うた、俺はお前の隠し事を聞かない。ただし隠す努力はしてくれ。 作:のろとり
このシーンはうたちゃんの口癖を入れて……あれ、そういやまだ一度も作中でうたちゃんの口癖の「キラッキランラン~♪」出てなくね?
作中の時間軸は第7話です。
具体的に言うと、こころちゃんがプリキュアの戦いを見た日の夜です。
『ねぇ、台助くん。友達を怖がらせちゃった時ってどうすれば良いかな?』
「……なんだって?」
外の明るさが街頭だけになる時間帯。
うたからの電話で開始一番にそう言われた俺は、思わずと言った様子で首を傾げて聞き返してしまう。
うたが誰かを怖がらせた……とは考えにくい。
少なくとも意図的に誰かを驚かせるような性格でもないし、偶発的にそうなった場合も、うたの普段の行動からは考えにくい。そうなると、うた以外の誰かが友達を怖がらせてしまったのだろうか。
『実は色々あってプリルンが、こころちゃんって子を怖がらせちゃってね』
「こころちゃん……確かキュアアイドル&キュアウインク研究会の部長だったか?」
『知ってるの?』
「まぁ有名だからな」
キュアアイドル&キュアウインク研究会。
今年になって『
そんな部活の部長であるこころちゃんは、入学当初からキュアアイドル&キュアウインク研究会───当時ウインクはまだ居なかったので、キュアアイドル研究会であった───の活動に力を入れており、校内のアチコチでポスターを貼ったり、布教活動をしてたりと目立っていた。
その上、上級生からも部長であると認められるほどの熱意や人懐っこさなので、クラスでも「頑張ってて凄いよなぁ」と言う話をよく聞く。
あとクラスメイトのダンス部の部長曰く、ダンスが上手なようだ。俺は見たことが無いが、ダンス部が言うならその通りなのだろう。
「何があって怖がらせたかに関して聞いても良いか?」
『えっ!? えっーと、それは……』
「よし分かった。触れないでおく」
その辺りはうたの隠し事に直結するようだ。
それにしても、プリルンが相手を怖がらせるとはいったい何があったのだろうか……。
少なくともプリルンの容姿は怖がらせるようなものではない。
常識の範囲外の存在、と言う部分では驚きはするだろう。しかし見た目は可愛いぬいぐるみであり、空も飛べるが、プリルンを視界に入れただけで怖がるのは想像が難しい。
仮にプリルンの存在を怖がったとしても、それは相手が勝手に。しかもプリルンが意図的か、偶発的に起こしたか聞かれれば後者の方が自然だ。
そもそも、プリルンの存在に驚いた程度ではうたは俺に隠す必要は無い。素直に理由を話せば良い。
理由さえ分かれば、その状況に応じた的確なアドバイスが送れると思ったのだが、うたの隠し事なら仕方ない。手探りで言葉を投げ掛けるしかないようだ。
「それで、肝心のプリルンはどうしてるんだ?」
『ちょっと落ち込んでてね』
「電話代われるか?」
『うーん。ちょっと待ってて』
スマホ越しにプリルンとうたの声が聞こえてくる。
小さい子どもの対応をするかのように、いつもより優しい声を出しているうたとは対照的に、プリルンは何処か暗く心に傷がついたような声色である。
『……プリ』
「プリルン。色々と聞きたいことはあるが、プリルンはこころちゃんを怖がらせるつもりだったのか?」
『違うプリ! プリルンはキラキラなこころを見て、こころがアイドルプリキュアだと思って』
「そうか」
分かってはいた。分かってはいたが、今のプリルンの様子を確認したくて俺は意地悪な質問をした。
もしこの問いにすら元気のない様子だったら、ずっと自分を強く攻めていると考えていたが、どうやら杞憂だったりしい。
恐らくはその怖がらせてしまった時から、今に至るまでの間にうた達がプリルンのメンタルケアをしていたのだろう。
それでも暗いのはきっと、自分が相手を傷付けてしまったと言う負い目によって生まれた心の傷が多少塞がっただけ。
こころちゃんの気持ち。そしてこころちゃんとの関係が直っていないから、持ち前の明るさを取り戻せていないのだろう。
「プリルン。どんな理由があっても、相手を怖がらせて傷付けたのは事実だ」
『プリ…………』
それは例え意図的だろうとも、偶発的だろうとも変わりのない事実であり、そこに善悪は関係無い。あるのはプリルンが受け止めるべき現実だけである。
プリルンも受け止めなければと自覚を持っているのか、俺の言葉で若干傷付きながらも、小さくながらもハッキリと返事をする。
「だから、次に会ったら相手に謝ろうな」
『プリ!』
許されるか、許されないかはその場を見ておらず、尚且つこころちゃんの性格はよく知らない俺は分からない。
