うた、俺はお前の隠し事を聞かない。ただし隠す努力はしてくれ。 作:のろとり
ルールは基本適当。三人称視点です。
時系列は第13話。
具体的に言うと、球技大会本番の決勝戦。
「ななちゃん、気合い入れていくよ!」
「うん!」
球技大会当日。
台助との特訓の成果もあってか、バレー部のわかばを中心としたうた達のチーム2年A組はトーナメントを勝ち続け、決勝までコマを進めていた。
このまま優勝まで進めればわかばは憧れであり、異性として好きな翔太先輩に告白する願掛けは成功するのだが、この球技大会は全校生徒が対象の大会であり、そこに学年の順列など存在しない。
「これより2年A組VS3年A組のバレーボール決勝を開始します!」
従って、うた達が優勝するには先輩だろうとも勝たねばならない。経験、そして体格に不利な条件を背負っていようとも、下馬評をひっくり返さなければ勝利はもぎ取れない。
「よし、行くよ!」
最初のサーブはうたからである。
もしバレーに慣れた人物ならば相手が取れないような場所にサーブをするのだろうが、うたはバレーがあまり得意ではない。
特訓こそはしたが、それはあくまでバレーの基礎的な部分であり、スポーツ全体での戦術眼や思考力は素人そのものである。
だからうたはこれで決まってほしいとは願わない、ただただ相手のコートに入ってほしいと。練習の成果を思い出しながら、サーブをするだけである。
「とおっ!」
力を込めた声と共にボールは相手のコートへと落ちていく。
しかし当然と言うべきか、初心者のサーブ一回で入るほど決勝まで上がってきたチームは甘くない。
相手は互いに声を合わせてうたのボールをレシーブで宙に浮かせ、トスでゆるかなボールに変え、うた達のコート目掛けてスパイクを行う。
「来るよななちゃん!」
「うん!」
スパイクを打った相手はバレー部。この球技大会でチーム一人だけその種目───今回の場合はバレーボール───の部活に属している人物をチームに入れられるルールがあり、つまるところ
「わかば!」
「任せて!」
ボールは前衛と後衛の中途半端な位置へ打たれる。
うた達のチームメイトであり、前衛を守る『
「せいっ!」
わかばはボールをレシーブで打ち上げ、うたは打ち上がったボールをバスケのシュートのように前線へと軽く送り、練習した成果を見せるかのようにななの鋭いスパイクが相手コートへとバウンドした。
「よしっ! まずは1点!」
たった一点、けれど一点。
決勝と言う舞台で上級生相手に先制点を取れたのは士気が高まるだろう。実際、自分達のクラスが点を入れたと2年A組の生徒は盛り上がり、試合中のうた達の表情も険しいものから笑顔へと変わっているのだから。
「はぁ!」
勢いそのままに2年A組は点差を引き離していく。
相手も負けじと追い掛けてはいるが、うたとななが付け焼き刃ながらも特訓した成果が出ているのだろう。
相手にもバレー部が居るが、それはうた達も同じ。更に僅かながらも体格差や授業程度で積み上げた経験では覆すのが難しい程、うたとななのバレーの実力が上がっているのも理由の一つだろう。
ここ連日の練習による反復動作によってうたとななはボールが飛んできてももたつかず、むしろ無意識ながらもボールを返す構えをとっているほどである。
1点を取られれば2点を、2点を取られれば3点と優勢を崩さずにジワジワと相手を点差的にも精神的にも追い詰めていく。
最初は最上級生だから3年生が勝利するだろうと、これといった確信も無くボンヤリと試合を眺めていた生徒も、これはもしかするのかと、無意識の内に試合へと意識を向けて拳を握る。
2年A組が優勝する。
そんな雰囲気が会場を包み込む。
しかしそれは試合が順調に進めばである。
「……ッ!」
試合中盤、相手コートへとスパイクしたうたはボールに触れた瞬間、右手首に痛みが走り顔を歪める。
練習で普段使わない筋肉を動かした事による疲労か、それとも手首を痛めるような動き方をしてしまったか。要因こそは思い浮かぶが、今のうたに原因を考える余裕は無い。
既にボールにはみこととななの二人が触れた。
バレーで自陣内にボールがある場合、ボールに触れる回数は二回。相手のコートにボールが移ればその回数はリセットされるが、今はまだリセットされていない。
もしこのスパイクが失敗し、そのまま地面へと落ちた場合、うた達のチームは誰もそのボールを拾えない。何故ならみこと、なな、そして今スパイクを打とうとしているうたで計三回ボールに触れているからだ。
