「なあ、スキル使って中から出られねえの?」
『無理だな。我のスキルは封印と共に使えなくなっている』
友達となった後、俺たちはどうにかしてこの封印をどうにかできないかと考えていた。
実は、ヴェルドラはここに封印されてからずっと体内の魔素を放出し続けているためこのままだとあと百年くらいで消滅してしまうらしい。
その漏れ出てる魔素って抑えることが出来ないのかな?とは思ったが。
それから、スライムはこの《無限牢獄》の一部を食ってから何かと会話しているようだ。
ちなみに食われた封印の一部はすぐに修復されました。
「ふむ、どうしたものかね」
(……よし、ちょっといいか?)
『む、なんだ?』
(もしかしたら、お前をここから出すことが出来るかもしれない)
『おお!本当か!して、どのような方法だ?』
(俺の胃袋に入らないか?)
『「……………………」』
まさかの提案に俺もヴェルドラも言葉を失うしかなかった。
え、なに、こいつヴェルドラに”食われろ”って言ってる?
「……え、なに、死刑宣告?」
(え、あ!違う違う!そうじゃなくて!)
リムルは俺たちに説明した。
リムルのスキルである《捕食者》でこの封印ごとヴェルドラをリムルの胃袋に格納してもう一つのスキル《大賢者》と封印の内側からヴェルドラが解析すれば《無限牢獄》を破ることが出来るかもしれないとのこと。
時間は掛かるらしいが方法はこれしかないだろう。
(それで、どうする?)
ヴェルドラにスライムは問う。
それに、ヴェルドラはなんとも楽しそうに笑い、口角をクイっと上げてスライムの方を見つめる。
『面白い!ぜひやってくれ。お前に、我の全てを委ねる!』
(そんなに簡単に信じていいのか?)
『ここで、お前たちの帰りを寂しく待つよりも、共に《無限牢獄》を破る方が面白そうだ!我とお前と、二人でかかれば『無限牢獄』も破れるかもしれん!』
なんか、仲間外れにされた感じ凄いな。
まあ、役に立てなさそうだからいいんだけど。
〔じゃあ今からお前のことを《捕食者》で食べるけど〕
『まて、その前にお前たちに”名”をやろう、逆にお前らも我ら共通の名前を考えよ。同格というのを魂に刻み込むのだ』
「俺、名前あるんだけど」
『なに、気にすることはないファミリーネームのようなものだ』
「なるほど……」
ヴェルドラと同格か……確かこの世に竜って四体しかいないんだよね。そのヴェルドラと同格ってすごいな。
(なあ、どうする?)
「そうだな……たしかヴェルドラの二つ名って暴風竜だったよな。それと因むのがいいよな」
〔暴風竜……暴風……ストームはなんか違うよな……〕
暴風……激しく吹く風。嵐。
「”テンペスト”なんてどう?」
(良いなそれ!じゃあ”テンペスト”で!)
安直すぎる気がするが……
『なに!”テンペスト”だと!良いぞ!素晴らしい!では今からヴェルドラ改め、我の名はヴェルドラ・テンペストだ!』
うおおおおおおお!と叫びながら全身で喜びを表すヴェルドラ。
頼むから声量を押さえて欲しい。ここ洞窟だから響くし、お前の叫び声で揺れるのよ。
『では、お前にはリムルの名を授ける。これからリムル=テンペストを名乗るがよい。お前もシキ=テンペストと名乗るがいい』
シキ=テンペストね。
悪くない。
『では頼んだぞ、友よ』
(さっさと《無限牢獄》から脱出して来いよ? ヴェルドラ)
「待ってるからな」
『そんなに待たせず、また相まみえようぞ。リムル、シキ』
リムルの体が水がはじけるようにして広がっていき《無限牢獄》ごとヴェルドラを覆いつくす。
そのままどんどん小さくなっていき、十秒もしないうちにさっきまでのリムルに戻った。
さっきまで騒がしかったのがいなくなったため一気にこの空間がさみしく感じる。
(さて、行くか)
「ああ」
俺はリムルの横を歩いて洞窟を共に進む。
とりあえず外に出たいな。
そうして、地上へ出るために洞窟を進み始めてかれこれ数日間。
「お、アレ出口じゃないか?」
俺たちは出口と思われる巨大な古い扉の前に辿り着いていた。
「長かった……外に出たらもうゲテモノは食わなくて済むかな……」
「シキは人間だから食事の必要があること忘れてたよな」
そうなのである。
洞窟を進み始めてしばらくした頃。
腹減ったなぁと思ったが、なんと俺は気づいてしまったのだ。
あれ、俺食べれるモノなくない?と。
「本当に、死ぬかと思った。カロ◯ーメイトがバックにあってよかったわ。マジで……」
だが、いくら少食といえどそれだけでは数日も持たない。
そのため途中から……うん、やめよう思い出すのは。
ああ、そうだ。
この洞窟の探検中に俺のスキルについては全部理解した。
俺のスキルは、『ユニークスキル』《千里眼》と《
《千里眼》は言わずとも漫画とかアニメとかでよくあるやつ。
もしかしたら昔からよく見えるなーって思ってたのはこのスキルのおかげだったのかもしれない。
もう一つの《
コイツに備わってる能力に、《解析鑑定》・《物質創造》・《完全記憶》とかがあるんだけど、これのおかげでモノを解析して自分で作り出すっていう。
ようは、F◯etの赤い外套のアー◯ャーとかと同じことができるんですよ!
