うた、俺はお前の隠し事を聞かない。ただし隠す努力はしてくれ。 作:のろとり
具体的に言うと、うたちゃんを夢を探す為にななちゃんとこころちゃんが頑張ってる場面です。
キラッキランラン
うた、もといキュアアイドルの口癖である。
本人としては自分の感情のまま、その口癖通りの出来事が起こった時に思わず出てしまうようだが、初見では意味が分からないだろう。
あくまでノリとして使っているので明確な意味は存在しないが、大体は「キラキラで、ランラン♪と楽しそうな出来事」に対して使われる言葉である。
また、この口癖は連発するのはさほど珍しくはない。
今さっきの説明したが、この口癖はうた本人の気持ちによって現れるのだ。それこそ遊園地のように、キラキラでランラン♪と楽しそうな場所にでも行けば、うたは「キラッキランラン~!」と嬉しそうに何度も声をあげるだろう。
「これはどう?」
「キラッキランラン~!」
「じゃあこれは?」
「キラッキランラン~!」
「これもそうかな?」
「キラッキランラン~!」
しかしななちゃんの持つ何かしらが描かれているスケッチブックを一枚一枚見るたびに、何度も口癖を叫ぶ光景は流石に珍しいを通り越して困惑の対象である。
「…………なにこれ」
「見ての通りです」
見て分からないからもう一度聞くね。なにこれ。
「実は昨日のお昼の放送で『あなたの夢』と言う題材を募集していると流れて、みんなで夢について話していたんです」
「あなたの夢、ねぇ……」
「そしたらうた先輩が夢について悩み始めて」
「こうなったと」
「はい」
目の前の理解が難しい光景を一度置き、俺は抽象的な質問を避けてこころちゃんにうたが何度も口癖を連呼する原因を問う。
するとどうやら、昨日流れたお昼の放送が原因のようだ。
確かに昨日の放送でそんな話をしていたような……正直に言えば、こころちゃんが放送部にリクエストしたアイドルプリキュアの曲の方が印象強くてあまり覚えていない。
クラスでも「最近アイドルプリキュアのCDが発売したんだよね~」と言ったように、話題がアイドルプリキュア一色になっているので、放送の内容よりもアイドルプリキュア関連の話題の方が印象に強かったのだ。
「ところでこころちゃん。ななちゃんが持ってるスケッチブックは何が描いてあるんだ?」
「色んな職業です」
「よく昨日から今日の放課後までの短期間に用意出来たな……」
うたが夢を見つけられる手助けをしようと、色んな職業を描いたスケッチブックを見せていたようだが、その全てにキラッキランランと返して話が進まないらしい。
あまりにも全部が全部、同じ反応で困ったので俺にもうたの夢を探す手伝いをしてほしいと助けを求めてきた。と言うのがここに至るまでの経緯のようだ。
昔にうたが語っていた夢で良いのなら、家族みんなで喫茶店グリッターを続ける事だが……それは今のうたの夢か聞かれたら違うと俺は思う。
これは幼い頃にうたが掲げてた夢はボンヤリと、グリッターが好きだから続けたいと言った現状維持に関する夢であり、将来に就きたい職や将来やってみたい事に当てはまるかは微妙であるからだ。
それにきっと、その夢は否定とは行かないまでも、うたの両親はやんわりと「自分だけの夢を探して」と別の道を進めるだろう。うたの本当にやりたい事と、絶対に叶えたいと思う夢を見つけてもらう為に。
「なぁうた」
「あれ、台助くん。どうしたの?」
「ちょっとこころちゃんに呼ばれてな。それでうた、お前自身が「これをしたい!」って何かは無いのか?」
「うーん……昨日お母さんに自分が本当にしたい事があるかもしれないって言われたけど、ななちゃんにオススメされた先生もパティシエもお医者さんも全部キラッキランラン~! って感じで」
「つまり全部魅力的で決められないのか」
「うん!」
やはりと言うべきか。俺の考えていた事は既に言われていたようで、自分が本当にしたい事。本当の夢とは何か昨日からずっと考えて考えて考えて考えて考えて……それでも、全部が全部魅力的でキラッキランランのようだ。
「それにしても、うたが夢で悩むなんてなぁ。てっきり将来の夢はお嫁さんでずっと通してるのかと」
