しかし主人公は魂のブーストによって各種耐性が増加しているため、あまり効きません。まぁ知識によって信頼できると知っているために信頼度は高いですが。
俺はとある女性に会うために、廃都ノヒアへと再び向かった。
おぼろげに覚えている原作知識。そこには確か、
「こんばんわ」
鈴の鳴るような透明感の高い声が、細く白い喉を通して広がる。
青の瞳は見ていると吸い込まれていきそうな深みがある。
「…………こんばんわ」
やはりいたか。という気持ちと、あまりにも美しいものを見たときの衝撃によって上手く言葉が出ない。
「……初対面のはずなのに、ようやく会えたと思うのは変だろうか?」
彼女も俺と同じことを感じていたのか、確かめるように尋ねた言葉にうなずいた。
「初めて会った人に聞いてもいいかしら?」
「何を?」
「……運命という言葉を信じる?」
運命。あの滅びの世界に辿り着いてしまったこと?この世界にセリカとして生を受けたこと?
「俺は…信じてはいるけど信じたくはない」
「……そう」
不明瞭な言葉を返したのに関わらず、少しうれしそうに囁いた。
彼女の腕には水竜の子がいて、お日様の元で寝ているかのように安心しきった姿を見せてくれた。
「その子は?」
「星と風のざわめきに湖に足を向けたら、この子と出会ったの。すぐに近づいてきて……親はいないのかしら?」
その言葉に俺は何も言えなくなった。
その子の親は俺が殺してしまった。
殺したくなかったのに殺した。
この両手を殺しのために使うのではなく、誰かを助けるために使いたいと思っていたのに……
「……この子を探しているの?」
「……あぁ」
「だったらこの子が私を呼んだのかもしれないわ。…私が貴方に出会えるように」
「君は運命を信じているの?」
「昔は信じたくなかった。けど、今は信じたいと思うわ」
「なぜ?」
「貴方に出会えたから……」
告げられたその言葉に俺は声もなく俯く。
彼女と出会う運命。そこから大きな運命が廻り出す。
はたしてそれが彼女のためになるのだろうか。
本当に彼女に会いに来るべきだったのだろうか。
「俺はずっと疑問だった。過酷な運命に倒れる人を幾度も見てきた。もしそんな運命に抗ったとして、その抗いは本当に幸せな未来へと繋がるのか、抗うことにより余計新たな人に過酷な運命を与えてしまうのではないか。と」
「…俺は自分の力の使い方が分からない。この両手をただ人を傷つけるものではなく大切な人を守るために使いたい」
ふと自分が独白していることに気付き、顔をあげる。
「君は…この力の使い方を知っているか?」
「サティア。私の名前はサティア=セイルーン。…貴方の名前は?」
「…あっ、あぁ。俺の名前はセリカ。バリハルト神殿の戦士をしている」
「そう、セリカ。貴方の力の使い方は貴方にしか見つけられないわ。それは長い旅路の果てで自ら極めるもの。…でも、共に旅して一緒に見つけだすことはできる」
「俺の力の使い方…俺の生きる道をサティアと二人で……」
「探しましょう。そのお手伝いをさせて?」
「ありがとう。でも出会ったばかりの俺になぜそこまでしてくれるんだ?」
「知り合った時間の長さはそれほど問題ではないわ」
「私はこの空のように、地上が美しくあるにはどうすればいいのか探しているの」
「もしかしたら俺達の探し物は似ているのかもしれないな」
「えぇ。一緒に探しましょう。互いの答えが見つかるまで、ううんずっと一緒に」
「あぁ…行こう。いつまでも……」
手を握り立ち上がる。その指先は外気よりも温かく、命のぬくもりに満ちていた。
たくさん話をしたい。どうやってここまで旅してきたのか。今までどんな場所でどんな想いを抱いたか。
…いや、それよりも……俺の願い、サティアの希望。
共に歩き確かな未来へ辿り着くために、俺達は夜が更けるまで語り合った……
現在の変化:耐性強化によるサティアに対する恋愛値の低下。