まだもうニつあって、《
らしい、と言うのはですね。真似できる相手が居ないから使ったことないんですね。
うん、リムルは魔法使わないし、動きに関してはスライムの動きは真似できないから、記憶にあるアニメとかのキャラの動き先をなんとか再現して頑張ったけど。
道中の敵の殆どはリムルが倒してた。
剣か弓でもあれば戦えるんだがね。
ああ、けど途中でリムルが手に入れた《粘糸》と《鋼糸》は俺でも物質創造で作れたから使わせて貰ってる。
結構便利なんだよねこれ、スパ◯ダーマンみたいなことできて楽しい。
……けど、こうして見るとなんか俺の特技が全部スキルになったようなんさ感じなんだよな。
昔から一度見たことは忘れたことなかったし、他の人の真似とかするのめっちゃ得意だったし。
そうだ、あと身体能力がものすごく上がってる。
前だと考えられないような距離ジャンプ出来るし他にも力とかが上がってる。
関係あるかは分からないけど、リムルが言ったんだけど俺を《大賢者》で解析したところ体内にある魔素量が膨大らしい。
それが影響してんのかな。
それで、今の俺の身体ステータスをF◯et風に表すと。
・筋力:B
・耐久:C
・敏捷:C
・魔素:B
・幸運:C
多分こうなるかな、多分。
あと、リムルは途中でコウモリを捕食して《超音波》のスキルを手に入れたので喋れるようになった。
それと、途中で俺、服を着替えました。
流石に制服のままだと動きづらかったし、物質創造で記憶の中の服なんとか作りました。
俺が持ってた、黒のズボンと白のシャツにお気に入りの丈の長い紺色パーカーを上から羽織っただけのラフな格好。
やっぱり慣れてる格好って良いよね。
ちなみに元人間であるリムルは羨ましそうに俺のことを見てたな。
「錆びてるけど、ちゃんと開くのか?」
「開かなかったら壊すしかないだろ」
とりあえず開けないことにはどうしようもないと思い扉に近づこうとすると、《魔力感知》に三人くらい引っかかった。
「リムル隠れるぞ」
近くの岩陰に姿を隠す。
軋む音を立てながら扉が開いていく。
「ふぅ……やっと開きやした……たくっ、鍵穴まで錆び付いちまって……」
「三百年も手入れされてなかったからな……仕方ないさ……」
「でも、”封印の洞窟”を調査しろだなんて、ギルドマスターも無茶振りよねぇ……」
程なくして扉が開かれ、男二人と少女一人の計三人の人間がそう話しながら入ってくる。
話を聞いているかぎり、どうやら冒険者らしい。
他にもギルドとかなんとか気になること言ってるけど。
この世界に来て初めての人間のため話しかけてみたいが、三百年誰も入った形跡のない洞窟に人がいたらおかしいと思いそのまま見送ることにした。
すると、 やせ気味の男が何かしたのか急に三人の姿がぼやけていき薄っすらと見える程度に透ける。
そのまま、洞窟の奥へと入っていた。
「なんというドリーム技術!!覗き見し放題……後で友だちになる必要がありそうだ」
「……どうやら付き合いかたを考える必要があるらしい」
「はっ!?い、いや、別にヤラシイ気持ちはないぞ!」
(嘘つけ……あと、この前まで女と勘違いしてたの忘れないからな)
俺たちは開かれた扉から外の世界へと飛び出した。
「うっ、眩し……」
数日ぶりの日差しが眩しく、目を細めてしまう。
「うわぁ、ここ森の中だったんだな」
洞窟は、森の中にあったようだ。
小高い丘という程度の山の麓に、ぽっかりと口を開けていた。
小鳥の囀り、動物の鳴き声、葉が風で揺れるザワザワとした音。
「とりあえず歩くか。どうせ当てのない旅だし……」
