うた、俺はお前の隠し事を聞かない。ただし隠す努力はしてくれ。   作:のろとり

14 / 34
 この話を書いてる時に自分の中でキッスの解像度が低くて泣いた。ちょっとキミプリ見返してきます。
 最近恐怖してるのは、今後のキミプリで凄いどんでん返し来て、本作のストーリーを再構成する必要が生まれるかもしれない事です。

時系列は19話です。
具体的に言うと、うたちゃん達が貴島つむぐ(記者)さんと一緒にズキュキスを探してる頃です。


第12話 うた、俺はお前の側にずっと居る。ただし俺は何も出来ない、側にしか居れないんだ。ごめんなうた。

「キュアズキューンとキュアキッス、ねぇ……」

 

 うたとななちゃんがアイドルプリキュア研究会に入会してから数日。

 俺はズキューンとキッスにキラリランドについて、もっと言えばプリルンとメロロンについて知っているか聞きたく、放課後に本人達を探して散策しているが、成果0の日々が続いていた。

 

 元々、情報と言えば本人達がアップしたであろうフェスの時のライブ映像だけであり、それで確認が出来る容姿や声だけを参考に探しているのだ。

 何処に現れる、何処に住んでる、アイドルプリキュアとしての活動名ではなく本名はなんて言うのか。その情報が無い中で探すのはあまりにも無策と言うしかない。

 

「やっぱ当てもなく探すの無謀か」

 

 分かっていた、簡単に見つからないとは。

 見つかったとしても、ズキューンとキッスがプリルンとメロロンについて知っている保証は無い。仮に知っていたとしても、アイドルプリキュアのマスコットとしての認知程度かもしれない。

 

 確証が無いのだ。会えるとも、知っているとも。

 うた達もズキューンとキッスを探してる───正確に言えば、うたがズキューンの追っかけをしてるだけ───ようだが、会えはしたが会話は殆ど出来なかったらしい。

 

 もし俺に運があれば、うた達のようにズキューンとキッスに会えるだろうが、そんな奇跡はそう簡単に……

 

「お姉さま、次は何処に行きましょうか」

 

「うーん。他に面白い所って何処にあるかなぁ……あ! あの人に聞いてみよう!」

 

「あっ、お姉さま」

 

「ねぇねぇ、この街について色々教えてくれるかな!?」

 

 起こっちゃったよ。

 俺はお姉さまと呼ばれる目の前の相手───キュアズキューンの存在にただ唖然とするのであった。

 

 

 

 

 

「へー! この街って本当に面白いね!」

 

「…………」

 

「あ、あぁ。そう言ってくれるのは嬉しいな」

 

 気まずい。

 相手の質問を無視して俺だけが一方的に喋るのは失礼だと思い、ズキューンにはなみちタウンについて色々教えているのだが、何故だかキッスが俺の事をずっと見てくる。

 

 初対面の人と話すのが苦手、と言う雰囲気は無い。

 むしろ俺がここに居るのに居心地を悪く感じていると言うか、この場から離れたいと思っているような。それでも俺に対して嫌悪感は抱いてはいない。不思議な感覚である。

 

「それで、えっと……」

 

「まだ名乗ってなかったな。俺は台助だ」

 

「私はキュアズキューン! それで此方がキュアキッス! よろしくね台助!」

 

「よろしくな」

 

 俺は初対面のズキューンとキッスに名前を名乗る。

 俺がズキューンとキッスを知っているのはあくまで一方的であり、当然だが初めて会ったので相手は俺の名前を知らない。当然だろう。

 

「なぁズキューン。この街の事って何処で知ったんだ?」

 

「何処でって……なんで?」

 

「観光にしては名所とか知らなそうだったから、少し気になってな」

 

「なるほどね!」

 

 まずなプリルンとメロロンについて聞きたくはあるのだが、急にそんな話をしても不審がられるだろう。

 もし二人がキラリランドの存在を認知しているのであれば、何故目の前の相手は妖精について知っているのかと警戒されてしまう。

 逆にアイドルプリキュアのマスコットとしての質問だと受け取ったとしても、何故唐突にそんな質問をしたのかと疑問に思われてしまう。

 

