あの後、すぐにカイジンさんたちは剣を収める鞘を作り二十本のロングソードを納品した。
その後、無事に納品が済んだことの打ち上げをしようと俺たちを誘ってくれた。
ちなみにカイドウさんは納品が終わった後に仕事があるからと帰っていった。
「「打ち上げ?」」
「あぁ、お前たちのおかげで無事に納品できたんでな!それのお祝いだ」
なんでも王からの命令を無事完了出来たからお金を結構貰ったそうだ。
だからカイジンは僕たちを打ち上げに誘ってくれたとのこと。
「別にいいよ…」
「ああ、別に報酬目当てで助けたわけじゃないし」
元々ここには村に来てくれる技術者を探しに来ていたが、それを抜きにしても恐らく手助けしていると思う。
それに長居しすぎた。森にいる雪菜達を待たせてしまっている。
なので、俺たちは断ろうとする。
「まあまあそう言わず!旨い酒に綺麗なエルフお姉ちゃんもいっぱいいるから!」
「そそっ若い娘から熟女まで!」
「……!」
しかし、後ろのドワーフ三兄弟が余計なことを言ってくれた。
しかもよりにもよって!エルフ!その単語はこのスライムに一番効く!
「エルフ!」
「そうそう!夜の蝶って言ってな!若い子から熟女まで、紳士御用達の店さ!」
「蝶………」
「おいおい、旦那達が来ないと、始まらないぜ………」
このままではマズイ!
「リム——」
「しっかたないなー!一緒に行こうじゃないか!」
そう思い俺はリムルに声を掛けようとするが…………時すでに遅し。
もうリムルの心にはエルフでいっぱいだ……
ここで俺だけ抜けると場の空気を乱してしまうし、カイジンさん達に気を使わせてしまう。
つまり、俺の参加も必然ということ。
(ハァ……このスライムは…………)
まあいい、それにしても”夜の蝶”ね。
多分だが、店の名前から推測するとキャバクラとかそこらへんだろう。
社会人だったリムルと違って俺、そういう店行ったことないんだが。
未成年だから酒とかも飲めないし。
いや、異世界だから問題ないのか?
てか、この世界の成人年齢って何歳からだろう?
「エルフ!楽しみだなぁ!」
「ほんと、こいつは……」
その日の夜、俺とリムルはカイジンさん達の案内で件の店を訪れた。
「あら、カイジンさん。いらっしゃいませー」
「「「「いらっしゃいませー」」」」
店内に入るとそんな元気な声と共にグラマラスで綺麗なお姉さん方がお出迎えしてくれた。
やはりというべきか、この店はキャバクラだった。
違いがあるとすれば店員が全てエルフということだ。
漫画やアニメで見た通り、長く尖った耳で髪の色や瞳の色は多様だが、自然との調和を感じさせる様な綺麗な色が多い。
店にはドワーフ三兄弟が言った通り、俺と同じ歳くらいに見える子から年下の子、年上のお姉さんまで色々なエルフの女の子達がいた。
そして、やっぱりそういう店なのもあってか、みんな薄着で肌の露出が多い。
(少し、目のやり場に困るな……)
「うわーーー!可愛い!」
「ちょっとぉ!ワタシが先に目ぇつけてたのにぃ〜!」
入ってすぐにリムルはエルフのお姉さんたちに捕まり持って行かれた。
本人はエルフの胸に抱かれて満更でもないよう……というか大歓喜なので問題ないだろう。
「ねえお兄さん、私とお話しない?」
「あっ、ずるーい!」
「髪綺麗~それに顔も結構好みかも~」
俺の方にもエルフが寄ってきて腕に抱きつかれる。
…………よこしまな気持ちは一切ないのだけど……腕に柔らかいものが当たって、少し落ち着かないです。
俺たちも案内されリムルと同じ席に座る。
すぐに横にエルフのお姉さんたちが座ってくる。
いかんせん距離が近くて少し落ち着かないが、とりあえず適当に話しながら出てきた食事と酒を楽しむ。
本当なら未成年なので酒はダメだがここは異世界なので日本の法律は適応されません。
そしてやっぱりと言うべきか、飲んだとて《状態異常無効》を持っているので酔わない。
(いいな。この耐性めっちゃ便利)
「はい、どうぞ」
「ああ、ありがとう」
隣に座ってたエルフの子がお酌してくれる。
「いやあ、しかし恐れ入ったよ。俺の渾身の一振りがまさかあっという間に量産されてしまうとはね」
お酒が回っているのか上機嫌にカイジンさんは言う。
「いや、元々のカイジンさんの作品がよかったんだ。俺はそれを解析して魔鉱塊で補強しただけ。カイジンさんの作品が無かったらこんなことは不可能だった…………余計なことだったかな?」
そう言うとカイジンさんの表情が落ち込む。
そりゃそうだ自身の渾身の作品をあんな簡単に複製されれば職人なら誰だって気分を害するし自身もなくすだろう。
なるほどF〇Oで自身の宝具をパクられた英霊たちもこういう気持ちだったのかもしれない。
そういう意味では俺は余計なことをしたのかもしれない。
「……正直思うところはあるが……次はシキの旦那にも絶対真似できないすっごい奴を作ってみせるってもんだ!腕が鳴るぜ!」
そういって、酒を煽るカイジンさん。
やけになっていないならいいけど。
気を取り直して飲みなおす俺たち。
「ねえ、ねえ、スライムさんこれやってみない」
そういって手で何かジェスチャーするお姉さん。
リムルはなにか他のモノと勘違いしているようだがお姉さんが持ってきたのは水晶球。
「……占い?」
「私、得意なんだよ結構すごいって評判なんだから」
ふーん、異世界だからって本当に当たるのかな?
