うた、俺はお前の隠し事を聞かない。ただし隠す努力はしてくれ。   作:のろとり

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 第39話の次回予告見て爆笑しました。
 寸田先輩、お前……再登場あるのかよ。

今回の時系列は第9話。
具体的に言うと、ななちゃんが勉強会の為にグリッターに向かってる場面。


第6話 ななちゃん、俺は君の変化を暖かい目で見守る。ただし最後のはちょっと分からない。

 人とは常に変化する生き物だ。

 

 例えば厨二病。

 人によっては恥ずかしい歴史として思い出したくないと考えるかもしれないが、あれの根底は「今の自分と違う自分になりたい」や「周りよりも特別になりたい」と言った、現状の生活に不満足な気持ちが高まった結果に生まれる、イメチェンの一種だと俺は考えている。

 

 そしてその変化は本人からすれば溜まっていた不満足を爆発させた結果であり、それまでの積み重ねがあるが故の行動ではある。

 しかし一方で周りから見れば唐突で、変化した人物に何が起こったのかと、思わず困惑の感情を抱いてしまうだろう。

 

「台助先輩、こんにちはなな。チェケラだYO!」

 

「?????」

 

 そう。まるで今の俺のように。

 

 

 

 

 

「どうしましたなな? 何かあったなな?」

 

「えっーとだな」

 

 現在進行形で問題が発生してるんだが?

 

 アイドルプリキュアがアイドル、ウインク、キュンキュンの三人グループだと世間に認知され始めてきた今日この頃。

 俺ははなみちタウンを散歩していると、語尾に「なな」を付けて、ツインテールを揺らしながら白線の上を歩いているななちゃんに挨拶された。

 

 本来なら挨拶には挨拶を返すべきなのだろうが、いつもと違うななちゃんの行動に俺の思考はフリーズしてしまった。

 ななちゃんはフリーズして何も喋らない俺を心配して優しく声を掛けてくれてるが、そもそもの原因はななちゃん自身である。

 

 ふぅー……よし、一旦落ち着こう。

 誰だって変わりたいと思うときはあるんだ、まだ常識の範囲内だ範囲内。プリルンと出会った時の事を思い出そう、あの時は常識の範囲外の事態が起こって困惑したが、今回は違う。ちょっと驚いただけだ、冷静な思考に切り替えていけ。

 

「よし」

 

 冷静に考えれば、俺はそこまでななちゃんを知らない。

 知っている事とすれば、精々ピアノが得意でキュアウインクの正体ってだけだ。うたの友達と言う認識程度で、関わりもそこまでない。学校こそ同じだが、学年も違うので毎日会うわけでも無い。

 

 だからあまり会わない俺からすれば唐突に見えるだけで、会っていない間にななちゃんには何かしら心境の変化があったのかもしれない。それは学校でなのか、家でなのか、はたまたアイドルプリキュアとして活動している内なのかは定かではない。

 

 しかし唯一言える事があるのなら、その変化に対して「それは変だ」と指摘するのはななちゃんを傷つけてしまう可能性が高い事だ。

 少なくとも本人が何かしらの変化を望んでの行動に対して否定的な意見をぶつければ、変化を止めてその場で立ち止まってしまう。それは先輩として……いや、人として避けるべき行為だ。

 

 かと言って無理に褒めればななちゃんはその行動を正解だと思い込んでしまう。

 ななちゃんの行動の背景が見えない俺からすれば、その行動は最適かは分からない。むしろ誉めた結果、もっと頑張らなければと迷走してしまう可能性もあるのだ。

 

 ならばどうするか。

 答えは簡単、敢えて触れずにそのままにする。

 これがこの場にとって最も安全でありななちゃんを傷付けない判断だろう。

 

「あー、いや。ななちゃんの雰囲気がいつもと違う気がしてな、ちょっと驚いたんだ」

 

「そうなな? ななはいつも通りなな」

 

