俺もユリカも社会人になった。同棲期間もそこそこ長くそろそろ結婚するって話も出てきていた。だが、指輪を買ってなくてどんなのがいいのか迷っていた。
「というわけで助けて」
「なんでアタシなんだ?」
「ユリカを良く知っているからだ」
蘭を喫茶店に呼び出した。他にも呼んでいるがまだ来ていない。
「ユリカは、可愛いからなんでも似合うと思うんだけどな…てか、今日ユリカは?」
「仕事で夜まで帰ってこない」
「変な疑いかけられたら困るんだよな…」
「だが俺の人生がかかってるんだ!助けてくれ!」
「あぁ~もぉ~わかったから!」
「助かります…!」
「他に誰呼んだんだ?」
「かえでちゃんと美月さん」
「よく美月さん呼べたな…」
奏太のプロポーズ大作戦が始まろうとしていた。
△▼△
「で、候補とかあるの?」
「無いっすね」
奏太はノープランだった。
「はぁ…そういうのは考えておくものでしょ…」
「ははは…すみません…」
美月さんが呆れている…
「カナタらしいね!」
「とりあえず、指輪見に行くか?」
「はい…」
奏太達は、喫茶店を出て指輪を見に行くことにした。3人からのアドバイスを聞きながら車を運転する。
「なぁ…この車…振動スゴくないか?」
「仕方ないだろ、スポーツカーなんだから」
「カッコいい車だね!カナタがユリカのパパから買った車だよね!」
「そう!スープラって言うんだ」
「初めてスポーツカー乗ったけど凄いのね…」
「美月さん、あと少しなんで我慢してください…」
神様と言えるようなアイドルをスポーツカーの後部座席に押し込んだ奏太は凄いと思う。
「カナタ!Speed up!」
「よっしゃ!任せな!」
ブウォン!とエンジンを唸らせて、アクセルを踏む。ターボが効いてきた瞬間にドカンとスピードが出る。
「ちょ…奏太くん!?…スピード落として!」
「杉崎!死ぬ!死ぬ死ぬ!」
蘭と美月さんが何か言ってるが気にせずアクセルを踏む奏太。グングンとスープラは加速していく。
「アハハハハ!美月も蘭も楽しいでしょ!」
かえでだけが、ニッコニコで楽しそうにしていた。当たり前だがスピードの出しすぎは事故に繋がるのでやめましょう。
△▼△
「はぁ…はぁ…死ぬかと思った…」
「よくかえでと奏太くんは平気でいられるの…」
「やっぱり飛ばすと気持ちいいな~」
「Powerfulなドライブで楽しいのにね!」
蘭と美月は死にそうになっていた。死にそうな人達と元気な人達はジュエリーショップに着いた。
「とりあえずここっすかね」
「ここならあるんじゃないか?」
「見てみましょ」
4人で店に入る。奏太はこういうお店に入った事無いから緊張している。
「う~ん値段が高いやつがやっぱりいいのかな…」
「大事なのはユリカを思う気持ちじゃない?」
「そうっすよね…」
どうせならユリカの好きな色の宝石がついてる指輪とか…あった!
「これ!これとかどう?」
「ユリカに似合いそう!でもカナタ、値段が…」
「!?!?!?」
値札見て驚いた。たっか!
「それは…手が出ない値段ね…」
「諦めるか…」
「こっちはどうだ?」
蘭が見ていた指輪を見に行く。
「これ良いかも…これにする!」
蘭が見ていたのは、青い宝石のついた指輪だった。深い青色をしており、この宝石を見るとゴスマジックコーデを思い出す。今でもユリカはゴスマジックコーデを大切に保管している。なんせ初めて手にしたプレミアムレアドレスだ。大切にしないわけなんて無い。
「これをください!」
「かしこまりました」
すぐに店員に購入する意思を伝えた。
「3人ともありがとうございました」
「あとはプロポーズするだけだな」
「カナタ、いつするの?」
「もしかして…まさか…」
3人が奏太を見つめる。
「それもノープランですな」
「「「はぁ…」」」
「いつまでもカナタはカナタだね…」
呆れられてしまった…考えてない訳じゃないぞ!
