無限世界への飛翔   作:ミコト

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オリジナル世界で行われた魂の吸収強化は大きな儀式と双方の了承を得なければ行うことができません。また、魂を幾つも吸収すると肉体がそれに耐えきれず消滅。その後肉体を再構築し、魂に見合った強度に変化します。
今回は数十、数百の魂を吸収しましたが、その力の大半は異界渡りのためにエネルギーを消耗してしまいました。ゆえに魂に付随した能力と知識のみ戦女神の世界に持ちこめています。


第一章(戦女神)
新たな世界


あの絶望の日から少しの時間がたった。

 

今俺は(おそらく)魂の状態のまま宙を飛んでいる。どうやら他次元世界についたはいいがまだ転生先の肉体が無いようだ。

 

そこで魂の状態であることを利用して世界を俯瞰することにした。一体この世界はどういう世界なのか。人はいるのか。争いがあるのか。などなど知らなければならないことはたくさんある。

 

「…まさか戦女神の世界だとは……」

 

「…ん?」

 

今俺がいるのは二つの回廊の終り(ディル=リフィーナ)の冥き途である。そこは運河のような川と水門が存在し、死者が向かう「冥界」へと繋がっている。

 

 

世界を魂のまま探索していた俺は何かに導かれるように冥き途に辿り着いた。そこには小さくも大きな力を宿した女の子が…

 

「しかも懐かれたし。お前無干渉派じゃないのかよ…」

 

「…違う」

 

この無口な女の子はナベリウス。小さいがソロモン72柱の一柱で、冥き途の門番をしている。門を守ること以外は無関心なはずなのだが…

 

「…なぜあなたは死んでないのにここに来たの?」

 

「俺だって知りてぇよ。なんかまだ肉体が無いっぽいから世界を旅してたらここに呼ばれた気がするんだ」

 

「…そう」

 

そうして興味を失ったようにボーっとしだすナベリウス。…長いな、ナベでいいや。

 

ここに辿り着いた俺をナベは不思議そうな目で見つめてきた。どうも彼女は死者と俺の区別がつくようで、なぜ俺がここにいるのか不思議でしょうがないらしい。

 

そんな俺の面倒を上司である神(名前は教えてくれなかった)に命令されたらしくここにいる間はナベが俺に世界のことを教えてくれる。

 

「俺戦女神なんて1周しかしてねぇよ…」

 

そう、確かに俺はこの世界のことを「知ってる」。しかし、Wikiを丸々覚えていたり、何周もしてイベントの発生時期を知っていたりするわけではない。完全記憶能力をもつ前のことはもはやおぼろげにしか覚えておらず「あぁこんなこともあったな」ぐらいしか感じない。

 

…しかし、戦女神0からしてセリカは激動の人生を歩むことは確かだし、どうにかしたいとも思う。さて、セリカは一体いつ産まれるんだ?

 

 

「…また、教えて?」

 

死者の列を捌きながらナベにあの滅亡した世界のことを話す。元々魔人という種は死という概念が薄いからきっとあの世界のことも覚えてくれるだろうと思ったが予想以上に喰いついてくれた。

 

「おう!」

 

あまり暗い話をするのはどうかと考えた俺はとりあえずアニキに連れて行ってもらった場所やコックに作って貰った誕生日の豪華なご飯。賢者たちに教えてもらった様々な歴史やこの世界とは違う体系の魔術をナベに教えていった。

 

 

 

そうして早数百年。ようやく魂が引っ張られる感覚を覚えこの冥き途から離れることが決まった。

 

そのことをナベに伝えると、

 

「…そう」

 

とだけ呟き、目を閉じた。結局ナベは俺に対し何を感じ考えているのか分からず、そのまま別れることになった。…再会を期待しながら。

 

 

 

~Another Side~

 

「…いっちゃった…ね」

 

ナベリウスはそう言い、産まれたときから傍にいたケロベロスに抱きつく。

 

「グルルルルッ」

 

ケロベロスはこの主が少しの悲しみと寂しさを抱いているのを感じていた。主は感情を表に出すのが上手ではないが無いわけでもない。ずっと付き合っていた者ならまだしも数百年程度の付き合いで分かるようなものでもない。

 

「…すぐ会えるかな?」

 

人間はすぐに死ぬ。魔人という種から見たら人間とはそういうものだ。しかし力ある人間は稀に魔人となったり神格位と呼ばれる神の僕になり寿命がほぼなくなる。彼のような人間に不釣り合いなほど強大な魂ならいずれ魔人や神格位になるだろう。

 

「…ここでみんなに彼の話を聞いてみようかな」

 