 だから俺はまず心の距離を縮める。

 アイスブレイクと言ったか。あれは緊張を和らげて話し合いをスムーズに行う為の方法であったが、まぁ大体似たようなものだろう。

 

「はなみちタウンの事はキッスから聞いたの!」

 

「キッスから?」

 

「……えぇ」

 

 俺はズキューンの意外な言葉に目を丸くする。

 てっきり偶然辿り着いただの、アイドルプリキュアがイベントよくしている場所だから聖地巡礼として。そんな理由かと思っていたのだが、まさかキッスからだとは。

 

 初対面から殆ど話してない───会ってからまだ数十分程度しか経ってないが───キッスの性格はまだ掴みかねている。

 ずっと気まずそうな雰囲気を出していて、尚且つ俺はズキューンの言葉にも「えぇ」や「そうね」しか喋らないのだ。最初見た時はズキューンと普通に喋っていたのに、どうしたのだろうか。

 

「色々教えてくれてありがとう!」

 

「この街の観光を楽しんでくれれば、俺はそれだけで嬉しいからな。お礼なんて別に……あ、そうだ」

 

「ん? どうしたの?」

 

「いやなに。そのままの格好だと目立って観光どころじゃない思ってな、せめて変装なりしたらどうだ?」

 

 俺はズキューンとキッスの頭から足まで視線を送る。

 今の二人はライブをした時と全く同じ服装である。ライブをしたと言ってもたった一回───正確に言えばキュアチューブにアップされている動画は一本のみ───であるが、その知名度はキュアアイドル達と並びかけるほどである。

 

 つまるところ、凄い目立つ。

 仮にズキューンとキッスの存在を知らなかったとしても、ライブ衣装として成立するような派手な服装なので、確実に二度見されるだろう。

 

 そんな状態で観光なんて出来るだろうか。

 否、難しいだろう。ファンに囲まれるか、奇怪な目を向けられるだろう。そんな状態では観光に集中するどころか、街を歩くのですら一苦労なのが容易に想像出来る。

 

「……? 分かった! それじゃああっちの姿に戻ろうかキッス!」

 

「お姉さま!」

 

 俺の言葉に首を傾げながらも、分かったと言って───本当に理解してるのかは置いといて───ズキューンは今の服装から別のへと変わろうとするようだ。

 

 しかし何故だろうか。

 キッスは慌てた様子でズキューンを止める。さっきまでは俯いていた顔は、小さかった声は何処へ言ったのか。何か見られたくないものでも……隠し事でもあるのだろうか。

 それならば俺は目と耳を塞いでその秘密に

 

「プリ~」

 

「…………は?」

 

 触れないようにした瞬間、ズキューンの姿はプリルンへと変わる。

 別に姿がガラリと変わるのは驚きはするが初めてではない。実際に変わる一連の動作を見た事は無いが、うただってキュアアイドルになると容姿が一気に変わるのだ。人の姿であるズキューンが、妖精であるプリルンに変わるのは理解は出来る。

 

 それ以上に俺が驚いたのはプリルンの存在だ。

 うた達の話ではキラリランドに戻ったようであり、はなみちタウンに戻ったとは聞いていない。俺がうた達からその話を聞いていない可能性もあるのだが、ズキューンが現れた時期からして、プリルンはうた達にも正体を隠してると考えられる。

 

 いや待て、そもそもプリルンにそんな芸当が出来るだろうか。

 プリルンはうたと同じように嘘を吐くのが苦手、もっと言えば嘘を吐く発想すら無い妖精だ。もしキラリランドから戻ってきて、うたに会ったのなら「うた~、久しぶりプリ!」と抱き付くのが容易に想像つく。

 

 それがどういう事だろうか。

 プリルンはうたと会っている筈なのに、うたはズキューンの存在に気付いていない。

 それに何故だろうか。何処か目の前のプリルンに違和感を覚える。俺の知っているプリルンではなく、まるで何が足りないような。

 

「ちょっ、え、は……プリル」

 

「台助。お姉さまは何も覚えてないわよ」

 

 混乱しながらも、プリルンの名前を呼ぼうとする俺の声をキッスが……あぁ、いや。ズキューンがプリルンならもう一人は誰か予想は簡単だ。キッス改めメロロンが俺の声を掻き消す。

 

