スーパーロボット活劇、超世王セイバージャッジメント   作:dwwyakata@2024

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それはもはや、北欧神話のスルトにも匹敵する滅びの魔神。

全てを焼き払う悪夢。

そして、何よりも。

人間そのもの。





2、滅びの魔神

わめき散らしながら暴れ狂うネメシスエンドの様子は、場所を移動した京都工場の人員も見ていた。

 

救助に来た部隊とともに、今神戸に向かいつつそれを見ているのだが。

 

怖れている兵士も多い。

 

あんな化け物、勝てる訳がない。

 

そう漏らしている。

 

更には、辺りの空気があからさまにおかしい。奴の周辺温度が千℃を超えているというのもある。

 

こっちまで高熱が来ていて、彼方此方で凄まじい突風が吹いていた。

 

「まるで幼児のまま大人になっただけの輩だな。 それでいて腕力と権力だけ得たからタチが悪い」

 

畑中中将はぼやく。

 

司令部に連絡を入れて、誘導弾を放って貰った。その判断をしたのは、畑中中将である。

 

今はもう超世王セイバージャッジメントには乗れない。

 

外で長時間活動する事ですら、看護師がついてくるくらいで。週に何回か検査や小さめの手術も受けなければならない。

 

それでも延命がやっと。

 

残念ながら、畑中中将の現実がそうなのだ。

 

それでも、出来る事はやりたい。

 

だから皆の避難を誘導したし。今もできるだけ前線にいる飛騨大尉の支援をしている。

 

指揮車両が来る。

 

救急車も一緒だ。

 

救急車の中には、右足を事実上失った広瀬大将がいる。切断はしなくてもいいようだが、もう二度と歩くことは無理らしい。応急処置を受けて、絶対安静の筈だが。それでも、指揮をしている。

 

まとまると、また毒液による遠距離攻撃をもろに喰らうかも知れない。

 

少なくとも、常に移動し続けなければ危ない。

 

移動中の歩兵戦闘車から顔を出し、声を掛けるが。

 

看護師に言い返される。

 

「広瀬大将!」

 

「畑中中将、今は大きな声を出さずに。 移動しながら処置をしていますが、かなり危険な状態です。 貴方だって、本来は病院にいて貰わないと困ります」

 

「……」

 

確かにそれは分かっている。

 

畑中中将は現在体の汗腺が全滅していて、高熱に晒されるのは絶対にNGと言われている。

 

だが、今の周囲は、夏真っ盛りもびっくりの気温だ。

 

いきなりの超高熱に辺りでは突風が吹いているくらいである。

 

ともかく、専門家の医師の言葉に逆らうわけにもいかないか。仕方が無い。黙ることにする。

 

移動しつつも、本部に連絡を入れる。

 

増田中将は、今濃尾の辺りまで戻って来たようだが。

 

凄まじい異常気象で、兵の撤退に大苦戦しているようである。

 

前哨戦で、ネメシスエンドに通用しそうな武器は使い果たしてしまった。あとは撤退戦と、避難誘導である。

 

避難は第五師団がやっているが。

 

シャドウの領域に誰かが取り残されるとまずい。

 

スカウトが必死に走り回って生存者を探しているようだが。中型種がそれを手伝い、生存者を発見してくれているらしい。

 

事実上シャドウに全面降伏したも同じだ。

 

会議でそんな風にヒスを起こしている代表達を畑中中将は何回か見たが。

 

シャドウは本当に嘘をついていない。

 

恐らくは、人類を破滅に追い込んだつもりもなく。

 

真意から五千万助けたのだろう。

 

そしてこれ以上減らすつもりはないということだ。

 

「本部、状況は」

 

「増田中将が指揮を執り続けていますが、撤退戦がやっとです。 神戸からの、四国の新都市への移動も続けていますが、風が凄まじく」

 

「まだ誘導弾は放てますか」

 

「出来るだけ放ちます。 ただ、超世王セイバージャッジメントとの連絡がつながりにくく」

 

それは分かっている。

 