冥き途という性質上、世界の死者がここに集う。そのためある程度の情報ならすぐに集まる。もちろん死者は会話が出来ない。しかしどのように死んだとかどこら辺から来たかは感覚で分かる。そこからたどっていけばもしかしたら彼が何をしているか分かるかもしれないが…

 

「…不思議」

 

この不思議な感情をうまく伝えられず目を閉じる。

 

…いつか、彼が再びこの地に辿り着いた時私はもっとうまくこの感情を伝えよう。

そうぼんやりと考え、再び死者の列を捌くナベリウスであった………

 

 

~Another Side end~

 

 

 

 

「セリカ…今日は買い物に行くわよ~!」

 

「今日(も)だろう?姉さん」

 

…結局魂が引っ張られた場所はセリカだった。転生の次は憑依かよ。まじ勘弁してくれよ。絶対死亡フラグ立ってるってコイツ。

 

俺はカヤ姉さんと共にマクルの街にいた。産まれてからずっとそばにいるカヤ姉さんを「姉さん」と呼ぶことにもようやく慣れ、今はバリハルトの神官戦士として訓練を重ねている。

 

「おっ!セリカ!今日もカヤと一緒か。そろそろ戦士としても男としても一人立ちしたほうがいいぜぇ!」

 

「うっさい!セリカはまだまだ子供なんだからいいの!!」

 

「がはははっ!一人立ちできないのはカヤのほうか!」

 

この威勢のいい男はダルノス。1本でも重たそうな剣を二刀流で操り俺に飛燕剣を教えてくれた師匠であり兄貴でもある。

 

「まったく…ダルノスはもう飲んでるの?いい御身分ね~」

 

「はっ!カヤ、お前こそ神官戦士として一目置かれてるセリカを荷物持ちとは剛毅じゃねぇか!」

 

この二人は戦闘になると息の合ったところを見せるが普段はまるで喧嘩友達みたいなノリでふざけ合う。しかも…

 

「セリカは私と買い物行くの楽しいわよね~?」

 

「おいセリカ。昼間から飲む酒はうまいぞ~!お前も来い!」

 

必ず俺を巻き込んでそれにおろおろすることを見て楽しむ困った大人たちだ。

 

「いいから姉さん速く買い物行くぞ!んで皆で後で飲もう。…もちろんダルノスの料理付きでな!」

 

「…がはははっ!一本取られたな。分かった。作っておくから早く戻ってこいよ!」

 

「まったくもう。セリカ行くわよ」

 

「はいはい姉さん。またなダルノス」

 

こうして穏やかな日々を過ごすのも悪くない。…例えそれがあと少しで崩される砂上の楼閣だとしても、ね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――幾重もの阻みも光の礫の前に開かれん。嵐の神、バリハルトの輝き、今、この地に下らん!!」

 

姉さんの神聖魔術により魔物の群れに大きな穴があきそこに、

 

「はははははっ!派手にやってくれるぜ!」

 

ダルノスが空いた穴に突っ込む。

 

「――紫電の雷…嵐を呼び、嵐より生まれ、嵐をも切り裂く千の刃となりて、遮る其を打ち砕かん!」

 

ダルノスの背後を俺が続き分断されることのないよう戦場を俯瞰する。

 

俺達3人の基本戦術だ。この戦術で常に大きな戦果をあげてきた。

 

「二人とも、怪我はないわね?」

 

「…あぁ」

 

俺がセリカになった時性格の一部が俺に融合したようだ。魔物に対する鋭敏化。そして魔物が相手でも心に残る悲しみ。

 

「おいセリカ、魔物に同情はするなよ。こいつらのせいで何人も村人が死んでるんだ」

 

確かにこいつらのせいである村は全滅した。しかしなぜこういったことをしたのか。魔物は知性が無いというが本当にそうなのか。共存する術はないのか。そういったことが頭を駆け巡る。

 

「まったくセリカは甘いんだから。そこが貴方のいいところでもあるけど、今は魔物の殲滅こそがバリハルトに仕える者としての役目よ」

 

既に塵と化した魔物の死骸から視線を外し、前を見据える。

 

「行こう。これ以上被害を増やさないためにも!」

 

 

 

そうして俺は第三の人生をセリカとして生きていくことを決めたのだった………

 




現状の変化:ナベリウスと友好フラグが立ちました。
ナベリウスは異世界の魔術(D)を習得しました。
主人公はセリカとして生を受けました。
その為セリカの一部の才能を受け継ぎました。
スキル:魔術・雷撃。必殺・飛燕。
特技:気配察知の鋭敏化。慈愛の心。
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