 覚えてない、と言うのは比喩でもなく本当なのだろう。

 もし俺の事が分かるなら、わざわざ俺の名前を良い淀む必要も、この街について聞く必要も無い。観光がしたいのならば、うた達に頼めば一緒に街を見て回ってくれるのだから。

 

「台助? どうしたプリ?」

 

「いや、どうしたも何も。その、ズキューン?」

 

「プリルンはプリルンプリ、初めまして(・・・・・)プリ!」

 

 それでも俺は信じられず、思わずプリルンをズキューンと呼ぶが、それに対してプリルンは自身の名前と共に「初めまして」と名乗る。答えはもう提示されたのだ。

 

「…………メロロン。何があった」

 

「ねえたまは……ねえたまは記憶を無くしたメロ」

 

 メロロンは淡々と、それで何処か後悔してるような声色でプリルンに何が起こったのかを話す。

 目の前のプリルンと、メロロンが話した内容は合致する。俺に対して初めましてと言ったのも、記憶を失ったとなれば説明はつく。理解は出来る。

 

「いや、だっておかしいだろ。この前まで何も無かったじゃねぇかよ」

 

 だが、納得は出来ない。したくない。

 そもそもフェスが始まる数日前、キラリランドへ戻るまでは何もなかった。それは俺が実際にプリルンと会ったから知っている。なら記憶を失ったのはキラリランドに戻ってからか?

 

 じゃあキラリランドで何かあったのか? でもメロロンはさほど慌てた様子は無い。それに時系列は一から整理すると、不可解な部分は多い。

 

 まずプリルンとメロロンがキラリランドに戻ったのはフェスの前日であり、そのフェスにズキューンとキッスが現れた。

 そしてズキューンとしてうた達に出会ってから、ずっとズキューンがプリルンと気付いていない様子から、プリルンが記憶を失ったのはその間だと考えられる。

 もしプリルンがうた達の事を覚えているのなら、ズキューンとして出会った際に自分も人間になれたとドヤ顔で自慢するのが簡単に想像出来るからだ。

 

「経緯を語るつもりは?」

 

「無いメロ」

 

「言うとは思った」

 

 結局の所、記憶喪失の原因は不明である。

 考えても結論は出ないので、一応メロロンに話を振ってみたが喋るつもりはないようだ。

 

 秘密にするような内容、または話しても俺個人やうた達でも解決が困難。もしくは……出来ない。プリルンの記憶を取り戻すのは不可能だとメロロン自身が悟っているからこそ、何も語らないつもりなのだろう。

 

 無理に聞き出した所でメロロンは答えようとしないのは容易に想像がつく。

 少なくとも「記憶を思い出せプリルン!」なんて迫るように強い言葉を使えばプリルンは怯えて、メロロンは辛そうなプリルンを見て記憶を思い出そうとするのは止めるだろう。

 

 かと言って今この瞬間に解説するような方法は思い付かない。

 田中さんなら事情を聞いてもショックを受けても瞬時に切り替えて解決法を一緒に考えてくれそうだが、肝心の田中さんはプリルンとメロロンの様子を見にキラキランドに戻っている。当然連絡は付かない。

 

 手に余る。

 それが今のプリルンに対する俺の正直な感想がこれだ。

 奇跡だの不思議な力だの、何かしらが使えれば良かったのだが、俺にそんな能力は無いし、かと言ってそんなアイテムも……あぁそうだ、一応心当たりはあるか。

 

「話は変わるがメロロン、ハートキラリロックについてなんだが」

 

「それならもう大丈夫メロ」

 

「大丈夫? キラキランドでハートキラリロックの元になった話でも見つけたのか?」

 

「そんなところメロ」

 

「……ちなみに願いを叶えるってのは本当だったり?」

 

「本当メロ」

 

 ハートキラリロック。それは願いを叶えると言われている道具である。

 今度メロロンに会った時にはなみちタウンの図書館で調べた事を教えようと思ったが、既にキラリランドで情報を手に入れていたらしい。

 確証も何もない、ただの都市伝説にすがるのはどうかと思ったが、本当に願いが叶うようだ。ならば俺は……

 

「なぁメロロン」

 

「メロ?」

 

「ハートキラリロックって今使えるか?」

 

「メロ!? 駄目メロ!」

 