だけれども、間違って直撃、なんて事態は避けなければならない。

 

ドローンも飛ばせなくなった今の時代。

 

現地の状態は分からない。

 

デチューンモデルは撤退したし、超世王のカメラも随分前に通信途絶した。

 

まだ超世王はロストしていないが。

 

それでもどこまでやれるか。

 

何度か通信していた士官が、畑中中将と声を掛けて来る。

 

連絡がつながった。

 

思わず無線に飛びつこうとして、激痛に呻く。

 

体中滅茶苦茶になっていることを思い出さされる。

 

だが、その程度で負けてはいられない。

 

「飛騨大尉」

 

「畑中中将!」

 

「恐らく最後の連絡になります。 無線がそろそろつながらなくなっていますので」

 

「はい! 絶対に勝ちます!」

 

よし、心の方は折れていないな。

 

ネメシスエンドがいやみったらしくスーパーロボットな形状を取った辺りまでは、超世王のカメラも生きていた。

 

だからネメシスエンドの狙いも分かっている。

 

勿論、飛騨大尉もそれは分かっている筈だ。

 

「事前にうちあわせたとおりにやってください。 それで勝てます」

 

「はい!」

 

「祝勝会で待っています。 ただ私はもう酒は飲めない体ですし、飛騨大尉も年齢的にそうですけれど」

 

「分かっています。 何かおいしいものでも用意してください!」

 

これなら大丈夫だな。

 

今連絡を入れたのには、意味がある。

 

ネメシスエンドは今のを聞いていた。つまり、勝てる作戦があると言う事を知ったと言う事だ。

 

この状態からでも勝てる。

 

それを聞いて、あの幼稚な精神性の。シャドウ戦役前にやりたい放題をしていた連中の総決算みたいな輩の。

 

ゴミカスが、どう考えるか。

 

ネメシスエンドは一応判断力は高い。それに関しては、シャドウの変異体だから当たり前だ。

 

だが、それと同時にアホだ。

 

だから焦る。

 

あいつがシャドウのままだったら、こんな作戦万が一も通らないだろう。今やネメシスエンドは、クズ野郎、それも人間の精神性を持っている。

 

だったら焦る。

 

それだけで、勝機につながる。

 

「即座にこの場を全速力で離れてください」

 

「分かりました!」

 

速度を歩兵戦闘車も救急車も上げる。

 

少し遅れて。

 

今までいた位置を、偏差射撃で毒液が抉っていた。シルバースネークの毒液は人工物と人間には文字通り必殺だが。普通の地面や生物には何の害も与えない。ただ、今は奴が超高熱を帯びている。

 

着弾点は、それだけで炎上していた。

 

今頃、わめき散らしているだろうネメシスエンドだが。残念だったな。

 

貴様の攻撃は空振りだ。

 

そう鼻で笑ってやる。

 

後は、一旦司令部までさがる。

 

その後は、医師に怒られるのを、覚悟しなければならなかった。

 

全身が痛いが。

 

今やれることは全てやった。

 

 

 

既に戦闘の状況が分からなくなって、しばし経つ。

 

完全に青ざめている市川代表を見て、嵐山は此奴も所詮此処までだったかと思った。

 

シャドウ戦役前から、官僚として日本の国政に嵐山は噛んでいた。

 

当時も酷かったが、シャドウ戦役で全て吹き飛んでから、復旧作業が本当に大変だった。

 

ある程度新都市構想があった神戸とは言え、それでも三百万まで人間が膨れあがって、それで無事で済む筈が無い。

 

嵐山を初めとして、官僚経験者なども集められたが。

 

それでもあまり役には立たず、民間の技術者が必死になってAIを開発し。混乱を最小限に押しとどめた。

 

教育用のAIシステムが完成した時には、どれだけ安堵したか分からない。

 

それから少しずつ海運で生き残りの国家と連絡を取り。

 

残っていた技術を結集してそれぞれの国家とも連携を取り。

 

そして、どうにか超世王セイバージャッジメントを開発できるようになるまで、態勢を立て直した。

 

