NIGHTMARE MONSTERS -種を超えた絆- 作:NIGHTMARE⭐︎
イクチオが吹っ飛ばされてフィールドに倒れ込むと、客席で観戦していたわずかな観客が声を上げた。歓声に包まれながら、クラフは理解が追いついていないような様子で立っていた。一方ないとめあとルカノンはその横で得意げな表情で立っていた。
「イクチオを…ニリーノが倒したのか…?」
「ね?勇気を出して行動してみれば、意外となんとかなるでしょ?」
ないとめあがクラフに向かってニコッと微笑んだ。クラフはそれを見て不器用に微笑み返した。
ドドドドッ。
不意に大きな音が鳴った。見ると、ガンドルが倒れた相棒に向かって慌てて駆け寄っていた。
「イクチオぉお!」
ガンドルがイクチオの硬い頭をさすりながら絶叫した。ないとめあはその姿を見て、思わず近づいた。
「来るんじゃねえ!このヤロウ!」
ガンドルがないとめあを威嚇する。しかし攻撃はしてこないらしい。イクチオを守ろうとしているのか…?
「私たちはもうその子を傷つけたりしないよ?」
ないとめあがモンスターと話す時と同じような優しい声で言った。ガンドルはそれを聞いて少し落ち着きを取り戻したらしい。手にしたホームにイクチオを戻す。ないとめあは、そのホームがモンスターショップに売っている、快適豪華モデルなことに気づいた。
「…モンスター好きなの?」
「嫌いなヤツいねえよ!」
ガンドルがホームを不器用に撫でながら言った。クラフがいつのまにかないとめあの隣に寄ってきていた。しばらくの静寂。ルカノンの呼吸音しか聞こえない。
「…謝ってもらったら?」
ないとめあがクラフに小声で囁いた。クラフは面食らって少しジタバタするが、深呼吸をして真っ直ぐに立った。
「ガンドル…!い、今までのこと、謝って欲しい…!…かも」
クラフがガンドルに言った。
途端にガンドルは丸太のように太い両腕を振り上げる。
「!?」
ないとめあが咄嗟に間に入ろうとしたが、ガンドルの両手はそのままフィールドの土の床に叩きつけられた。
「ゴメンナサァイ!」
ガンドルはクラフの前で綺麗な土下座をしていた。ないとめあは勘違いが気まずくてすーっ…とクラフの後ろに引っ込んだ。ニリーノが自慢げに羽ばたいているのが見えた。
「実はオレ…体がでかいだけでめっちゃビビりで…あんな態度で強くてすごいやつのフリをしてたんだ…!
ほんとにごめんクラフ!発明品もよそ見歩きで踏んづけて壊しちゃったし…ニリーノがあんまり忙しなく羽ばたいてるから可哀想と思ってガムテープで羽しばらく動かせないようにしたり…あんな酷い態度とったり…」
ガンドルが別人のように涙目で謝罪を連発している。クラフは小さく笑って、ガンドルに寄った。
「もう許すから顔あげてって。イクチオに対する愛情で悪いやつじゃ無いのなんとなくわかったしな。」
ガンドルはチラッと目線を上げてクラフと目を合わせた。そしてないとめあをチラ見した。
「こんなオレを許してくれてありがとォ〜!」
ないとめあとクラフは顔を見合わせて微笑んだ。やはりモンスター好きに悪い人はいないようだ。
「…すごい戦術だったね」
聞き馴染みのない声が聞こえた。ないとめあが振り返ると、そこには黒髪と黒いパーカーを纏った少女が立っていた。背後にはグラディアが油断なく目を光らせている。
「あ…!?シティオーナー様!」
クラフが少女を見てビビる。シティオーナー、別名「街内最強オーナー。」
「その呼び方いいって…私、末凛(まつり)。上からあんたらのバトル見てた」
末凛がグラディアの冷たいハサミを撫でながら赤い目で3人を見た。