転移したら異世界だった件~~新たな神話   作:izuki

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第三話 ゴブリンの村

 俺たちはゴブリンたちに案内されて村にやってきたのだが。

 

「ボロい……」

「ああ、ヴェルドラの鼻息で吹き飛びそうだ」

 

 その村は、あまりにもボロボロだった。

 家は腐ったような藁の屋根で、隙間だらけであり、ベニヤ板を重ねただけのような壁。

 建築家がいたら酷評するであろう。

 俺達はその中でもまだマシな建物に案内され俺達は藁でできた敷物の上に座らされ、緊張した面もちの女のゴブリンが水の入った木のコップを用意してくれる。

 

「ど、どうぞ」

「あ、どうも」

 

 そういえば外出てからは水を飲んでなかったな。

 洞窟内ではリムルが出してくれた水を飲んでたから脱水症にはならずに済んだが。

 そんなことを思いながら水を飲んでいると隣のリムルがこちらをじっと見ていることに気づいた。

 

「……なに?」

「いや、綺麗な飲み方だと思ってさ、茶道とかやっていたのか?」

「いや、剣道と弓道くらいしかしてなかったけど……」

「へーそうなのか。じゃあ生まれ持った才能ってことかな」

「………………まさか見惚れてたとかじゃないよな…?」

「そっ、そんなわけないじゃないですか~~」

「どうだか……俺を女と見間違えるくらいだからな」

 

 昔、似たようなことを言われたし。

 そんなに女に見えるかね。

 

「お待たせ致しました。お客人。」

 

 赤バンダナゴブリンが杖を着いた、ヨボヨボのお爺ちゃんのようなゴブリンを連れて中に入ってくる。

 てか、さっきよりも言葉が流暢に聞き取れる。

 なんでだろ?まあ、いいか分かればそれで。

 

「私はこの村の村長をさせていただいています」

 

 お爺ちゃんゴブリン改めゴブリン村長はそう言いながら、俺達と向き合うように地べたで正座し赤バンダナゴブリンも村長から一歩下がった位置で同じように正座する。

 俺も姿勢を正して向き合う。

 

「それで?俺達に何の用件ですか?」

 

 隣で水をグビグビと飲みながら村長に問うリムル。

 

「実は、最近、魔物の動きが活発になっているのはご存知でしょうか?」

「ああ、それはここに来るまでに聞いた」

「我らが神が、この地の平穏を守護して下さっていたのですが、ひと月程前にお姿をお隠しになられたのです……その為、近隣の魔物が、この地にちょっかいをかけ始めまして……我々も黙ってはいられないので、応戦したのですが、戦力的に厳しく……」

 

 一か月前、我らが神……多分ヴェルドラのことかな?

 なるほど、話が見えてきたぞ。

 

「要は、俺たちに助けてほしい。と」

「…その通りでございます」

「でも、自分スライムですし、期待されているような働きは出来ないと思うのですが?」

「ははは、ご謙遜を!ただのスライムに、そこまでの妖気は出せませんよ!」

 

 あ、言うの忘れてた。

 

(あ~リムルさんや、めっちゃ妖気漏れてるぞ)

(え、マジで!?……ホントだダダ漏れじゃん!わかってたなら教えてくれよ!)

(いや、ごめん。言うの忘れてた)

「ふふふ。流石は村長、わかるか?」

「勿論でございますとも! そのお姿でさえ、漂う風格までは隠せておりませぬ!」

「そうか、分かってしまったか。お前達はなかなか見所があるようだな!」

 

 すぐに、自分からでている妖気をシュッと引っ込むようにして抑えるリムル。

 なかなか器用にするものだ。

 

「おお……我々を試されていたのですね!助かります。その妖気に怯える者も多かったもので……」

「そうだな。俺の妖気を見ても怯えずに話しかけて来るとは、見所があるぞ!」

(お前、何様だよ)

 

 すると、村長とゴブリンは互いにコクと頷くと土下座の体勢になり話を始める。

 

「お願いです。何とかお聞き届けて貰えませぬでしょうか?」

 

 村長の言葉にリムルは一旦俺に視線を向け、俺は小さく頷きながら瞳を閉じる。

 

 「内容次第だな……言ってみろ」

 

 村長は話し始める。

 一か月前、この森の守護神が消え、東の地から、この地の覇権を狙って新参の魔物が押し寄せて来た。

 この周辺には幾つかのゴブリンの集落があり、この集落はその内の一つなのだがその新参の魔物との小競り合いでゴブリンの戦士が多数戦死したのだそうだ。

 戦士の中には、その中に名持ちの戦士もいたらしく。

 この村の守護者のような存在だったのだが、その存在を失った事でもうまともに戦える存在がいないらしい。

 

