転移したら異世界だった件~~新たな神話   作:izuki

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第八話 ドワーフの鍛治師

 あの後、俺はカイドウさんについていき、負傷したドワーフたちが安置されている所へ赴いた。

 端的に言うなら鉱山夫たちの状態はとても酷かった。

 このままでは命を落としてしまうであろう状態で、一命を取りとめたとしても今後生きていくのに苦労するであろう。

 そんな状態だったが、リムル特性の回復薬を少し掛けると傷や欠損個所はすぐに再生して元に戻った。

 それを見たカイドウさんたちは驚愕していたな。

 リグルドたちも驚いていたし、もしかしたらここまでの回復薬は珍しいのかもしれない。

 これで終わりかと思っていたら、そこに負傷した討伐隊の兵士が何人か担ぎ込まれてきた。

 まだ軽傷だった奴に何があったか聞くと、アーマーザウルスがもう一体現れたため討伐に苦戦しているとのこと。

 それを聞いた俺はすぐに鉱山の場所を聞いて現場に急行し、二匹のアーマーザウルスを仕留めて戻ってきた。

 ちなみに初戦闘だったけど案外サクッと殺れた。

 

「———というわけだ」

「なるほど、結構大変な状況だったんだな」

 

 ということを牢屋のリムルに説明していた。

 カイドウさんは報告とドワーフたちは事情徴収があるとのことで、俺だけ早く戻ってきたのだ。

 リムルは暇だったのか粘糸であやとりして遊んでた。

 ちなみに中でつるし上げられてるゴブタはお仕置き中らしい。

 よくその状況で寝れるな……

 しばらくすると複数の足跡が聞こえて、部屋に入って来るなりカイドウさんと後ろに立つ三人の鉱山夫が頭を下げてきた。

 

「助かった!ありがとう」

「あんたが、薬をくれたんだってな!ありがとよ!」

「腕が千切れかけてて、生き残れても仕事なくなるとこだった…ありがとう!」

「………」

 

 感謝を述べてくるカイドウさんと鉱山夫三人。

 いや、正確には一人は喋ってないけど。

 話すのが苦手なのか、それとも喋れないのか、嬉しそうにコクコクと頷いている。

 お礼を言った後、三人は帰って行った。

 その後、カイドウさんが牢屋のカギを開ける。

 

「釈放すか」

「勿論だ」

 

 この一件で俺たちを信用してくれたのかリムルを釈放してくれた。

 釈放されたあと、カイドウさんは俺たちにお礼をしたいと言ってくれた。

 そのときに俺たちは事情を説明して村に来てくれる技術者を紹介して欲しいと頼んだ。

 カイドウさんは快く引き受けてくれて、知り合いの鍛冶師を紹介してくれると言ってくれた。

 

 翌日、カイドウさんの案内で知り合いの鍛冶師さんのもとに案内して貰っていた。

 その道中、街を見ていたが俺たちの村よりも遥かに文明的で、家は基本木造ではなく鉄またはレンガなどでできている。

 街の機械は蒸気機関で色々と動かしている様子で、至る所に鉄パイプが張り巡らされている。

 これくらいの技術をうちの村にも取り入れたいものだ。

 

「ここだ」

 

 カイドウさんに案内されて鍛冶師の店の中に入る。

 中に入ってまず目に入ったのは壁に掛けられていた武器たちだった。

 

「おおっ、光ってるな!」

「今から会う鍛冶師がアレを打ったヤツだよ」

「へえ……」

 

 リムルはどうやら刀身が淡く光っている剣に目が行ったようだが、それ以外の武器たちも素晴らしいもので。

 村にあったあのなまくらをよく知っている俺からすると、どれもこれも素晴らしい作品だらけだ。

 

「兄貴、いるかい?」

 

 カイドウさんが奥の方へ入っていくのでついていくと、金属と金属同士がぶつかり合ういい音が聞こえてくる。

 奥の部屋に入るとそこは鍛冶場でものすごい熱気が漂っていた。

 

(熱変動耐性exがあってよかった)

 

 なかったら物凄い熱かっただろうな。

 鍛冶場では鉄を打っているザ・鍛冶師という感じのドワーフが居た。

 

「カイドウか少し待ってくれ」

「カイジン、俺の兄貴だ」

 

 この人が俺たちに紹介してくれる鍛冶師の人のようだ。

 

「「「あ!」」」

 「ん?」

 

 声がした方を見ると、昨日助けた三人組が驚きの声を上げてこちらを見た。

 この三人、昨日俺たちが助けたあの鉱山夫たちだった。

 昨日カイドウさんから教えてもらったが、この三人はドワーフ三兄弟。

 長男ガルム、次男のドルド、三男のミルドというそうだ。

 

「あ?スライム?何だ?お前達知り合いか?」

「カイジンさん!この人たちっすよ!昨日俺達を助けてくれた!」

 

 剣を鍛造しているこのドワーフの鍛治師さんは、どうやらカイジンさんというらしい。

 この人がこの店の主人なのだろう。

 どうやらこの三人はこの人に昨日のことを話していたらしい。

 

「そうだったのか、礼を言う。すまんが今ちょっと手が離せなくてな」

「気にしないでくれ」

「こちらこそ邪魔をして申し訳ない」

 

 わざわざ礼を言うために作業を止めてこちらに頭を下げてきた。

 よほど義理堅い人のようだ。

 

「それで、どうして何の用で?」

 

 カイジンさんにカイドウさんが手短に状況を説明してくれた。

 俺達も少し補足して、会話はスムーズに進んでいった。

 

「話は分かった。だが、すまん。今ちょっと立て込んでてなぁ………どこぞのバカ大臣が無茶な注文をしてきてなぁ………」

「無茶な注文?」

「ああ……」

 