 そうだっただろうか。いや、言われてみればそうだった気がする。

 

 語尾を付けるななちゃんは初めて見たが、ななちゃんについてあまり知らないので、もし「今日はそういう気分なな」と言われたら「へぇそうなんだ」でそんな日もあるんだなと一応の納得は出来る。

 

 それはそれで違和感こそはあるが、ひとまずはそういうものだと受け止めよう。それにこれ以上語尾にあーだごーだ考えても意味は無く、むしろ深く突っ込めばななちゃんも困るだろう。

 

 ここは気のせいだったと話を誤魔化し……いや、一度ななちゃんを見習って語尾を変えてみるとしよう。

 今までななちゃんとは友達(うた)の友達ぐらいの距離感であったが、仲良くなりたいと思っていたから丁度良い機会だ。相手の真似をすれば親近感が沸くと聞いた覚えがあるし、俺も語尾を変えてみるとしよう。

 

「やっぱり気のせいだったダイ。ななちゃんはいつも通りダイ」

 

「急にどうしましたなな?」

 

 ななちゃんの真似をしたら梯子を外されてしまった。

 

 どうやらななちゃんからして見れば、俺が突如として語尾キャラになったのは不思議に思ったようだ。その言葉をブーメランとしてななちゃんに返したい。

 

 俺はななちゃんの疑問に苦笑いで返しつつ、気まずくなった雰囲気をそのままにその場を後にしようとした時、ななちゃんが白線の上に立っているのに意識が向いた。

 別に立っているだけならば偶然その場に立ち止まっただけかもしれないが、今さっき会った時には白線の上を歩いていた。

 確信も証拠も無い、あくまでもしかしての勘に頼る予想ではあるが、一度確認しても良いかもしれない。

 

「ななちゃん、もしかして白線歩く遊びしてる?」

 

「そうなな!」

 

「懐かしいなぁ。俺も昔、下はマグマだと思って遊んでたな」

 

「……? 下は地面なな。マグマじゃないなな」

 

「ななちゃんはそういう想像しないのか。はもりちゃんは落とし穴をイメージしてると言ってたし、やっぱ人によるのかな」

 

 俺はうたの妹である『咲良はもり』ちゃんと一緒に白線の上を歩く遊びをしたのを思い出しつつ、ななちゃんは白線の外のイメージは何なのかと話をふる。

 

 白線の上だけしか歩けないゲームをする大半の人間は白線の外に落ちたら駄目と敗北条件を付けている。

 その理由は地獄に落ちるだったり、トゲだらけで刺されるとか、人によるがどれもこれも子どもらしい微笑ましい想像であろう。

 

「……そうなんだ。これってそういう遊びだったんだね」

 

「ん? 知らなかったのか?」

 

「なな。はもりちゃんがしてたのを真似しただけで、そこまでは知らなかったなな」

 

 やっぱり。

 語尾を外してボソリと小さい声で呟くななちゃんに反応し、そういった遊びはしてこなかったのかと言う意味で聞くと、あくまで白線を歩く遊びは、はもりちゃんの真似をしてただけで、今まで詳しい遊びの背景までは知らなかったそう。

 

 遊びに関する行動はもりちゃんの真似だとすると、いつもと違う語尾はプリルンの真似。お団子ヘアーではなくツインテールなのは、こころちゃんの影響だろうか。

 

 俺は目の前の謎がスッキリ解けて、晴れやかな気分となった。

 さてと、あまり道路で立ち止まってても邪魔になるだろうし、ななちゃんが誰かと遊ぶ約束してたら待ち合わせ時間を過ぎてしまうかもしれない。この辺りで別れるとしよう。

 

「ななちゃんはこれからグリッターに行くのか?」

 

「はいなな。うたちゃん達と数学の小テストに向けて勉強なな」

 

 つまりうた達に誰かの真似をしてるのは言ってないのか……よし、面白そうだ。黙っておこう。そして今日の夜に電話してななちゃんの様子がどうだったか聞こう。

 

