以降は、出来上がり次第。順に投稿することになると思いますのでよろしくお願いします。
また、感想、評価は執筆のモチベーションになるのでよろしくお願いします。
台詞の前に空行を入れて投稿しなおしました。
第十五話 大鬼族
エレンたちがこの村を去ってから数日たった。
カイジン達の指導のもと、衣類、住居、道具作成を進め、リグルドとゴブリン・ロード達の統治体制も整いつつあった。
特にこれといった指示をせずとも、それぞれが役割をこなしてくれているため、村の発展は順調に進んでいきもはや町と言えるだけのモノになっていた。
その間、俺は定期的にリグルドから町の状況の報告を聞くくらいしか無かったため、日課に励んでいた。
まず、日の出前に起き、町の周囲をランニング。
朝の冷たい空気が肺に入り、体が目覚めていくのを感じる。
走り終えれば真剣を手に取り、ひたすら素振りを繰り返す。
刃筋が乱れることなく、空気を裂く音が分かる。
剣の稽古が終われば、弓を構える。
的は村の外れに設置してある。距離にして百二十メートル。
それに目掛けて弓を射る。
矢羽が風を切る音と共に、木製の的に深々と突き刺さった。
時には矢に魔力を込め、軌道や威力を変化させる実験なんかも行った。
午後になれば、森へと足を運ぶ。
カイジン達に頼んで作ってもらった罠や仕掛けを潜り抜けながら、飛来する矢を斬り払う、あるいは的を撃ち抜く。
最初は躱すので精一杯だったが、今では矢の雨を切り裂きながら前進できるほどになっていた。
ちなみに、午後の訓練だが、数日に一度リグルやゴブタ達も一緒にこなすことがある。
最初はすぐに脱落していた彼らも、少しずつだが対処が可能になってきていた。
「リグルさん、右から来ますよ!」
「ああ!」
模擬戦もする。
当然だが、弓は使っていない。
模擬戦では、俺が相手となり、複数人で挑んでもらう形をとる。
「ハァ!」
俺の木刀を自身の木刀で受け止めるリグルの腕は、以前よりも逞しくなっている。
戦士として成長している証だろう。
一方のゴブタは———
「うりゃあああ!」
「シッ!」
「うわあああ!」
大げさに逃げ回る割には、間一髪で俺の剣をかわしてみせる。
多少手加減しているとはいえ、相変わらず勘がいい。
恐らく天性のものだろう。
普段は怠けているように見えるが、実は結構才能があるのかもしれん。
これからも鍛えていけばいずれ優秀な戦士になっているかもしれない。
他の奴らも以前に比べれば大分マシになっている。
それこそ、最初の頃は一方的な蹂躙になっていた。
そこから少しずつ息を合わせ、集団であれば俺とやりあえるくらいにまで成長していた。
……まあ、まだ負けてやる気はないが。
「ッ!ハア!」
「「「「「ぎゃああああ!」」」」」
「弓を教えてほしい?」
エレンたちが町を発ってからおよそ一週間が過ぎたある日の午前中。
俺がいつも通り射に没頭していると、いつの間にか後ろで俺の射形を見ることが日課となっていたシズさんがそんなことを言ってきた。
「急にどうしたんです?」
「ずっと見てたらね、やってみたくなったの……それに」
シズさんは俺の横顔を見つめながら、柔らかく微笑んだ。
「シキ君の動きって綺麗だよね。一射一射がブレなく無駄がなくて、まるでシキ君が弓みたい」
弓みたい、か。
俺は苦笑しながらも、矢を番え直す。
「そうだな……俺にとって弓を射るという行為は、一つの作業のようなものなのかもしれません」
「作業?」
「……昔、理想的な射形を見たんです。以来それを真似して同じ動きを寸分の狂いなく繰り返しなぞらえる」
弦を引き絞る。無駄なく、ただ狙いを定めて放つ。
矢は風を切り、百二十メートル先の的の中心に突き刺さった。
「……ただそれだけ」
「…やっぱり、すごいよ」
矢の的中を見届けたシズさんは、小さく呟いた。
「……それで、弓を教えてほしい、でしたっけ。俺でよければ喜んで」
「ありがとう。それと別に無理して敬語で話さなくてもいいよ?」
「……ばれてたか」
言いながら俺は頭をかいた。
シズさんはくすっと笑い、そばに置いていた弓を手に取って軽く持ち上げる。
「じゃあ、これからはシキ先生って呼ばないとね」
「やめてくれ、先生なんて柄じゃない」
「ふふ、いいじゃない。私も生徒って気分になれるし」
「勘弁してくれ……」
あの後、何射か射たあと俺たちは町まで戻ってきていた。
すると、村の入り口にリグルとゴブタを含むゴブリンライダーがなにやらリムルと会話をしていた。
「おーい、リム—」
「フン!」
声を掛けた瞬間、リムルの華麗な回し蹴りがゴブタの
まあ、どうせゴブタが何か失礼なことでも言ったんだろ。放っておこう。
気を取り直して声をかける。
「リムル、なに話してたんだ」
「おお、シキにシズさん。いや今夜は宴会だからな。美味しそうな獲物を狩ってくるように頼んでたんだ」
宴会?初めて聞いた。
「けど、お前味覚ないじゃん」
「ちっちっち、甘いな。この体には味覚があるのだよ」
そういえば、シズさんの肉体をコピーしたから人間と同じように感じることが出来るのか。
「なるほどね」
