敷島大佐率いる
「一昨日来やがれ兵隊共!」
チヨコが操る機関銃が、弾帯を鞭のように振り乱しながら火を噴いている。空になったリンクがカンカンカンと小気味よい音を立てて床を転がる。既に麦野の
アーミーもそれに応戦し、攻防が俄かに激しさを増していた。
「閃光弾は残っているか!アレを黙らせろ!」
大佐が忌々し気に叫んだ。
「どうするの金田君!!」
ケイが必死に叫んだ。チヨコが弾倉を差し替えている間、拳銃で何とか敵を押し留めようとしている。
「もうちょっと稼いでくれ!」
金田は、チヨコから受け取ったレーザー銃のケーブルを挿し直しながら言った。
「あーもう!これ充電切れじゃねェだろうなァ!?」
「アハハハハハッ!!気分はもう戦争だねぇ!!」
麦野が高笑いした。右目の周りを、自身の血が赤く帯を作り、中途半端な隈取りのようになっていた。
「滝壺!命知らずのナンバーズ共はこの中でいいわね?」
「うん」
麦野が確認すると、その背後に、目を見開いて立つ滝壺が頷いた。
麦野はその返答に、一層凶悪な笑みを深くする。
「さぁーて、クソガキども。かくれんぼは終わりだっての」
暗い別室に向けて光弾を放とうとしたその時、麦野の眼前の壁が突如一斉に崩壊した。
「あァ!?何だよこれは!」
麦野が驚き身を引いた。
麦野の目には、巨大な3体のおもちゃが映っていた。
2体はぬいぐるみで、茶色の熊と桃色がかった白いうさぎだ。触り心地の良さそうなアクリルボアの足をこちらに向けて進めてきて、それらは床を踏みしめる度、麦野の体を揺らした。顔面にあるそれぞれ1対の目には角膜が無く、妙に黒く塗りつぶされた瞳孔と対照的な白目の部分だけがあり、しかも部屋の明かりを全く反射していないことから、不自然な不気味さを際立たせていた。もう1体はミニチュアの車を巨大化させたような怪物だが、絵本から飛び出して来たかのように単純化された外見で、詳細な機構が省かれているように見える。後輪の1対のタイヤを足のようにくねらせながらス進んでいて、赤い塗装のフロント部分にはぬいぐるみと同じく落書きのような目がついていた。
ぬいぐるみはともかく、車がこんな着ぐるみのような妙な動きをするか?と麦野が訝しんだその瞬間、熊のぬいぐるみが、肉球のついた片手を迫らせた。
咄嗟に麦野が飛び退くと、床がビスケットのように脆く割れる。
そこへ間髪入れず、車とうさぎの怪物が倒れ込んでくる。2度3度と後退を続けて避ける。
何だってんだよこれはァ!!と麦野は再び叫び、左手に電子光を灯らせる。それを見た玩具の怪物たちは、驚いたように突進を止める。
麦野が原子崩しのビームを放つと、うさぎの耳を抉る。生地が引き千切られるが、溢れ出て来たのは綿ではなく、乳白色の大量の液体だった。麦野は予想外の光景に目を見開く。泡立ちながらそのうねりは麦野へと押し寄せる。勢いに巻かれ倒れ込んだ麦野の口内をどこか甘ったるい重みのある液体が満たし―――
ミルク?腰の高さまで浸かるその液体を片手で掬い上げ、麦野は呟いた。
「麦野!!」
振り返ると、滝壺がまっすぐにこちらを見つめていた。
「惑わされないで!それは、まぼろし」
滝壺の言葉に麦野はハッとし、はっきりした思考のもと、改めて左手に電子光を操る。
そしてもう片方の手で、トランプを一回り大きくしたようなカードを取り出す。それは太陽光パネルのように黒光りしていて、麦野が宙に放り投げると、鈍く光を反射した。麦野はそのカードめがけてビームを放つ。
カードに直撃したビームは、そのまま幾又にも分岐し、3体の怪物をズタズタに引き裂いていく。
