スーパーロボット活劇、超世王セイバージャッジメント   作:dwwyakata@2024

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水素爆弾どころではない熱量を内包しながら動き回るネメシスエンドは、周囲の温度を1000℃以上にしながら動き回っています。

越前辺りで戦闘が行われていても。

京都辺りまで余波が来ることになります。





1、激戦

ナジャルータ博士は、京都工場周辺の温度が上がっているのに気付いていた。

 

冷房が明らかに出力を上げている。越前での戦闘が行われているのだが。其処での気温が千℃に近くなっている。

 

その影響がここまで来ていると言う事だ。

 

麟博士と連携して、分析を進める。

 

畑中博士は、整備班と連携して、もしもに備えている状態だ。恐らくは、飛騨大尉がどうにか出来る。

 

だが、もしもどうにもならなかった場合。

 

最後の奥の手を一つだけ用意してある。

 

連絡が来る。

 

「此方増田中将」

 

「如何なさいましたか」

 

「広瀬大将は後方に搬送した。 もっとも、もしもネメシスエンドが勝利するようなことがあったら、何処にいても終わりだろうが」

 

「いえ、それでかまいません。 残存戦力と生存者をまとめて、撤退を予定通りしてください」

 

助けは無用。

 

そういうことだ。

 

やはりデチューンモデルを操作している兵士達は多少不慣れで、斬魔クナイを叩き込むのに手間取っている。

 

これがとても扱いづらい武器であり、癖があってまともに当てられないというのも理由ではあるのだが。

 

それにしても厳しいのが現状だろう。

 

ただ、それでも相手が巨体だ。

 

支援システムを使って、当てられるようにはしてある。

 

呉美准将がいてくれれば、的確に指揮を取ってくれていたのだろうが。これはそうもいかないか。

 

こっちは軍事の専門家じゃない。

 

どうにもできないな。

 

そう思っていたとき、京都工場に誰か入ってきた。

 

コンソールの前に座る。

 

ふっと笑った。

 

「専門ではありませんが、指揮は預かります」

 

「畑中中将!」

 

「許可は貰っています」

 

「分かりました」

 

畑中中将も、あまり体の状態は良くない。普段は病院で、今回も看護師がついてきている状態だ。

 

それでも、苦労しているデチューンモデルのパイロット達に指揮をし始める。

 

「此方畑中中将」

 

「おおっ!」

 

「生ける伝説!」

 

「ありがとう。 これから指揮を取ります。 指示通りに動いてください。 そうすれば、確実に最低でも斬魔クナイを全弾叩き込む事が出来ます」

 

兵士達の指揮が俄然上がる。

 

畑中中将は、そもそも一兵士であって、中将なのはあくまで待遇である。しかも退役後にそれを受けたのだ。

 

だけれども、超世王セイバージャッジメントに関しては、飛騨大尉以上のスペシャリストである。

 

兵士達の誰もが知っている。

 

だから、士気が上がるのも当然であるだろう。

 

ここからは分析に全力を尽くせる。

 

麟博士が言う。

 

「超世王セイバージャッジメントは、斬魔剣Ⅲを主力に良く攻め立てています。 目に陰陽バリアを打ち込んで、視界を阻害していますが、恐らくは相手をおちょくるためでしょうね」

 

「口も目も好き勝手な場所に造れるようですから、それはそうでしょう」

 

「相手を激高させて、自身に攻撃を集中させる。 覚悟が決まっていますね」

 

「……」

 

そうだな。

 

だが、それで散らせてしまっては意味がない。

 

ネメシスエンドは間違いなく動きが鈍り始めている。それは恐らく、シャドウとしてのルールを致命的なところで破ったからだろう。

 

それに熱をため込みすぎたのだ。

 

奴は熱で地殻を粉砕するつもりであるのだろうが。

 

だが、それは体を極限まで熱しないと不可能だ。

 

今も現在進行形で、キャノンレオンやグリーンモアが熱攻撃を仕掛けているし、次々と動きが変わったデチューンモデル部隊が斬魔クナイを叩き込んでいる。毎秒核兵器が炸裂するくらいの熱量が叩き込まれている筈だ。

 

だから本来は自分で蓄えなければならない熱が漏れ出して、周囲が千℃を超える有様になっている。

 

しかも進軍が鈍り始めている。

 

