うた、俺はお前の隠し事を聞かない。ただし隠す努力はしてくれ。 作:のろとり
初期メロロンは話しかけても威嚇してくるけど、プリルン関連の話題なら耳を傾けるぐらいはしてくれる。そんな印象です。
なお、プリルン関連の話題と言っても「今日プリルンと出掛けた」や「自分もプリルン大好き」のような話題になると好感度は下がる。
時系列は14話から15話の間です。
具体的に言うと、メロロンがプリルンとデートする数日ぐらい前。
「ねえたまとデートしたいメロ」
球技大会から早数日。
うたの怪我の調子が気になり、グリッターへ顔を出したついでに早めの昼食を取っていると、俺の近くに座っていたメロロンがふとそんな事を呟いた。
「プリルンとデート、ねぇ」
「そうメロ」
グリッターの中でメロロンが堂々と喋っているが、それを止める者も驚く者も居ない。
何故なら今この場に居るのはカウンターで食器を拭いている田中さん、カウンター近くの階段から上がれるちょっとした休憩スペースにうた達、そして俺のメロロンの事情を知っているメンバーだけだからだ。
「上に居るんだから本人に直接言ったらどうだ? プリルンなら一緒に出掛けてくれるだろ」
俺はうた達と一緒に上の休憩スペースに居るプリルンへも視線を移す。場所が遠いのもあって詳しい会話までは聞こえないが、四人で楽しそうに談笑しているようだ。
プリルンがデートの意味を理解しているかは置いとくとして、一緒に出掛けたいと誘えば「デート? 分かったプリ!」と簡単に話に乗ってくれるだろう。
しかしメロロンはプリルンを誘わずに、俺の近くでデートをしたいと呟くだけ。更にはプリルンの側ではなく俺の近くに座っている。あまりにも珍しすぎて、メロロンの考えがいまいち分からない。いったい何をしたいのだろうか。
「確かにねえたまならメロロンのお願いを聞いてくれるメロ。でもそうじゃないメロ!」
「じゃあどういう……?」
「デートはしたいメロ。でも何処に行けば良いか分からないメロ」
「あー、なるほど。デートの下見がしたいのか」
「そうメロ。だから今から行ってくるメロ」
「ちょっと待てメロロン」
俺はメロロンの考えを理解すると共に、一人で外へ出ようとするメロロンを呼び止める。
きっとメロロンは「出来る女の子は相手を誘う前にデートの下見を済ませておくメロ」と言う考えでの行動であり、何も言わずに勝手に居なくなればプリルンが心配すると思って俺に声を掛けたのだろう。
うた達に出掛ける理由を話せば「じゃあみんなでデートしよう!」と、楽しい思い出をみんなで共有───メロロン視点からすれば邪魔者───しようし、理由を言わずに出掛ければ何処に行くのか気になると尾行されるのが容易に想像がつく。
だからメロロンは自身の邪魔をせず、尚且つ何処に行こうとしてるか黙っていてくれそうな俺に声を掛けてから外に出ようしたのだろう。
しかしメロロンは忘れている。
この場はキラキランドではなくはなみちタウンだと。妖精と言う種族は珍しい、もっと言えば空想上の存在であり、見つかればデートの下見どころの話ではないと。
もしメロロンが一人で行動した結果「珍しい生物が居る」と騒ぎにでもなればそんな発想も出来ただろうが、実際は平和そのものである。
それに騒ぎに巻き込まれるぐらいなら、俺が一人で行動する危険性について説明した方がメロロンの精神への負担は少ないだろう。
「一人で行くのか?」
「当たり前メロ。ねえたまとデートするのはメロロンだけメロ」
念のため誰かと一緒にデートの下見に行くのか確認をするが、やはりメロロンは一人で出掛けるつもりのようだ。
プリルンは有象無象とデートする訳ではない。自分とだけデートするのだから、他の誰かを連れて下見をする意味なんて無い。これがメロロンの主張のようだ。
「俺もその下見に付いて行って良いか?」
「要らないメロ」
「はなみちタウンに詳しいから、メロロンが希望するデートスポットに連れていけるぞ」
俺はメロロンの下見に付いていこうと決意した。
そしてやはりと言うべきか。プリルン以外とは距離を作っているメロロンなら断るだろうと想定していたので、メロロンが魅力的だと感じるメリットを提示する。
「……分かったメロ」
一人で下見をするか、案内をしてもらうか。
