英雄になる者たち   作:しろい凛キチ

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第2話

四月十七日 (木)

 

『ふっふっふっふっ』

 

俺は日頃からカンを失わないように、毎朝早くに鍛錬をするのが日課になってきていた。

 

『………フィー、いつも言ってるだろ。俺に対しての隠密は不可能だって』

 

誰もいないはずの場所に話しかける。すると、いきなりフィーが姿を現した。

 

『これでもダメか……やっぱりジンはすごいね』

 

『気に病むことはないさ。実際、会った当初に比べたら格段と隠密の性能は上がってるしな』

 

俺はそういいながらフィーの頭を撫でる。

フィーも気持ちよさそうに目を細めていた。

 

『さて、それじゃ時間も時間だし学院に行くか』

 

『うん』

 

この一連の流れが日々の流れとなりつつあった。

 

 

その日の放課後。

 

『ジン。起きて』

 

俺の日中はいつも通り寝て終わった。

ただいつもと違ったのは、フィーが起こしてくれたことぐらいだ。

 

『んー、どうした?』

 

『どうしたじゃないわよ。朝からずっと寝てばっかで、私の話を聞いてたのかしら?』

 

『マジすんません。反省してますんでその銃を降ろしてください』

 

銃身を額に当てられ、俺はそう言うしかなかった。

 

『はぁ…………全く、寝ることが悪いとは言わないからせめて私の話だけは聞いてちょうだい』

 

『マジすんません』

 

『もうそれはいいわ。それと前にも伝えたと思うけど、明日は"自由行動日"になるわ。厳密に言うと休日じゃないけど、授業はないし、何をするのも生徒たちの自由に任されているわ。――それと来週なんだけど。水曜日に"実技テスト"があるから』

 

『実技テスト?』

 

『ま、ちょっとした戦闘訓練の一環ってところね。一応評価対象のてすとだから、体調には気をつけておきなさい。そして――その実技テストの後なんだけど、改めて"Ⅶ組"ならではの重要なカリキュラムを説明するわ』

 

『やっと特別なカリキュラムとやらが何なのかわかるのか』

 

『ま、そういう意味でも明日の自由行動日は有意義に過ごすことをお勧めのするわ』

 

そんなことでHRは終わり、サラは出て行こうとしたが、

 

『あ、そうそう。ジン、あんたは寝ていたバツとしてこの後生徒会室に行って受け取ってきて欲しいものがあるのよ』

 

『うへぇ……なんで俺が』

 

『自業自得よ。生徒会室は、この本校舎の隣の"学生会館"にあるわ。それじゃ、よろしく頼むわね』

 

そう言ってサラは今度こそ出て行った。

 

『しゃあねぇ、行かないで後で銃突きつけられるよかマシか』

 

俺は渋々と生徒会室へ向かった。

 

『ここか、失礼します』

 

ノックをすると、女子生徒の声が聞こえてきたので断りを入れ中に入る。

 

『誰かと思えばトワさんか、入学式ん時以来ですね』

 

中には以前会ったトワさんがいた。

 

『あ、君はジン君だったよね。ここに来ってことはサラ教官の用事かな?』

 

『ええ、サラのやつやたらと俺にだけ当たりが厳しくて。それにしてもまさかトワさんが生徒会の人だったとは……』

 

『私はこの学院の生徒会長をやっているんだ。改めてよろしくね、ジン君』

 

『こちらこそよろしくお願いします。それで、サラから頼まれてたものについて何ですが……』

 

『そうそう、これなんだけど……』

 

そう言ってトワさんが渡してきたのは十冊の学生手帳だった。

 

『ごめんね、君たち"Ⅶ組"はちょっとカリキュラムが他のクラスと違ってて……"戦術オーブメント"も通常とは違うタイプだから、別の発注になっちゃったんだ』

 

『トワさんが謝ることじゃないですよ。それより、これを皆に届ければ良いんですよね?』

 

『うん。それよりジン君達は一年なのにすごいな〜』

 

『え?』

 

『サラ教官から聞いたよ。生徒会のお仕事を手伝ってくれるんでしょ?』

 

それを聞き、俺は内心でサラに向かって悪態をついた。

 

