うた、俺はお前の隠し事を聞かない。ただし隠す努力はしてくれ。   作:のろとり

34 / 35
 書き直しを続けてたら予定の投稿時間過ぎてました。

 時系列は第40話です。
 具体的に言うと、なながフランスに居る時です。


第28.5話 蒼風ななは選択する。

「はぁ…………」

 

 はなみちタウンから遠く離れた土地、フランス。

 母のピアノのコンクールを聞きに海外へと訪れていたななは、フランスの家の窓から見える景色を眺め、はなみちタウンで見ていたいつもの景色との違いに興奮……する余裕も無く、ただただ心の悩みを吐露するように溜め息を吐く。

 

 その溜め息の原因は自分の今後について。

 将来を考えてフランスに移住するか、今を大切にしてはなみちタウンに残るか。その二択をずっと悩んでいた。

 家族も友達も大切なななにとって、どちらかを選ぶ。また、どちらかを選べない選択はとても辛く、片方しか選べないからこそ母にフランスに移住を提案された時から悩み続けていた。

 

「どうしよう」

 

 ななは手元にあるスマホで、よく悩みを解決してくれる台助に相談の連絡しようかと画面をタップしようとした。

 しかし自分がどうしたいか決まってないのに相談しても困らせてしまうだろうからと、タップしようとした指を止めて再度溜め息を吐く。

 

 誰かに相談すれば解決するか? そう聞かれれば、ななは首を横に振るだろう。

 これは自分の問題だ。周りがなんて言おうが、その決定権は自分にあるし、逆に周りの意見に流されてどちらを選ぶか決めようモノなら、例えその時は納得が行く行動だったとしても、時間が経てば後悔が押し寄せてしまうだろう。

 

「なな」

 

「あ、パパ」

 

「ファッションショーを見に行かないかい?」

 

 そんなななを見掛けたのか、ななの父は手に今日開催されるファッションショーのチケットを見せる。

 

 突然の誘いにどうしようかと、ななは思考を巡らせる。

 今日はこれといった予定は特に無い。母はピアノの稽古で出掛けており、フランスに来たのも急だったので昨日のコンクール以外の予定は何も立てていなかったのだ。

 

「ななと同じぐらいの子がモデルとして出るみたいでね。ほら、ななも女の子だからアイドルみたいな可愛らしいファッションに興味があるかと思って」

 

 父なりに自分に気を遣ってくれたのだろう。

 慣れない海外の地に居るななの心が少しでも元気になるようにと、ファッションショーを見に行くのを提案したななの父の身体には少しばかりの疲労が見える。

 恐らくは、昨日の内にななが楽しめるような何かがないかと夜遅くまで考え、チケットの用意までしてくれたのだろう。

 

「うん。行ってみたい!」

 

 ななは自身に気を遣ってくれた父に感謝をし、今だけは抱えている悩みを忘れようようと考えると同時に、ファッションショーへの期待感を胸に抱くのであった。

 

 

 

 

 

「わぁ~!」

 

 ファッションショーの会場。

 そこは以前、なながアイドルプリキュアとしてライブを行ったステージと同等の広さを持っており、その時の思い出がまるで昨日のように思い出される。

 そしてそれと同時にななは思考は巡らせる。もし自分がこの会場に立ったら、どう動くかと。

 

「…………」

 

 会場の中心から十字を描くような形で移動可能なステージだ。中心にセンターであるうたを立たせるよりも、移動して端っこに居るお客さんに見せるように……いや、それよりもこのステージを上手く活かす方法はなにか。田中なら思い浮かぶだろうか。

 

「なな?」

 

「あ、ううん。なんでもない」

 

 そこまで考え、呆然としていると勘違いしたのか心配そうに話しかけてくる父に、大丈夫だと返事をする。

 そうだ、今ステージに立つのは自分じゃない。それにこの場で行われるのはアイドルのステージではなく、ファッションショーだ。アイドルと目の前に映る会場の繋がりを切るように頭を振り、これから始まるファッションショーへと集中する。