「お任せ下さい!最近は、森の奥から移動してくる魔獣が多いので、獲物は豊富なんです」
「何かあったのか?」
「いえ。環境の変化によって、魔獣の移動がありますからね。大したことは無いと思うのですが」
大した事はない。とリグル言ったがそういう動物の移動なんかがある場合は、何自分より強い存在に追われたりで、移動するという可能性がある。
警戒しておくに越したことはない。
リムルの影から、嵐牙が現れる。
恐らく俺と同じ思考に至って、《思念伝達》で嵐牙を呼んだのだろう。
俺も使えるようになりたい。
「お呼びですか?我が主」
「嵐牙。リグル達と森に同行してくれ」
「何も無いとは思うけど、念の為に頼む」
「心得ました。お任せ下さい。遠慮はいらぬ。我を連れてゆけ、リグル殿」
台詞はかっこいいのだが……そう尻尾をブンブンと振っているとかっこよさ半減だな。
「悪いんだけど、雪菜お前も頼む」
「わかりました」
雪菜の頭を軽く撫でてやり、リグル達は出発していった。
その後、リムルが試したいことがあるということで俺たちはヴェルドラが封印されていた洞窟へと来ていた。
なんでも少しだけとはいえシズさん飲み込んだことでシズさんの保有する『ユニークスキル』、『
そんな簡単に『ユニークスキル』を獲得できてたまるものか。
……まあ、いい。それでこの『スキル』を試したいとことで人の目がなく、周りに被害が出ないここを選んだとのことだ。
そしてその結果がコレ。
「…なにコレ?えげつな……」
リムルの周囲を黒い炎が焼き尽くす。
リムルが以前使っていた《黒稲妻》と同じ魔素を燃料とした炎。
熱気で空気を歪め、周囲一帯すべてを焼き尽くさんをばかりにごうごうと燃え盛っている。
シズさんに教えてもらったのだが『スキル』『
だが本来の効果は別にあり、異なる対象同士をひとつのものへと変質させる「統合」と、ひとつの対象に備わる異なる性質を別のものとして分ける「分離」。
リムルはこの効果を使って自身の持っている『スキル』の統合して新しいスキルを獲得しまくっているのだ。
何というチート。
こいつを見ていると麻痺してくる。
「これも、使いどころを考えないとな」
黒い炎を消しながら、リムルはそうつぶやいた。
「そういえば、シキって今の《黒炎》もコピーできるのか?」
ふと、俺の方を見ながらそう問うてくるリムルに言葉を返す。
「俺が出来るのは、あくまで剣や槍などのモノの複製と、それを使った動きの模倣。それと魔法の複製くらいだ。お前みたいに『スキル』によるものは基本真似できない。まあ、同じような『スキル』を持っていたら真似できただろうけど」
解析自体はできているし。と、リムルに言う。
「あ、そうだ。シズさんコレ」
リムルは懐からシズさんの仮面を取り出す。
イフリートの暴走の際にヒビが入ってしまっていた。
それをリムルが修復していたのだが無事に修復出来たらしい。
「ちゃんと元通りになったよ」
「ありがとうリムルさん」
仮面を受け取ろうと手を伸ばすが途中で止めてしまう。
「…………その仮面、リムルさんが持っててくれないかな」
「え、でもシズさんの大事な物なんじゃ……」
「これは、今の私には必要ない物だから。リムルさんに持っていて欲しいんだ」
「……なら受け取るよ。大事にする」
リムルは、シズさんから仮面を受け取る。
そのまま仮面を着ける。
それにより、僅かに漏れていたリムルの妖気が、完全に消え去った。
「どうだ?」
「見た目はともかく、効果は本物だな。妖気が完璧に抑えられていいる」
「うん。似合ってるよ。リムルさん」
さて、リムルの用事は終わったようだし俺も自分の用事をやるとしよう。
そう思い洞窟内を探索しようとしていると。
『シキ様!』
俺の頭の中に雪菜からの《思念伝達》によって声が響く。
どこか、焦っているような。緊急事態を伝えるような呼びかけだった。
「どうしたの?」
「嵐牙たちの方で何かが起きた」
「急ごう」
急いで洞窟を出て雪菜達の元へと向かう。
その間に《魔力感知》が雪菜達以外の七つの反応を感知した。
「先に行く」
一言リムルたちに断りをいれて、生い茂る木々を活用しながら疾走する。
リムルたちよりも一足早く現場に付き、木の上から現況を確認する。
地面に倒れている警備班たち、そして角の生えた何者かと交戦している雪菜達。
ゴブタは刀を持った爺さんと、雪菜と嵐牙は大槌を持った大男と2本の刀を持った男。
リグルドは球体状の先端を持つ棍棒に複数のトゲが付いた武器、確かモーニングスターだったか。
それを持つ紫色の髪の人物とそれぞれ交戦している。
そして、それを支援するように木の陰に隠れている着物姿の桃髪の少女。
そして後ろで待機している赤髪の男。
「———」
静かに弓と矢を数本手に取り、一息のうちに連射する。
ここから狙えるのはリグルと雪菜たちの方だ。
「!」
放たれた矢は二十三本。
襲撃者たちはとっさに後退し、鋭い眼光でこちらを睨みつけた。
「っ!シキ様!」
「いったん下がれ」
俺の言葉に大人しく戦闘を中断して下がる雪菜達。
「ぎゃあぁーー!痛いっす!死んじゃうっすぅ!」