「同窓会が近々あるよね」
「あぁ…あるな…まさか…!」
「そのときにする!」
「Wow!」
「中々やるわね…」
チャンスはそこだ!
△▼△
同窓会当日
この日はいちご世代の卒業生がスターライトに集まっていた。だが、奏太は仕事で遅くから参加する事になっていた。
「ユリカちゃん!」
「いちご!この前テレビ局であった以来ね」
「今日は杉崎くんは?」
「奏太なら夜から来るわよ」
いちごも大人になった。他の卒業生も皆成長していた。
「そっか~」
「蘭は?」
「もう来てるはずだよ」
ユリカは蘭を探すことにした。何人か同じクラスだった子達とあった。中には子供を連れてきている子もいた。
私もそろそろ結婚するのかな…///奏太くんと結婚の話したけど…どうなんだろ?
「ユリカ!やっと見つけたぞ」
「蘭!元気だったかしら?」
「元気だぞ、ユリカのドラマ見たぞ!いい演技だ!」
「このユリカ様に出来ないことなんてないわ!」
「相変わらずだな!」
杉崎のヤツ…本当にうまくいくんだろうな…急遽仕事になったっていってたが…
蘭はプロポーズ大作戦の内容を知っている。本当ならユリカと一緒に行く事になっていたが、職場で体調不良者が出てしまい、急遽仕事になったのだ。
「さぁ、行きましょ」
「そうだな」
杉崎…頑張れよ!
△▼△
「ユリカちゃ~ん!」
「あ、あおい!?離れなさい!」
「留学してて皆と交流出来てないから抱きつかせて!」
あおいは、相変わらずアイドルに熱中しており、同世代の活躍は全て追っている。
「かえで!離すの手伝いなさい!」
「ユリカも抱き返せばいいのに」
「早く離れないと血を吸うわよ!」
「そのセリフ待ってました!」
私もカナタと一緒になりたかったな…私、カナタの事まだ好きなんだ…そろそろ新しい恋始めて幸せになるんだ!カナタ!Fight!
△▼△
早く仕事を終わらせてスターライトに行くんだ!
「杉崎さん…助けてください…壊しちゃいました…」
「ガチ?」
「はい…」
新人の手には壊れた部品があった。
「これは…中々だな…俺が仕事変わるよ」
「すみません…」
「落ち込むなよ!失敗して仕事を覚えるんだから、今は気持ちを切り替えてな!」
これは今夜遅くなるな…ささっと直すぞ!
奏太は新人の仕事と入れ替わり、フォローに入る。
P.M 19:00
「お疲れ様した~!」
やっべ…約束してる時間より遅くなっちった…この時間ならバイクを飛ばせば間に合うか?
職場に予め持ってきておいたスーツに着替えて、バイクに乗る。
社会人になってから自分でCBR400Fを購入した。中々に高かったが、宝くじを大切に取っておいたので購入できた。それと社会人になってからの収入も大切に貯金していたおかげで買えたのだ。
間に合ってくれよ!
奏太はバイクを飛ばしてスターライトに向かう。ヘルメットのインカムから蘭に電話する。
『蘭!俺だ!スターライトに向かってるぞ』
『わかった!同窓会は中庭で行われているからな!』
『あいよ!』
蘭に向かっていることを報告する。ユリカの事は蘭とかえでと美月に任せて急ぐ。
△▼△
「奏太から向かっているって連絡来たわよ」
「仕事終わったのか」
蘭に奏太のことを伝えるユリカ。蘭は奏太が向かっていることを一足先に聞いている。
かえで!そろそろだぞ…
蘭はかえでにアイコンタクトをする。
OK!美月も準備いい?
かえでも美月へアイコンタクトをして合図を出す。
もちろんよ!
かえでからのサインを受け取って、各々が行動に移る。かえでは、門に向かい、警備員に今から奏太が来ることを伝えて通行許可を取る。
美月と蘭はユリカがどこにも行かないように話をして引き留める。蘭は、かえてが門から帰ってきたのを見て第一段階が終わった事を確認する。
美月さん…!あとは奏太を待ちますよ…!
わかったわ…!ここからは奏太くんに任せましょ!