失敗するのは誰だってある。
特に怪我による失敗ともなれば、それを責める人間は居ないだろう。ただ一人、うた本人を除いて。
「だああ!」
うたは手首から発せられる痛み、そしてその痛みによる熱さを歯を食い縛って堪え、無理矢理スパイクを打つ。
なんとかボールを落とさずには済んだが、打たれたスパイクの威力はうたの全力の半分程度。スピードもパワーも無いボールを打ち返すのは簡単である。
レシーブ、トス、そしてスパイク。
相手からの放たれたボールは痛む手首へ視線を向けているうたへと迫る。
「うたちゃん!」
思わずと言った様子でななはうたの名前を呼ぶ。
放たれたボールのスピードから考えて、自分含めてチームメイトはうたの所まで間に合わない。かと言って手首が痛みを訴えている状態のうたがトスやレシーブでボールを打ち返せるか聞かれたら厳しいだろう。
「えっと、えっと」
自身へ迫るボールを視界に納めながら、うたは思考を回し続ける。
手首はまず動かせない。動かすだけでも痛みが発生するのもあるが、それ以上に無理に動かした所でボールはさほど宙へ飛ばず、仮にうたの触れたボールが地面へ落ちる前に誰かが間に合ったとしても、次の相手のスパイクで点を取られてしまうだろう。
わかばの為にもここで引けない。しかし腕が使えない中、どうやってボールを打ち返せば良いか。台助との特訓を思い出しながら、何か策は無いか考える。
『そうだな……サーブ、トス、レシーブ、ブロック、スパイク。ルールは座学になるし厳しい判定は出ないだろうから置いとくとして、練習するのはこの辺りだな』
『結構多いね』
『あくまで始め、繋ぎ、防御、攻撃だ。決まった型は一応あるが、別に脚や顔面でボールを味方に繋ぐのもありだ』
「あっ、そうだ!」
そしてうたは思い出した。
バレーとは別に手だけを使う競技ではないと。トスやレシーブと言った腕を使う方法以外にもボールを扱う方法はあると。そうしてうたは…
「ふべっ!」
顔面でボールを打ち返した。
ルールとしては脚だろうと顔面だろうと、ボールを打ち返せるならセーフである。それは初心者ならばともかく、バレー部からすれば周知の事実である。
しかし、いやまさかその方法を取るなんて。
うたの顔面によって打ち返されたボールはチームメイトの手を借りず、そのまま相手コートへ落ちていく。
本来ならすぐにでもボールを取りに行くべきなのだろうが、ボールの着弾地点に居る3年生はバレー初心者。顔面はセーフなのだろうか、それともアウトなのかと自身の無知によってボールを取りに行く動きが鈍る。
ボールが弾む。
それは人の手の中ではなく、観客の熱気に当てられようとも冷静に試合を見守る審判の目付きのように、冷たい床の上で。
「が、顔面セーフ……」
うたはフラフラと覚束ない足ながらも、練習の成果を出せたと喜ぶのであった。
「いてて……」
手首の負傷、そして顔面の痛みからこれ以上試合を続けるのは難しいと判断した審判によって、保健室で治療を施されたうたは手首に包帯、顔に絆創膏を貼っていた。
「うた先輩、大丈夫ですか?」
「うん。動かさなければなんとか」
試合は未だ続いているが、治療を受けたのは試合中盤。そして今は試合終盤なので多少なりとも時間は経っているが、顔は冷やせば落ち着いたようだが、手首の方はふとした瞬間に痛みを訴えてくる。
「うた、応援出来そうプリ?」
「キラキライトを振るのは難しいけど、声援だけならなんとか」
「だったらプリルンがうたの分まで応援するプリ! 頑張れプリー!」
こころと一緒に試合を観戦していたプリルンは、うたの右手首に巻かれている包帯へ視線を向ける。痛々しいとは言わないまでも、動かすのが辛いとなると心配もするだろう。
しかしうたは大丈夫だと笑顔で答え、プリルンもそんなうたの笑顔を信じて、周りの生徒も持っている応援用ライト、キラキライトでななやそのチームメイトを応援する。
「メロロンはうた先輩達みたいに応援しないの?」
「メロロンは興味無いメロ」
一方でメロロンはプリルン以外には興味が無いようで、キラキライトこそは持っているが応援するつもりは無いと話す。
もし何かしらの気紛れや、プリルンから影響を受ければ応援をしてくれるだろうが、今はそんな気分ではないようだ。
こころは一緒に応援した方が楽しいと考えるが、メロロンがこう言っている以上は無理強いするのは良くないと視線を試合へと移す。