唯一言える事があるとすれば、相手に謝らなければ確実にしこりが残ると言う事だけだ。相手を傷付け、そして謝罪の一つもせず勝手に流してしまった罪悪感と呼ばれるしこりが。
「また何かあったら頼れよ」
『うん! 台助くんありがとう!』
『ありがとうプリ!』
これ以上は俺にどうこう出来ない。
結果がどうなるかは、プリルンとこころちゃんの問題であって部外者が首を突っ込めるような問題ではない。
だから祈るとしよう。二人が仲直り出来るようにと、ただひっそりと。物陰から応援するように。
「…………」
「どうした、
翌日、俺が学校に登校するとクラスメイトでありダンス部の部長である『
学校内に自身のトレードマークである帽子を被ってきているのを注意されてしまったのだろうか。
はたまたダンス部の方で新入生と揉めてしまったのだろうか。
いつもなら「や。おはよう!」と、気さくで元気な挨拶をする躍の態度と比べたら、今日の明らかにおかしい。気になってしまうのはクラスメイトとして、友達として当然と言えるだろう。
「何かあったか?」
「うん。朝、紫雨さんに会ったけど、何か元気無さそうなのが気掛かりで」
「紫雨さんって言うと、キュアアイドル&キュアウインク研究会の部長のこころちゃんか?」
「知ってるの?」
「まぁ有名だからな」
デジャヴを感じるやり取りだ。
より具体的に言うと、昨日うたとプリルンと同じやり取りをした。
「元気が無いって、どんな感じだったんだ?」
「何処か無理してる感じで、推しを応援してるようなキラキラが無かったかな」
表情を誤魔化すのですら難しいほど引き摺っているのか。
中学に上がるより前の知り合いである躍ですら違和感を覚えるほどだから、きっと躍よりも親しいこころちゃんの家族も気付いているのだろう。
その上で特段変化したような様子が見られないと考えると、やっぱり時間が解決したり、第三者の介入で綺麗サッパリ
「ダンス部の入部を断ったのを気にしてるのかな? それとも何か別の事で……」
「別に躍が原因とは決まった訳じゃないだろ?」
「けどさ」
その考えが外れていると知っているが、俺はそれを口に出さない。
もし真実を喋れば「なんで知っているのか」と問い詰められ、仮に大丈夫だろと言葉を投げても心配は安心に変わらないだろう。
俺の言葉一つで安心には変えられない。
だが、俺の言葉一つで安心へと進ませる道は示せる。
「そんなに気になるなら、一度本人と話してみるのはどうだ?」
俺は躍にこころちゃんと話をするのはどうかと勧めた。
プリルンとこころちゃんの仲がどうなるかは結果を見なければ分からない。仲直りするにせよ、出来なかったにせよ、どんな結末になろうと躍の心には「あの時元気が無かったけど、何があったんだろ。自分が動けば何か変わったかな」と、後悔が残る。
それはプリルンでも、こころちゃんでも解決出来ない。自分自身の行動によって引き起こされる感情なのだ。解決するのは現在進行形で動いて、後悔を無くす以外存在しない。
とまぁ色々と語ったが結局の所、俺は躍の言葉でこころちゃんが立ち直るとは思っていない。
冷たいと思われるかもしれないが、俺はこころちゃんの元気が無い理由を知っている。それに躍が関係無いのも知っている。原因とは関係の無い
それでも俺は友達が後悔を背負う選択は取らない。
俺には最初から友達を助けない、なんて選択肢は存在していないのだから。
「分かった! ありがとう台助!」
「俺は相談に乗っただけだ。特に何もしてない」
俺は躍からの感謝に無愛想に返事をし、まだマトモに面識の無いこころちゃんの様子をぼんやりを思い浮かべるのであった。
躍、俺は自分の隠し事は喋らない。ただしこころちゃんの方はなんとかなると断言しよう。
寸田躍先輩エミュが難しいです。キミプリで好きなキャラなんだけどな……。
それと「誰だよ寸田躍先輩」って人向けに説明すると、こころちゃんをダンス部に勧誘してた帽子被ってる先輩です。
次回は主人公お休みです。
このまま後日談で開始早々「問題解決しました。寸田先輩とも話しました。こころとプリルンは超仲良しになった!」は、色々と飛びすぎですからね。寸田先輩を中心にその辺りの内容を進めていきます。
…………なんで私は主人公を放って、寸ここ(寸田先輩とこころちゃんのカップリング)書こうとしてるんだろ。
ついでに投稿日は明日です。
主人公一切出番無しと宣言した上で一週間待ってもらうのは申し訳ないですからね。番外編程度に次回の投稿を待っていてください。
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