怪物たちは紙細工のように分解され、散り散りに消え失せていく。
「『
麦野が歩みを進める先では、瓦礫の山のふもとで、3人のナンバーズが埃と煤に塗れて膝をつき、恐怖の表情を浮かべていた。
「大人を虚仮にしたらどうなるか、教えてやるよ。あの世でちゃんと復習しな」
麦野の眼前に、青白い光が眩く広がった。
出入口での打ち合いは拮抗していた。そこへ、金田が放ったレーザー銃が炸裂する。
ヒッ、と息を呑み、部屋に入りかけていた兵士が辛うじてレーザーを避け、尻餅をつく。
「なぜ奴らがプロトタイプを持ち出している!?」
大佐が困惑の声を上げるのが辛うじて聞こえた。
「イかすじゃねえか、コレ」
金田が手にしたレーザー銃を見つめ、口笛を吹く。
「余裕かましてる場合じゃないってば!」
ケイが壁際に身を潜めながら叫んだ。
「金田君、一気にアイツらを―――金田君?」
ケイは困惑の声を上げた。
金田が再びレーザー銃を構えて向けた先には、今まさにとどめを刺そうとナンバーズの3人へ迫る麦野の背中があったからだ。
「何してんの!?今はアーミーを―――」
「鉄雄をよくも……」
左目で
「死ィ……」
「やめときなよ」
引鉄にかけられた金田の指は、首筋に鋭い感触を得たことで凍り付く。
フレンダがいつの間にか金田の背後に回り、鋭い切っ先を突きつけていた。金田の収容室の扉を焼き切ったあの得体の知れない道具だ。
「アンタには一応、借りがあるから。けど、ウチのリーダーに銃口を向けた時点で、普通なら殺してる」
フレンダの声は、収容棟から共に逃げた時の陽気なそれとは打って変わって、冷たく背筋に滑り込んだ。
「ふ、フレンダ……」
「金田君!」
固まって震える金田を、ケイとチヨコが横目で捉えるが、アーミーとの攻防が再び激しくなる中で、身動きが取れないでいる。
「それに、マジで1パーもあり得ないけど、もしも、私が撃つのを止めてなくても、アンタに麦野を傷つけられる訳ないでしょ?その銃、麦野の
「ンだと……」
金田が反論しようとしたその時、
「まずい!!」
チヨコが必死にそう叫ぶのが聞こえた。
金田やケイ達の足元に閃光弾が転がされるのと、麦野が発動した光がいよいよナンバーズを覆い隠すほどに広がるのと、ほぼ同時だった。
耳鳴りの中で、金田は床に伏せていた顔を上げる。
視界は紫がかったモノクロのように見える。
遠くに、宙に浮かぶ人影が見える。
宙に浮かぶ?能力者じゃあるまいし、そんな筈は……
金田は目を擦って、そして見開いた。
「鉄雄……」
金田が思わず名を零した先には、体のあちこちを血に染めながらも、目に力を宿した島鉄雄が、麦野を睨んで浮遊していた。右腕を伸ばしている。
麦野はいつの間にかナンバーズへと向いていた体を反転させている。
麦野が放つ電子光は鉄雄へと向けられていた。それは麦野の手から真っ直ぐに鉄雄の腕へ向かい、その指先で揺らめきながら静止している。一見、何もない空で光線が遮られているのは、金田にとって不思議な光景だった。
麦野の青白い光は、鉄雄の右腕を明らかに照らし出している。
破壊された観測機器の配線が神経になり、赤色や青色のそれらが束ねられて筋肉になり、パイプが骨になり、ボディやセラミックがそれらを支え形づくり、繋いでいたナットやネジの一本一本が結合を為している。
「
麦野が忌々し気に言った。
「いい加減にしろよ死に損ないが!!手品師かてめぇはよお!!」
「痛かったぜさっきのはよォ!!」
麦野に張り合うように鉄雄も叫ぶ。