「はぁ!」
試合は丁度、わかばがスパイクを決めて点を取った場面であった。
うたが負傷退場して人数不利となってしまったが、序盤に点数を稼いだのが功を奏したのか。2年A組は後1点を取れば優勝となる部分まで近付いたのであった。
「ッ……!」
「わかばちゃん、大丈夫?」
「ちょっと手首が疲れてきただけ。平気平気!」
1点を取れば優勝出来る。
その浮き足立つ思いがチームを広まる中、わかばは突如として痛みだした手首を抑える。近くに居たななが一番に気付き、周りのチームメイトもわかばの周りに心配そうに集まるが、問題は無いとわかばは笑顔で答える。
しかしその笑顔は引きつっており、無理しているのは明らかであった。
このチームはバレー部のわかばが中心となっているチームだ。わかばが居たから人数不利でも優勢を保てた、わかばが居たからここまで来れた。
「みんな、ちょっと良いかな?」
「どうしたのなな」
「次、私にボールを集めてくれるかな?」
これ以上わかばに負担は掛けられない。
かと言って無理にわかばを休ませようものなら、本人が「まだ動けるよ!」と無理にでもコートに残り、余計に痛みが悪化してしまうだろう。
「決められるか分からないけど、もし駄目だった時は……わかばちゃん。頼めるかな?」
だからななは考えた。
痛みを我慢しながらもコートで最後まで戦いたいと願うわかばの気持ちを尊重しつつも、出来る限りわかばに負担が掛からない方法を。
なな自身が点を決められれば一番良い。
しかし付け焼き刃程度の技術で簡単にどうこう出来るとはななは考えていない。
アイドルプリキュアの活動だってそうだ。
うたは歌が上手く、ななはピアノが上手く、こころはダンスが上手い。
だがそれらは決してアイドルの活動を始めた1ヶ月の間に急激に腕前が伸びたわけではなく、幼少の頃から好きで続けていた行動がアイドルとしての活動に結ばれただけだ。
アイドルになったのは最近ではあるが、長年の積み重ねがあったからこそ人を魅了するアイドルになれたのだ。決して短期間による付け焼き刃の努力でその地位まで登り詰めた訳ではない。
アイドルもスポーツも努力を続けるのは大事だ。
そしてその努力がすぐに実らないと自覚を持ちつつも、それを続ける。続けて続けて続けて続けて……ようやく実力が身に付くのだ。決してちょっと練習した程度の自身が大活躍出来るなんて思ってすらいない。
「よし! 頼んだよなな!」
「うん!」
結局の所、わかばに負担を強いてしまう。
それでもわかばはななの考えを肯定した。自分の為に頑張ろうとしてくれている友人に気持ちに応えたいと言う強い気持ちを抱きながら。
「たぁ!」
全員が持ち場に戻り、みことのサーブから試合開始。
なな達からすればたった1点、相手からすればあと1点。その1点が決まれば片方は勝利し、片方は敗北する。しかし互いに敗北の可能性も勝利の可能性も残っている。
「来るよ!」
「任せて!」
焦らず、そして堅実にレシーブ、トス、スパイクと返ってきたボールをわかばは前線で待機したまま、他のチームメイトがレシーブでボールを打ち上げる。
「なな!」
「ッ!」
相手が体勢を整える前にと、前に伸ばした両腕でレシーブで一気に前線まで送られたボールをななはスパイクで相手へ打ち返す。
これが決まれば2年A組は優勝する。
観客が息を呑む中、スパイクされたボールが前線に立っている3年A組の生徒の横を通り抜けて───
「まだ!」
後方からスライディングをするように滑ってきた、3年A組の生徒の腕がボールへ当たり、フラフラと宙を舞いながらネットを越えてなな達のコートへ入ろうとしてくる。
「わかばちゃん!」
その着地地点にはわかばが居た。
前線に居たわかばは弾かれたボールが自身の元へ飛んできたと認識するなり、ななに声を掛けられるよりも前に両足を地面から離していた。
「……ッ!」
他の誰かにボールを渡す選択肢は無かった。
他の誰かにその場を代わってもらう選択肢は無かった。
気付いたら跳んでいた。腕を伸ばしていた。相手がボールを触れない場所を探していた。手首の痛みなんて忘れていた。
それはバレー部としての維持か、それともここまで繋いでくれたチームメイトに答えたいと思ったからか。
無意識に身体が動いていたのだから、わかば本人にすら分からない。しかし唯一言える事があれば、このスパイクが打たれれば2年A組が優勝出来る。その確信があった事だけだ。