「私はもうそこまで子どもじゃないよ! でもお嫁さんもキラッキランランだね!」
「今なら何言っても全部キラッキランラン~で返ってきそうだな」
「私はそんな単純じゃないよ!」
「トリマー」
「キラッキランラン~!」
「ハハッ、おもしろ」
「台助先輩、うた先輩で遊ばないでください」
「あ、はい。すみませんでした」
さて、一度ふざけられて満足したから真面目に考えるか。
俺はうたの反応を楽しむ思考からうたの夢を探す思考に切り替え、うたに合う夢を脳内で思い付いては消して、思い付いては消してを繰り返していく。
「う~。これじゃあ放送に送る夢が決まらないよ~」
「うた~」
「ん? どうしたのプリルン?」
「うたの夢は夢を放送してもらうのが夢プリ?」
「ううん。放送してもらうのは夢だけど、それ自体は夢じゃなくて……あれ?」
「うたちゃん?」
「放送してもらう夢が決まってないから夢を考えていて、夢が決まったら放送してもらうのが私の夢で……えっと」
自分の夢が中々決まらず悩むうたは、プリルンのふとした問いにより頭を悩ませる。
しかしその悩みは夢が決まらない事ではなく、自分が何故夢を探しているかと言う動機である。
元々、うたが夢について悩み始めたのは、周りは夢を持っている中で自分だけ夢を持っていない焦燥感や、自分だけ周りと違う仲間外れのような感情が原因だろう。
だから夢を探した。そして探した先にあるのが放送部に夢を送ると言う目的ではあるが、それイコール夢に関連するかは別の話である。
「うた先輩、どうしました?」
「なんだろう。何か違うような」
「そりゃあ目的と手段が逆転してるからな」
「逆転?」
「ああ。掲げてる夢を放送部に送る、放送部に送りたいから夢を掲げる。自分のやりたい事を夢にするんじゃなくて、放送で読んでほしいから夢を探してる状態の今じゃ、ちゃんと見つからないだろうな」
「…………」
「うた。お前はどっちだ、自分の
今のうたが夢を見つけたとしても、それは本当にうたがしたい事ではない。放送部に夢を送らなければと、焦って決めた夢はただのハリボテに過ぎない。
放送部に送るだけなら適当にでっち上げた夢を送るのもアリだろうが、うたはその場しのぎの嘘や目標を掲げるような人間ではないし、仮にそのような事をしても後で「本当にこれで良かったのかな」と頭を悩ますだろう。
「私の本当にしたい事、私の本当の夢。本当の夢~夢~夢~、夢……夢? ゆめ、yume?」
うたもそれを分かってか、さっきのように「これも良い。あれも良い」と言った反応を止めて、悩みを
「うたちゃん大丈夫!?」
「うた先輩!?」
「うた、しっかりするプリ!」
「夢が夢で夢と夢は夢?」
「一旦落ち着け、そして時間を置け。頭が冷えてから考えても遅くはないからな」
夢を考えるのに時間を費やすのは良いが、アレもコレも気になると言った様子ではうたが本当にやりたい事が見当たらないだろう。
俺は一緒に考えてくれているななちゃん達には悪いが、ここは時間を置いてショートした思考回路を冷やしてから、もう一度夢について考えるべきだと提案する。
「ねぇ、台助くん」
「なんだ?」
「台助くんの夢ってなに?」
そうして俺はその場を後にしようとした時、うたに呼び止められて俺自身の夢が何かを聞かれた。
ななちゃんとこころちゃんの夢は既に聞いているようなので、俺の夢も聞いて自分の夢を探す参考にしたいのだろう。
それにしても俺の夢か……将来に何をしたい、それになりたいと言った夢は持ち合わせていない。精々あるとしたら、昔から掲げ続けている夢と言うには微妙で何度も叶っているものぐらいである。
「俺の夢はうたの笑顔を見ることだ」
「……? その夢ならもう叶ってるよね?」
「叶ってるからと言って、掲げ続けちゃ駄目って訳じゃないだろ。例えばだけど、喫茶店を繁盛させたいって夢を掲げて、それが叶った瞬間に喫茶店を閉店する。なんて事はしないだろ?」
「あっ。確かに」
夢を持つのは大切だが、夢が叶ったからと言って全てが無に還る訳ではない。人生が終わる訳でもない。