『そういう事ですか……正直面倒ですが、トワさんの為になるならやりますよ。っと、それから、今日はまだ仕事とかあるんですか?』

 

『うん、教官に頼まれた資料の整理とかこれからやるところだよ』

 

『なら俺も手伝います』

 

『え?いいよいいよ、これぐらいいつもやってることだし、すぐ終わるから』

 

『ならなおさら手伝いますよ。二人居ればもっと早くなるでしょ?』

 

『ありがと……それじゃお言葉に甘えちゃおうかな』

 

こうして俺とトワさんは手分けして残りの仕事を片付けた。仕事が終わる頃には、俺たちはすっかり打ち解けていた。

 

『今日はありがとねジン君』

 

『いいさ。それよりホントに敬語じゃなくていいのか?』

 

『うん。今日手伝ってくれたお礼と言っちゃなんだけどね』

 

『…………分かった。それじゃあまた明日』

 

『また明日ね。依頼はジン君のポストに入れておくから』

 

ここで俺とトワさんは別れ、俺は第三学生寮に戻った。

その日の夜、俺は学生手帳を渡すために各部屋を訪れていた。

 

『ここで最後か……フィー、入ってもいいか?渡したいものがあるんだが』

 

『ん、いいよ』

 

フィーに要件を告げると扉をあけてくれたので、中に入る。

 

『ほれ、これがフィーの学生手帳だ』

 

『ありがと…ふわぁ』

 

『寝てたのか?だったら邪魔して悪かったな』

 

『別に。それより、明日って暇?』

 

『トワさんからの依頼がどれくらいかにもよるけど、多分暇だぜ』

 

『ん、暇になったら連絡して』

 

『了解。んじゃおやすみ』

 

それだけ言い残し、俺は部屋を後にした。

 

* * *

 

四月十八日 (日)

 

『…………………………』

 

『あれ、ジン君?こんなところで何してるの?』

 

早朝、俺が精神統一してるとトワが話しかけてきた。

 

『おはよう。精神統一してたんだ。何事も集中力は大切だからね』

 

『そっか。邪魔しちゃったかな?』

 

『いや、丁度終わりにしようと思ってたところだから気にすんな』

 

『ありがと。あ、そうそう、これ今月分の依頼だよ』

 

俺はトワから封筒を受け取り、中を確認する。

 

「課外活動の封筒 (四月)

・旧校舎地下の調査

・動力器の配達

・落とした学生手帳」

 

『確かに。でもわざわざ届けてくれなくても、連絡くれればいつでも取り行くのに』

 

『それは悪いよ。ただでさえ手伝ってもらってるのに』

 

『まぁそれはそれ、これはこれとしてだ。この依頼は今日中に片付けたって問題ないんだよな?』

 

『いいけど、あんまり無理しちゃダメだよ?』

 

『了解』

 

それだけ話すと、トワはほかの仕事があるとかで帰って行った。

 

俺は依頼内容を確認し、すぐに行動に取り掛かった。

意外にも落とした学生手帳もすぐに見つかり、配達もスムーズに終わったのである程度時間に空きが出来てきた。

 

『さてと、このあとどうすっかな…………っと、そろそろアイツに連絡入れねぇと』

 

俺はARCUSを取り出し、ある人物に通信を入れる。連絡を入れると、その人物はすぐに出てくれた。

 

「やぁ、ちょうど君からの連絡が来る頃じゃないかと思ってたよ。調子はどうだい?」

 

『かけてすぐに出るたぁ、お前も随分暇人だな』

 

「ははは。君は相変わらずだね。で、どうだい例の件は」

 

『んにゃ、今のところ標的(ターゲット)に目立った動きは無し。引き続き監視するさ』

 

「そうかい。それじゃよろしく頼むよ、親友」

 

『あぁまたな、親友』

 

それだけ話すと、俺は通信を切った。

 

『さてと、そんじゃ集められる奴集めて旧校舎行きますか』

 

俺は手早くみんなに連絡し、来れられる人は来いと伝えた。

 

『今回集まったのは……リィンにエリオット、それにガイウスか。サンキューな三人とも』

 

『この場所はまだ怖いけど、少しでもみんなの力になれるといいな』

 

