無限世界への飛翔   作:ミコト

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セリカはかなり高いステータスを持っていますが元が人間の為上限が低いです。
まぁそれでも勇者並みの強さを誇ります。また持久力は魔人に匹敵するほどになっております。ぶっちゃけダルノスがいらない子に…


不気味な影

廃都ノヒアにてサティアとの邂逅を終えた後、街を案内したり市場を練り歩いたり、姉さんやダルノスと共に酒場で祝杯をあげたりと、穏やかな日々を過ごした。

 

そんなある日、ダルノスが珍しい香辛料を手に入れたと俺達に料理をふるまってくれていた時…

 

「あんたら、神殿の兵士さんか?腕の立つ人を探しているんだが……」

 

「だったら一番いい奴に声をかけたぜ。俺達はそこらの兵より腕がたつ」

 

鉄屑の谷で鉱夫をしていると名乗る男は一瞬驚いた顔をしたが、次の瞬間僅かに安心した顔をして話をつづけた。

 

「わしらが鉄屑を集めとる谷で、最近やけに魔物が多くてよ。難儀してたんだ。

バリハルトの腕の立つ兵士なら、魔物を退治してくれるんじゃないかって……」

 

「セリカ。この話はちょうどいいな。困ってる人がいて、倒すべき魔物がいる。俺達の鍛錬にはちょうどいいと思うぜ」

 

実戦の経験を積むには絶好の場所ではあるが…

 

「サティア。君にもついてきてもらいたいんだが…」

 

「私も?」

 

「おいおい坊主。女をつれていくのは流石に危ないと思うぜ?」

 

「いや、突然魔物が出てきたということは何か谷に異常があるはずだ。そのことに対処しなければ倒してもすぐ魔物が沸いて鉱夫の依頼を達成したことにはならないだろ?

…それにダルノスは俺が女性一人も守れないほど軟弱だとでも?」

 

その言葉にニヤリとダルノスも笑い

 

「一本取られたな。確かサティアだっけか?あんたもそこそこ戦えるみたいだし…頼まれてくれねぇかな」

 

「わかったわ」

 

「もし何か気付いたことがあったら遠慮なく言ってくれ。サティアは俺達が守る」

 

そうして俺達は、魔物うごめく鉱山へと向かった……

 

 

 

 

「うおおぉ!!!」

 

鉄屑の谷、地下三階にて俺達は岩の化け物と遭遇したが、サティアを守りつつ終始優勢に戦闘を続けていた。力のあるダルノスが攻め、スピードのある俺が遊撃に回り、サティアとその召喚獣パズモ=メネシスが二人のサポートを行う。

その為かなり安全に岩の魔導人形(ゴーレム)を撃破出来た。

…しかし、

 

「……なんだこの腐臭は」

 

魔物の死体からでも、魔物により殺された鉱夫の死体から出たものでもないとんでもない腐臭。

セリカから…本能から危険だというように脳内に警報を鳴り響かせている。

 

「あの子は……」

 

遠くの暗がりから這いずるようにして現れた不気味な影にサティアは小さく悲鳴を漏らした。

 

「こいつはやばい!撤退するぞ!」

 

自身の勘は戦闘に関して絶対というほどの精度を持っている。その勘が告げている。

 

“絶対に勝てない”

 

ならば一旦撤退し、神殿に報告し対策をしたほうが確実だ。

 

「おい!逃げるったってどこに!!」

 

…しかし影はどんどんと膨らんでいき、人の倍ほどの大きさになっていた。そのうえ退路と自分たちをはさむように立っていて撤退するにはどうにも難しい。

 

「…俺が殿をする。ダルノスは前、サティアはその補助を頼む」

 

「まって!セリカはどうするのっ!!」

 

「黙ってろ小娘!!今はそんなこと言ってる場合じゃねぇんだよ!!セリカ!死ぬんじゃねぇぞ!!」

 

「分かってる!早くいけ!!」

 

そうして俺は不気味な影に向かって突貫していくのだった………

 

 

 

 

あれから何度魔術を、飛燕剣を繰り出しただろうか。

黒い影から溢れ出す醜悪な腕のような触手を切り裂き、ざわめく無数の指は根本から断ち切った。身体のあちこちには数えきれないほどの裂傷が出来ている。

 

……しかし。

 

「くそっ!やっぱり死なないっ!!」

 

大規模術式をその身に受けても、数えきれない剣戟に身を晒されても、決して倒れることなくこちらに攻撃をしかけてくる。

もはや最初の勢いはなく、魔力も体力も限界に近付いてきた。

 

「やっと一刻か…こっちは限界ギリギリだってのに倒れやしねぇ、化け物め」

 

分かっている。こいつは倒せない。だってこいつは“実体がないから”。

魂を知る俺だからこそ分かる。こいつに魂は存在しない。肉体のみで動いている。

その為、死という概念が存在しない。ゆえに倒せない。

 

「そろそろ撤退したいんだが…逃がしてくれないかな、こいつ……」

 

「お、おぉぉぉ怨、怨、怨ぉ……ぉおおお………」

 

再び闇が広がっていく。常人がこれに触れれば精神を犯され、生きた人形になるだろう。

実際俺ですら恐怖を覚え、手足がやけに冷たく感じる。

 

「くそっ!このままじゃ拙い!一か八かやってやる!!」

 

「紫電の闇よ、其の敵を押しつぶし原初に散らせ!黒ゼレフの電撃!!!」

 

今の俺の全力の魔術。常に前線で魔術を使うため回避と牽制、魔術制御の3つを両立させられるようになったため出来る荒技。

 

「ああぁぁぁ、がぁぁあああ………」

 

もちろんこれで倒せたなんて思っちゃいない。

これからするのはもちろん…

 

 

「逃げるが勝ちだぜぇ!!!!」

 

電撃魔術による目くらまし。高威力ゆえにいかに化け物でも再生するのに少しは時間がかかるだろうという推測。どうにか逃げられそうだ。

 

 

一体あれはなんだったのだろう。逃げている最中ふと考えていたあの不気味な影。

魂なく動く肉体。不滅の化け物。精神を犯すほどの能力。そんな化け物なのに名前すら聞いたことがない。あんな化け物がいたら神殿でも何かつかんでいるはずなのに………

 

 

………後ろから今にも襲ってくるのではないかという恐怖と闘いながら、俺は街へと帰還した。

 




現在の原作乖離度:鉄屑の谷にサティア同行。又、不気味な影とサティアの邂逅。
ダルノスは不気味な影に精神汚染されることなく逃げ切りました。
セリカのレベル600前後。戦闘中アイテム使用不可。武器防具消耗品所持制限あり。
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