!」

 

 何てこった…頭にサッカーボール飛んできたぞ…次何か起きたら死ぬな…これは死ぬ…本当に死亡が確定する気がしてならない。だがもう家だ。安息の地だ。あと少しだ!

 

 だが奏太の足元には、なぜかバナナの皮が捨ててある。それに気付かずバナナの皮を踏んでしまう。その瞬間、視界がグルンッ!と回った。

 

 あ…キレイな空が目の前にある…なんて良い天気なんだ…

 

 ゴチンッ!と頭が地面にぶつかる。

 

「痛い…痛すぎる…俺が何をしたって言うんだー!」

 

 魂の叫びをする17歳高校2年生。この前レースで見事優勝してヒーローになり、学校でも少しは有名人になって可愛い子に話しかけられたり、後輩に声かけられたり…先輩達にも褒められたのに…

 

 涙出てきた…制服は土がついてるし、体の右半分は水で濡れてるし、頭には鳥のフンがついてるし、顔の半分はサッカーボール当たって痛いし、バナナの皮踏むし、何なんだよ~!ユリカに会いたい…でもユリカも忙しいから、いきなりは会えないし…

 

 P.M 16:40

 

 家に着いた。すぐに風呂を沸かして、制服を洗濯した。そして風呂に入ってからリビングで休むことにした。

 

「もう家から出ない!今出たら絶対に死ぬ」

 

 何があってもおかしくない。だが家の中なら何も起きないだろ。とりあえずトイレ行くか…

 

 ソファから立ち上がると、母親が壁に貼ったユリカのポスターがペロンとめくれている。直そうと足を踏み出すと、ジグッ!と足の裏に激痛が走る。

 

 

「いっでぇぇえ!なんやコラ!ふざけんなや!」

 

 見事に足の裏に画鋲が刺さっている。画鋲を引っこ抜くと血が出てきた。そんな足で床を歩きたくないから、頑張って絆創膏を取り出して張り付ける。

 

「なんで…なんでなんだ…ユリカ…運が悪いのは、可愛い女の子に声をかけられたからなのか…俺はユリカしか愛してないんだぞ…ユリカが大好きなんだ…鼻の下なんか伸ばしてないぞ!」

 

 ポスターのユリカに向かって1人呟く奏太。

 

 その時、スマホから着信音が聞こえる。画面を見ると、見たこと無い電話番号だ。恐る恐る電話にでる。

 

『はい?』

 

『Hello!カナタ?かえでだよ!』

 

『かえでちゃん?どうしたの?』

 

『今からSurpris Presentを届けに行くから!家で待っててね!Bye!』

 

 なんだろ…これすら怖く感じる…もしかして…かえでちゃんの見事なマジックによる俺の消失マジックとか…?

 

 玄関で震えながら待っているとチャイムが鳴った。意を決して玄関を開けると、かえでちゃんが立っていた。

 

「Hi!カナタ!元気無いね…何かあった?」

 

「まぁ色々と…ね…」

 

「じゃあ私が元気出させてあげようか…?」

 

 かえでちゃんが、人差し指を唇に当てて妖艶な雰囲気を醸し出してきた。流石にドキドキする。かえでちゃんの後ろにある、そのデカイ箱はなに?

 

「この箱には種も仕掛けもありませ~ん!」

 

 箱の中には何も入ってない。パカパカ開いて中身を見してくれる。

 

「一回閉じて…箱に向かって指を鳴らすと…」

 

 パチン!と良い音を響かすと…いきなり箱が開いた。

 

「じゃじゃ~ん!ユリカが出てきました!」

 

「か、奏太!///プレゼントは、ユリカ様よ!!///」

 

 あ…ユリカだ…会いたかったユリカだ…

 

「ゆりか~…」

 

 何故か涙が出てきた。

 

「えぇ~!どうしたの!?奏太くん!」

 

 流石のユリカも、滅多に泣かない奏太が泣き出し、吸血鬼モードからノーマルモードに戻ってしまった。

 

「何があったの?私に話してくれる?」

 

「はなす…」

 

 かえでちゃんからサプライズプレゼントを受け取る。かえでちゃんは、この後仕事のため帰ってしまった。

 

「実はね…」

 

 ユリカに事情を話すと頭を優しく撫でてくれた。

 

「そんなことがあったんだね…ほらおいで?ギューしてあげるから」

 

「うん…」

 

 ユリカに優しく抱き締めてもらう。

 

「もし…その…触りたいなら…いいよ?///」

 

 ユリカは触って良いよと自分の胸を触ってアピールする。

 

「触る…」

 

 ユリカのだ…このフニフニした感触…一生触っていられる。

 

「元気出た?」

 

「出た」

 

「ママから連絡来ててね、奏太くん1人だから泊まりに来ていいよって言ってくれたの!かえでに協力してもらってサプライズだったんだけど…こんな不幸な目にあってるとは…思わなかったよ…」

 

「ユリカ…大好き…」

 

「私もだよ///」

 

「今日はずっとユリカに抱きついてることにする」

 

「私も奏太くんにギューしてようかな?」

 

 こういう不運不幸が人を成長させるんだなと感じた。

自分の身には何も無いだろうと思っていると突然何かが起きたりするものだ。

 

 ユリカが家に来てくれて、手料理を振る舞ってくれた。とても幸せだ。今日1日の事が嘘みたいに過ぎ去って行く。明日も幸せだといいな。

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