「それで何を占ってくれるんだ?」
妄想の世界から帰ってきたリムル問う。
「うーん、そうねえ…なにがいい?」
「んーー」
「スライムさんの運命の人とか」
「え?」
その言葉にこの場にいる全員の視線が集まる。
リムルの運命の人?本当に出来るんだったら面白いが、いったい誰が映るんだろう?
ピンクのスライムとか?
「あ、それいいかも。じゃあ占っちゃうよ」
膝の上の水晶球に戸をかざして占い始めるお姉さん。
しばらくすると水晶になにかがぼんやりと見え始める。
「あ、見えてきた」
水晶にはっきりと映し出される六人の人影よく見るとそのうち五人は子供で外見から察するに十代前半くらいだろうか二人ほど顔つきが外国人に見えた、もう一人は大人の女性で左目の目尻に火傷の痕を持つ黒髪の日系女性。
制服姿の五人の子供達を相手していた。
映像はすぐに消えてしまったが、おそらく女性の方は日本人だろう。
俺と同じように転移してきた人か、それとも召喚された人か……
「ずいぶんきれいな人だったなぁ……顔が赤くなってるぞリムルの旦那」
「え…………いや顔色変わんないって」
リムルが気にしているのはさっき映し出されたのが日本人に見えたからだろう。
まあ、それ以上もあるかもしれないが。
「さ、次はシキさん番」
「え、俺も?いや、俺は別に……」
「いいから、いいからお前もやってみろよ」
まあ、やってくれるというなら試しにやってもらうか。
「なら、頼むよ」
「はーい」
もう一度水晶球に手をかざすお姉さん。
他の人たちも気になっているようでこちらを見ている。
「あ、見えてきたよ」
「ん」
水晶を見ていると人影がどんどんと浮かび上がってくる。
水晶内には一人の女性が映し出された、雪の様に美しく白い髪、それを腰まで靡かせその髪を後ろで二つに分けた髪型。
顔はとても綺麗で目の色は碧く白い肌。
その綺麗な瞳がこちらを見て微笑む。
「ほぉぉ、こりゃさっきと同じく偉い別嬪さんだなぁ…ん、どうしたシキの旦那?」
「どうした。シキ?おーい」
「……………………………………」
周りからの声が耳に入ってこない。
何故だろう、何故だかわからないが水晶から目が離せない。
俺はこの女性に会ったことが無い。
だが彼女を見た瞬間、心の中に懐かしいという感情が湧いた。
(どこかで……彼女を…………)
「———ねえ——■■——」
頭の中で誰かが話している。
「私、———」
いったい誰なんだ。
わからない。
わからない。
でも、なんで———
「良いんですか?こんな所でのんびりとしてて。………カイジン殿?」
その言葉で意識が戻ってくる。
意識を正すように少し頭を振ってから、声のした方を振り返る。
そこには如何にも意地悪そうな顔をしたおじさんがいた。
「………大臣のベスターだ」
「アレが噂の………」
「いかにも、嫌な奴って感じだな」
ベスターは、こちらに近寄ってくる。
「遊んでいる場合なのですかな?確か、ロングソードの納品の期限は………。」
「さっき、納めてきた。」
「期限に間に合わなければ………えっ?納めてきた?」
「ああ。きっちり二十本」
「そ、そんな………」
「納品書を確認するか?」
「……うぅん!そうですか………受けた仕事を期日内にやるのは、当たり前の事です」
(やっぱり……)
無理だって分かって言ってきたようだ、かなり動揺している。
見るにどうやらカイジンとベスターはかなり仲が悪いようだ。
すると、今度はリムルの方を見てくる。
「それよりも………それらですよ、それら。」
「えっ………?」
「いけませんなぁ………こんな上品な店に下等な魔物を連れ込むなんて………気分が悪くなる」
(こいつ……)
どうやら、何かとケチをつけたいらしい。
性根が腐っている。
「おい、
「い、いえ、魔物と言いましても無害そうなスライムですし…」
「はあ?魔物だろうが!違うのか?スライムは魔物じゃないとでも抜かすか!?」
「いえ…その様な訳では決して…」
ママさん。っていうのかな?
のらりくらりと言葉を濁して怒りをそらそうとするのだが、取り合おうとしていない。
そんなママさんからお酒を受け取ったベスターがリムルの方に来て……
「フン、魔物にはこれがお似合いよ」
そう言って、リムルに酒をかけた。
……………………こいつ、どうやら死にたいらしいな。
「スライムさん!大丈夫?」
「あぁ、大丈夫だよ」
かけられたリムルは何も不満は出さないが、内心イラついている。
ここで、キレないのは相手が大臣だからだろう。
ここで手をだせばいろいろと問題になってしまう。
(だから、我慢…………)
そう思って気分を落ち着けていると突然、カイジンがベスターの顔を思いっきり殴った。
「ぐはっ………!?」
「ベスター!俺の客達に舐めた真似しやがって!覚悟はできてんだろうな!」
「きっ………貴様………!私に対してその様な口を………!」
「黙れ!」
「カイジンさん………!」
「顔はダメだよ、ボディだよ」
「いや、もう一発顔面だろ。陥没させちまえ」
俺たちがそんな風に言う中カイジンはもう1発、ベスターを殴り後ろにいた従者を巻き込んで倒れる。
「良いのか?そいつ大臣だろ?」
「…………リムルの旦那に、シキの旦那。腕の良い職人を探してるんだろう?……俺じゃあ、ダメかい?」
「ええっ!?良いの!?」
「カイジンさんが良いなら、こっちも大歓迎だ!よろしく」
「ああ!」
投稿時間午前と午後ならどっちがいい(午後の場合何時かまで))
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午前
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午後 12時
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13時
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14時
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15時
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16時
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19時
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