「じゃ、あまり白線歩くのに集中しすぎて転んだりしないようにな」

 

「はいなな!」

 

 俺はうたの反応を脳内に浮かべながら、ななちゃんと別れて散歩のゴールである、桜が咲いている高台へと向かうのであった。

 

 そしてその日の夜。

 

『助けて台助くん~』

 

「どうした。まるでななちゃんが突然語尾を付け始めて、髪型をツインテールにしたような声を出して」

 

『実は……ってあれ、なんで知ってるの!?』

 

『エスパープリ?』

 

 うたに電話しようと思い立った時、先にうたの方から電話が掛かってきた。何やら助けを乞う電話のようだが、大方反応的に今日のななちゃんの関する話だろう。

 

「今日散歩してる時にななちゃんに会ってな。理由は聞いてないが、みんなの真似をしてるようだった」

 

『よく分かったね台助くん。私やこころはななちゃんに聞くまで分からなかったのに』

 

「これが年の功だ」

 

『一歳しか変わらないよね!?』

 

 本当はうたと一緒に過ごしている内に身に付いた思考力だけどな。

 

 昔から隠し事が苦手なうたは、口から秘密を洩らしながら俺に隠し事をしていた。口から出てる時点で隠すも何も無いのだが、俺はあえて触れずにそれを見逃し続けてきた。

 

 そしてそれを続ける内に、うたにとって都合の良い誤魔化し方は何かを考えて始めた。触れないのが一番だろうが、あえてうたの誤魔化しに乗っかれば「なんとかなった」とうたが安心するのが理由である。

 そうしてうたにとって都合の良い言葉を考えていく内に思考力が伸び、いつしか相手の行動理由や、秘密を隠している理由までも察せられるようになったのだ。

 

 なお、俺相手に秘密を隠し通せた───正確にはそう思い込んでる───成功体験が原因で、うたは秘密を隠す能力が一切成長せずに、中学二年生になっても隠し事が苦手なのかもしれないが、今は関係無い話なので置いておこう。

 

「それで、何か助けてほしそうだがどうした?」

 

『あ、そうだった。今日ななちゃん達と勉強会開いたんだけど、ななちゃんの行動が気になって勉強にあまり集中出来なくて』

 

「追試に備えて勉強を教えてほしいのか?」

 

『まだ追試とは決まってないよ!?』

 

「冗談だ」

 

 あくまでまだ(・・)決まっていないだけで、うたの成績だと追試を受けるか否かは、今の不安そうな言葉で察せてしまう。

 

「それでうた、小テストの範囲はどの辺りだ?」

 

『ちょっと待ってね。今カメラを付けて……よし。ここから、ここまでだよ』

 

「なるほど。うた、まずこの問題だが」

 

『うんうん。こうするんだね』

 

「それで次の問題は大筋は同じで……ところでうた。今日のななちゃんの行動について聞いても良いか? 誰のどんな真似をしたのか気になる」

 

『えっとね、まず私のお家に来た時にね』

 

 そうして俺はうたに小テストの範囲の勉強を教えつつ、うたから今日のななちゃんの行動について雑談するのであった。

 

 ふむふむ。なるほど……楽しかった事を絵にしようとサンドアートを書いたり、うたのノリの良さを真似して、うた自身は一度もした事が無い怪獣ごっこをはもりちゃんとしたのか。

 

 ななちゃん、俺は君の変化を暖かい目で見守る。ただし最後のはちょっと分からない。




 本来ならななちゃんの奇行に引っ張られて主人公もおかしくなる予定でしたが、主人公の理解力が高すぎてななちゃんの行動の意図を察しました。理解力あると便利だなホント。

 多分ななちゃんはトロプリのみのりん先輩に会ったら互いに「この人……出来るッ!」って謎の親近感覚えそう。そしてなんやかんやあって、最終的にみんなでトロピカ映画の曲を歌いそう。

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