 

「可愛い服……!」

 

 そしてファッションショーが始まった。

 自分と同じ、もしくは高校生ぐらいだろうか。そんな子ども達4人がステージの上へと立ち、その体格に似合ったファッションを見せ始めた。

 だが服が着せられているのではなく、あくまで本人達を立たせつつもモデル程度の目立たせ、主役であるファッションを引き立たせるような立ち振る舞いをしている。

 

「凄い……」

 

 赤紫色の髪をしている子は何処か緊張している。まるでピアノのコンクールでみんなの前に立つ直前の自分のように。

 青髪の子はそんな子の緊張を解そうしている。まるで毎日が目に映るモノ全てがキラッキランランしていると考えているうたのように。

 黄色髪の子は自身の体格や気配といった持ち味を活かしている。まるでファンの人達は何をしたら喜ぶかと、自身の好きを長所として活かしているこころのように。

 紫髪の子は大人のような立ち振る舞いをしている。まるでアイドルプリキュアとして歌って踊っているプリルンとメロロンのように。

 

「って、あれ?」

 

 自分は今何を考えていただろうか。

 ファッションショーとアイドルは関係無いのだから。その思考は振り切った筈なのに、目の前のファッションショー光景と自分達アイドルプリキュアが重なって見える。それはまるで自分達の写し鏡のように。

 

「……あぁ、そうだったんだ」

 

 そしてななは気付いた。

 自分にとってアイドルプリキュアが自分自身が認識している以上に大きく、そして遠く離れた地に居ても重ねて見えてしまうほどに大切になっているのだと。

 

 そしてそれと同時に家族も大切だ。

 だからこそ悩んでいた。

 だからこそ片方しか選べない現実に顔を歪ませた。

 だからこそ今の今まで答えが出せなかった。

 

 しかし今はもう迷いは無い。

 自分にとって家族も友達も大切だ。どちらかを選べと言われても、選べないのは今も変わらない。

 それでもせめて、今は今やりたい事を優先したい。キラキラな……いや、キラッキランランな日々を過ごしていた街へ戻りたいと思う。

 

 それから先はまだ分からない。

 ずっと残るのか、それとも別の場所に行くのか。それでもうた達との日々は無駄にはならない。それらの日々は経験へと変わり、母のようなピアニストへ近付く為の一歩へなってくれるだろう。そんな確信がななを前に進ませ、勇気をくれる。

 

「あっ、つぼみ! 此方にカメラが向いてるよ! ぶいっ!」

 

「えりか、次が詰まってるので早くステージから出ますよ!」

 

「ふふっ。楽しそう」

 

 ななはファッションショーのモデルの微笑ましい光景を見て、はなみちタウンに居るうたの姿を見て微笑みを浮かべる。

 

「うたちゃん達に会いたいなぁ」

 

 ステージの上に立っても元気で、ムードメーカーな部分を見てうたの様子を思い出したのだろう。ななは誰にも聞こえないような小さな声ではなみちタウンに居る友達の事を呟く。

 そしてその願いが叶うのは遠くない未来となるだろう。




 ハートキャッチプリキュアの映画好き。
 なお私の初見時の感想は「オリヴィエくん(ゲストキャラ)鬼つえぇ! このまま逆らう奴らぶっ殺していこうぜ!」だったりする。

 いや、あの……映画ボスとプリキュアの攻撃を同時に止めるのは予想外だったんですよ。その強さに驚いた結果、例のコラ画像が頭をよぎったんですよね。実際はそんな物騒な内容じゃないです。超オススメです。

プリキュアを見たことある?

  • 見たことが無い
  • 何話か見た
  • キミプリのみ見た
  • 複数のプリキュアシリーズを見た
  • 全プリキュアシリーズを見た
  • 最新作を見てる
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。