スーパーロボット活劇、超世王セイバージャッジメント   作:dwwyakata@2024

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4、勝利のために

そんな条件、飲めるわけがない。

 

畑中博士も出ている会議で絶叫したのは、スコットランドの代表だった。

 

ノワールの提案。

 

それは、シャドウによる事実上の全土占領だった。

 

現在、シャドウは人間が取り返した領域には踏み行っていない。それもあって、どうにか主戦派を抑え込む事が出来ていた。

 

だが、ノワールは言う。

 

一時的に撤退した土地で、瞬く間に人間は汚染を拡げている。

 

これから物資は此方で提供するから、我等が環境の汚染を回復するのを邪魔しないように。

 

都市には踏みいらないよう約束しよう。

 

また、飛行機は現時点では許さないが、ホバーの船舶を更に普及させるのは許可する。それで海運網を構築しろ。

 

それ以外の地点でも、攻撃さえされなければ反撃はしない。

 

ただし指定の地点以外に廃棄物を、指定量以上捨てた場合は、容赦なく狩る。

 

そういう話だった。

 

「シャドウに全面降伏しろというのか!」

 

「むしろ全面降伏した国家に対して人間がやるよりも、ずっと理性的な事をシャドウはしていると思いますよ」

 

さらっといったのは畑中博士だ。

 

完全に鼻で笑っている。

 

それに対してわめき散らそうとした誰かを、大きく咳払いして北米大統領が掣肘していた。

 

「現時点でシャドウはその気になればいつでも人類を滅ぼせる。 それはネメシスが出た今も同じだ。 そしてネメシス相手に、それこそ手指を相手は斬ろうとしてくれている。 ネメシス、今交戦しているネメシスエンドは、それこそ世界を滅ぼし尽くす程の戦闘力を有する相手だ。 こうしている間にも、広瀬大将の指揮する第一軍団の損耗が跳ね上がっている」

 

「だったらなんだ! 軍人は死ぬのが仕事だ!」

 

「死ぬのが仕事であっても、君のために死ぬ事が仕事ではないと思うがね」

 

半笑いの声が掛かる。

 

それに対して激高しようとする奴もいたが。

 

其処に、凄まじい打撃音が響き渡っていた。

 

岸和田だ。

 

北条は今、最前線に出ている。

 

岸和田は残された。

 

嵐山の指示で、その巨体で壁を殴ったようだった。壁に大きなへこみが出来ていて。それは会議に出ている代表達にも見せられた。

 

「落ち着きましたかな」

 

「……」

 

嵐山の言葉に、皆が黙り込む。

 

畑中博士は、ふっと笑った。

 

咳払いをすると、市川代表は決議を取る。

 

「ネメシスエンドに負ければ、世界は滅びる。 その後に残るのはシャドウだけです。 ネメシスエンドは濃尾に到達した後、何かしらの手段で大陸プレートを粉砕すると見て良いでしょう。 此処にいる全員が今まで人類が経験したこともない地震で即死するか、その後の津波や災害で即死します。 シェルターなど何の役にも立ちません。 シャドウ戦役で、どのシェルターもランスタートルに吹き飛ばされたようにね。 宇宙に逃げる事も出来ません。 ロケットが大型種シャドウに消し飛ばされるだけです。 決議を取ります。 シャドウの提案を呑む事に賛成か」

 

「賛成」

 

北米大統領が言う。

 

この人もあまり最初は評判が良くなかったが、頑張っていた前任者とほぼ同じくらいまでは、まっとうな判断が出来るようになっている。

 

北米でもまともな大統領が連続する事はあまり多く無かったらしいが。

 

今、それが起きているのは、まあ歴史の皮肉と言うべきか。

 

反対だ。

 

そう叫んだのはスコットランドの代表だ。もしも決議が可決されるなら、GDFを抜けるとまで言い放とうとしたが、後ろから取り押さえられた。

 

そして連れて行かれる。

 

棄権と見て良いだろう。

 

最悪の事態になる寸前に、自浄作用が働いたと言う事だ。

 

賛成がそれなりに出るが。

 

もう、誰もの顔が青ざめていた。

 

馬鹿馬鹿しい話だ。

 

人間なんてとっくに負けている。シャドウ戦役を生き延びたのは生き延びたかも知れないが。

 

それ以上でも以下でもない。

 

完全に負けたのを、情けで生かされていただけ。

 

それを認めるのに、どうしてこんなに揉めているのか。

 

異常なプライドだけ肥大した人類は。

 

自分のプライドを世界に優先させようとしている。どれほどそれが愚かな事なのかは、敢えて言うまでもないだろう。

 

そしてその有様は。

 

さっきネメシスエンドがほざいていた繰り言と、殆ど代わりはしないのだ。

 

「では決議を発表します。 賛成多数で可決」

 

「くそっ! 我々は戦うぞ!」

 

「戦うならご勝手に。 ただしGDFからの支援はあらゆる観点から切ります。 シャドウの群れを相手に勝てると思うなら、勝手になさるといい」

 

「……っ!」

 

会議が切られた。

 

小型種シャドウですら斃すのは容易ではないのに。

 

それを忘れたとでもいうのだろうか。

 

いずれにしても、これで最終局面が始まる。

 

畑中博士が見た所、ネメシスエンドは相応に消耗している。

 

越中を抜けて越前に出るころには、超世王セイバージャッジメントが対応できるようになっているだろう。

 

問題はそれまで、広瀬大将が生き残れるかだが。

 

既に前線には、訓練部隊である第四師団まで出ている。

 

戦線に出ている第一軍団は既に半壊状態で、最終的な死者がどれほどまで増えるかは想像もできない。

 

とりあえず、もはや前線で超世王セイバージャッジメントがやりきるのを、期待するしかない。

 

畑中博士に出来る事は、全てやったのだから。

 

 

 

(続)








無能なGDFの司令部を尻目に、猛進撃をするネメシスエンド。

第一軍団が壊滅しつつあるにも関わらず、やっと決断する司令部。

それに対してシャドウは一糸乱れぬ作戦行動。

あらゆる全てが違います……

残念ですが、これが現実なのです。





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