「畜生ゥ、殺してやるぜこのアマァ!!」
「余所者には構うな!!」
復活した鉄雄と麦野の鍔迫り合いに周囲が呆気に取られる中、大佐達アーミーの一団は、素早く部屋を横切る。
「ナンバーズを確保しろ!!」
大佐達が向かった先では、
麦野の原子崩しは炸裂することがなかったようだ。
「おばさん!!」
焦りに満ちたケイの声に、金田は振り返る。
チヨコが銃を手放して倒れていた。ケイが揺さぶるが、反応が無い。閃光弾に気絶したのだろうか。
「くっ……」
金田は再び異形の腕を宿した鉄雄を見る。
麦野のビームが繰り返し鉄雄を襲い、それを鉄雄の不可視の防壁が捻じ曲げ、跳ね返す。跳ね返されたビームを麦野が逆転させ、鉄雄へと奔流を向ける。2人の攻防は激しさを増し、幾度も天井や壁に爆発を引き起こす。
「何なのあの化け物……」
フレンダが青褪めた顔を金田に向けた。
「話が違うじゃない!あんな化け物だなんて聞いてないわよ!!」
金田も言葉に詰まった。
『帝国』のリーダーだとか、「
だというのに、目の前のこの光景はなんだ。
超能力者だという女と、鉄雄は圧倒的な戦いを繰り広げている。右手をSF映画でしか見たことの無い、機械仕掛けに変換して。
仲間と思っていた、気弱な少年が、ずっと遥か遠くの世界へ行ってしまっていることに、金田は胸が疼き、気付けば名を叫んでいた。
「鉄雄ォォォォッ!!!」
宙に浮遊していた鉄雄がその声に気付き、ハッと顔を向ける。
「か、ねだ……?」
名を呼び返したその一瞬だけ、鉄雄の顔から凶暴さは消え失せ、驚いたような幼い表情が浮かんでいた。
「余所見してんじゃねえよ!!!」
麦野の叫びに、鉄雄は振り向きざま、機械化した右腕で反射的に顔を覆う。
その腕に、麦野の渾身のビームが弾かれずに炸裂した。
何百枚もの鉄板を同時に殴りつけたような金属音が響き渡り、鉄雄が宙を錐もみしながら落下する。右腕は壊れ、無数の部品が宙をてんでばらばらに舞っていた。
「あはははハハッ!!今度こそ死にまちゅね~!ロボット好きのクソガキよォ!!」
麦野が止めを刺そうと鉄雄へと距離を詰めた。
「41号」
敷島大佐は、落下していく鉄雄の姿をちらりと視界に収め呟いたが、すぐさま目の前の3人のナンバーズの収容にとりかかった。
「緊急経路から脱出する!3人をSTFへ―――」
「超妨害します」
何人もの兵士が、床や地面へ叩きつけられて昏倒している。
絹旗が兵士たちの陣形を突破し、ナンバーズへと迫っていた。
「やめろ!手を出すな!」
タカシが叫び、能力で押し返そうとするが、発動する前に絹旗はタカシを蹴り上げる。
呻き声を上げ、タカシが壁に激突し、うずくまる。
続けざまに絹旗は、自身の体より遥かに大きいマサルの移動カプセルを持ち上げ、打ち棄てる。四肢に麻痺を患うマサルは、床に投げ出され、身動きが取れなくなる。
大佐が絹旗へ銃を向けるのと、絹旗が怯えた表情で床に座り込んでいるキヨコの首筋を掴むのと、ほぼ同時だった。
「作戦目標は2つあります」
絹旗が、自分よりも遥かに背の高い大佐を正面から見上げながら言った。
「1つは、41号の抹殺。もう1つは、この25号と呼ばれる
「何をしている!」
まだ動ける部下を、大佐は叱咤した。
「相手は能力者だ!惑うな!」
「しっしかし―――」
銃を中途半端に構えながら、部下の一人が困惑の声を上げた。
「相手は、これは、まだ子ども―――」
「暗部だ」
大佐は、部下よりも一回り大きい、銀色に鈍く光る拳銃をまっすぐに絹旗へ向けて、迷いなく言った。
「キヨコを放せ。さもなければ撃つ」