「うっ」
ボールに触れ、後は腕を振るうだけとなった瞬間にわかばは顔をしかめる。
手首が痛み始めたのだ。ただ腕を下ろすだけ、それだけ動作なのに動かない。痛みが身体を支配して動かせないのだ。
動いて、と願ってもそれは変わらない。動かない限り願っただけでは意味は無いのだ。そのままわかばは痛みに思考が支配されたまま、身体が重力に従い落ちていき───
「頑張れ、わかばちゃん!」
うたの声援と共に思考を自身の願いで上書きした。
あぁ、そうだ。忘れていた。忘れてしまっていた。
この試合は自分だけのものじゃない。負傷してしまったうたや、作戦を立ててくれたなな、ここまで繋いでくれたチームメイト。そして応援してくれたみんなが居る。
「だああああ!」
わかばは痛みを大声で掻き消して全力でスパイクする。
フォームは崩れ、力任せで狙った所になんかボールは落ちない。それでも今のわかばが出来る精一杯の、みんなの期待に応えたスパイクであった。
ボールの弾む音が会場に響く。何度も響き、壁に当たった頃には勢いを無くして床を小さく転がる。
点数が変わり、観客は静かになる。誰も持ち場には戻らなかった。サーブをしようともしなかった。試合を続けようとはしなかった。
「勝っ、た……?」
わかばは呆然と、目の前の事実と噛み締める。
ボールは相手のコート内で弾んだ。点数は自分達のチームに入っている。勝敗が決まった以上、もう点は変わらない。
「やっっったあああ!」
「わかばー!」
「わかばちゃん!」
視界からの情報を思考が受け止め、脳が事実を認識して実感が沸き始める。そして自分達が勝ったのだと理解したわかばは勝利を喜び、チームメイトはわかばの元へ集まる。
当然、その中には途中で負傷退場したうたの姿もあった。
「みんな……ありがとう!」
そうして球技大会のバレー部門は2年A組の優勝で幕を閉じるのであった。
「よ、うた」
「台助くん!」
あれだけ盛り上がっていた球技大会も、学校が終われば熱は段々と引いていく。
わかばの告白を行く末を見守り、台助の方はどうだったか結果を聞こうと本人を探していたら、丁度台助もうたを探していたようで、疲労が見える身体でうたへ近付いてきた。
「手首、大丈夫そうか?」
「うん! 安静にしてたら数日で良くなるって!」
台助はうたの手首に巻かれている包帯へ視線を移す。
もし台助がその場に居れば、負傷したうたを連れて保健室に付き添ったり、観戦中に声を掛けていただろうが、うた達がバレーに専念した頃に台助は校庭で別の種目をしていたのだ。
全校生徒が集まった状態で球技を行うのは難しいからと、校庭で同時平行で進められていた種目が無ければ台助はずっとうたの活躍を見ていただろうが、過ぎたIF話はいくら考えても意味が無いだろう。
「優勝おめでとう、うた。わかばちゃんの告白の方は……まぁ、なんというか」
「あはは……」
偶然にも翔太の近くに居た台助は翔太へ頬を赤くしながら近付いてきたわかばの様子を察して、その場をわかばと翔太の二人だけにしてうたやうたのチームメイトと一緒に影から見守ったのだ。
しかし結果的にわかばはフられてしまった。
中学二年生、まだまだ幼い少女の淡い恋心は失恋として終了した。終了したのだが、その後にクラスメイトの藤野と言う男子に「格好良かったぜ!」と誉められ、わかばの新たな恋は始まった。
フられたのは辛いだろう。
気持ちをそう簡単には切り替えられないだろう。
そんな心配はすぐに無くなった。すぐにわかばは気持ちを切り替えた。
良かった、良かったのだが……なんと言えば良いのか言葉が見当たらない。それがわかばの告白を見届けた二人の感想である。
「でも私もあんな風に恋がしてみたいな~。そう『ふたつの世界ときらりハート』みたいに!」
それでもうたにとって、わかばの恋はキラッキランランに見えた。自分もわかばのように恋愛がしてみたいと思うほどに。
「漫画と現実と一緒にするなよ……」
「え~! でも憧れだよ憧れ!」
「はいはい、そうだな憧れだな」
うたはグリッターの常連客である漫画家が描いている漫画を例に出すが、台助は空想と現実を同列に見てどうするんだと釘を刺す。
確かにその漫画は面白い。男女の繊細は感情、感情だけでは解決出来ない問題、そんな問題を乗り越えるほどにキラキラな恋心を持つ主人公とヒロインは魅了される。
それでも結局はフィクションであり、簡単に自分の気持ちを誰かに伝えられれば苦労はしない。素直になれたら隠し事なんてしない。
