スーパーロボット活劇、超世王セイバージャッジメント   作:dwwyakata@2024

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4、嵐は収まる

ブラックウルフ・ネメシスの起こした竜巻、上昇気流、超高熱によるいわゆるスーパーセルの発生、地球北半分を壊滅させかねない気象現象は、400を超えるブライトイーグルが飛来して、即座に沈静化させていった。

 

神戸なども高潮、暴風警報を出して避難をしていたのだが。

 

それも即座に収まったので、驚きの声さえ漏れていた。

 

シャドウの力の凄まじさ。

 

それを誰もがまた思い知らされたのだ。

 

そして戦闘の経緯が公開され。

 

地球を巻き込む自爆テロに等しい戦術を採ってきたネメシスのおぞましいやり口に、誰もが戦慄していた。

 

シャドウと違って、ネメシスは明確に地球の敵である。

 

それがはっきり分かった。

 

ネメシスは人間の悪意そのものであり。

 

人間を滅ぼすためにその悪意が形を為した存在である。

 

更に言えば人間が今までの歴史上蓄えてきた悪意の事を考えると。

 

シャドウ戦役前、史上最大まで数を増やしていた人間の悪意が。

 

どれほどの量であったのかは、想像するに恐ろしい。

 

ナジャルータ博士が、資料をまとめて会議に出す。

 

代表の半分くらいが出ていない。

 

GDFも大混乱だ。

 

今までのネメシスとは被害規模が桁外れ過ぎる。

 

下手をすると北半球丸ごと滅びていた。

 

しかもネメシスが更に進歩を続けているのだ。

 

代表の半数くらいは、国内を安定させるという名目で、現実逃避しているようだった。

 

説明を終えると、黙り込んだままの代表達。

 

市川代表が言う。

 

「シャドウと戦うどころではなくなりましたな」

 

「……」

 

「ともかく、ここからはGDFの総力を挙げるしかありません。 後何度あのレベルのネメシス種を撃退出来るかわかりません。 幸いパイロットの飛騨大尉はまだ無事ではありますが、恐らく精神に大きな傷を受けているようです。 無理に復帰させても、すぐに力を発揮は出来ないでしょう」

 

淡々と説明する市川代表。

 

誰もが黙りこくったままだ。

 

桁外れの気象災害が起きかけた様子は、誰もが見ていたのだ。

 

史上最大の台風どころじゃあない。

 

一応、生物の大絶滅が起きた時代には、桁外れの台風や気象現象が地球を覆っていた時代もある。

 

だがそれは巨大隕石の衝突や、桁外れの火山活動などの結果によるものであったのだ。

 

それを考えると、今回の件は。

 

ネメシスが、過去の大量絶滅と同等の災厄を起こせるものだとはっきりしたという点で。もはやある意味、人間などが手に負える相手では無いと示したのだとも言えるだろう。

 

ナジャルータ博士は、代表達の顔を見る。

 

安全地帯にいると思い込んでいた連中は、やっと知ったのだ。

 

安全地帯なんて何処にも無いと。

 

もしもこの先、更にネメシス種が進歩したら。

 

それこそ地球をまとめて粉砕とかやりかねない。

 

ロケットなどがそもそも打ち上げられない現状。宇宙に都合良く逃げるなんて選択肢だって存在はしていない。

 

詰みだ。

 

「一応私から補足させていただきます」

 

「お願いする」

 

「ネメシスの被害は桁外れですが、人類がシャドウ戦役に遭わなかったら、同レベルの被害を地球に出していたでしょう。 そして第六の大絶滅が起きていた。 これは隠しようもない事実です。 ネメシスは人間そのものの映し鏡。 奴が起こそうとしたのは、まさにそれの再現です。 しかも、人間は気にくわない人間を殺し尽くすために、それをやろうとしていた。 それさえネメシスは真似している」

 

弾劾だ、これは。

 

シャドウという中に取り込まれた人間の悪意に対しての。

 

未だに万物の霊長だとか自分を信じ込んでいる阿呆どもにたいしての。

 

呉美大佐は命をなげうって、北半球を守ってくれた。

 

それなのに此奴らは。

 

半分ほどの逃げた代表は。

 

それに感謝の一つもせず。

 

戦う覚悟も決めず。

 

それどころか、現実逃避するばかりだ。

 

ロボットアニメのキャラクターは幸せだ。こう言うとき、人間は団結してくれるのだから。

 

此処にいる連中の情けない有様が、人間の現実。

 

人間は今でもクズだ。

 

そうナジャルータ博士は思ってしまう。

 

少なくとも社会の上層にいる連中はそうだと、重ねて思ってしまった。

 

真面目にネメシスを討ち取るために全てを擲った呉美大佐や飛騨大尉が報われないではないか。

 

こんな連中を守るために。

 

彼女たちは、あのような目にあったというのか。

 

「市川代表。 このような会議は無駄です。 閉会を」

 

「……一度休憩を挟む。 その間に、各自覚悟を決めておくように」

 

市川代表も青ざめている。

 

市川代表も何となくだが、王座を手に入れたことを後悔しているのかも知れないとナジャルータ博士には思えてきた。

 

こんな連中を統率して、自尊心を満たして。

 

その先に何があるというのか。

 

嵐山補佐官が、資料をまとめてきた。

 

どうやら病院からのもので、飛騨大尉が目を覚ましたらしい。

 

ただ、体への外傷は一月ほどでどうにかなりそうだが、心の方が。

 

やはり呉美大佐の事をどうしても考えてしまうのだろう。

 

戦場で兵士が死ぬのは日常。

 

それは分かっていても、心に整理がつかない。

 

何しろ未熟なのだ兵士としては。

 

超世王セイバージャッジメントを操作できる人間が他にいない。だからやっていることなのである。

 

「最悪、代わりの選定を」

 

「代わりがいるならとっくに準備している!」

 

「それでもです」

 

「任せても良いか」

 

嵐山補佐官が頷くと、退室する。

 

そのまま会議はお開きになった。

 

ナジャルータ博士はため息をつくと、テレビ会議を切る。

 

もしも飛騨大尉が立ち直れなかったら。

 

恐らく、完全に人類は詰みだ。

 

 

 

(続)







最初期から縁の下の力持ちであった呉美さん、此処で脱落です。

凄まじい力を持つネメシス種は、人間を滅ぼすために手段を選ばない。

そしてその悪辣なやり方は、人間の悪意そのものです。

つまり人間の悪意の結晶体が。

人間ごと世界を滅ぼそうとしているのです。






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