NIGHTMARE MONSTERS -種を超えた絆- 作:NIGHTMARE⭐︎
余裕の復帰を見せたハンゾウの切り札、バリバシャ。
「まさか硬さもあるってのかよ…!」
ガンドルが叫んだ。彼のイクチオはいつの間にか立ち上がって臨戦体制に入っていた。
「いや…多分体の周りを水の膜で覆ってるんだと思う」
クラフが口を開いた。言われてみれば、バリバシャの体はキラキラと光を反射している。
「じゃあ風で吹き飛ばせない?」
「…確かに」
そんなやりとりをしている間にも、バリバシャは容赦なく近づいてくる。
「くるぞ!」
イクチオが頭を盾のように構えて様子を伺う。バリバシャはツメを振り上げてイクチオの頭に超高速で連打を叩き込んだ。その瞬間、わずかにその体から水滴が舞った。
「間違いない!水の膜で体を守ってるんだ!」
「なら膜ごと突き抜けて刺せるやつが有利…」
ないとめあはバリバシャが執拗にニリーノをターゲットにしていたことを思い出した。
「だからか…!隙を作ってニリーノで刺す!それしかない!」
「全力で隙を作って!」
「攻撃の受けは任せた!」
ガンドルとないとめあが指示を出す。イクチオが頭を構えた姿勢で最前線へ立った。バリバシャはそれを邪魔そうにしている。
「壁は無視でいい」
ハンゾウが言った。ないとめあはそれを指示というよりもアドバイスに近いように感じた。バリバシャは言われた通りイクチオを無視してニリーノの方へ駆け出す。
「来てるよ!」
ルカノンがすかさずニリーノとの間に割って入り、風圧弾をぶつける。バリバシャはそこまでダメージは負っていないものの、風圧でイクチオの前に押し戻された。バリバシャはイライラしている。
「踏ん張りどころだぞぉ!」
ガンドルがイクチオを鼓舞する。バリバシャの帯電したツメが次々と繰り出されるが、イクチオはその度に頭で受けていく。ハンゾウは厄介そうな表情でなにかの指示を出した。
バリバシャは突然、体を捩って水の膜の一部をイクチオにかける。
「!?」
次の瞬間には、帯電したツメが再び振り下ろされる。イクチオは変わらず頭でそれを受け止めようと首を突き出す。その瞬間バリバシャがかけた水の膜に電気が通り、イクチオの全身に電流が駆け巡った。
「いっ!?!」
ガンドルが驚く。なんだ今のは…。
「水を通して頭以外の部位にも電気を送ったってこと!?」
ないとめあの言葉にハンゾウが微笑んで頷く。
バリバシャはイクチオを乗り越え、ルカノンに向かう。電流が走るツメを振り上げて距離を縮めていく。その瞬間、クラフが叫んだ。
「ニリーノ行けぇ!」
バリバシャはその声で思い出した。自身に最もダメージを与える可能性の高い、小さな飛行モンスターを。
ニリーノがバリバシャの頭に超高速で飛んできて、水の膜を貫通し本体に届く。
「押し切れえええ!」
ニリーノが小さな翼を素早く動かして鋭いキバを突き立てていく。焦ったハンゾウはバリバシャに指示を下す。バリバシャは全身から電撃を放って、水の膜を通してニリーノを攻撃するつもりらしい。自身もダメージを喰らう大技だろう。
「させない!」
ないとめあの指示を受けたルカノンが風圧弾をバリバシャの頭に放つ。それと同時にバリバシャは全身から放電したが、ニリーノが感電することはなかった。
「風圧で水膜を一時的に吹き飛ばしたのか…!」
バリバシャは自身の電撃と風圧弾、さらにキバを食い込ませるニリーノに強烈なダメージを負い、その場に崩れ落ちるように倒れた。ハンゾウが呆気に取られている…。
一瞬の静寂、そしてすぐに湧き上がる歓声。
「やったよ!!」
ないとめあがクラフとガンドル、そしてモンスターたちに声をかけた。
「まさか本当に行けるなんて…」
クラフがヘナヘナと飛んできた疲弊したニリーノを撫でながら呟いた。ガンドルはイクチオをホームへ戻しにフィールドへ向かっていた。
「やったね!ナイスアシスト、ルカノン!」
ないとめあはルカノンに近づいて言った。ルカノンは得意げにフォオオオオと息を吐いた。
ハンゾウが3人の前に歩いてきた。3人は緊張の面持ちでハンゾウを見つめた。
「ははははは…こりゃ参ったね。どうやら私にとって久しぶりの、気持ちいいくらいの完敗らしい」
3人は顔を見合わせて笑い合った。
「いつの間にか、連携を使いこなせるようになってたな!」
ハンゾウが3人に声をかけた。そして驚くべきことに、彼の背後にはたった今倒したバリバシャが起き上がって立っていた。しかしもうその目に敵意はないらしい。
「さあ、これを受け取ってくれ」
ハンゾウが3人分のカプセル型の装置を取り出した。それはまさしくないとめあが最も欲しているもの、モンスターの家、ホームだった。