するとゴブタの方から悲鳴が聞こえてきたためそちらを振り向く。
どうやら爺さんに腕を斬られてしまったらしい。
「っ」
ゴブタに追撃をさせぬように矢を放つ。
爺さんは迫る矢に視線を向けずに刀で斬り落とした。
「…………」
「…………」
視線を交わし、爺さんは警戒を残したまま後退する。
「大丈夫か?」
「斬られたっす!超痛いっす!」
「落ち着け。傷は浅い」
どうやらリムルたちが到着したようだ。
俺もリムルたちのところへ降りる。
「なんだ、お前ら?」
「リムル様とシキ様じゃないですか!心配で来てくれたんすね!」
「元気そうだし、回復薬はいらないな」
「冗談っす!欲しいっす!」
ゴブタに回復薬をかけて傷を治す。
「リ、リムル様、シキ様!申し訳ありません……!」
「謝らなくていい。状況は?」
「面目ありません、まさか
「おーが?」
オーガと言えば、ゲームや物語にも度々出てくる怪物。
イメージではもっと大きな体格で野蛮な恰好をしていると思っていたのだが。
「雪菜、倒れている奴らは?」
「魔法によって眠らされています。あの桃色の髪の仕業です」
ふむ、死んではいないだろうとは思っていたが眠らされているだけとは。
先ほどの戦闘を見て、リグルたちとこいつらとの間には決定的な実力差があった。
殺すことも容易だったはずだ。
なのに眠らせるだけ、何か別に目的があると考えた方よさそうだ。
「おい、おまえら。事情はよく知らないがうちの者が失礼したな。話し合いに応じる気はあるか?」
リムルが交渉を持ちかけるが相手は口を開かずにこちらを敵意を持って睨みつけるのみ。
これは困った。相手はこちらの交渉に応じる気はないらしい。
「正体を現せ、邪悪な魔人め!」
そして口を開いたかと思えば、赤髪の男はリムルを睨みつけながらそう言う。
唐突のことに困惑する俺達。
「お、おいおいちょっと待て!俺がなんだって!?」
「とぼけるな!魔物を使役するなど、普通の人間に出来る芸当ではあるまい。見た目を偽り、妖気オーラを抑えている様だが、甘いわ!」
他のオーガたちも強調するようにさらに鋭く睨みつけてくる。
仮面をして妖気を押さえているせいで、人間にしか見えないから変な誤解を生んでるようだ。
だが、ここまでの殺気を向けられる覚えはないんだが。
「貴様の言うことなど聞く耳持たん。すべてその仮面が物語っている!」
仮面、あいつはそう言った。
その言葉は今リムルがつけている仮面のことなのか。
思わずシズさんの方を向くが首を横に振って関係性を否定する。
「同胞の無念。その億分の一でも、貴様らの首で贖ってもらおう!邪悪なる豚どもの仲間め!」
腰の刀を抜き、こちらに切っ先を向けてくる。
これは、確実に何か誤解しているな。
しかし、こちらの話を聞く気はなく戦闘態勢をとっている。
「どういたしますか?」
「どうって……嵐牙はあの桃色を相手しろ。殺すなよ。どうも裏がありそうだ」
「雪菜、お前はリグルたちを護ってろ」
「「はっ」」
「シズさん。イケるか?」
「うん。大丈夫」
それぞれ自分の獲物を手に取り前に出る。
「真勇気か蛮勇か……いいだろう。その度胸に敬意を払い、挑発に乗ってやる。——後悔するなよ」
弓の腕は自身の目の届く範囲であれば確実に当てることが出来て、高速に動いているものへの狙撃も容易。
また、普通の矢であれば機関銃のように連射が可能。一秒間に約二十発から三十発程の矢を放つことが出来る。
投稿時間午前と午後ならどっちがいい(午後の場合何時かまで))
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午前
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午後 12時
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13時
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14時
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15時
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16時
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17時
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18時
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19時
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20時
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22時
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23時