「町か村には行きたいな」
何気にこういう森に入るのは人生初のため少しワクワクしている。
…………のだが。
(なんか、初めて見た気がしないというか…………)
そんなもやもやとワクワクを抱えたまま、あてもなく森の中を進んでいく。
道中見たことがない動物や虫なんかがいたが少し近づこうとしただけで逃げてしまった。
なんか怯えたような感じだったが。
「ん……まあまあかな」
木に林檎がなっていたため鋼糸で枝の細い部分だけ切り落とした。
「羨ましい……」
「味覚がないんだからしょうがないだろ」
林檎をかじりながら歩いていく俺。
「てか、さっきからなんか避けられてない?」
「そうだよな、なんでだろ?」
そんなことを話しながら歩いていると《魔力感知》が何かの集団を探知した。
数にして約三十人ほど。
「あ~なんかこっちに来てるぞ」
「え、マジで?……ホントだよく気付いたな」
「逆になんでわかんないんだよ…」
そんなこんなで俺の目の前にわらわらと、肌が緑色の人型のどっからどう見ても魔物が現れた。
小柄な体躯、粗末な装備、薄汚れて、知性に欠ける表情。それでも、知性が無い訳ではないのだろう。剣や盾、石斧や弓、棍棒まで装備しているヤツもいる。
こいつらは恐らくだが、”ゴブリン”だろう。
ゲームとかでは大抵出てくる低級モンスター。
「グガッ……強キ者ヨ……」
(おお、喋った。こういうのは大抵喋れないのがレギュラーなのに)
「コノ先二、ナニカ用事ガ、オアリデスカ?」
(俺が話しかけてみる)
(わかった)
「はじめまして!俺はスライムのリムルという」
「「「「……ッ!?」」」」
ドォォォンッ!!
リムルが気軽にそう名乗った瞬間、周りのゴブリン達が一斉に腰を抜かし、必死に頭を抑えてうずくまる者や首こうべを垂れる者が出てくる。
「……やったなお前…」
「あ、あれ?」
「グガッ、強キ者ヨ! アナタ様ノお力ハ十分ニワカリマシタ!!! 声ヲ沈メテ下サィ!」
リムルが大声を出すせいでゴブリンたちは萎縮してしまっている。
(えっと……思念が強すぎたか?)
(今度は抑えて喋ってみれば?)
「あぁ~、おほん……すまんな、まだ上手く調整できなくて……」
「オ、オソレオオイ……我々二謝罪ハ不要デス!」
言葉は通じているが、怯えているのは変わらない。
何故だろうか?
「俺達に何か用か?この先に用事なんかないが?」
「左様デシタカ。コノ先ニ、我々ノ村ガ在ルノデス。強力ナ魔物ノ気配ガシタノデ、警戒ニ来タ次第デス」
(強い魔物?……もしかして…………)
もしかして、と思い隣にいるリムル=テンペストという名前のスライムという魔物を視る。
…………あ~やっぱり。
「強い魔物の気配?俺の《魔力感知》には引っ掛からなかったけど……」
「グガッ、グガガッ。ゴ冗談ヲ! ソノヨウナお姿ヲサレテイテモ、我々ハ騙サレマセンゾ!」
「あ~リムルその、な」
「強キ者ヨ、我ラノ村二オ越シクダサイ!」
リムルに言おうと思ったらゴブリンの村に行くことになって言いそびれてしまった。
『ユニークスキル』
・《千里眼》
彼が生まれた時から持つ「世界を見通す眼」
これは、文字通りの視力的なモノだけではなく感覚的ではあるが相手の感情すら見通すことが出来る。
・権能:思考加速・並列演算・森羅万象・弱点看破
投稿時間午前と午後ならどっちがいい(午後の場合何時かまで))
-
午前
-
午後 12時
-
13時
-
14時
-
15時
-
16時
-
17時
-
18時
-
19時
-
20時
-
22時
-
23時