だからこそ、周囲が溶岩化しはじめているのだが。

 

それでも、現状は拮抗だ。

 

想定される動きは分かっている。それまで、相手を削り、追い込まないといけない。

 

ネメシスエンドが、口を作り出す。それにブライトイーグルが立ちふさがるようにして飛んでくるが。

 

足をまとめて叩き付けて、吹き飛ばす。

 

「邪魔だクソが!」

 

だが、その瞬間。

 

飛騨大尉が、その口に対して、投擲型斬魔剣を叩き込んでいた。

 

流動している体だが、その体内に直接である。しかも投擲型斬魔剣もそうだが、超世王セイバージャッジメントの装備は、前回の戦闘での反省を生かして、全てが対熱仕様を更に強化している。

 

見る間に体内に直に超高熱を打ち込まれるネメシスエンド。

 

それで、明らかにもがき始める。

 

多数ある足……節足動物のものに見えたり、哺乳類のものに見えたり、人間のに近いものを、踏み荒らしている。

 

がっと、音を立てて投擲型斬魔剣を引き戻す飛騨大尉。

 

動きが切れ切れだ。

 

明らかに一皮剥けたな。

 

畑中中将が、口笛を吹く。

 

「凄いね。 私を超えたかも知れない」

 

「畑中中将」

 

「皆、飛騨大尉に負けていないで。 少なくとも装備している斬魔クナイは、無駄なく全弾叩き込むようにしてください」

 

「イエッサ! おおっ、やってやる!」

 

兵士達の士気が俄然上がる。

 

今までのもたもたが嘘のように、いいうごきを取り戻せている。元々連携の訓練はしていたのだ。

 

それをきちんと発揮できるようになった。

 

それだけの話だが。

 

それで充分である。

 

よろめいたネメシスエンドが。大量の触手を生やすと、それを振るって来る。

 

だが、即応したシャドウが、それらを食い止める。それでも余波が辺りを破壊する。溶岩化している地面を吹き飛ばし、衝撃波だけでデチューンモデルを噴き飛ばしかける。だが、すぐ態勢を立て直す。

 

暴れ狂っている触手をかいくぐりながら、超世王セイバージャッジメントは、まるで畑中中将と飛騨大尉の闘志が乗り移ったように、神がかった動きを見せる。斬魔剣Ⅲを振るい、熱で柔らかくなっている触手を二度両断した。両断された触手は、しばらく跳ねて暴れていたが。

 

すっと消えて、熱そのものも消滅したようだ。

 

分析していた麟博士が言う。

 

「体積が消えると、熱がまとめて消滅する。 中型種シャドウと同じですね」

 

「想定通りです。 そしてこれで……」

 

「触手はもう安易に使ってこない」

 

触手を引っ込めるネメシスエンド。

 

緻密に事前に作戦は決めていた。それを詰め将棋をうつように、一つずつ丁寧に実行していく。

 

作戦は臨機応変が必須だ。

 

だが、事前にある程度敵の手が読めていれば。

 

それで対応は更に早くできるのだ。

 

触手を引っ込めた後は、やはり足だ。キャノンレオンを多数吹き飛ばしたパイルバンカーを使ってくるだろう。それは分かっていた。

 

其処に敢えて前進する超世王セイバージャッジメント。

 

足回りの強化により、溶岩を蹴立てて走っても、無限軌道はびくともしていない。その間も、次々とネメシスエンドには斬魔クナイが突き刺さる。

 

振り下ろされる生体パイルバンカー。

 

だが、更に一弾と加速。

 

エンジンに強力な加速機構を搭載したのだ。

 

更に、パイルバンカーの破壊力さえ利用して、一気に前に出る超世王セイバージャッジメントは、斬魔剣Ⅲで、更に奴の体に斬り込む。

 

火花が散る。

 

回転のこぎりのように、効率よく熱を叩き込む斬魔剣Ⅲに、明らかに攻撃を受けたネメシスエンドの体の一部が変色し始めている。

 

体の流動化をしても、もはや熱を蓄えきれなくなってきている。

 

「このやらあああああっ!」

 

喚きながら、ネメシスエンドが体の半分ほどを口にして。乱ぐいになっている牙で、超世王をそのままかみ砕きに掛かるが。

 

其処にバンと音を立てて、シールドが展開する。

 