『俺も剣の修行になるだろうからな。よろしく頼む』

 

『同じく、槍の修行をしに来たんだ。よろしくな』

 

『おう、三人とも期待してるぜ』

 

早速、俺たちは四人で旧校舎へ入っていった。

 

『この部屋……なんだか少し狭くなってないか?それに、以前来たときはあんな扉なんてなかったはずだ』

 

以前ガーゴイルと戦った場所に来てみると、誰が見てもわかるくらいの変化が起きていた。

 

『とにかく降りて扉の向こうを確認してみるか』

 

『ってココ、完全に別の場所じゃない!?僕たち、こんな場所通らなかったハズだよね!?』

 

扉の奥へ進むと、そこでも変化は起こっていた。

 

『このことから考えても、学院長が言っていた旧校舎の異変はますます信憑性が高くなったな』

 

『どうやら徘徊している魔獣の気配も違っているようだ』

 

『みたいだな。とりあえず、行けるとこまで行こう』

 

俺たちは注意深く、迅速に奥へと進んでいった。

 

―――――第一層、最奥。

 

『何もないみたいだな……!?なにか来るぞ、各員戦闘準備!!』

 

すると、突然空間から魔物が現れた。

 

 

『はあぁ〜……さすがに危なかったぁ……。でも、何とかなったね』

 

『あれぐらい楽勝だろ。"戦術リンク"のコツも掴めてきたしな』

 

『どうやらここが最終みたいだな』

 

『だな。他に行くルートもないし、ここで切り上げよう』

 

そして俺たちは旧校舎から出て、報告するため学院長の元へ向かった。

 

『ふむ……それは予想外の事態じゃな』

 

『……地下の構造が丸々変わってしまったか。不思議な遺跡だとは思ってたけど、まさかそこまでだったとはね』

 

『あの遺跡は誰が、いつ建てたものなんだ?見た感じ、結構経ってると思うんだが』

 

『誰が建てたか――というのは実は判っておらん。だが、この学院の設立以前からあの場所にあったのは確かじゃ。おそらく数百年前……"暗黒時代"のものじゃろう』

 

『暗黒時代っていうと千二百年前の"大崩壊"の後、しばらく続いた混沌の時代のことだよな。確かに、あの時代に出来たのなら今回のような出来事も不思議じゃないか』

 

その後、俺たちはその事について対談をし、学院長室を後にした。ちなみに旧校舎の鍵はというと、引き続き調査をしてもらいたいということから俺が預かった。

 

『お、いたいた。フィー』

 

学院長への報告を済ませた後、俺はフィーに連絡して待ち合わせの場所に来ていた。

 

『すまんな、こんな時間になっちまって』

 

『別に。気にしてないからいいよ』

 

『そっか。んで、話ってのは?』

 

『そんな大した話じゃないんだけど、ジンの過去について知りたいと思ってね』

 

『俺の過去?』

 

『ん。前に魔物と戦ったとき、なんだか集団戦闘慣れしてたようだったから気になってね。駄目ならそれで構わない』

 

と言ってはいるが、フィーはすごく聞きたそうにしていた。

 

『まぁ別に隠しておくほどの事じゃないから、いいぜ』

 

『ありがと』

 

フィーはお礼の言葉とともに、自然としっかり聞く姿勢になっていた。

 

『俺の戦い方は元々、個人戦闘スタイルだったんだ。でもある日を堺に俺の戦い方は、個人戦闘スタイルから集団戦闘スタイルへと変わった』

 

『ある日って?』

 

『その日も、いつもと変わらずごく平穏な日になるはずだった。でも突然、そこに賊が押しかけてきて親父達を殺していったんだ。たった一人残された俺は途方もなくさまよっていた。そんな時、ある傭兵団と出会ったんだ。その名前は"赤き蠍(レッド・スコーピオンズ)"』

 

『その名前、私も聞いたことある。確か帝国一強い傭兵団だったよね?』

 

『ああ。俺の今の戦い方はその団の団長さんに教えてもらった基本形を個人的にアレンジしたものなんだ』

 

『でもたしかあそこって………』

 