「杉崎、遅いな…」
「そろそろだと思うんだけど…」
「杉崎くんがどうしたの?」
いちごが隣から蘭に声をかける。
「もう来てもいい頃なんだけどな…」
「そうね…」
ユリカの顔に寂しさが現れてきた。その時、会場の後ろから爆音を轟かせて、一台のバイクが中庭に向かっているのが確認できた。
来たな…!
奏太は、フルブレーキをかけてバイクをスライドさせてユリカの前に止まる。
「あれって…杉崎くん!?」
あおいが驚いているが、誰もが驚いている。奏太はバイクのエンジンを切り、ヘルメットを取る。
「お待たせ…ユリカ様!」
「遅いわよ…!バカ…!」
「ごめんて…」
「ま、まぁ許してあげないこともなくもなくもなくってよ!」
ユリカ特有の照れ隠しだ。そろそろ奏太の出番が来た。
「いや~腹減った…」
「ほら!向こうに料理あるわよ!」
ユリカが奏太の手を引っ張る。
「ユリカ、手だして!」
「ん?こうかしら?」
ユリカは右手を差し出す。
「こっちの手の方が似合うかな?」
奏太はユリカの左手を持ち上げて、薬指に指輪をはめる。
「え…」
「このタイミングしかないなって思ったから言うね。藤堂ユリカさん、この先の人生、俺と歩んでくれませんか?結婚しましょう」
「…奏太くん…嬉しいよ…!奏太くんと結婚する!」
ユリカは嬉しくて奏太を抱き締める。
「杉崎やったな!」
「カナタ!作戦通りだね!」
「ユリカちゃん!おめでと!」
「お、おお、穏やかじゃない!」
同期の皆がお祝いしてくれる。
「ねぇ!奏太くん!」
「どうした?」
「子供、欲しいな…///」
「そ、それは…夜にでも…///」
「帰ったらね///」
「もちろん…///」
ユリカからとんでもないおねだりがきた。寝る時間が無くなるのが確定した。
△▼△
プロポーズの翌日
朝か…
奏太は目が自然に開き、現在の時刻を確認する。
「げっ…12時か…結構寝たな…」
昨晩はユリカのおねだりを聞いたので、寝る時間が遅かった。隣に寝てるユリカを見る。左手の薬指にはめられた指輪がキラリと輝く。
「んっ…朝…?かなたくん…おはよ…」
「起こしちゃったか?」
「ううん…自然と起きたよ…」
「そっかそっか」
ユリカは眠い目を擦り、あくびをする。
「子供できるかな…?///」
ユリカはお腹を触りながら奏太に聞く。
「できるよ…///」
「そしたら…幸せな家族になろうね」
「そうだね!」
ユリカは奏太に抱きつき、キスをする。
△▼△
現在
「うぁぁぁん!パパ~!ママが怒った~!」
娘が大泣きしている。
「さーちゃんが、お菓子いっぱい食べちゃったからでしょ!」
「パパ~!ママ怖いよ~!」
愛娘である、桜夜<さくや>が抱きついてきた。
「ママとパパとのお約束を守らなかったのは、さーちゃんだよね?守らなかったらどうなるかな?」
優しく娘に問いかける。
「ままに…おこられる…」
「だよね?でもお菓子食べたくなっちゃうよな」
「だってママの作ったクッキー美味しいんだもん…」
「パパもママの作ったクッキー大好きだぞ!」
プンスカしてるユリカが近くにくる。
「もぉ~奏太くんは、さーちゃんに甘いんだから!」
「あはは…ごめんて」
奏太は娘を抱き抱える。
「ママにごめんなさいできるか?」
「うん…ママ…ごめんなさい…」
ペコリと頭を下げる桜夜。顔は涙と鼻水でグシャグシャだ。
「ママも怒ってごめんね…」
「許してあげないこともなくもなくもなくってよ…」
「あ!それママのだよ~!」
「パパとこの前、ママのアイドルの動画見た!」
ユリカは顔を赤くして、奏太を見る。プルプルと震えている。
「つい桜夜に頼まれて再生しちゃった!」
「奏太!血を吸うわよ!!」
久々に600年生きる吸血鬼が復活した。
ユリカ様って良い奥さんになりそうです。