内心で葛藤があったのだろう。一瞬の沈黙のあと、メロロンは仕方なくといった微妙そうな顔を浮かべて後者を選んだ。
「よし。田中さん、ちょっとメロロンを連れて出掛けてきます。もしうた達が下に来たら俺がメロロンと一緒に居ると伝言をお願いします」
「お任せください」
「よし。行くぞメロロン」
「分かったメロ」
プリルンのように好きな存在ではないが、うた達のように過干渉してこない俺と行動するのは、嫌と言わない様子から妥協の範囲内だったのだろう。
俺は食べた分の料金を払い、渋々と行った雰囲気のメロロンを先頭にグリッターを出る。
グリッターの出入り口にはベルが付いているので、誰かが出入りすればうた達は気が付くだろうが、メロロンを先頭にすれば俺の背中で隠れて、メロロンが外に出たのが見えないだろう。
うた達には悪いが、今日のメロロンは一人で行動したいらしい。俺が居るのは妥協だからともかくとして、うた達が一緒となればメロロンは嫌がるだろう。だから多少なりとも行動出来る為の時間を稼がせてもらうとしよう。
「なぁメロロン。メロロンが希望するデートプランってどんなのだ?」
「カフェデートがしたいメロ!」
「グリッターじゃ駄目か?」
「嫌メロ」
「やっぱりかぁ」
グリッターを出て、少しでもうた達と距離を取ろうと俺はメロロンと歩きながら、プリルンとのデートプランについて質問する。
するとメロロンはカフェデートが希望のようで、うた達が井戸端会議として使っている休憩スペースならば人目を気にせずデートを楽しめると思ったのだが、メロロンは嫌らしい。
正直に言うと予想はついていた。
あくまで人目を気にする必要がないのはあくまで
「うーん。カフェデートも良いが、景色の良い場所で弁当を食べるのはどうだ? メロロンの希望とは逸れるけどな」
「景色の良い場所メロ?」
「あぁ。例えば公園とかな」
ならばと、俺は外で食べるのを勧める。
メロロンの希望に沿えないのは心苦しいが、正直に言えばプリルンとメロロンが普通にカフェデートするのは周りの目がある関係上、難しいだろう。もし妖精の姿から人間の姿になれるなら話は別だろうが、無い物を強請っても仕方がない。
「あぁ。メロロンも覚えてるだろ? うた達が来るのを一緒に待ったあの公園だ」
そう言って俺は目の前の公園へと視線を移す。
メロロンと初めて出会って、うた達が来るのを一緒に待った公園は時間が早いのもあってか人が少なく、もしメロロンがプリルンとデートするのなら景色の良さもあってピッタリの場所だろう。
「確かにここなら良さそうメロ」
「だろ? それにデートスポットとして良いと思ってな」
「でも嫌メロ」
しかしメロロンは気に入らなかったようだ。
俺から顔を背けて明らかに「自分は嫌だ」と言う態度を表に出している。だが全否定せず一応は良さそうと言ってくれる辺り、プリルンほどではなくとも、少しぐらいは俺に心を開いてくれてると前向きに考えるとしよう。
「メロロンはもっと景色の良い場所を望むメロ」
「結構我が儘だな」
「当然メロ。好きな人と楽しむ景色は眺めが綺麗な場所が良いメロ」
「あ、それは確かに」
この公園は自然が多く、木々を眺める為に訪れる人が居る程度には景色が良い。
しかしメロロンが望むのは眺めが良い綺麗な場所とは、高層ビルのレストランから見える夜景のような場所だろう。
人によっては高望みしすぎたと思うかもしれないが、好きな人と一緒に居ると考えればその程度の欲望は理解出来る。むしろ好きな人と最高の景色を楽しみたい意見には賛成だ。
「台助、これは何メロ?」
ならば他に眺めの良い場所を探すとしよう。しかしメロロンが望むような場所は条件が厳しく、他にあっただろうか……。
そう頭を悩ませていると、メロロンが何か発見したようでその方向へとフラフラと飛んでいき、俺もメロロンに付いていくように歩を進める。
「これは『誓いの広場』だな。ハートキラリロックって呼ばれる錠前と鍵を付ける時に、互いの名前と共に自分の一番大切なモノを言えば願いが叶うって言われてるんだ」
そこにあったのは、デートスポットとして有名な誓いの広場であった。
しかしデートスポットと言ってもそんな広い場所ではなく、あるのは恋人同士が永遠の愛を誓う際に錠前と鍵を取り付ける、所謂厄落とし───おみくじで凶が出た際に結ぶ行為───ぐらいのスペースしかない。
