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あの後、カイジンと新しく住居を立てる場所を確認していたら夜遅くなり眠ろうとしたのだが、眠れず少し散歩に出ることにした。
どうせなら村の外を散歩しよう。と思い村を出る際に雪菜を起こしてしまったから雪菜には村で待機して貰って。
………………しゅん、としているのを見て少し申し訳なくなった。
それから村を出て森を歩く。
夜の森というのは不気味なほど静かなもので聞こえるのは風で揺らされた木の葉の音だけ。
夜空も元居た世界のモノとは全然違いとてもきれいな星々が見える。
少し歩けば気分も落ち着くだろうと思っていたのだが、どうもそうなりそうにない。
「………………」
あの時見たあの光景。
あの魔素の乱れが頭の中からどうも離れない。
アレを放っておくと何か良くないことが起きてしまうような……そんな気がしてならないのだ。
それに、あの仮面。
あの時ついでに解析したのだが、あの仮面の名前は抗魔の仮面。
着けるだけで魔力抵抗、毒中和、呼吸補助、五感増強を装着者に付与する。
その中でも俺が気になっているのは魔力抵抗の方。
これは、対象者の妖気などを極限まで隠蔽し抑える効果がある。
恐らくだがシズさんはあの仮面をかぶることで自身の中で暴れる魔素を押さえつけてきたのだろう。
だが……
(…………なんで体内の魔素が乱れる……いや、暴走している?)
魔素が暴走しているのは分かった。
仮面の効果も分かった。
その仮面を使ってこれまで制御してきたのだろう。ということも推察できる。
だが、なぜ暴走するのかだけがわからない。
エレンやカイジン達にそれとなく聞いてもみたが分からなかったし、聞いたことがないと言っていた。
わからないなら放っておけばいいとも思うがそれだとダメなような気がする。
それも何故だかわからない。
「…………モヤモヤするなぁ……」
それ以外にも仮面の解析の時に一瞬だけノイズのようなものが走ったのも少し気になるし……気にしだしたらキリがない。
そんな感じのまま歩いていると、いつの間にかヴェルドラの封印されていた洞窟の前まで来ていた。
扉を開けてなんとなく中に入りそのまま洞窟内を進んでいく。
「…………案外広いよな。ココ」
この洞窟には外に出て以来入っていなかったし、あの時はとにかく外に出ることを目的にまっすぐ進んでいたので中をじっくりと見ることはしなかった。
内部の魔物は前狩り尽くしていたようで一体もおらず、鉱石や薬草類もリムルが食い尽くしたためほとんどない。
ようは殺風景だ。
「…………特にここは、な」
前までヴェルドラが封印されていた場所。
今はリムルの胃の中のためここは何もない広場となっている。
あの巨体がいなくなるとずいぶんと寂しいものだ。
「…………………………ん?」
そろそろ帰ろうと思い来た道に振り返ろうとすると、広場の奥に何かが一瞬光って見えた。
気になって光った方に行くとそこには綺麗な水晶球が転がっていた。
色は銀色?で占いの時に使っていたモノより一周り程大きく感じる。
この洞窟には似たようなものはないし…………………………もしかしたら、ヴェルドラのモノなんだろうか?
なんとなく目が離せなくて、そのまま持って帰ることにした。
洞窟を出て村まで歩いて帰ってきたころにはもう夜が明けてしまっていた。
どうやら自分が思っていたよりも長い間散歩に行っていたらしい。
確か、カバルたちの出発は今日の早朝の予定だったはず。
思い出しながらとりあえず持って帰ってきた水晶球を家に置いて、村の入り口で待っているであろうカバルたちの元に向うと準備を終えたカバルとギドがいた。
どうやらシズさんとエレンを待っているようだ。
「よっ、おはよう。もう行くんだな」
「おはようございます。リムルの旦那。ええ、ギルドマスターに報告しなきゃならないんで」
「それよりも、本当にいいんでやすかい? 着替えに食料、回復薬なんてものまで」
「ああ、いいんだよそれくらい」
昨日のうちに明日の早朝に出ると聞いて、リグルドにいろいろと用意させておいたのだ。
もし帰る途中で昨日みたいに何かに襲われでもしたら大変だし、それで報告できなかった結果、次に来る人間が俺たちの悪評なんて広めたら大変だからな。
「しっかし、女は準備に時間がかかるよな」
「まあ、女の人は昔から支度が長いって言うからな」
カバルをなだめ、シズさんとエレンを待っていると二人とリムルがこちらに向かってきた。
これであとは出発するだけとなった時。
「………っ……くっ…うぐっ……」
シズさんが急に立ち止まり苦しみ始めたのである。
(……まさか…)
「シズさん?どうしたの?」
心配したエレンがそう声を掛けながら駆け寄り、俺はすぐにこの眼で確認しようとする。
次の瞬間——
「うぐっ、うぐぅぁあああああーーーッ!」
シズさんが呻き声を上げると同時に、彼女が被っていた仮面にヒビが入る。
