転移したら異世界だった件~~新たな神話   作:izuki

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第七話 武装国家ドワルゴン 

 徒歩であれば二ヶ月かかるところをたった三日でたどり着いた俺たちは、今ドワルゴンに入国するための行列に並んでいた。

 ただ、一緒に並んでいるのはリムルとゴブタのみ。

 何故かというと、あまり大型の魔物を連れて行くと怖がられる可能性があるからだ。

 そのためリグル達には近くの森林で待機するようにお願いしている。

 まあ、スライムとゴブリンとはいえ魔物を連れている人間というのも警戒されるかもしれないが、その時はその時だ。

 

「それにしても進むのが遅いな。それだけ厳しく検閲してるということか」

「ハイっす、でも中に入った後は自由に動けますけどね」

「ならいいが」

 

 俺たちが並んでいるのは、天然の大洞窟を塞ぐように設えられた大門の下に設置されている小さな出入り専門の扉。

 二つあり、俺たちが並んでいるのは左側。

 右側は貴族等のお偉い方々御用達の通路なのだろう。多分。

 ちなみにリグルドに聞いていた話では、大門が開くのは軍の出入りの際のみであり月に一度の頻度であるそうだ。

 

「おいおい、魔物がこんなところにいるぜ?」

「……ん?」

 

 そんなことを考えていると、後ろからガラの悪そうな声が聞こえたため振り返ると案の定、世紀末世界に居そうな髪したやつが二人いた。

 実に面倒くさい。

 どうやってやり過ごそうかな。

 

「おい! 雑魚い魔物、こっち無視してんじゃねえよ!」

「ってゆ〜か、喋るスライムって、レアじゃね? 見世物として売れるんじゃね?」

「確かに、おい()()()()そのスライム俺らに売ってくれる?てか、俺らと遊ばない?」

 

 そういいながら男の一人が懐から一つの短刀を取り出して見せつけてくる。

 こういうところとか、本当に小物臭い。

 けど、そっかあ、()()()()。かぁ。

 ………………………………

 …………………………

 ……………………

 ………………

 …………

 別に女に間違われること自体はもうこの際いいんだけどさ。うん。

 ナンパとかさ、趣味悪いよね。うん。

 

(……なあ、リムル)

(ん?なんだ?)

(こいつらさ……少し、殺してもいいよな?)

(!?いいわけないだろ!?てか少し殺すってなんだよ!?)

(そりゃあ、手足切り落としたり、眼球えぐり——)

(わーーーーーー!言わなくていいから!俺がするからお前は大人しくしとけ!)

「……チッ…」

 

 大人しくリムルに従ってゴブタと一緒に少し離れることにする。

 なお、ゴブタには目を瞑り、耳をふさぐように指示した模様。

 多分だが、ルールを決めた俺達が真っ先にルール違反していると思われるのが嫌だったのだと思われる。

 ………………そうだ弓は出しておこう。いつでも射貫けるように。

 まあ、今やると確実に頭を打ち抜く……いや吹き飛ばすだろうけど。

 

「おいおい!順番は守れよ!俺は寛大だから、今なら許してやる。さっさと失せな!」

 

 リムルが安い言葉で相手を挑発した。

 ここで冷静な人ならこのあからさまな挑発には反応しないが、二人組みは一瞬きょとんとなってから一気に顔を真っ赤にさせた。

 

「クソ雑魚の魔物のくせしやがって…舐めてんじゃねーぞ!」

 

 こういうタイプは挑発することには慣れているが、されると弱いタイプだ。

 案の定、挑発に乗ってしまっている。

 リムルのやり方で正解だ。

 

「クソ雑魚の魔物?それは俺の事か?」

「てめーに決まってるだろうが!スライムなんざ雑魚中の雑魚だろうよ!」

「さっさとこっちに来い。しゃべれるようだし、殺さずに魔物の奴隷にしてやるよ!」

 

 魔物の奴隷?そんなのもあるのか、覚えておこう。

 てか、リムル。

 雑魚雑魚言われてお前も若干キレてるよね。

 俺のこと言えないよね。

 

「ククク、いつから俺がスライムだと勘違いしていた?」

「ああっ!違うってんならさっさと正体を見せな!」

「なら見せてやろう!この俺の真の姿を!」

 

 二人組が襲い掛かって来た時に、リムルは黒い霧に覆われてその姿を変える。

 

「なっ…!?」

「どうだ?これが真の姿だ」

 

 どうやら、《擬態》のスキルを使用して牙狼族に変身したようだ。

 だけど、最初に見た時と姿が違う。

 嵐牙のようだが額の角が2つある。

 

(解析鑑定っと)

 

 ふむ、どうやら嵐牙狼族(テンペストウルフ)が進化した”黒嵐星狼(テンペストスターウルフ)”のようだ。

 てか、なんで進化してんの?まあ、いいや。

 けど、リムル気づいてないな。

 変身したのはいいけど魔素を仕舞い込んでいるせいでスライムだった時と気配が変わっていない。

 

「ハッタリだろ?見た目だけ厳つくしてもスライムはスライムだぜ!」

「おい、お前らも来い!五人でやっちまうぞ!」

 

 案の定、こいつらは相手の力量を測れずに仲間を呼んでリムルに攻撃を開始する。

 戦士は、ショートソードによる切り込みを。

 剣士は魔法を唱えカマイタチによる斬撃を。

 重戦士は、おそらく『スキル』による戦斧による一撃を。

 魔法使いは、火球による魔法攻撃。

 僧侶はリムルからの攻撃にそなえ、魔法の防壁を構築している。

 

(パーティーとしては悪くないんだろうけどな)

 