それでも恋人達にとっては訪れるべき場所として認識されているようで、時折ここで永遠の愛を誓っている人を見る。
実はメロロンにもオススメしようとは考えていたが、今はメロロンの希望する場所を見つけるのが最優先だと後回しにしていたのだ。
「ハートキラリロックメロ?」
「え、食い付くのそっち?」
てっきりプリルンとデートしている様子を想像するものだと思っていたが、意外にもメロロンが食い付いたのはハートキラリロックと言う、永遠の愛を誓う際に使用される道具であった。
聞き覚えの無い単語、もっと言えばこの誓いの広場以外で使われているのを見た事が無い。
俺としては「まぁデートスポットとして噂を広げるために誰かが考えた名前なんだろうな」程度に思っていたが、そんなにも気になる名前なのだろうか。
「台助」
「どうした?」
「ハートキラリロックについて詳しく教えてほしいメロ」
「詳しくって言われてもなぁ。俺が知ってるのは、そういう言い伝えがあるってぐらいだぞ」
はなみちタウンの歴史を詳しく調べたら何か出てくるかもしれないが、俺が知っているのは今さっき説明した内容ぐらいであって、それも誓いの広場に書かれている看板を読んだにすぎない。
「何か気になる事でもあるのか?」
「メロロンが持ってるのと同じメロ」
「メロロンが持ってるのと同じって、ハートキラリロックをか?」
「そうメロ。これと同じ形のを持っているメロ」
メロロンが指す先には、イメージとして看板に描かれている錠前と鍵があった。
いつ頃か、田中さんはキラキランドとはなみちタウンは姉妹都市と言っていた。だから両方の街にハートキラリロックの話があっても、姉妹都市で繋がりを持っているからだと納得は出来る。
けれどもメロロンがデートよりもハートキラリロックの方に興味を示すとなると何かあるのだろう。
現状で俺が気になる部分と言えば、メロロンが持っていると言う看板に描かれているハートキラリロックと、実際に誓いの広場に飾られているハートキラリロックは全くの別物だと言う点ぐらいだ。
看板の方は錠前と鍵もハート型である一方で、飾られているのは一般的な錠前と鍵だ。
たったそれだけの違いではあるが、これをメロロンが……妖精と言う常識外の生物が存在しているキラキランドからの持ち物となると、何か不思議な力があっても疑問に思わない。だが……
「メロロン。俺もその話は気になるが、一旦置いておかないか?」
今は目的が違う。
元々ここに居た目的はプリルンとのデートスポットの下見だ。決してハートキラリロックについての推測ではない。
正直に言えば俺はメロロンが興味を持つほど珍しいものかの判定は出来ない。少なくとも俺の目から見れば、ちょっと変わった錠前と鍵程度にしか見えないのだから。
だが今のメロロンの行動で興味自体は沸いた。
メロロンがデート以上に興味を示すハートキラリロックとは何か。
その噂が出回るようになった発端は何か。
そこまでメロロンが食い付く理由は何か。
しかしそれを考えるのは今ではない。
それに今の俺達が出来るのは精々、スマホや図書館ではなみちタウンの歴史を調べる事ぐらいだ。しかもハートキラリロックに関する情報のみを。
いったいそれに何時間……いや、何日かかる。
仮にほんの少しでも情報が出たとしても、探せばまだ情報があるかもしれないと、考えたらキリが無い。探すにしても時間を確保しなければならない。それこそデートの下見をする時間すら無くしてまでも。
「俺もハートキラリロックについて調べとくからさ。今はデートの下見を優先しないか?」
「……分かったメロ」
メロロンも調べるつもりなのは、気にしている態度から察していた。デートの下見より優先とまではいかないまでも、デートの最中に頭の片隅で気にしてしまいそうな程度には。
だから俺はメロロンの手伝いをすると説得として、この場を納得してもらう事にした。
物事を後回しにするのは悪いと考える者も居るだろう。だが今一番大事な事はプリルンとのデートの下見だ。後回しにし続けるのは悪くはあるが、決して優先順位を間違えてはいけない。
「メロォ……メロ!」
「どうした? メロロン」