以前、スプリングアナコンダ戦で使われたものだ。

 

それが、一瞬で膨らんだこともあり、目測を見誤ったネメシスエンドが、つんのめる間に。

 

奴の体の下を、超世王セイバージャッジメントは抜けていた。

 

翻弄している。

 

だが、ちょっとでも攻撃がかすれば、後がない。

 

有利に見えているのは、そう見えているだけだ。

 

「二番機、斬魔クナイ、全弾投射完了!」

 

「七番機同じく!」

 

「使い切った機から後退してください」

 

「イエッサ!」

 

デチューンモデルが下がりはじめる。

 

その瞬間だった。

 

いきなり上に口を作ったネメシスエンドが、空に向けて超高出力で何かを噴き出したのである。

 

まずいなあれ。

 

多分、シルバースネークの毒だ。

 

「地下に避難してください!」

 

叫ぶ。

 

畑中中将の乗った車いすを看護師が押して走る。ナジャルータ博士も、それほど運動神経には自信が無いが、それでも必死に走る。

 

勿論、地下に潜っても、あれが直撃したら無意味だ。

 

それでも、生きるためにあがく意味はある。

 

直後、京都工場の一角に、毒が直撃。

 

人工物と人間だけに作用するそれは、凄まじい熱をも今は帯びていた。

 

電源が落ちる。

 

恐らく電源とUPSが同時にやられたのだ。

 

工場が揺れる。

 

どこがやられたのか、分からない。

 

とにかく、着弾の瞬間伏せる。

 

そして、顔を上げた。

 

工場の一角が、今まで何も無かったかのように、丸ごと抉り取られていた。シルバースネークの毒液の凄まじさは知っているつもりだったが、思わずぞっとさせられる。

 

抉り取られていたのは、整備工場の辺りだ。

 

畑中博士は。

 

畑中博士が、手を振ってくる。無事か。

 

整備工のおじさん達も無事らしい。

 

だけれども、整備用の機械類はあらかた跡形も無くなっていた。

 

「被害を確認してください!」

 

ナジャルータ博士は叫ぶ。

 

電源が完全にやられた状態だ。どれだけここから支援できるか。前線の被害がどうなったか。

 

それさえ分からない。

 

更に、毒液が超高熱だったこともあって、一部で火が上がっている。

 

消火設備が働いてくれたのは助かる。電源が死んでいても、独自の機構で動いてくれたのだ。

 

「予備電源が此方にあります」

 

「分かりました!」

 

麟博士とともに、予備電源の方に行く。

 

予備電源と言っても、本来のやつはやられてしまった。これから動かすのは、あまり長時間もたないそれほど電力容量が大きくない奴だ。

 

一瞥したが、最後の一押しについては破壊されなかった。

 

だったら、反撃を必ずいれてやる。

 

そう、ナジャルータ博士は、惨状の中誓っていた。

 

 

 

後退しようとしていたデチューンモデルの一機が、ぶちまけられた毒をもろにくらった。

 

だが。パイロットは緊急脱出用の装置でさっさと逃げ出していた。ただ、周囲の熱が凄まじい。

 

デチューンモデルのパイロットは耐熱スーツを着ているが、長時間は耐えられない。別のデチューンモデルが、パイロットを回収していた。

 

「ギャハハハハ! てめーらの大事な工場に直撃させてやったぜ! 多分全員死んだだろうな!」

 

「そんなことは実際に行ってみないと分からない。 それに、そんな手を使ってくるって事は、お前が追い詰められている証拠だ」

 

「お前だと! 俺の事をお前とかいいやがったか!」

 

「何度でも言ってやる! 不細工な肉団子! 姿なんて主観で決まる。 だから見かけなんかどうでもいい。 でもな、お前は精神があまりにも醜すぎる! だからお前は不細工だネメシスエンド!」

 

あたいは叫ぶと、更に突貫。

 

冷房が悲鳴を上げはじめた。

 

溶岩に何度も突っ込んでいるからだ。足回りが動いても、熱はもろに吸収する。それを何層もの仕組みで防いでいるし、恐らく最強だろう冷房システムでコックピットを守ってくれているが。

 

それでも冷房がフルパワーで、なおも相殺しきれなくなってきている。

 

だが、これは分かりきっていた事だ。

 

お前と呼ばれて激高したネメシスエンドが、足を束にして、踏み降ろしてくる。完全に地団駄だ。

 