 相手が悪かったとしか言えんな。

 リムルに当たった瞬間それらは全て砕け散っている。

 黒嵐星狼の体毛がそんなちんけな攻撃を受け付けないようだ。

 ……あ、そうだ。《魔法複製(マジックコピー)》使っておこう。あの火球と魔法防壁は使えそうだし。

 コピーしてから、そろそろ俺も援護とかした方がいいかな。と思いリムルの思考を視る。

 

(あ、まずいかも)

 

 次にリムルがしようとしてることが視えた俺は、すぐにその場から離れて気配を全力で消して身を隠す。

 次の瞬間。

 

「ウォーーーーーーーーーーーン!!!」

 

 狼の遠吠えがあたりに響き渡った。

 リムルが黒嵐星狼(テンペストスターウルフ)の『スキル』の一つである《威圧》を使用したのだ。

 だがあのバカはあろうことか加減せずに使用した。

 その結果、五人組はおろか、列に並んでいた人たちも大人数巻き込んだ。

 並んでいた人たちは逃げたり失神したり、錯乱したり、もうめちゃくちゃである。

 その光景に頭が痛くなる。

 

「……あんのバカ……」

 

 その後リムルたちは異変を察知した警備兵のドワーフにゴブタと一緒に連行されていった。

 その時に俺がいないことに気づいたようでなにやら愚痴を言っていたが、そんなの知らない。

 俺は、リムルたちが連行されたのを確認した後。

 しれっと出てきて、その場をなだめるために残ったもう一人に警備兵の人の手伝いを少しした後に簡単に入国できた。

 

 

 

 

 

 

 牢屋の中には縄で縛り上げられながら、鼻提灯を作り熟睡しているボブ・ゴブリンが一匹と、今回騒動を起こしたスライムが一匹。

 

「よお、調子はどうだ?」

「調子はどうだ?…じゃねえ!一人だけ逃げやがって!」

「それは言いがかりだな。あの惨劇を引き起こしたのは俺じゃなくてリムルだ、俺は何もしていない。それに俺はお前が起こした惨劇の後始末までちゃんとしてきた」

「ぐぬぬ!」

 

 入国の際に門番の人に客観的に騒動の経緯を話してから、知り合いのスライムが連れて行かれた留置所に案内をしてもらった。

 

「まったく、やれやれと言うべきかな。まさかあんなところで《威圧》を使うとはね。もう少し考えてから使いたまえ」

「ぐぬぬぬぬぬぅ!」

 

 俺がここぞとばかりにリムルを煽っていると後ろの方からドタドタと足音が聞こえてくる。

 なにかあったのかと思い後ろを見ると大慌てで走ってくるドワーフがここの監視をしていたドワーフ。

 たしか、カイドウさんだったかな。に深刻な表情で伝える。

 

「隊長、大変だ!鉱山でアーマーザウルスが出て、鉱山夫が何人も怪我を負ったそうだ!」

「何だと!で、アーマーザウルスは?」

「すでに討伐隊が向かったから大丈夫だと思います!それより、魔鉱石の採掘のために奥まで潜ってたガルムたちが大怪我を!」

「回復薬は?」

「それが、怪我が酷い上に回復薬も戦争の準備の為とかで殆ど備蓄がありません!」

「くそ!あいつらは俺の兄弟みたいなもんだなんだ……」

 

 兵士が鉱山で起きた事故が起きて必要な回復の手段がない状況のようだ、カイドウはなんとか救う方法がないかと考えている。

 

(どうやら、まずそうな状況だな)

(そうだな、回復薬あげるか。迷惑かけちゃったし)

 

 リムルは牢屋の中にあった樽に回復薬を満タンまで入れる。

 俺はカイドウさんの肩をたたいて声をかける。

 

「カイドウさん。それなら俺たちが役に立ちそうだ」

「何だ? 今取り込み中だ!って、おい!何勝手に出てんだお前!」

「まあ、まあ、それどころじゃないんでしょ?あれ、必要なんじゃないですかね」

 

 牢屋の鉄格子の隙間から出てきたリムルは中にある樽を器用に指をさす。

 それを見て、鍵を開けて樽の中身を見るカイドウさん。

 

「これは……」

「回復薬ですよ。飲んで良し!かけて良しの優れもの!」

「この回復薬の効果は保証できます瀕死の重症をこれで治したこともあるので」

 

 勝手に牢を抜け出したリムルに呆れながらも、ジッとタルの中身を見つめるカイドウさん。

 きっとどうするかと悩んでいるのだろう。

 保証できると言っても、スライムと素性の知れない人間の証言だ。

 信じきれるものじゃない。

 

「旦那の兄弟分、このままじゃヤバイんでしょ? 他に打つ手がないんじゃ、とりあえず試してみちゃあどうです?」

 

 苦虫を嚙み潰したようなしかめっ面をして、迷っている時間は無いと思い至ったらしい。

 何かを決心した顔をしてから、樽の蓋を勢いよく叩き閉め担いだ。

 

「お前ら、ここからでるなよ!おい!行くぞ」

「隊長魔物の言うことを信じるんですか!?」

「時間がねえ!さっさと案内しやがれ!」

「俺もついていきます。何か役に立てるかもしれません」

 

 なんとなく嫌な予感がしてカイドウさんたちについていくことにする俺。

 そういえば、ここの牢屋の警備誰もいなくなってしまうがいいのだろうか?

 緊急事態だからいいのかね?

 それとも人がいないのか。

 そういえば、戦争の準備とか言ってたしな。それで人手が足りないのだろう。

 まあ、いい。

 今は目の前のことに集中。

投稿時間午前と午後ならどっちがいい(午後の場合何時かまで))

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