無限世界への飛翔   作:ミコト

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オリジナル世界での出来事はなくてはならない伏線です。
神様からチート能力があるわけでも、転生前から荒事になれていたり何か特殊な技能を持っているわけでもないただの一般人がゲームの世界に転生するには何か特殊なイベントをクッションにしなければただのたれ死ぬだけですから。
ちなみに原作開始時のセリカの年齢は18歳です。


廃都ノヒアにて

「この建物を探索する前に色々確認しておこうか?セリカはどこか抜けてるところあるし」

 

「確かに坊主は色々抜けてる所があるからな」

 

「大丈夫だ!戦いのことなら既に頭に入ってる」

 

昔の俺は本当にひどかった。ゲームの世界のことが頭から抜けきらなくて回復薬を買うだけで旅の準備は終わったと思ったり、戦闘中に回復薬使おう思ったらそんな暇なくていらぬ怪我をしたり…

 

「何よもう…可愛くないわねぇ」

 

「俺達には時間がない。もしかしたらさらわれた村人たちがまだ生きているかもしれないからな。急ごう」

 

「だな。セリカの言うとおりだ。おいカヤ!いつまでもすねてないでさっさと行くぞ」

 

廃都ノヒア。そこは魔物の住処となっており時折襲いかかってくる魔物を蹴散らしながら大物のいる場所に急ぐ。

 

「お宝発見~。早速開けてみましょ!!」

 

「未だに不思議でしょうがないんだけどよ。なんで宝箱なんてあるんだ?」

 

「そんなのどうでもいいじゃない!お金入ってないかなぁ~」

 

…なんだろうこの違和感。確かここって、

 

「ちょっと待て姉さん!その宝箱はっ!!」

 

「キャー!!!!」

 

そこには宝箱に仕掛けられた罠が作動し魔物が集まりだす!!

 

「っちぃ!くだらない仕掛けをしやがって…」

 

「もうっ!お宝だと思ったのに私の期待を返しなさいよ!このっこのっ!」

 

「だから止めたのに…こういった欲に付け込んだ罠って多いからこれからも気をつけなくちゃね」

 

前世の記憶なんてほとんど薄れているから細かなところは忘れてしまっていてその場にならないと思いだせない。結果しか覚えていないからどうしてこうなったのかと考えると頭をかしげてしまう。

 

さて、この後どうなるんだっけか?と頭をひねりながら先に進んでいくと…

 

「あら?この扉…」

 

突き当たった扉には魔術的な封じかかかっていた。

 

「二人は少し下がっていてくれ」

 

「それほど慎重になる必要ないんじゃないかしら?」

 

「………」

 

扉の封じ自体は単純だし罠もない。

 

…だが、俺の魂に混ざったセリカも俺自身も嫌な予感がする。

 

そして、この手の胸騒ぎの後には、必ず何らかの困難が待ち構えている。

 

この予知能力ともいえる勘に何度も命を救われたのだ。信じない理由がない。

 

「奥にいるのはタチの悪いゴウモール共だろうが……そう思わせること自体が罠なのかもしれねぇな」

 

ゴウモール。それは魔獣のように魔術実験により強化されたゴブリンの末裔のことである程度の知性があり、罠を張ることもできる。

 

それを従えることが出来るとなるとここのボスはかなりやっかいな敵になる。

 

「封じを外すぞ」

 

「ふんっ!」

 

封じを俺が解くと同時にダルノスが扉を蹴り開け、俺と姉さんは扉の影に隠れた。

 

 

……迎えたのは、静寂。

 

未だチリチリとした焦燥感に駆られながらも見える範囲に罠らしきものや待ち伏せした敵もいない。

 

「何もないな…待ち伏せも罠もないようだ」

 

「あら?あれは何かしら?」

 

大広間の隅の方に鈍く輝くアクセサリが落ちている。遠目に見ても新しいもののようだ。

 

「あれは……」

 

…そうだっ!確かあそこには!!