そこから発生した上昇気流による暗雲が周囲に立ち込めていく。
シズさんが少しずつ浮かび上がり、衝撃波と熱風がその場にいた全員に襲い掛かる。
俺は何とか踏み止まれたが、カバルたちとリムルは少し吹き飛ばされたようだ。
「全員無事か?」
「ええ、何だよ、これ…危険手当上乗せしてもらわないと割に合わねぇぜ」
「だから、それはヒューズの旦那にいうでやすよ」
「シズさん!シズさん!」
エレンが必死に呼びかける中、宙に浮かんでいるシズさんの被っていた仮面が外れて、落ちる。
それと共に露わになる彼女の顔。
髪の毛は逆立ち、白目だった部分は緋色に染まっている。
目頭に溜まった涙はそのあまりの熱量に湯気を立てながら、蒸発する。
「シズ……シズエ・イザワ!」
「それって、五十年くらい前に活躍したっていう、英雄よね?」
「まさか、シズさんが……」
カバルが言っていることを聞くにどうやらシズさんは昔、英雄とまで言われた人らしい。
いや、そんなことは今はどうでもいい。
「リグルド、リグル!皆を避難させろ」
「しかし………!」
「リムル様!シキ様!」
「このままじゃ、死人が出る!急げ!」
「ははっ!承りました!」
俺たちが避難の指示をリグルドとリグルに出していると、シズさんが爆炎が包まれる。
晴れて出てきたのはシズではなく、燃えるような立て髪をした炎の巨人。
「炎の精霊——イフリート!」
「間違いないでやす。シズさんは…」
「伝説の英雄……爆炎の支配者……あ、あんなの、どうやっても勝てないんですけどぉ!?」
「無理でやす……あっしらは、ここで死ぬんでやす…短い人生だったでやすねぇ」
(イフリート……あれがシズさんの魔素暴走の元凶か)
恐らくだが、イフリートがシズさんの中で表に出ようと抵抗していたから体内の魔素が暴走していたのだろう。
そしてそれを仮面で押さえつけていた。
「……それの限界が来たってことか」
イフリートが咆哮する。
同時に炎の柱が立ち上り、先ほどよりも比べ物にならない衝撃波が俺たちを襲う。
それを何とか耐えて、イフリートを見ると炎の柱を膨れ上がらせ、そこから五体の魔物……いや、精霊を呼び出して周囲に火を放っていく。
倒壊した家や柵が燃えていく。
「ちっくしょう……!折角作ったばっかりなのに……!」
「そうじゃないだろ!カバルたちは逃げろ、俺たちが相手をする」
「そういうわけにいくかよ! あの人がなんで殺気をむき出しにしてるのかわかんねぇけど」
「俺たちの仲間でやす!」
「ほっとけないわ!」
三人はそれぞれ自身の武器を構える。
「いい仲間じゃないか…」
「ああ、念のため聞くぞ、イフリート!お前に目的はあるか!?」
リムルの問いにイフリートは答えずただ指を上にあげて、大量の火球を作り、こちらに向けて放ってくる。
「
火球を作り出し、迫りくる火球にぶつけて相殺する。
「どうやら、話し合いに応じる気はないらしい」
「そうみたいだな」
イフリートはその場から動かず、周りの精霊がこちらに向かって動き出した。
そのうちの一体にエレンが氷の魔法を当て、注意を引いている。
残り四体は俺とリムルの方に向ってきている。
「俺は右の二体の相手をする。リムルは左の二体を任せる」
「わかった。嵐牙!」
リムルは影の中に潜んでいた嵐牙を呼び出し、背に乗り精霊の攻撃を回避しながら二体を引き付けながら離れていく。
俺の方は残った二体の攻撃を避けつつ、弓と矢を投影、矢をつがえて引き絞り、放つ。
自分で言うのもなんだが、狙いは正確。
宙を飛行している精霊二体を射貫く。
だが…………
「効いてない…と、見るべきか」
精霊に矢が命中するも少よろめくだけでダメージを与えられている気がしない。
物理攻撃が効かないのか、それとも耐性があるのか。
どちらにせよ困った。
「こういう時は、魔法なんかが効くのが定石なんだが……」
残念なことに今俺が使える魔法はドワルゴンの時にコピーした
火球は炎の精霊相手には意味がないだろう。
いや、まて。そういえばエレンはさっき氷の魔法を使ってたな。
精霊の攻撃をよけながらエレンの方を確認する。
「
エレンの放った魔法が精霊を貫く。
魔法を受けた精霊は俺が攻撃した個体とは違ってダメージを受けているようだ。なら。
「使わせてもらう——
襲い掛かってくる攻撃を跳んで避け、空中で
精霊はそれをまともに受けて消滅。
(こっちは片付いた。リムルの方は……問題なさそうだ)
リムルも魔法が効くことに気づいたようでいつの間にか
残りはカバルたちの一体だけ。
カバルたちの方を見ると、最後の一体は不自然にカバルたちの方へと近づいて自爆しようとする。
急いで
魔力を込めた氷の矢は精霊を自爆させずに消し飛ばした。
「無事だな」
「は、はい」
「あとは、イフリートだけだ」
俺たちは宙に浮くイフリートを睨む。
イフリートも此方を見る。
イフリートは無言で右手の人差し指を上に向け、巨大な炎の渦を生み出す。
その人差し指を下ろした瞬間、炎の渦は俺たち目掛けて落ちてくる。