子供か。

 

それもシャドウ戦役前の時代の。

 

だが、こう言う単純な攻撃が一番厄介なのだ。

 

戦術家を拗らせたような奴がひねくり回した策が、正面突破で潰されるような案件はいくらでもある。

 

それは兵士として催眠教育を受けたときに学んだ。

 

今は催眠教育のシステムが発達しているから、兵卒でも昔の士官学校の人間くらいの知識はある。

 

あたいも例外じゃない。

 

ともかく、激しい地団駄を回避。

 

だが、溶岩を派手にぶっかけられる。更に熱が上がる。装甲を余波が掠める。それだけで、吹き飛びそうになる。

 

一転して攻勢に出たネメシスエンドが、もう一発毒液を吐こうとする。

 

「今度は神戸を丸ごと溶かしつくしてやるよ! 三百万全員死に晒せやダボが!」

 

「……」

 

不意に、其処で何か降り立つ。

 

二体目の大型種シャドウ。

 

人型ではない。

 

それはヒトデの様な姿をしていて、そして、完全に口を塞いで、なおかつ吸着していた。

 

毒液を封じられるネメシスエンド。

 

わめき散らすそいつに、デチューンモデルからの斬魔クナイの最後の掃射が突き刺さっていた。

 

「デチューンモデル部隊、後退する! これで支援は最後だ!」

 

「ありがとう! ご無事で!」

 

「祝勝会で待つ! 未成年だから飛騨大尉が酒は飲めないのが残念だ!」

 

わざと聞こえるように会話をする。

 

ネメシスエンドは当然聞いていたようで、ヒスを起こしながら熱線をぶっ放してくる。シールドで僅かに軽減するが、やはりとんでもない火力だ。

 

僅かに擦っただけで、エラーが多数出る。機体がひっくり返りそうになる。

 

だが、中型種が多数集っていても、なおも猛攻が此方に飛んでくるくらいだ。

 

支援は呼びかけないと、無理だろう。

 

切り札はまだ使う時じゃない。

 

ぐっとアクセルを踏んで、加速。

 

これでも向かってくる超世王セイバージャッジメントを見て、少しずつネメシスエンドの態度が変わり始めていた。

 

「なんなんだよてめえ! 力の差は分かっているだろうが! それでなんで向かってくるんだよ!」

 

「勝てない相手としか戦わないのかお前」

 

「お前というなこの下等生物が!」

 

「そんなんだからお前はクズなんだよネメシスエンド! 勝てなくてもやらなければならないときがあるんだ。 今がその時なんだよ!」

 

返答はわめき声。

 

いや、それはもはやわめき声ですら無かったかも知れない。

 

触手を振り下ろそうとするが、ストライプタイガーが食いついて、食い止める。ネメシスエンドの動きが鈍い。

 

移動速度が遅いから、辺りの熱が更に上昇している。

 

地面も溶岩化している。足回りはなんとか耐えているが、それでもいつまでもつかどうか。

 

何度か周囲の空気が爆発を起こした。

 

奴の体の周りは特に酷い。

 

高熱に、空気が晒されて、爆発を引き起こしているのだ。

 

要はため込むべきはずの熱を、漏らし始めている事を意味している。

 

好機だ。

 

そのまままた仕掛ける。

 

足をたくさん振り上げて、振り下ろそうとしてくるが。

 

ウォールボアが数体、ここぞと突進し、奴の巨体を揺るがせる。中型種は味方になるとこれほど心強いのか。

 

更に恐らく長距離狙撃だからスプリングアナコンダだろうが。

 

奴の側面に、連続して着弾。揺らいだ隙に、あたいは一息に斬魔剣Ⅲで、奴の体を切り裂いていた。

 

巨大な切れ目が出来る。

 

普通は時間を掛けて斬る武器だが、それだけ奴の表皮が弱っていると言う事だ。体表面を循環させていても、それでも耐えきれないほどに。

 

ネメシスエンドが喚きながら、形状を変えていく。

 

これは。

 

翼が生えていく

 

そして、手足が明確に出来ていく。

 

手にしているのは巨大な武器。

 

剣……じゃない。

 

恐らくは、パイルバンカーだ。

 

舌なめずりする。

 