 

「もしかしてさらわれた村の人の――」

 

「ダメだ!姉さん!!」

 

姉さんを押しとどめた次の瞬間、アクセサリの周りの床が開いた。落ちかけた姉さんを支えていなければ今頃俺達は分断させられていただろう…

 

「ふぅ…姉さん気をつけてよ」

 

「あっ…ありがとうセリカ。まさかこんな罠まであるとは思わなかったわ」

 

「やるじゃねぇかセリカ。やっぱりお前の直感は当たったな」

 

へたり込んでしまった姉さんをさすりながらこれからの道筋を考える。確か正史では姉さんが落ちてしまいダルノスと共に姉さんを救出に行かなければならず、もし遅れれば姉さんは……

 

「はぁ…もう大丈夫よセリカ。先を急ぎましょう……セリカ、大丈夫?顔色が悪いけど」

 

ふと顔をあげると姉さんが不安そうに見つめている。ダルノスも心配そうに見ているが周りの警戒を行っていてくれたようだ。…しっかりしないと。

 

「いや、大丈夫だ。それよりも行こう。この分だと目的地も近そうだ」

 

そうして油断なく辺りを警戒しながら急いで廃都の奥へ向かった。

 

 

 

 

先の罠を回避してさらに魔物が襲いかかる頻度が増えた。やはりあの罠を回避できてよかった。襲いかかる魔物の中には俺達剣士の宿敵である不死者がいる。神聖魔術がメインである姉さん以外有効な手を打てない。

 

「ちっ、また不死者か。セリカはともかく俺の剣はほとんど通じねぇ。さっさとこんな辛気臭いところ抜けちまおうぜ!」

 

「私だってこんなところ速く抜けたいわよっ!セリカ、さっさと勘で正解の道を教えなさい!」

 

「無茶言うな!」

 

 

ようやく魔物の群れを切り捨て、地下に辿り着こうとした時……

 

 

ゴゴゴゴゴゴッ………

 

「何?何なのこの振動!?」

 

「ゴウモールが踊ってたりすんのか?」

 

「ゴウモールなんて可愛いものであればいいが…」

 

この振動により建物の一部からパラパラと欠片が落ちてくる。この建物がいつ崩壊するかわからない以上、時間をかける訳にはいかない。

 

「少ない魔物は捨て置こう!」

 

 

そうして最深部に辿り着いた俺達が見たものは…

 

 

昆虫のような魔物に犯されていた少女だった………

 

 

 

「お前たちか?俺様の邪魔をするのは」

 

「なんてひどいことを……さらった者たちは皆、返してもらうぞ!」

 

「ここの女たちは皆俺のもんだ。俺の子供を孕ませる、全員な。ゲゲゲゲゲッ」

 

「そんなことさせるかよっ!」

 

「ゲゲゲゲゲッ……バカか、てめぇ」

 

「何っ!?」

 

魔物の頭部にある眼が強い光を放つ。

その瞬間。強烈な殺気と闘気が辺りを覆い、暴風のように向かってくる!

 

「ゲゲゲゲゲッ!脆弱な人間が俺様に勝とうだなんて笑わせてくれる!それに俺だけじゃねぇ!出てこい、相棒!!」

 

魔獣の視線の先にある水面が急激に盛り上がり、湖の水は霧となって視界を惑わす。

 

目の前に現れたのは巨大な水竜。

 

「ゲゲゲゲゲッ、行くぜ相棒!女以外は皆殺しだ!」

 

 

 

 

水竜は基本水から離れられない。そのため距離をあけて戦えば危険なものは魔術による水弾だけだ。そのため、

 

「俺は水竜を足止めする!ダルトンと姉さんは虫のやつを頼む!!」

 

分断作戦。別に水竜を倒す必要はない。おそらくだがあの虫の魔物の眼によって操られているか何かだろうから。俺は水竜が二人に攻撃させないように足止めをさせ仲間二人の剣術と魔術の攻撃で魔物を倒す。そうすればきっと水竜も正気を戻すと思っていたのだが…

 

「くそっ、なぜ攻撃をやめないんだっ!」

 

戦いが始まって早半刻。既に虫の魔物は死に絶えていて水竜以外魔物はいないというのに未だ暴れまわっている。

 

「おいっ!いい加減あいつを殺さないと俺達が殺されるぞ!…見ろ!あいつが暴れるせいで建物がもう崩壊寸前だっ!」

 

「セリカ!いい加減覚悟を決めなさい!今の攻撃が止んだら全力で攻撃するわよ!」

 

「くそっ!なんでなんだっ!!!」

 

結局未来は変えられないのかっ!無益な殺生なんてしたくないのにっ!!