それで役割を終えたと判断して。引退するつもりだったのだが。

 

そうは行かず、結局またこんな所に戻っている。

 

官僚も優秀な人間ばかりだった訳では無い。

 

学閥だので出世が決まったり。

 

国民の生活よりも自分の権力を優先する輩がいたり。

 

本当にどうしようもなかった。

 

これでも、この国の官僚はまだマシだったのが現実なので、世界の状況がどれだけ荒んでいたのかはよく分かるが。

 

嵐山は、シャドウ戦役前ははっきりいって官僚の中でも負け組扱いで。

 

どれだけ仕事を堅実にこなしても、ほぼ学閥主流の連中からは、鼻で笑われるだけだった。

 

おかしな話で。

 

それだけ冷遇してきた世界にも、嵐山は憎しみをもてなかった。

 

だから最大限の努力を続けたし。

 

生き残ってしまった後は、神戸での秩序構築に心だって砕いてきた。

 

今は、最大の危機が来ているが。

 

それでも、諦めてはいない。

 

飛騨大尉が頑張っているから、ではない。

 

頑張っているのは、超世王セイバージャッジメントの関係者全員だ。

 

前線で戦った兵士達に報いなければいけないというのもあるが、それだけじゃない。

 

今はとにかく、誰かが踏ん張らないと、全てが瓦解してしまうからである。

 

市川代表が黙り込んでいるのに、声を掛ける。

 

「避難誘導の状況をまとめました。 目を通してください」

 

「どうせどうにもならん」

 

「そうかも知れませんね。 ですが私が見た所、ネメシスエンドは濃尾に到達出来ません。 今のまま放置していれば、無駄に人的被害が出ます。 貴方が指揮を取って、避難誘導を適切に回さなければなりません」

 

「そんな楽観論が何になる!」

 

正論を言ったつもりだろうが。

 

それは正論じゃない。

 

恐怖から絶望に逃げているだけだ。

 

市川は頭が切れる男だ。野心が強すぎるのがたまに傷だったが、それでも天津原よりはマシな代表だっただろう。

 

だが、世界組織の長になるには、あまりにも器が不足していた。

 

もっとも嵐山も、官僚だった頃に、周囲をまとめるに相応しい実力の器の持ち主なんて、まず見なかったが。

 

英雄なんて、そう簡単に出現するものではない。

 

出現するようだったら、シャドウ戦役前、中東やアフリカで地獄の混乱がこうも続く事はなかっただろう。

 

無能で強欲なだけの権力者、大国の利権、他人を傷つけることしかしなかった信仰。問題は幾つもあったが。

 

それはそれとして、英雄たるものが一人もいなかった。

 

ああいう混乱は、それで加速していったのだから。

 

「貴方に至尊の座はやはり重すぎたようですな」

 

「分かっている。 今は此処に座っている事がつらくてならん。 嵐山、お前が代わりに座るか」

 

「お断りします。 選挙で選ばれた人間が座るべきです。 貴方は工作をしたとは言え、ある程度正当性が担保されている選挙で其処に座った。 だったら、やるべきことを最後までするべきだ」

 

すがるように此方を見てくる市川。

 

野望でぎらついていた頃の市川の面影は最早ない。

 

此処まで弱体化するものか。

 

そう思って、嵐山は嘆息するばかりだった、

 

「ネメシスエンドが勝ったら、どの道地球ごと終わりです。 今貴方がするべきは、ネメシスエンドに飛騨大尉と超世王セイバージャッジメントが勝った後のできる限り急いでの状況の収拾について、手を打つことです。 人的被害は少しでも減らし、それ以外の損耗も可能な限り抑えなければなりません。 そして今は、避難誘導で指揮を取るべきだ。 この状況で現実逃避している人間の言葉を、誰が戦後聞きますか。 大きな負傷をして危険な状態ではありますが、広瀬大将は立派に戦いました。 ひょっとすると、次の選挙は広瀬大将かも知れませんな」

 

「……っ!」

 

「そうなれば、貴方は広瀬大将と永久に比べられるでしょう。 野心ばかりの口先だけの男、とね」

 