夢が叶った、なら次はどうする。次は何をする。夢とはゴールであり、ただの通過点に過ぎない。通過点に通っただけだから喜ぶな、満足するなとは言わないが、その場で胡座を掻き続けては成長する所か、向上心を失い堕落してしまうだろう。
まぁ夢なんて簡単には見つからない。
俺はうたの笑顔が好きだからこの夢を何度も掲げているが、それ以外に夢があるか聞かれたら、進路指導の先生に「お前、進路はどうするんだ?」と呼び出されるような答えになる。つまる所は無い。
俺も俺でうたにどうこう言える立場では無いが、一年ぐらい長く生きてる先輩から一つアドバイスはしておこう。
「別に夢イコールで将来の職業じゃないんだ。沢山タコさんウインナーが食べたいってのも立派な夢だ」
「タコさんウインナープリ!?」
「あくまで例えだけどな。難しい考える必要は無い、短時間で決める必要も無い。それこそアイドルが夢でも」
「違うよ」
「え?」
「アイドルは夢じゃないよ」
眉を顰めたり、急いで決めなくても良い。
今はキラキランドを救う為にアイドルプリキュアをしているようだが、それが終わってもアイドルとして活動を続けるのを夢にしても良い。そう言葉にしたが、うたは優しく首を横に振った。
アイドルは夢じゃないと語るうたの目に迷いは無い。
あれほど夢に悩んでいたうたは何処に……いや、違うか。今もうたは自分の夢について悩んでいる。悩んではいるが、うたにとってアイドルだけは夢とはかけ離れた、空想や妄想ではなく現実のようだ。
「夢って未来の事でしょ? 私はキュアアイドルとして、もうみんなのアイドルになってるから。もう
「うたちゃん……」
「うた先輩……」
「あぁ、そうだったな。アイドルはもう叶ってるんだったな」
既にうたはアイドルだ。
そこにプリルンに頼まれたからなんて第三者からの思いも、キラキランドを救う為なんて人助けも関係無い。うたがやりたいからアイドルをしている。
俺のように同じ夢を掲げたりはしない。何故ならうたは現在進行形でアイドルであり、みんなのアイドルなのだから。夢は
「うた。もし夢が決まったら教えてくれよ」
「うん!」
アイドルが夢ではないと分かった以上、少しは前に進めたのだろうと思い、今日はこの辺りにして夢について詳しく考えるのは後日にしようと提案して俺達は解散するのであった。
「台助くん台助くん!」
「朝から元気だな」
翌日。
一日時間が空けたから多少は落ち着きを取り戻しただろうか。いや、うたの事だから夢について考えすぎて寝坊しているかもしれないと、登校しながら心配していると、ななちゃんとこころちゃんの三人で学校へ向かっているうたと出会った。
うたは俺を見るなり、人慣れしている犬のように駆け寄ってくる。その目には既に迷いは存在しない、いつものうたの笑顔そのものであった。
それだけで俺はうたが駆け寄ってきた理由を察した。
「私、夢が決まったよ!」
「へぇ……聞いても良いか?」
「ウインクとキュンキュン、そして私の三人でアイドルプリキュアをするのが私の夢!」
「そうか。良かったな」
「うん!」
使命も助けも関係無い。
うたがアイドルプリキュアを
俺はうたの言葉に笑顔で返し、ななちゃんとこころちゃんも混ぜて一緒に学校へ登校するのであった。
「ところでその夢だと放送部に送れないよな? 正体を明かすわけにはいかないし」
「そうなの! どうすれば良いと思う台助くん!」
「いや知らんよ。嘘を送るわけにもいかないから、今回は諦めとけ」
「え~!」
うた、俺はお前の夢を影から応援する。ただし躓いたらすぐにでも手を伸ばすさ。
今回初めてうたちゃんの口癖が出ました。
口癖出るの遅くない? と言われそうですが、基本的に主人公がキミプリ本編に関わらない&キラッキランランするような場に居ないのが原因ですね。
ストックが切れてきて、いつか週一投稿が止まりそうなのに震えている。ただし投稿頻度は変えない、理由は小説を書いたり投稿するのが楽しいから。
プリキュアを見たことある?
-
見たことが無い
-
何話か見た
-
キミプリのみ見た
-
複数のプリキュアシリーズを見た
-
全プリキュアシリーズを見た
-
最新作を見てる