「……超拒否します」
絹旗の返答も揺らがず冷静だった。
「やってみたらどうです?」
挑発するような絹旗の言葉を受け、大佐は2発の銃声を轟かせた。
間を開けず、金属的な高ピッチの音が奇妙に響く。
キヨコが思わず目を瞑る。
薬莢が軽やかに弾み、床を転がる音がする。
大佐の部下たちは皆、口をあんぐりと開けた。
大佐は、油断なく銃を構えたままだ。その額に汗が一筋流れる。
「あの41号とは違いますね、あなた」
傷一つ受けていない絹旗が、変わらない口調で言った。
「流石学園都市を生き抜いてきた、アーミーの指揮官といったところですか。外見に惑わされず、確実に急所へ、2発続けざまに撃ち込むとは。しかし……」
絹旗の左のこめかみ付近、皮膚上数cmの位置で、2つの弾丸が震えながら静止し、白煙を上げている。
「私の
言い終わると、先端をすり減らして歪んだ弾丸が、床に落ちて跳ねた。
「ああ」
大佐が銃を下ろした。
「そんなことだろうと思ったよ」
次の瞬間、大佐が鋭く踏み込んで距離を詰めて来たので、絹旗は再び装甲を発動しようと身構える。
その絹旗の小さな体の、左脇腹に、大佐の回し蹴りが食い込む。
絹旗は脳裏に疑問を浮かべた。意識が遠くなり、全身の空気が一気に持っていかれる感覚がして、キヨコを放し、倒れ込む。
「挙動がおかしかった」
大佐が伏せた絹旗を見下ろして言った。
「大方、41号との戦闘によるものか。左肩を動かさず、常に猫背だ。やられているのは肋骨か?
オイ、何をしている!!」
大佐の檄に、部下たちが肩を震わせる。
「動ける者は動け!この者を拘束しろ!ナンバーズを急ぎ回収し、撤収する!!」
「滝壺ッ!ヤツは?」
ワンピースの至る所を擦り切れさせた麦野が、後方を歩く仲間に尋ねた。
「……北東に15m……静止状態……反応は、まだ、ある……」
滝壺の声は、先ほどまでとは変わり、再び弱弱しく、途切れ途切れになり始めていた。
疲弊がいつも以上に早い、と麦野は内心焦っていた。
41号と、先ほどの玩具の怪物の正体である3人のナンバーズとを、それぞれ追跡させたせいだろうか。既に戦意を折られている老人のような子供は絹旗達に任せるとして、41号は厄介だ。肉体の再生能力まで有しているとなると、骨も残らないほど消し去って、止めを刺さねば。
そう考えて歩みを進めている最中、突如麦野は足をなにかに取られ、バランスを崩す。
「……これは!?」
麦野の片脚に、腕程の太さもある深緑色をしたコードが床を突き破って絡み付いている。それは蛇のようにうねり、まるで生きているかのようだ。
背後では、息を切らした滝壺がついに足をとめ、床にへたりこんでいる。
「たき―――」
麦野が振り返って声をかけようとしたところ、突然、自身の体勢が崩れた。
のたうつコードによって、麦野の足元一体の床が破壊され、抜けた。
麦野は重力に従い、落下する。滝壺も頭から滑り落ちる。
「ああああっっッッッ!!!」
悪態をつく暇もない。麦野は必死に、電子光で自身を包み込み、滝壺へと腕をあらん限り伸ばした。
フレンダは絶望していた。
目の前で、轟音と共に床に大穴が空き、麦野と滝壺が呑まれた。
絹旗は力を失い、アーミーに拘束されようとしている。
これまで幾つもの任務をこなし、失敗など知り得なかった「アイテム」の、能力者3人が戦闘不能だ。
「ど、どうしよ……」
震えるフレンダをよそに、金田が横を駆け抜ける。
「鉄雄ォォォッ!!!」
金田は瓦礫の山を乗り越え、大穴を避けていく。
どうする?逃げるか?