『五年前に崩壊した。仲間内から裏切り者が出て、団長は殺された。そこからはまるでビルが崩れるかのような勢いで団は崩壊していった』

 

ここでほんの少し間を空けてフィーを見てみると、なんだか少し暗い表情になっていた。

 

『それはからはまた宛も無くさまよい続け、そして俺が"閃光"の異名で知られるようになったのが、つい三年前。そして、今に至るってわけだ』

 

『そんなことがあって、ジンは辛くなかったの?』

 

『……そりゃ当時は辛かったさ。でも人は出会いと別れを繰り返す生き物だ。それを考えたら辛さも抑えられた。それにその過去があったからこそ、今こうしてフィーと話していられるわけだからな』

 

『そだね………話してくれてありがと』

 

『おう。っと、もうこんな時間だ。早く帰らねぇとサラにどやされちまう。急ごう』

 

『うん』

 

その後俺たちは案の定、サラにこってり絞られた。

 

* * *

 

四月二十一日 (水)

 

実技テスト当日。

俺たちは今各々の武器を持ちグラウンドに集合させられていた。

 

『――それじゃあ予告通り"実技テスト"を始めましょう。前もって言っておくけど、このテストは単純な戦闘力を測るものじゃないわ。"状況に応じた適切な行動"を取れるかどうかを見るためのものよ。その意味で、何の工夫もしなかったら短時間で倒せたとしても評点は辛くなるでしょうね』

 

『やってやろうじゃねぇか』

 

『……単純な力押しじゃ、評価には結びつかないわけね』

 

『――それではこれより、四月の"実技テスト"を開始する。リィン、エリオット、ガイウス。まずは前に出なさい』

 

『なぁサラ、これはお前と戦えばいいってことなのか?』

 

『ふふ、それはね………』

 

そして次の瞬間、サラが指を鳴らすと、

何もない空間からいきなり傀儡のようなものが現れた。

 

『これは?』

 

『こいつは作り物の"動くカカシ"みたいなものよ。そこそこ強めに設定してあるけど、決して倒せない相手じゃないわ。例えば――ARCUSの戦術リンクを活用すればね。それでは始め!』

 

リィン達三人組は途中危なっかしい所もあったが、戦術リンクを使いなんとか倒した。続くラウラ、エマ、ユーシス組も、フィー、アリサ、マキアス組も同じようになんとか倒せていた。

 

『なぁサラ、最後俺だけなんだがどうすりゃいいんだ?』

 

『あなたは私との一対一の戦いよ』

 

『…………え?マジで?』

 

『マジもマジ、大マジよ。いいから早く用意しなさい』

 

こうして、俺とサラは一騎打ちをすることとなった。

 

 

『す、すごい。あのサラ教官を終始圧倒していた』

 

『ぼ、僕には到底無理だな…』

 

『サラもまだまだだね』

 

『まぁなんにせよ、これで全員実技テストが終わったわね。

――さて、先日話した通り、ここからはかなり重要な伝達事項があるわ。君たち"Ⅶ組"ならではの特別なカリキュラムに関するね』

 

それを聞いた瞬間、俺を含めた全員が息を呑んだ。それだけこれから話す内容が気になっていたのだろう。

 

『――それじゃあ説明させてもらうわ。君たちに課せられた特別なカリキュラム……それはズバリ、"特別実習"よ!』

 

『と、"特別実習"……ですか?』

 

『なんだか嫌な予感しかしないんだが……』

 

サラはみんなの意見を無視するように続ける。

 

『君たちにはA班、B班に別れて指定した実習先に行ってもらうわ。そこで期間中、用意された課題をやってもらうことになる。まさに特別(スペシャル)な実習なわけね♪』

 

『まだ学院に入って間もないのに、もう他の場所へ行くのか?』

 

『……その口ぶりだと、教官がついて来るというわけでもなさそうですね?』

 

『ええ、あたしが付いていったら修行にはならないでしょ?獅子は我が子を千尋の谷にってね』

 

『それは分かったが、結局のところ、何時どこに行けばいいんだ?』

 

みんなが思ってるであろう疑問を俺がぶつけると、サラはどこからか十部の紙束を取り出し、それぞれに配った。

配られた紙束を見ると、そこには今回の特別実習について書かれていた。

 

