読みたい人だけ寄っといで。
その日の俺は、楽しみにしていたガンダム最新作の先行上映を映画館で観たからか、ウキウキとした様子で帰路に着いていた。
だからこそ、信号無視をしていたトラックに気が付かなかったのかもしれない。
まぁ、そんなことを後悔しても今更遅いけど。
そして、それから数分後に目を開けると....そこは見知らぬ部屋の中だった。
Why?Why?
いやコレどうなってるの?
俺、死んだはずだよな?
今流行りの信号無視のトラックに轢かれたはずだよな?
んで、ポックリと逝ったはずだよな?
あの世へとレッツゴーするはずだったよな?
そう戸惑いながらも、ベットから体を起こす俺。
え、何このベッド。
めちゃくちゃフカフカなんだけど。
コレ確実にお高いやつなんだろうなぁ....
てことは、今の俺はお金持ちのボンボンにでも転生したのか?
けど、この手のパターンだと最近は悪役に転生することが多いからな....せめて悪役に転生していないことを祈るしかない。
そう頭の中でグルグルと考えながら、俺はベッドから降りるとそのまま部屋を見渡した。
ここが今の俺の部屋....か。
悪趣味って感じではないけど、お金持ちか貴族の部屋って感じがするなぁ。
そんなことを思いながら、ふと部屋の中の鏡を見た時....そこに映っていたのは、前世では地味な方だった俺とは似ても似つかない紫色の髪色の青年で、女が見たら確実に黄色い声を上げそうなルックスだったのだが、今の自分の姿を見た俺は思わずこう叫んでしまった。
「ガルマ・ザビじゃねぇか!!」
ガルマ・ザビ。
それはロボットアニメの金字塔ことガンダムシリーズの第一作目、機動戦士ガンダムの登場キャラであり、ジオン公国の支配者であるザビ家の末弟。
ジオン公国の国民達からの人気が高い上に、ザビ家の兄弟全員とも仲が良かったものの....最終的には友人であった赤い彗星ことシャア・アズナブル、もといキャスバル・レム・ダイクンによって謀殺され、命を落とすという結末を辿るお坊ちゃん的なキャラクターなのだ。
.....一言だけ言わせてくれ。
何故にガルマ・ザビ!?
何故に俺は坊やに転生しちゃったんだよ!?
つーか、原作通りに俺が死んだらジオン公国は間違いなく空中分解する確率が高いし....俺、確実に詰んでるじゃねぇか!!
うわ〜ん!!どうして俺がこんな目に〜!!
俺はただ、ガンダムシリーズの新作の先行上映に行っただけなのに〜!!
「ハ、ハハハ....夢、なのか?」
そう思って頬をつねってみたのは良いけれども、肝心の痛みの方はハッキリと感じたため、ガルマに転生したことが夢ではないことを俺は自覚し始めていた。
....痛みを感じるということは、これは紛れもない現実。
俺は、これからガルマ・ザビとしてこの宇宙世紀の世界を生きなければならない。
そう思うだけでも、俺の心の中は騒つき始めていた。
いやだって、宇宙世紀って基本的に人の心が無さすぎる案件が多いし....ね?
というか、今の俺の声はORIGIN版に似てるな.....
そう思っていた時、部屋の中にメイドらしき人物が入ってきた。
「ガルマ様!!お目覚めになられたのですね!!」
そう言うメイドの顔はホッと一安心したかのような顔で、その顔を見た俺は一体何があったんだと思ったのは言うまでもない。
てか、俺がガルマに転生する前に何があったんだよ。
「あ、あ、うん。みたいな感じだね」
俺がガルマっぽくそう言うと、メイドは良かった....と言わんばかりの表情になった後、すぐさま医者を呼んできてくれた。
医者によれば、何でもガルマはコロニーへと足を運んだ際に爆破テロに巻き込まれたことによって、そのまま意識不明の状態に陥っていたらしい。
んで、その影響なのかは分からないが俺の左目にはその時の傷跡がハッキリと残っているようで、メイド達はガルマ様の美しい顔が.....と嘆いていた。
ついでに行けば、髪もそれなりに伸びていたっぽい。
にしても....ガルマ・ザビがテロに巻き込まれて意識不明、か。
ORIGINの一話でドズルが爆発テロに巻き込まれたことはあったが、ガルマがテロに巻き込まれたと言う展開は機動戦士ガンダムの劇中や小説でも描写されていなかったな。
もしかすると、この世界はガンダム世界のパラレルワールドの一つってことなのか?
そう思いつつ、とりあえずベッドの上で横になりながらそう考える俺。
まず、最優先事項としては俺の死亡フラグは回避すること。
ジオンと地球連邦軍との戦争云々も大事だけど、親友に嵌められて死ぬのはゴメンだからな。
それに、ジオン側の人間として転生したからにはある程度戦果を上げて貢献したいところだが.....俺はギレンのような頭脳明晰とかでも何でもないし、かと言ってドズルみたいにザ・武力で勝るってわけでもないし....う〜ん、どうしたもんか。
でも、原作通りにしゃしゃり出たら確実に死ぬことは間違いないからなぁ。
ここは大人しくした方が良い....のか?
腕を組み、そう考えながらベッドの上をゴロゴロと横移動する俺。
「.......何か、考えたら考えた分だけ眠くなってくるな」
今の俺は、ごくごく普通のオタクじゃなくてザビ家の末弟。
そんな俺に何が出来るのかは分からないが.....ジオン公国の軍人として出来ることをやってみるしかない。
やることはたくさんあるだろうけど、目指せ死亡フラグ回避!!的な感じだな。
と言っても、俺には原作知識がある代わりにチート能力もクソもないけどな。
それに、戦術的な面では爺ちゃんの持ってたギレンの野望しかやってないからほぼほぼ無理ゲーなのは確定だしな。
なんてことを思いながらベッドの上で横になっていた時
「ぬぉぉぉぉぉ!!ガルマぁぁぁぁぁぁ!!」
そんな野太い叫び声と共にガルマの兄の一人が、ドズル・ザビが俺の部屋の中に入って来たかと思えば、そのまま物凄い力で俺を抱きしめた。
ぐわぁぁぁぁ!?パワーが!!パワーが凄すぎるぅぅぅぅぅぅ!!
つーか、骨が折れるぅぅぅぅぅぅ!!
「お前が無事に目を覚ましたと聞いたが....本当に良かった.......」
そう呟きながらも涙を流すドズルの姿を見た俺は、そういえばガルマとドズルの仲が良かったなと思い出しながら、兄であるドズルに向けてこう言った。
「ど、ドズル兄さん....僕も兄さんと会えて嬉しいですが、その....苦しいです」
こうして、ごくごく普通の日本人兼オタクとして生きていたはずの俺はガルマ・ザビへと転生し、そして宇宙世紀を生き抜くことを決意するのだった。
ガルマ・ザビ(転生者)
ガルマ・ザビに転生した男。
機動戦士Gundam GQuuuuuuX(beginning)を観た帰りにトラックに轢かれ、何故かガルマ・ザビへと転生していた。
オリ主に憑依される前のガルマ・ザビ自身はとあるコロニーに訪れていたのだが、爆破テロに巻き込まれた影響によって顔に傷を負ってしまう。
一応、オリ主自身はガンダムに関する知識は持っている模様。
この後、死亡フラグを回避しようと行動を起こしたことにより、言わずもがな原作改変が起こるらしい。