あの姿。どう見てもアニメに出てくる巨大ロボットだ。羽とか生えていて、とても美学に満ちた姿を……していない。

 

似ているが、何処か決定的に違っている。

 

ああいうロボットは、始祖となるような存在からしてそうだが、操縦者の心が強さの証であったそうだ。

 

基本的に乗る人間の精神性をとても重要視していたとか。

 

だからロボットを集めたゲームなんかでは、精神を武器にするシステムが採用されていた。

 

あたいも幾つか遊んだから、それは知っている。

 

だが、あれにはそんな要素は一つも無い。

 

それらは、側を機動し、仕掛ける隙を探しながら分析し終える。

 

ネメシスエンドスーパーロボット形態とでもいうべきその姿の背丈は40mほど。随分と縮んだが、これは体を圧縮したとみていい。つまりこれはフェイク。

 

本命は、恐らく最終攻撃の準備だ。この段階でも、その程度は頭が回っているということである。

 

「どうだ腐れボケがあ! 貴様のそのダッセエロボと違う、超格好いいスーパーロボット様の登場だ!」

 

「見かけ倒しだねそんなもの」

 

「んだと」

 

「お前、アニメの戦闘シーンとかだけしか見ていないんだろ。 そういうロボットの強さは、乗っている人間が如何に色々なものを背負って、それで戦うかに左右されるんだよ。 中にはどうしようもない下衆もいるみたいだけれど、基本はそうだ。 お前なんか、例えどれだけ格好いいロボットのガワ纏ったって、ただのゴミだ!」

 

浮き上がろうとするネメシスエンドだが。

 

その左右を、即座にブライトイーグルが抑え込んだ。更には、上空から数体のランスタートルが即座にチャージを叩き込んで、地面に抑え込む。

 

色も銀とか金とか赤とかに変わっていくネメシスエンドだが。

 

どれだけ格好いい配色にしようと。

 

デザインがロマンに溢れていようと。

 

どうしても偽物だと言う事がわかってしまう。

 

あたいだって、本音では格好いいスーパーロボットにのって彼奴を斃したいとは思ってはいる。

 

だけれども。

 

超世王セイバージャッジメントは、戦車がベースであっても、多数の中型種と創意工夫で戦い。

 

それらを傷つきながらも倒して来た。

 

そしてネメシス種ですら、交戦する相手を斃し続けて来た。

 

あたいが強いんじゃない。

 

超世王セイバージャッジメントがあたいを選んだ。

 

超世王セイバージャッジメントが強い。

 

少なくとも、あんな張りぼてロボの見かけだけをした相手よりは。ずっと超世王セイバージャッジメントの方が格好いい。

 

偉そうな能力を他人から貰ってイキリ散らしているような輩よりも。

 

なんの能力も無くとも、悪に創意工夫で立ち向かう普通の人の方がずっと格好いい。

 

ただそれだけの理屈だ。

 

それに関しては、創作だろうが現実だろうが変わるものか。

 

「死ねやオラァ!」

 

パイルバンカーを振り回して、中型種を追い払おうとするネメシスエンド。

 

分かっている。

 

あのパイルバンカーは、今は鈍器として用いている。鈍器としても充分過ぎる代物だが。今はその時じゃない。

 

エアコンが警告を発してきた。

 

もうそんなに長い時間は戦えない。

 

その時、飛来したのは誘導弾だ。至近で何発か着弾する。

 

既に無線の動作も怪しいが、通信が聞こえる。

 

「飛騨大尉! これから何発か其方に誘導弾を放ちます! 直撃だけしないように気をつけてください!」

 

「イエッサ!」

 

冷気の中に逃げ込んで、機体を冷やす。

 

直撃でないのなら、熱膨張破壊も起きないだろう。この高熱だ。誘導弾で打ち込まれた大量の液体窒素も、短時間で放熱してしまうからだ。むしろ今は、超世王セイバージャッジメントのための継戦時間延長用の支援攻撃だ。

 

行くぞ下衆。

 

暴れ狂うネメシスエンドに、突貫。まだ勝ってはいない。必ず勝つ。







京都工場を半壊させ、なおも暴れ狂うネメシスエンド。

しかし既に一人前に成長し、何より超世王セイバージャッジメントとともに戦い抜く覚悟を決めている飛騨咲楽は引きません。

戦いは、ただ激しく。

そして終わりに向かいます。






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