蒼白になって立ち上がる市川。

 

そしてしばらく周囲を見回したあと、声を張り上げていた。

 

「誰かいるか!」

 

「はい」

 

岸和田が来る。

 

岸和田に対して、避難誘導の指揮所に出向くと市川は言う。岸和田が、此方にと案内する。

 

これでいい。

 

強すぎる野心さえ抑えれば、市川はまだやれる。

 

まだ舞える。

 

決して無能な男ではないのだ。

 

過酷な受験戦争で、自分のスペックを全て使い果たしてしまい。その後は惰性で生きているような、無能な二世議員三世議員とは違う。

 

あんな連中は、官僚時代から幾らでも見て来たし。

 

高い学歴を持っているにもかかわらず、明らかに無能すぎる醜態に、何度も溜息をつかされた。

 

あの連中はシャドウ戦役の際も、真っ先に逃げ出した挙げ句にシャドウに踏みにじられ、誰も生き残らなかった。

 

それでいいのだろう。

 

あんな連中、生き残る事必要などなかったのだから。

 

市川はあれらと違う存在になれるか。

 

今、嵐山がするべきは。市川があのクズどもと違う存在になった後。それを支える準備をする事だ。

 

 

 

避難所に到着。

 

それでも、周囲はぐわんぐわんともの凄い音がしている。

 

これはちょっと危ないかも知れないな。

 

麟博士はそう思った。

 

とにかく、翻訳装置がないとまともに意思疎通が出来ない。だから、それだけは手放せなかった。

 

順番に、神戸から人が送り出されている。

 

送り出すのに使っているのは水素動力のバスで、国民のナンバーをAIが管理して。その順番で送り出している。

 

AIによる管理をディストピアなどと揶揄する声もあるが。

 

こう言うときは、人力で抽選するのと違い、一瞬で決まる。既に人々も、それは分かっているので。

 

一部の活動家くらいしか、文句はいわない。

 

その活動家が避難所で騒いでいたが。早々に警備ロボットに鎮圧されて、連れて行かれていた。

 

あれは最後で良いだろう。

 

言論の自由と言う言葉を傘に着て、ただ無法を通すばかりだったいうならば知的破落戸。

 

そんな連中は、最後の最後まで避難できなければそれでいい。

 

バスは極めて規則的に進んでいて、四国の地下都市への避難もスムーズだ。

 

ちなみに麟博士は畑中博士、ナジャルータ博士と一緒に最後まで残る。

 

戦闘指揮を増田中将が行っていて、指揮所もここにある。

 

避難所の中でも、神戸地下のもっとも深い位置にある此処は、もしもあの毒液が飛んできても、直撃さえしなければ大丈夫だ。

 

最後まで、支援できる。

 

無言で動き回り、状況の分析を続ける。

 

残念ながら、まだネメシスエンドは戦っている。周囲に漏れ出る熱量が増大しているが、それでもだ。

 

超世王セイバージャッジメントは、立て続けに放たれる誘導弾で機体を冷やしながら、継戦時間を伸ばしている筈だが。

 

それでもどうしても限界はある。

 

乗っているのは人だ。

 

飛騨大尉はかなり頑丈な方だが、それでも絶対に限界はある。

 

シャドウが戦闘で支援はしてくれるが。

 

それでも無理は無理。

 

だから誰かが助けなければならないのである。

 

それが出来るだけで、どれだけ名誉か分からない。

 

黙々と状況を分析。

 

飛騨大尉は作戦を完全に頭に入れている。だとすれば。今は、その足を引っ張らず、支援をすること。

 

「誘導弾、少し多めにお願いします」

 

「臼砲が焼け付きそうです! このままのペースで撃つと、液体窒素が枯渇します!」

 

「この戦いを生き残らなければ先はありません! だから、焼け付いてもいいのでうち込み続けてください」

 

「砲手、亜純博士の言葉通りに」

 

広瀬大将が無線で連絡を入れてくる。

 

砲手は仕方が無いと思ったのだろう。残弾を立て続けに撃ち続ける。

 