 

「必殺!沙綾身妖舞!!」

 

「くらいなさいっ!バリハルトの嵐をっ!」

 

「くっ…千の刃の雷よ!敵を打ち砕け!!」

 

3人の全力攻撃は水竜に致命的な傷を負わせ…崩れ落ちるように倒れていった。

 

床と湖の間に崩れ落ちた水竜からとめどなく血があふれ、水を赤に染めていく。

 

――もう、助からないだろう。

 

「村人たちを急いで避難させるわよっ!このままじゃ皆下敷きに――」

 

言いかけたその時、入口付近から複数の足音が響いてきた。

 

「スフィーダ!カミーユ!」

 

「3人とも大丈夫か!村の人々も無事だったか!」

 

バリハルト正階級の神官、スフィーダ・バハムは、隅で震えている人々を見て息をのんだ。

実際、村が襲われた後数人の女性がいないことが判明したが上層部の判断は死亡。しかしそれに異を唱えたセリカ達は急いで廃都へと向かったのだ。

 

「ひどい…魔物に身体を奪われたの!?」

 

「繁殖のために凌辱を受けたの…私の力が至らず――」

 

「いや、その話は後だ。一刻も早く保護しなければ。上はもう崩れかけている」

 

先の戦闘で大規模の魔術を使われたため所々から亀裂が走るような音が聞こえる。

あと数十分もすれば完全に建物が崩壊するだろう。

 

「分かった。動けない者は私たちが抱いていこう。動けるものは我に続け!!」

 

攫われてきた村人たちはその声にようやく安全になったと理解したのだろう。

互いに肩を支え合い、スフィーダの誘導に従いながら戦場を後にする。

 

魔物の精にまみれた半裸の少女は、半ば意識のないまま女性であるカミーユに抱きあげられ悪夢の惨状を後にした。

 

「行きましょう――」

 

「そうだな……」

 

崩れ落ちる寸前の建物をもう一度振り返ると

 

「あれは……竜の子供?」

 

「セリカ、早く!!」

 

横たわる水竜の近くに小さなものが動いている。おそらく水竜の子供だろう。

 

(……例え知っていても、出来なければ何の意味もないんだ)

 

「セリカ!!」

 

そうカヤに腕を引かれ廃都を後にする。

 

「はぁ…何とか崩落に巻き込まれずに済んだわね。バリハルトよ、感謝します」

 

近くに付けてある神官の馬車に負傷者を乗せ、崩落による地響きを警戒して、スフィーダに指示された数人が廃都へと向かう。

 

「今日はセリカの勘に助けられたな」

 

「今日「も」でしょう?もしセリカが廃都を探そうだなんて言い出さなければさらわれた村人たちは全員死んでいたか苗床にされていたでしょうからね」

 

「…けどもう少し早くつけばあの女の子がひどい目にあうことはなかったかもしれない」

 

辺りを警戒しながらも馬車に目を向けるとカミーユが凌辱を受けた少女に回復の術を掛けているのが見える。

しかし、うまくいかないようで舌打ちして立ち上がり怒ったような足取りで向こうへ行ってしまった。

もともとバリハルトの神官は癒しの術が得意ではない。それにそれだけ少女の状態が酷かったのだろう。

 

「そんなの神ならぬ身なら出来ないわ。あの女の子も後はイーリュンの神官に任せるしかないわね……助かるかは後は本人の気力次第」

 

「力なき存在」は「力ある存在」に食い物にされる。この世界の厳然たる事実。

人のほとんどが「力なき存在」であり、この世界には人間では遠く及ばない脅威がいくらでもある。

 

 

 

――結局、助けられたものの晴れやかな気持ちにはなれず、廃都を後にするのだった………

 

 




次の話から少しずつ原作から乖離していきます。

現在の変化:セリカの魂の強度(極大)、それに伴いセリカのレベルが上昇しました(Lv600前後)
所有制限・レベル制度撤廃
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