ジリジリとした嫌な感覚が肌に残る⋯⋯それほどまでに今日は暑い日だった。
あの日⋯⋯授業をサボった放課後の。
「おい紅葉授業中居なかったらしいけど体調でも悪くなったのか!? 大丈夫か!?」
先生達に凄く心配されたがなんとか言い訳をして乗り切った。
課題の量が少し増えたぐらいで済んだので安いもの。ただ、その後がとても大変だった。
「紅葉大丈夫!? 体調悪いの!? なんか少し濡れてない!? 風邪ひいちゃうよ!?
今回の授業中のノートみたかったら言ってね!?」
過剰なぐらい、いちごさんに心配されてしまった。家に帰ってからも、
「紅葉ちゃん体調大丈夫ですか!?」
「早く寝てくださいね!!」
「クーラーつけて寝るなら毛布かけ寝てね!!」
何度も鳴るスマホ。
「通知が鳴り止まないねぇ⋯⋯」
「そうね⋯⋯」
あの青葉ですら連絡が来たことに怒らないで可哀想な目で私を見た。
「今度の休みの日どこか買い物にいきませんか?」
「ほへぇ⋯⋯今度はデートのお誘いじゃん?」
スマホと交互に私を睨む。
「違うでしょ。お店に誘ってくれてるのよ」
「いーーや! 紅葉こそ分かってないね。
服屋に誘う! これはどっからどーみても
【デートだよ!!】服屋という建前がありつつ本音は!! ぐへへへへ⋯⋯紅葉ちゃぁん! 二人きりだね⋯⋯って完全に思ってるよ!!」
「そんなわけないでしょ......」
「で! 行くの行かないのどっち! 」
まくし立てる青葉。
「うーん、服か⋯⋯私服に興味無いし⋯⋯」
「紅葉ご飯だぞー!!」
「とりあえず、ご飯食べてから考えましょうか⋯⋯」
いつも通り、こっそり机の下にご飯を運んでた時。
「あ、そうだ紅葉」
「ん? なに」
「お前今度お金渡すから、服買ってきなよ」
「⋯⋯え?」
「お前も成長期だし服今のだとちっちぇだろ。
それに年頃の女の子なんだし着たい服ぐらいあるだろ?」
「ないけど⋯⋯」
「と に か く !!
お金渡すから今度の休みにでも服買いに行けよ!」
「はぁ⋯⋯」
健闘虚しく。お金を無理やり握りしめられた。
「めんどくさい⋯⋯」
「しょーがない、いちごさんと服買いに行くしかねぇだ」
聞き間違いか? 私はベッドから飛び起きた。
「青葉⋯⋯あなたがそんなこと言うなんて。
変なものでも食べたかしら⋯⋯」
「おいおい私の印象そんなだったの!?
まぁ、本当なら紅葉と一緒にイチャイチャデートをしたいところだが⋯⋯
紅葉一人だけど心配なんだよなぁ⋯⋯」
青葉の哀れみを向けた目。心の底では何か言いたげな顔。
「な、何よ。そんな目で私を見ないでよ」
「紅葉方向音痴だし、コミュ障だし、服センス皆無だし、その他いろいろ⋯⋯」
「ちょ⋯⋯私そんなポンコツじゃないし!!」
「え〜〜? ほんとかにゃあ?
ずーと紅葉の事見てきたけど私生活に関しては
結構雑な気がするよぉ?」
「そ、そんなことないし⋯⋯」
「まぁ、とりあえず一緒に服買いに行くって連絡入れとくんだな〜」
「はぁ⋯⋯しょうがないか」
一否定しようにも相手が青葉なら分が悪い。
「いいわね。今度の休みの日行きましょうか」
「ほんとですか!? 嬉しいです!!」
***
「待ち合わせここでいいのよね?」
「そだね〜ショッピングセンターの入口⋯⋯
ここでいいと思うよ〜」
いちごさんを待つ間、ベンチに腰掛けた。
「紅葉さーーん!」
「ん⋯⋯来たかしら」
「ごめん!! 待った!?」
「いえ大丈夫⋯⋯時間通り⋯⋯よ⋯⋯」
本を閉じて、声の方へ振り返ると、その姿に目を疑った。
「え⋯⋯あなたほんとにいちごさん⋯⋯?」
「えーー!? そうだよ!? 変!?」
「いや⋯⋯変じゃないわよ⋯⋯」
「変どころか⋯⋯むちゃくちゃ可愛い⋯⋯!!
けど⋯⋯むちゃくちゃ変わりすぎじゃね!?」
青葉ですら舌を巻いたいちごさんの姿。二人して顔を見合わせて(本物⋯⋯?)と疑ってしまうほどに。