それがフィクションと現実は別物だと語る台助の意見である。
「ねぇ台助くん」
「なんだ?」
「台助くんは好きな人っている?」
「……好きな人?」
「うん。好きな人」
思わぬ言葉に台助は思考が停止し、聞き間違えだったかうたに確認するが、ちゃんと聞き取れていたと示すようにうたは同じ言葉を繰り返す。
正直言ってうたは鈍感だ。
恋愛漫画を好んではいるが、自分がモテるとは考えていない。
過去に同級生に告白された機会はあるが、あまりピンときてなかったのか「私も好きだよ! これからも友達でいようね!」と綺麗なテンプレ台詞を返すほどに。
そして後日「今日友達から好きって言われちゃった!」と台助が聞いたのは何度あっただっただろうか。
台助や周りの人間が誠心誠意説明すれば、その言葉が告白であると理解するだろうが、台助が聞くのは基本的に事後報告。終わった後に説明した所で、告白した相手とうたがギクシャクしてしまうと気遣って何も言わず話が終わるまで頷き続ける。
そんな事が何度か繰り返される内に、うたに告白する相手は居なくなり、うた自身は自分がモテると自覚が生まれず今日まで生きてきた。
そのうたが恋愛の話とは何があったのか。
どんな心境の変化があったのか、台助は目を丸くした。
「どうした急に」
「わかばちゃんも見てたら気になっちゃって」
「好きな人、ねぇ……」
どう答えようかと、台助は頭を回す。
うたが望んでいる答えは家族や友達に向ける
きっとここで「うたの笑顔が好きだ」と言えば、うたは「そうじゃなくて!」と不満を顔に出しながらも、それ以上は深くは聞かないだろう。けれど後日また「台助くんの好きな人教えて!」と聞きにくるかもしれない。
「秘密だ」
だから台助は答えない選択肢を選んだ。
居るか居ないか関係無い。ただ嘘は吐きたく無いからと、答えない選択を取ったに過ぎないのだ。
「え~! 教えてくれたって良いじゃん!」
「別に周りにベラベラ言う必要がないからな」
やはりと言うべきか。うたは自分はその答えだと不満だと頬を膨らまして態度で示してくるが、そもそも好きな人が誰かを聞いているのに、居るか否かすら言わず秘密と言われたら不満の一つも出るだろう。
しかし台助はうたが不満になるだろうと既に予想していた。
何年も幼馴染をしていると、いつの間にか相手の癖も読み取っているものだ。例えば相手が何を言えば笑顔になるのかも。
「それに」
「それに?」
「こういうのは秘密な方が面白いだろ」
「そう?」
「だって漫画でも秘密って言われたら、何を秘密にしてるのかワクワクするだろ?」
「あ、確かに!」
話を現実からフィクションへ。
フィクションに影響を受けて興味を持って現実の恋愛話が、再度フィクションの恋愛話へ変わっていく。
話の摩り替えであるが、あえて答えを言わずに秘密にする事で生まれるワクワクにキラッキランランしているうたは気付かない。
性格を熟知されているうたが台助に誤魔化されていると知るのは、いったい何時になるのか。それは本人達にも分からないのであった。
もし次回がいつも通り更新されなかったら「あぁ、書くの間に合わなかったんだな」と思ってください。
以下唐突に思い付いたオマケ。本編に載せるほどでもない、他作品ネタが入っているボツ短編となってます。
【きゅーちゃん】
「なぁうた。最近アニマルタウンって場所で動物が喋るって噂があるが、うたが飼ってる犬のきゅーちゃんは喋らないのか?」
「またまた~、そんな冗談を真に受けるほど私はバカじゃないよ。ね、きゅーちゃん」
「僕の好みのタイプは
「「!?」」
元ネタ:呪術廻戦/東堂葵
【好物】
「こころちゃんって苦手な食べ物ってあるのか?」
「苦手な食べ物ですか? 特に無いですが、急にどうしたんですか?」
「いや、なんとなくピーマン苦手でお握りが好物な顔してたから気になって」
「どんな顔ですか!?」
元ネタ:デリシャスパーティ♡プリキュア/コメコメ
プリキュアを見たことある?
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何話か見た
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キミプリのみ見た
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