「なるほど…で、この村には何人住んでいる?その内戦える者は?」

「はい、この村は百匹くらい住んでます。戦えるのは、雌も合わせて六十匹くらいです。」

「相手の戦力は?」

「狼の魔物で、牙狼族です。本来、一匹に対し、我々十匹で対応しても勝てるかどうか…それが、百匹ほど……」

「人数差がありすぎる。絶望的だな」

 

 しかも、戦えるといってもそのうちのほとんどが武器も持ったこともない奴らばかりだろう。

 

「……なぁ。牙狼族の二百匹程ってのは確かなのか?」

「はい……”リグル”が死闘の末に掴んできてくれた情報です……」

「リグル?」

「リグルは私の自慢の息子でした……」

「すまない。悪いことを聞いた」

 

 如何に弱肉強食の世界といえど息子を失ったのは辛かっただろう。

 俺はリムルとアイコンタクトを取る。

 どうやら、考えていたことは同じのようだ。

 

「村長、一つ確認したい。俺達がこの村を助けるならその見返りはなんだ?お前達は俺達に何を差し出せる?」

 

 正直、見返り何てなくてもいい。

 体裁上、聞いているだけだ。

 

「我らの忠誠を捧げます、我々に守護をお与えください!さすれば私たちはお二人方に忠誠を誓いましょう!」

「はい、誓いましょう!」

 

 ああ、ならいい。

 

『ウオォォーーーン』

 

 狼の遠吠えが聞こえてくる。

 狼の遠吠え、その理由は諸説あるが、人間を避けるためと言われているのが一般的だ、だがこの場合の遠吠えの意味は違うだろう。

 

「が、牙狼族だ!」

「ヤバいよ!俺たち全員皆殺しだ!」

「お終いだ!食われちゃうよ」

「に、逃げようよ」

「逃げるって言ってもどこに逃げるんだよ!逃げ場なんてないよ!」

 

 外にいたゴブリンたちが騒ぎ出した。

 俺たちは外に出る。

 ゴブリンたちの顔には恐怖や絶望が見えていた。そんなゴブリンたちに村長は落ち着かせようとする。

 

「騒ぐな、落ち着け」

 

 俺は声を上げた、その横では俺と同じことをしようとしていたのか叫ぼうとするリムル。

 悪い、先を貰ったぞ。

 

「怯える必要はない。これからこっちが倒す相手だ」

「!?そ、それでは!!」

 

 俺たちはゴブリンたちの前に立ち宣言する。

 

「お前たちの願い暴風竜ヴェルドラに変わり俺、リムル=テンペストと」

「俺、シキ=テンペストが聞き届ける」

 

 

 

 

 

 などと言ったものの、完全ノープランなためこれからどうするかを考える。

 

「怪我している奴らはどこにいる?」

「こちらです」

 

 村長の案内の元、怪我をしたゴブリンたちが居る家へと案内された。

 

「結構多いな」

 

 横になっているゴブリンたちを見て言う。

 数としては約四十人ほど、だがそのすべてが瀕死であり胸から血を流すもの、腕や足が欠損している物がほとんどであり、このまま何もしなければすぐに死んでしまうだろう。

 

「できるだけ手当てはしたのですが……」

「この怪我じゃ延命程度にしかなってないか。リムルどうにかならないか?」

「ちょっと待ってくれ」

 

 リムルに聞くと少し考え始める。

 リムルの『ユニークスキル』である《大賢者》と会話しているようだ。

 こういう時に聞ける相手がいるのは便利だよなあ。

 俺のスキルは作ることと真似することしかできないし。

 少し話し込んでいたリムルだが突然動いたかと思うと寝ているゴブリンに近づき飲み込んでしまう。

 

「!?リムル様、何を!?」

「考えがあるんだろ、見てよう」

 

 飲み込んだゴブリンを吐き出した。

 吐き出されたゴブリンは傷が完全に塞がっている。

 

「!?傷が塞がっている!?」

 吐き出されたゴブリンは痛みが消えたことに驚きながら起き上がり、村長はそのゴブリンの傷が癒えていることに驚きの声を上げる。

 

「へえ、治療なんてできたのか」

「洞窟内で食ってたあの草覚えてるか?あれを完全回復薬(フルポーション)にして胃袋にため込んでたんだ。それを使った」

 

 ああ、あれか。たしかヒポクテ草だったけ。

 結構重要な役割を持つものだったんだなアレ。

 なんとなくで食ってるのかなって思ってたわ。

 

「じゃあ、ここは任せる。俺は迎撃の準備をする」

「ああ、任せとけ」

 

 俺は家から出て外にいるゴブリンたちに指示をする。

 

