NIGHTMARE MONSTERS -種を超えた絆-   作:NIGHTMARE⭐︎

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9 ルカノンの決意

シティオーナー、それぞれの街の最強のオーナー。ホットンシティのシティオーナーこそが、まだ未成年にも関わらず圧倒的な実力で先代を打ち負かした、グラディア使いの末凛(まつり)である!

ないとめあは末凛の姿をじっと見てみた。最強の貫禄がありすぎるくらいに溢れている。だるそうにダボっと羽織った黒いパーカー、先にほんのり赤みが刺した黒髪ショートヘア、赤くツヤツヤだが冷たく興味なさげな目。

 

「オレの友達2人になんか用かい?嬢ちゃん」

いつのまにかいつもの偉そうな暴君ムーブに戻っていたガンドルが末凛に言った。そしていつのまにか友達認定されていた。ガンドルは末凛がどういうオーナーなのか知らないらしい。クラフがガンドルを止めようと声をかけた。

「ガンドル!この子ほんとに強いんだよ…」

「安心しろ!どんな強いやつでもオレが守ってやる!」

全然会話になっていない。末凛は表情ひとつ変えない。

「シティオーナーに勝ったらシティオーナーになれるって知ってるよね?」

末凛が静かに口を開いた。クラフがガンドルの腕を引っ張って末凛から遠ざけようとしながら頷いた…ないとめあは全然そんなこと知らなかった。

「そうなの?」

「うん。その実力だと見込みアリって感じだと思ったから」

末凛が素っ気なく言った。

「おお!オレら最強オーナーに認められたぞ!」

ガンドルが言うと、末凛の後ろのグラディアがハサミを閉じて、ギシャンッという威嚇音を鳴らした。

「…話遮らないで。見込みを感じただけ。まあもちろん、そんなやすやすとシティオーナーはあげないけどね」

末凛が少し不機嫌そうな口調で言い、くるりと向きを変えてフィールドを出て行った。グラディアが鎧の騎士が歩くような音を立てながらその後に続いた。

 

「シティオーナー、かぁ…無縁だと思ってたな」

クラフが小さい声でつぶやいた。

「ガハハ!オレにぴったりの称号だな!」

ガンドルが対照的に大声を張り上げ、クラフが呆れたように適当に頷いた。

ないとめあは少し離れた場所でルカノンを撫でていた。

「初実戦疲れたよね。お疲れ様、頑張ったね」

ないとめあが優しい声でルカノンに話しかけた。ルカノンは満足げにフォオオオオと息を吐く。

「美味しい風食べに行こっか?」

ないとめあはルカノンと共にバトルフィールドを出てすぐのところにあるベランダに向かって歩いた。その間もガンドルの声がフィールドから聞こえてくる。

「ほら…テラスっぽい感じだね。風が心地いい場所だねぇ」

ないとめあが設置してあった椅子に腰掛けながらルカノンに言った。ルカノンは大きく口を開いて風を取り込んでいる。オレンジ色の触手がヒラヒラと風に舞う。午後の日差しが暖かく、気持ちがいい。

「気が済むまで堪能してね…」

ないとめあはルカノンがそれを聞いて、嬉しそうな表情をすると思った。だが、ルカノンはそれすらも超えた、何か決意をしたかのようなキリッとした表情を浮かべていた。ないとめあは不思議に思ったが、ルカノンが満足するまで横で一緒に風を浴び続けた。

 

やがてルカノンはないとめあの方に向き直った。

「満足した?ホーム戻る?」

ルカノンはないとめあの問いかけに頷くと、ホームに飛び込んだ。ないとめあはいつもの通りにホームをカチリと閉めた。その時、ないとめあの目にあるものが飛び込んできた。

ホームの外側のライトが、まるでないとめあを「絶対に守る」と言っているかのように、緑色に輝いていた。




モンスター解説
【グラディア】
体長1.7m
体重60kg
好物:魚など
捕獲難度:A
氷の世界で見られるモンスター。ダイヤのように硬いハサミで獲物を捕らえる。本来は気性の荒いモンスターだが、末凛が連れている個体は極めて彼女への忠誠心が強い。
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