足を震わせるフレンダのスカートのポケットで、その時、携帯電話が着信を告げた。
金田は、鉄雄が土煙の中からゆっくりと姿を現すのを見た。
「金田……」
鉄雄は、血と埃に塗れた顔を金田に向け、自嘲的な笑みを浮かべた。
「鉄雄」
金田は、10歩分ほどの距離を空けて名前を呼ぶ。
「お前」
「どうだ?すげェだろ」
鉄雄は右手を上げた。
麦野によって破壊されたはずの、機械化した腕が、再び周囲の残骸を集めて形成されていく。
「まるで、俺の体じゃないみたいだ……何なんだよこれは」
「オイ鉄雄」
「来ンじゃねえ!!」
何度も名を呼び近づこうとする金田を、鉄雄は機械の腕を振って拒絶する。麦野と戦っていた時とは打って変わり、悲壮感の漂う声だった。
「このふざけた腕を見ろ!これが俺か!?お前になんかどうもこうもできねえだろ!うざってえんだよ!」
「何だと!?」
金田が戸惑いの声をあげる。鉄雄は首を振った。
「ただ、強くなりたいって思っただけなのに……どんどん俺の中で、俺の力が、俺のじゃなくなるみたいに、大きくなってやがる……!」
「それは、アキラ君に近付いているからだよ」
あどけない声に、鉄雄がはっと顔を上げる。
アーミーの兵隊に寄り添われながら、床に座りこむ3人のナンバーズ。その内のマサルが口を開いた。
「君の力は、どんどん大きくなる。やがてはアキラ君みたいに……」
「マサル、どういうことだ?」
「アキラ」の名を聞いた途端、大佐が険しい口調でマサルに聞く。
「アキラ!そいつだ!俺のことをずうっと呼んでいやがるンだ!!」
マサルが何か答えるよりも先に、鉄雄が眉間に皺を寄せ、苦しそうに叫ぶ。
「お前らに聞きたくて、俺はここまで来たんだ!どこだ!?そのアキラってのは、どこにいるんだ!?」
「それは……」
キヨコが鉄雄を見つめた後、目を閉じて俯く。
金田には、鉄雄がハッとした表情を浮かべるのが見えた。
「何だと?」
鉄雄が呟いた。
「原子力発電所って―――」
その時、幾筋もの青白い光が、金田と鉄雄の間の床を穿ち、天井へと幾筋も伸びた。
床が飴細工のように溶かされる。金田はたまらず身を退く。
「あのババア!!まだ生きていやがったか!!」
不安定になった床の上で、鉄雄が毒づいた。
「テメエにはもううんざりだ!俺は―――」
鉄雄は振り返り、金田の顔を一瞬だけ見た。
「俺は、先に行く」
「41号!!」
大佐が叫ぶのが聞こえる。
「て」
金田が手を伸ばす。ケイが後ろから駆け寄り、その伸ばした手を掴んで引っ張り込む。
「鉄雄!!」
青白い光が続けざまに奔り、床が更に崩れ、天井までも崩落する。
大佐やアーミーの兵士達は、ナンバーズを守ろうと壁際へ後退する。
混乱の最中、絹旗は力を振り絞って拘束を解こうとする。
ベビールームは、いよいよ崩壊しようとしていた。
轟音の渦の中で金田は、鉄雄が一瞬跳び上がったかと思うと、姿を掻き消すのを確かに見た。