臼砲なんて、ずっと昔に寂れた大艦巨砲主義の権化みたいな代物だ。シャドウに効くかも知れないと作られ、その後は放置されていただけのもの。

 

畑中博士が多少手を入れたとは言え、それはあくまで応急処置。

 

そうそう役に立つ代物にはならない。

 

それでも、少しは役に立って貰わなければ困るし。

 

もしネメシスエンドが斃れた後、まだネメシスが出る場合は。その時は、また作ればいい。

 

それだけだ。

 

熱の放出などから戦況を分析。

 

時々明確に熱の放出がおかしくなる。これは超世王セイバージャッジメントが、相手に斬撃を入れているからだろう。

 

飛行も出来るだろうスーパーロボットみたいな形状を取った事は分かっているが。

 

その気になれば、あれくらいの力を持つネメシスエンドだったら。

 

それこそジャンプでもして濃尾を目指せば良いはず。

 

それをしないのは、早い話が中型種の猛攻で飛行を抑え込まれ。

 

更には超世王セイバージャッジメントの攻撃で、ダメージを受け続けているからに他ならない。

 

そうだ、この手があったか。

 

「畑中博士」

 

「うん?」

 

「この音声を、大音量でネメシスエンドにぶつけるのはどうでしょう」

 

「どれどれ、ハハハこれはいいわ! ただ、放つのに使うのは自動車両でやるべきでしょうね」

 

即座に提案。

 

広瀬大将から指示が飛び、増田中将が、どうにか生きて戻ったAI制御の歩兵戦闘車に細工をする。

 

何、難しい事をする必要はない。

 

単に目的地点まで移動して、今作った合成音声での言葉を流すだけである。

 

ネメシスエンドはそれが聞こえる筈。

 

そして、奴の性質を考えれば、確定で激高する。

 

それでいい。

 

既に飛騨大尉を斃せずに相当に頭に血が上っているはずだ。人間と違って脳があるわけではないだろうが。

 

それでも、完全にキレるはず。

 

そうなれば理性を失う。

 

そして、最早何も目の前も見えずに暴れるだけに堕すだろう。

 

そうすれば、恐らく。

 

最終兵器として用意してきた例のものを用いる好機が来る。

 

多分濃尾にたどり着けないとも判断して、越前で同じ事をしようとするだろうから。それでいいのだ。

 

歩兵戦闘車が移動を開始する。

 

飛騨大尉には連絡は入れない。無線を入れても、ネメシスエンドに傍受される可能性がある。

 

合成音声も即座に麟博士が組んだ。

 

内容についてみた畑中博士が大笑いしていた。

 

あんたこんな性格が悪い事も言えるんだ。

 

そう言って、腹を抱えて笑っていた。美人が台無しである。

 

それでもいい。

 

今はどれだけお下品なことを言ったとしても、世界を自爆テロで滅ぼそうとする阿呆が消え去れば。

 

それだけで、大勝利なのだから。

 

十分後、歩兵戦闘車が移動開始。

 

あれもそれなりに高価な兵器なのだけれども、今はそれを惜しんでいる場合ではない。ともかく、やるしかない。

 

大きな人が来た。確か、岸和田さんだったか。

 

「避難の順番が来ました。 みなさん、バスに。 後がつかえています」

 

「分かりました」

 

「やれやれ、面倒ね」

 

ナジャルータ博士は、無言で移動を開始。麟博士もそれに続く。

 

外はもう台風もびっくりの暴風で、一つ前のブラックウルフ・ネメシスの時よりも凄まじい。

 

淡路島までの橋はバスが順番に移動しているが、高波がとんでもなく、ぎしぎしと揺れているようだ。

 

それでも、この国の架橋技術には定評があり。

 

今もそれはむしろ昇華している。

 

橋はびくともしない。

 

水素動力のバスに乗って、まずは淡路島に移動。

 

出来る事は全てやった。

 

あとは、現場での。飛騨大尉と、超世王セイバージャッジメントの武運を祈るだけだ。

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