「今から迎撃の準備をする。この村にある武器があるところに案内して欲しい。それと防壁を立てるために丸太を集めてきてくれ、時間は無いぞ!」

「は、はい!」

 

 俺の指示を聞いてそれぞれ動き始めるゴブリンたち。

 赤いバンダナのゴブリンが村の端の方にある小屋に案内してくれた。

 

「これで、村の武器は全部?」

「はい……」

「そうか……」

 

 目の前にある武器がこの村にある武器全てだという。

 とてつもなく少ない。少なすぎる。

 剣が二本、弓が一個に矢はたったの五本、石槍が四本、棍棒が三本。

 矢を含めずに合計十本程。

 しかも剣に関しては刃がほとんど欠けている。

 これじゃあ、使い物にならない。

 

「さて、始めるか」

 

 これらの武器。俺のスキルの実験台にはちょうどいい。

 

「解析」

 

 剣を一本手に取って解析する。

 頭の中にその剣の構造や構造材質などの情報が入ってくる。

 それらは俺のスキル《完全記憶》に記録され決して忘れることはない。

 うん、刀身自体は刃が欠けているだけだ。芯にダメージがあるわけじゃないこれなら《物質創造》で修理可能かもしれない。

 目を閉じて、俺は『ユニークスキル』《模倣者(マネルモノ)》を使用し剣を修復に集中する。

 ………………よし、修理完了。

 

「おお!剣が新品同然に!」

「上手くいったな」

 

 感覚は大体分かったため二本目は手に持つだけで修復する。

 それともう一つ。

 

「……投影、開始(トレース・オン)

 

 先ほど修理した剣を改めて解析、記憶し、複製する。

 掛け声はなんとなく、同じこと出来るなら言いたくなるよね。

 

「おお!修復だけでなく作り出すことも!」

「この調子で残りも作る。その間に丸太を集めに言った奴らを見てきてくれ」

「わかりました!」

 

 バンダナゴブリンが小屋を出る。

 さて、始めるか。

 剣は最初に複製したのを含めて新しく十本ほど複製。

 弓も同じく十本くらい、矢は十万本ほど。

 石槍は先ほど解析した剣の刀身を利用してして石から鉄の槍にアップデートして十本ほど制作。

 棍棒に関しては破損個所の修復だけする。

 

「よし、こんなもんで良いだろ」

 

 こちらの戦力六十人といってもその中には戦えないやつだっているはず。

 ならば全部で四十本もあれば十分なはずだ。

 丸太集めをしているグループのようすが気になり、小屋を出る。

 外ではゴブリンたちが集めてきた丸太をリムルの指示のもと縄でつなぎ合わせていた。

 

「終わったのか?」

「ああ、武器の方は問題ないだろう。そっちの状況は?」

「見ての通りだ、さっき森から新しくとってきた丸太と家を崩して集めたので何とか足りるだろ」

 

 確かにこの量なら問題ないだろう。

 だが、あんまり時間は掛けてられないな。

 俺は結ぶ作業をしているゴブリンに近づき手伝いを始める。

 

「手伝う。あまり時間は掛けてられないからな」

「あ、ありがとうございます!」

「それ、結び方をこっちに変えたほうが良い。こっちの方が強度が上がる」

「わ、わかりました!」

 

 決戦の時は近い、だがこの調子なら何とか間に合うだろう。




『ユニークスキル』

・《模倣者(マネルモノ)
 自身の見たモノを解析、記憶、保存し自分のモノとして本物と見分けのつかないほど精巧にマネをするスキル。
 武器であれば解析鑑定と物質創造により本物と見間違うほどの贋作を精巧に作り出す。
 また物質創造を応用して壊れたモノの修復や改造なども可能。
 技能的な面であれば技術複製(アーツコピー)により複製(コピー)した人物には及ばないもののそれにほぼ近いレベルで同じ動き、同じことが出来る。
 ただし『スキル』を応用した技術(アーツ)は自身がその『スキル』を保有していないと再現不可能。
 魔法に関しても同じく魔法複製(マジックコピー)により威力は少し落ちるが同じ魔法を放てる。この際、複製(コピー)した魔法の詠唱などは必要なく、魔法の改造なんかもできる。
 またこれらのスキルで解析した魔法や技術は完全記憶により記録されるため永遠に自身のものとして扱うことが可能である。
・権能:解析鑑定 ・魔力操作・物質創造・完全記憶・技術複製(アーツコピー)魔法複製(マジックコピー)

投稿時間午前と午後ならどっちがいい(午後の場合何時かまで))

  • 午前
  • 午後 12時
  •    13時
  •    14時
  •    15時
  •    16時
  •    17時
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