 プリルンの記憶を取り戻す為に使う。

 俺はハートキラリロックに「プリルンの記憶が元に戻るように」と願う。ただそれだけの事なのに、何故かメロロンは俺を止めようとしてくる。

 

 それでも俺は止まるつもりはない。

 いつの日か今のプリルンとうたが再会するのは目に見えている。実際にズキューンとして再会しているのだ、ズキューンがプリルンと知る日はそう遠くないだろう。

 

 そして……そして、その日が訪れればどうなるか予想は簡単だ。

 プリルンはうた達に対して誰なのかと問うだろう。純粋でありながらも残酷な疑問として。

 

 うたはプリルンがそんな冗談を言うわけが無い。プリルンをよく知ってるからこそ、自分の耳がおかしくなったと疑いの目を自分自身に向けるだろう。

 

 ななちゃんは相手をよく見てるからプリルンの様子から冗談ではないと理解するだろう。それでも目の前の光景を信じられず、理解した事実を拒もうとするだろう。

 

 こころちゃんはプリルンの応援する姿をファンと言う名の同士として肩を並べている。そんな同士からうたに対するキラキラが消えているとなると、嫌でも察してしまうだろう。

 

 プリルンはうた達の様子に首を傾げるだろう。どうしてそんなにもショックを受けてるのか、知らない内に自分が何かしてしまったのかと。

 

 メロロンはプリルンをみんなから遠ざけようとするだろう。これ以上うた達が傷付かないようにと、プリルンが苦しまないようにと。

 

 誰にも幸運は訪れない。

 あるのは誰もが不幸になる未来。見えているのだ、分かっているのだ。なのに何も知らないなんて、そんなのは嫌だ。うたから笑顔が無くなるなんて俺は嫌だ。俺は、俺はッ!

 

「俺はうたの笑顔を守りたい」

 

 うたの笑顔を見るのが人生の夢ならば、うたの笑顔を守るのは人生の目標だ。

 それは今も昔も変わらない。あの時からずっと……俺の思いは小さい頃から同じである。

 

「ねえたまも」

 

「ん?」

 

「ねえたまも同じ事を言ってたメロ」

 

 そうか、プリルンも俺と同じ事を言ってたのか。

 なら一層記憶を失ったのは悲しいな。プリルンもうたを想っていたように、うたもプリルンを想っている。メロロンもきっと記憶を失ったプリルンを心配して、ハートキラリロックの調査をすぐに片付けてはなみちタウンに戻って……

 

 いや、待てよ。そもそもの順序が違うんじゃないか?

 プリルンが記憶を失うよりも前に、メロロンはハートキラリロックの効果について知ったんじゃないのか?

 でも願いを叶える効果があると知っているなら、なんで使わない。使えばプリルンの記憶を取り戻せると言うのに。

 

 それか使わないじゃなくて、使えない(・・・・)のか?

 もう何か願いを叶えたから、錠前の中に「大切なモノ」が入っていて鍵が閉まってるから、今は使えないと考えれば筋は通る。

 でもメロロンが持ってるなら、使えるならメロロンから信頼されている人物しか居ないよな。そんな相手なんて一人しか思い付かな……。

 

「は? おい、ちょっと待てメロロン。ハートキラリロックってまさか」

 

 全ての辻褄が合う。

 プリルンの大切な(・・・)記憶が失われた理由。

 メロロンがハートキラリロックを俺に使わせなかった理由。

 プリルンとメロロンがズキューンとキッスになれた理由。

 

 二人は使ったのだ。

 ハートキラリロックの代償として自身の大切なモノを失い、そして願いとしてズキューンとキッスとなったのだ。

 

「メロロ」

 

「メロロン~早く行くプリ!」

 

 俺の推測が妄想と言う根拠が欲しかったが、どうやら時間切れのようだ。

 記憶の無いプリルンは俺とずっと話して動かないメロロンへ、早くはなみちタウンを回ろうと催促してくる。きっと今のプリルンはハートキラリロックの事も、自分が記憶を失ったのも知らないのだろう。

 

「台助。咲良うた達にねえたまの事を」

 

「言える訳ないだろ」

 

 言わないでほしい。そう喋ろうとしたメロロンの思考を先読みし、俺は拳を震わせて冷静を保ちながら言葉を被せる。

 