「四月特別実習

A班:リィン、アリサ、ラウラ、エリオット、ジン

(実習地:交易地ケルディック)

B班:エマ、マキアス、ユーシス、フィー、ガイウス

(実習地:紡績町パルム)」

 

『これまた何と言うか……すごい班分けだな。それに確かケルディックが東にある交易が盛んな場所で、パルムが西にある紡績で有名な町だったよな』

 

『日時は今週末。実習期間は二日くらいになるわ。A班、B班共に鉄道を使って実習地まで行くことになるわね。各自、それまでに準備を整えて英気を養っておきなさい』

 

この日はこれだけで終わり、各自解散となった。

 

* * *

 

四月二十四日 (土)

 

特別実習当日。

この日も俺は朝早く起き、日課のトレーニングをしていた。

 

それから時間が過ぎ、みんなが出てきた。

 

『おう皆、もう準備は大丈夫なのか?お、アリサとリィンはやっと仲直りしたのか?』

 

『も、もうそのことはいいのよ』

 

『ま、当人同士がそれでいいなら俺からは何も言うことはねぇな』

 

『トレーニングしてたようだけど、ジンは何時に起きたの?』

 

『俺か?俺は四時には起きてたぞ』

 

『『『え!?』』』

 

俺が起きた時間を教えると、アリサ、リィン、エリオットの声が見事に重なった。

 

『別に驚くことじゃねぇだろ。の時間に起きてトレーニングしてんだし』

 

『そ、そうなんだ』

 

『うし、みんな揃ったし駅まで行こうぜ』

 

『『『『そうだな(そうね)』』』』

 

俺たちはトリスタ駅に向かい、電車を待つことにした。

 

 

駅の中に入ると、もう既にB班のメンバーが揃っていた。

 

『よう皆、おはよう。そっちはそろそろ出発か?』

 

『ええ、B班のパルム市はここから結構離れていますから。今から出発したとしても夕方近くに到着する見込みです』

 

『いろんな意味でそっちの班大変だな。なんつーか、その…頑張れ』

 

『あははは……』

 

『まもなく二番ホームに帝都行き旅客列車が到着します。ご利用の方は、連絡階段を渡ったホームにてお待ちください』

 

そんなことを話していると、アナウンスが流れてきた。どうやらB班乗る列車がもうすぐ到着するらしい。

 

『初めての特別実習……お互い頑張りましょう』

 

『ふふっ、はい』

 

そして俺たちは別れ、俺たちも自分たちの乗る方面のホームへと向かった。

 

 

列車内にて。

 

『実習地につく前に一応おさらいしておきましょ。

交易地ケルディック――帝国東部、クロイツェン州にある昔から交易が盛んな町ね。帝都と大都市バリアハート、更には貿易都市クロスベルを結ぶ中継地点としても知られているわ』

 

『このあたりは昔から大穀倉地帯としても有名だ。農作物全般からバリアハート特産の宝石や毛皮、大陸諸国からの輸入まで……一年を通して開かれる大市では様々なものが商われているらしい』

 

『しっかし、特別実習ってのは何をするのかさっぱりだな。士官学校である以上、厳しいものが想像できるが…。つかサラ、なんであんたがここにいるんだよ』

 

俺の言葉でみんなは一斉にサラの方を見て驚いていた。

 

『Ⅶ組A班、全員揃ってるみたいね。ちゃんと仲直りもして、まずは一安心ってとこかしら?』

 

『だからなんであんたがここにいるんだっての』

 

『んー、最初くらいは補足説明が必要かと思ってね。宿にチェックインするまでは付き合ってあげるわ』

 

『ならこっちよりB班の方行ってやれよ…』

 

『えー、だってどう考えてもメンドクサそうだったしー。あの二人が険悪になりすぎてどうしようもなくなったらフォローに行くつもりだけど♪

ま、あたしの事は気にしないで話を続けてちょうだい。ちょっと徹夜続きでね〜。悪いけど寝かせてもわうわ』

 

そう言うとサラはすぐに眠りについてしまった。

それからの時間、俺たちは目的の場所まで向かう途中、ブレードというカードゲームで遊んで時間を潰した。

 

 

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