俺の言葉に渋々ながらも納得したメロロンは、キョロキョロと周りを見渡してふと何かを見つけたようで驚いたような声を出す。
「ねえたまとお弁当を食べるのに丁度良い場所を見つけたメロ!」
「何処だ?」
「あそこメロ!」
メロロンの指を差す先には、かつて俺がメロロンと出会った展望台があった。
確かにあそこの眺めは良い。何故かずっと咲いている桜も相まって、はなみちタウンを一望出来る景色は絶景だろう。それこそメロロンの望む眺めの綺麗な場所と一致するほどに。
「でも展望台にベンチ無いから弁当食べれないぞ?」
そう、問題はそこなのだ。
眺めは良いのだが、転落防止の為か展望台の部分に柵が設置されている上に、ベンチも少し離れた場所に設置されているのだ。
俺達人間の身体の大きさですらベンチに座ると景色が見えないのだ。ぬいぐるみサイズの妖精ともなれば、見えるのは精々展望台に設置されている柵と綺麗な空ぐらいだろう。
プリルンなら「綺麗なお空プリ!」と喜んでくれているだろうが、メロロンが満足するか聞かれれば、俺は首を横に振ってしまうだろう。
「木の上に登れば大丈夫メロ!」
「木に登る? そんなのしても簡単に折れ……はしないか。うん。そういや身体小さいもんな」
だが俺の心配は杞憂であった。
木の枝に腰を降ろして昼食を取る。
当然だが俺達人間にとっては不可能だ。生まれたばかりの赤ん坊ですら体重は1kgを越える。そんな物体が木の枝に乗っかれば、枝は折れる。当たり前だ、常識だ。人間の範囲内での話ではあるが。
軽いから折れない、単純すぎる答えだ。
だから見逃してしまった。
ハートキラリロックの方に意識を向けすぎてそこまで気が回らなかった。デートの下見を優先するべきとは言ったが、俺もメロロンの事をとやかく言えないらしい。
「そうと決まれば次は展望台に向かいながらねえたまのお弁当を考えるメロ!」
移動中も時間を無駄にするつもりがないメロロンは、下見の為に昼食を取る場所にしようと決めた展望台へ向かいながらも、プリルンへ渡す弁当について頭を回し始めた。
「ところでメロロン」
「なにメロ?」
「プリルンの弁当って事は、やっぱりタコさんウインナーも入れるのか?」
「タコさんウインナーメロ?」
「あれ、タコさんウインナー知らないのか?」
プリルンの好物と言えばタコさんウインナーのイメージがあるので、メロロンも当然に入れるのかと思ったが、肝心のメロロンは首を傾げている。
あぁ、なるほど。タコさんウインナーについてそもそもピンと来てないのか。
まぁメロロンがはなみちタウンに来てそこまで時間が経っていないし、プリルンがタコさんウインナーを食べてる場面を見ていても食べ物を名前を聞く機会が無ければ分からないか。
「タコさんウインナーってのは、ウインナーをタコのような形にした食べ物だな」
「メロ!? メロロンが知らない内にねえたまの好物が変わってるメロ!」
「まぁはなみちタウンでうたに食べさせてもらってから好きになったようだし、最近此方に来たメロロンが知らなくても無理はないだろ」
「さ……の……メロ」
「なんだ、なにか言ったか?」
「咲良うたのねえたま泥棒ー!」
さっきまでハートキラリロックの名前に頭を悩ませたり、プリルンとのデートの下見で盛り上がっていたのは何処へいったのやら。
メロロンはうたに対する嫉妬の炎を燃え上がらせるのであった。
メロロン、誰かに嫉妬するのは構わない。ただし普通にうたが困惑するから控えような。
初期メロロン動かすの難しいですね。
あまりプリルン以外の周りの言葉に肯定したらキャラが違いますし、かと言って否定しても読者側が「人の言葉を否定しかしない嫌なキャラだな」とストレスになる。
作中では否定しても、理由を付けて一理あると理解を示せるようにしましたが、上手く動かせてるか疑問。
次回に関する裏話
うたちゃんの電池を交換してうたちゃん自身を再起動しようとするななちゃんのシーンをボツにしました。理由は人をナチュラルに機械と認識するのは、ななちゃんの天然とはベクトル違うと思ったからです。
次回の投稿は木曜、うたちゃんがズキューンされる回の予定です。
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