 話を聞くと、どうやら今週末までに特殊な素材を使ったロングソードを二十本納品しなければならないのだが。まだ一本しか出来てなくて、さらに剣を作るための素材も足りないらしい。

 

「だったら、無理だと言って断りゃいいじゃねか?」

「バカヤロウ!俺だって無理だって最初に言ったんだよ!…そしたら、クソ大臣のベスターのヤツが…『王国でも名高いカイジンともあろうお人が、コノ程度の仕事も出来ないのですかな?』…なんぞとほざきやがったんだよ!しかも国王の前でだ!許せるか?あのクソ野郎が!」

 

 その大臣は性根が腐っていると見える。

 俺だったら斬るね。

 

「材料が足りないというのは?」

「ああ。魔鉱石っつう、特殊な材料が必要なんだが………。」

「昨日、俺たちが掘りに行ったんだが………」

「アーマーザウルスが出てなぁ………」

「どちらにせよ、あの鉱山は殆ど掘り尽くしてて………」

 

 素材の確保はできなかったようだ。

 

「その、魔鉱石っていうのは?」

 

 俺が聞くと奥の方から持ってきた一本の剣が手渡される。

 手渡された剣は店に並んでいたのと同じく淡く光って見える。

 リムルも興味深げに覗いている。

 

「これが依頼された?」

「ああ、魔力を馴染ませやすい『魔銅』を芯に使ってある。簡単に言うと使用者のイメージに添って成長する剣なのさ」

(え、何それ欲しい)

「こいつを一本完成させるのに一日かかる。流れ作業で効率化しても二十本打つのに二週間はかかるんだよ…」

「期日まではあと何日なんだ?」

「あと、五日だ……クソ、もう時間がねえっていうのに……」

(可哀想だな、なんとかならないか……)

(うーん……)

 

 魔鉱石か、そんなものが獲れるところなんて………………ん?

 そういえば、こいつあの洞窟の中で鉱石を食べてなかったか?

 

(なあ、リムルさんや)

(ん?なんだ?)

(お前があの洞窟で食べてた鉱石って魔鉱石じゃないの?)

(………………あーーー!)

 

 どうやら魔鉱石だったみたいです。

 

「ふっふっふっ………はーはっはっはっはっ!」

 

 突然笑い出したリムルにカイジンが訝しげな表情を浮かべる中、リムルは魔鉱石を体内から取り出す。

 

「親父!これ、使えるかい?」

「………おいおい!おいおいおいおいおい!!こ、これ、魔鉱石じゃねぇか!しかも、純度が有り得んほど高いぞ!」

 

 あまりにも珍しいのか、後ろのカイドウさんとドワーフ三兄弟も驚いていた。

 が、驚くにはまだ早い。

 このスライム取り出す際に加工済みです。

 

「おいおい、親父。アンタの目は、節穴かい?」

「ええっ?」

 

 カイジンは、目につけていたゴーグルを取り外す。

 すると、更に大きな声を出す。

 

「どわぁぁ!魔鉱石じゃない!既に加工された魔鋼塊じゃねぇか!」

「正解」

「更に強力な剣を作れることができる!そんな………この塊全部が………!?こ、これを譲ってくれるのか?勿論、金は言い値で払うぞ!」

「いいや、金はいい。その代わりさっきのを引き受けてくれるならコレを譲ろう」

「何?そんなことでいいのか?なら。お安い御用だ!」

 

 取引はこれで成立。

 これで俺たちの当初の目的はほぼ達成された。

 問題があるとすれば……

 

「だけど………」

「今から剣を揃えようとしても……」

「………」

「間に合うのか?」

「………まあ、やるだけやってみるさ。さぁ!すぐ始めるぞ!」

 

 そう、問題は期日まで残り五日しかないこと。

 それでいて出来ているのはここにある一本のみで、今打っているのを含めてあと十九本作らなければならない。

 時間が足りない。

 

(なあ、シキ)

(ん、なんだ)

(お前って武器の複製ってできたよな?)

(………………あ)

 

 めっちゃ、忘れてたかも。

 そうじゃん。俺のスキル《模倣者(マネルモノ)》を使えば簡単に残り十九本作れるじゃん。

 そうと決まれば。

 

「カイドウさん。今から作っても納品日までは間に合わないですよね?」

「……ああ、悔しいが、そうだな」

「それ、俺がなんとかします」

「なに?」

 

 完成品のロングソードを手に取って解析する。

 基本骨子——————解明

 構成材質——————解明

 素材を魔鉱石から魔鋼塊へ。

 

「——— 投影、開始(トレース・オン)

 

 空いている手に解析したロングソードを複製する。

 

「な!?」

「「「え!?」」」

「さて、こっちはカイジンさんが作った真作、これは私が複製した贋作。どうです?」

 

 二本の剣を渡して見比べてもらう。

 俺の複製は、100%同じものを作ることはできない。

 だが、99%同じものを複製することは出来る。

 ま、複製過程で改造したりするけど

 

「……すげぇな」

「本当に……魔銅のロングソードだ」

 

 どうやら、複製品に問題はなさそうだ。

 

「じゃ、残りも作りますねー」

 

 残りの十八本も『スキル』を使って複製していく。

 本当に便利な力である。

 解析さえ出来ればモノの複製から魔法、技術の複製まで可能な割と万能。

 まぁ、もっと早く気づいていればよかったんだけどね。

 けど、これでカイジンさんは期日までに納品が間に合い、俺はこの剣を自由に複製できるようになる。

 お互いに得をする。

 そんなこんなで残りの十八本もあっという間に複製が完了した。

 

「ほい、残りの分も複製完了」

「これで、魔銅のロングソード、二十本完成だ!」

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