「チッ、雪菜!」
「はいっ!」
影の中に待機させていた雪菜を呼び出して視線で合図を出す。
雪菜は放心しているエレンを背中に乗せて全力で走り出す。
俺はカバルとギドの首根っこをつかんで渦の範囲外に向けて全力で跳ぶ。
「全員無事か!?」
「……ああ、なんとかね」
「た、たすかりやした……」
「ありがとうございます……」
合流したリムルと言葉を交わしながら元居た場所を確認すると、そこは火の海になっていた。
「……雪菜、そのままエレンを乗せてリグルドたちのところまで行け」
「ご主人様!?」
「シキさん!?」
「……悪いがお前たちのフォローをしながらあいつと戦うのは難しい」
「嵐牙も二人を連れて行ってくれ」
「我が主……わかりました!」
「…ご武運を!」
雪菜と嵐牙は三人を乗せて離れていく。
これで場は整った。
律儀に待ってくれていたイフリートは、俺たちを囲むようにして複数の分身体で取り囲んでくる。
「任せろ!
リムルが魔法を放ち、俺たちを取り囲んでいたイフリートの分身はあっという間に消えていく。
「
俺は本体に向けて矢を放つ。
放たれた氷の矢はイフリート目掛けて一直線に飛んでいく。
対するイフリートは自身の前に炎の盾を数枚作り、矢を防ぐ。
「……ずいぶん警戒しているんだな」
「………………」
俺の言葉にイフリートは何も答えない。
すると俺とリムルの足元に魔法陣が展開され、そこから炎の竜巻が発生した。
俺は何とか逃れたがリムルは飲まれてしまった。
まあ、問題はないだろう。あいつ確か《熱変動耐性》持っていたはずだし。
私は場を持ちこたえさせればいいだろう。
イフリートを倒してしまえばシズさんがどうなるか分からないし。
リムルなら分離とかできるだろう。
「ッ!」
こちらに火球を飛ばしてくるのでそれを避けながら再び氷の矢を番えて同時に
イフリートは再び炎の盾を作ろうとするが、体に地面から突如現れた氷の鎖が巻き付き動きを封じる。
「——
放たれた攻撃は、イフリートを貫く。
顔を少しゆがめながらも貫いている氷を溶かして体の再生を始める。
「……出てくるの遅くないか?」
あいつ、自分が《熱変動耐性》持ってるって忘れてないか?
そんなことを思っていると、炎の柱が散り中からリムルが姿を現した。
「!?」
「悪いな……俺に炎は効かないんだ」
倒したと思っていたリムルが現れたことにイフリートが驚き、逃げようとしたところを
「シズさんを返してもらう」
リムルが《捕食者》を使用して体が水がはじけるようにして広がっていきイフリートを包み込み捕食する。
無事にイフリートと分離できたようでイフリートがいた場所にはシズさんが倒れていた。
駆け寄り無事かどうかを確認する。
「……息はある。…………イフリートは?」
「シズさんから分離して、胃袋の中に閉じ込めた」
「そうか……とりあえずひと段落か……」
・文字通り氷でできた鎖で相手を拘束する魔法。
・節が太く頑丈であるため生半可な攻撃では壊せない。
・鎖の先が楔になっており、これにより相手を貫くことや楔を差して絡めることでより強力に拘束する。
・文字通り氷の矢。
・ドリルのように全体を捻じったような見た目で貫通力が高い。
・弓に番えて放つだけでなく、単体でも使うことが出来る。
投稿時間午前と午後ならどっちがいい(午後の場合何時かまで))
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午前
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午後 12時
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13時
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14時
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15時
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16時
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17時
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18時
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19時
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20時
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22時
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23時