 言ってどうする。

 俺が嫌われてうたの笑顔が守られるなら構わない。

 でもうたは「台助くんはそんな冗談は言わない。きっとプリルン達に何かあったんだ!」と、ななちゃんやこころちゃんと一緒に真実を求め、プリルンとメロロンを探そうとするだろう。

 

 ここで感情的になって何になる。

 メロロンに強く当たったところで、それは向き場の無い感情を関係無い相手にぶつけてるだけ。要するにただの八つ当たりだ。

 八つ当たりをして、プリルンの記憶が戻る訳じゃない。感情的になるのは悪くは無いが、向ける相手と場所を考えるべきだ。

 

 何をしても最悪な方向へ転がっていく。

 結局、今の俺に出来る事は一つだけ。はなみちタウンを観光しようとするプリルンとメロロンを見送る事だけだ。

 

「バイバイプリ~」

 

「ッ! あぁ。またな」

 

 それでもと一瞬、俺はプリルンに手を伸ばそうとするが、なんて声を掛ければ良いか分からず、腕はゆっくりと重りを付けたように落ちていった。

 

 

 

 

 

「どうすれば良いんだ? どうすればうた達が傷付かずに……」

 

 プリルンとメロロンとの再会からしばらく、青空から夕暮れへと変わろうとも俺は答えが思い浮かばず、伸ばし損ねた手を眺めていた。

 

「あっ」

 

 悩んで、悩んで、悩んで……俺はうた達を見かけた。

 うた達は俺に気付いてない。声を掛けなければこのままこの場を去るのは容易だろう。だけど、本当にそれで良いのだろうか。

 

 結局の所、俺のしてるのは問題の後回しだ。

 早くからプリルンについて話した方がショックは少ないんじゃないか。後回しにし続けた所で、うた達はプリルンが戻ってこないのを心配する。

 そして心配してたプリルンと再会したうた達は……。

 

「や、うた」

 

 気付けば俺はうたに声を掛けていた。

 なんて説明するのは考えは纏まらなかった。それでも後でショックを受けるよりは、今の内に俺から説明した方が良いんじゃないか。そんな考えが頭を過った上での行動だった。

 

「なぁうた。実は」

 

「台助くん!」

 

 唇が震えるのを自覚しながら、開いた口は俺の胸に飛び込んできたうたによって閉じる事は無かった。言葉を紡ぐ事は無かった。

 

「プリルンが、プリルンが私の事覚えてなくて……!」

 

 何故ならうたが泣いていたからだ。

 しかもプリルンの記憶が無い。俺が丁度悩んでいた理由で。

 

 うたと同じようにショックを受けているのだろう。泣いているうたに声を掛けられず、ただ呆然とするななちゃんとこころちゃんは何も言わなかった。

 

 俺は何も出来なかった。うたの笑顔を守れなかった。

 悔しい。悲しい。辛い。でもそれはうたも、ななちゃんも、こころちゃんも同じだ。何も出来なかったと後悔しているのは俺だけじゃない。

 

 だから今は泣いていい。

 俺は自身の無力さに打ちひしがれながらも、うたが泣き止むまで優しく抱き締めるのであった。

 

 うた、俺はお前の側にずっと居る。ただし俺は何も出来ない、側にしか居れないんだ。ごめんなうた。




 今までの日常風景とは違い圧倒的にシリアスですが、ハートキラリロック関連の話はキミプリの物語を扱う以上は絶対に避けられないので。
 取り敢えずギャグ成分足りない人向けにオマケ書きました。

【オマケ~もしもギャグ時空だったら~】
「ハートキラリロックにプリルンの記憶が封印された!? それは本当かメロロン!」

「本当メロ」

「ならピッキングで解決するしかないな。メロロン、針金を貸してくれ」

「持ってないメロ」

「じゃあ自分の爪でピッキングするか」

「そんな簡単に開けられるわけ無いメロ」

「よし開いた」

「記憶が戻ったプリー!」

「解決までの流れが雑すぎるメロ!」

プリキュアを見たことある?

  • 見たことが無い
  • 何話か見た
  • キミプリのみ見た
  • 複数のプリキュアシリーズを見た
  • 全プリキュアシリーズを見た
  • 最新作を見てる
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。