スーパーロボット活劇、超世王セイバージャッジメント 作:dwwyakata@2024
広瀬大将は激戦を生き延びてしまいました。
多くの将兵が倒れたのに。
しかし、生き延びたのです。その後の責任をとらなければなりません。
広瀬元帥は。戦闘が終わってしばしして、今までの功績も加味され、元帥に昇進した。
それはともかくとして、今までと全く変わらない行動を続けていた。
大将の時と同じ。
今までと同じく誰にでも敬語で話し、敬意を払う。
ともかく広瀬元帥は、義手の様子を確認し、足につけた歩行補助用のパワードスーツで歩きながら、周囲を見て回っていた。
軍基地はある。
シャドウは手出ししなかった。
ただ、軍備は縮小が開始されている。
現在、第一軍団は兵員規模こそそのまま保つものの、もしもネメシスが現れたらに備えて、武装を変更している。
兵士はいてもあまり意味がない。
そのため、耐熱服が重視され。
装備もHEAT弾に限定されるようになっていた。
戦車もアレキサンドロスⅢに置き換えが続いているが。それよりも長距離ロケット砲や迫撃砲の配備が進んでいる。
これらは対ネメシスの兵器である。
螺旋穿孔砲も残すが。
これは小型種の姿のままのネメシスが現れた場合の備えだ。
シャドウは恐ろしい程規律が取れている。
野生動物の中でも致命的な種。熊とか狼とかは、人間に近寄らないように上手に誘導までしている。
動物園より環境が良いと生物学者が状況を視察して太鼓判を押しているくらいで。
とにかく動物には、人間に近寄らないように、シャドウが徹底的に処置をしているようだった。
いずれにしてもそれらに対して、広瀬元帥が口を出す理由は無いし。
何かする事も無い。
訓練、それに兵器の配備の様子を見る。
まだまだネメシスが現れた時、一戦やれるほどの兵力は無い。
少しずつ人員は補充しているが。
海兵隊は全てが北米に戻り。
また、各地で再編制が開始されている。
やはりシャドウに自爆テロを目論むような輩や。
或いはそういう輩が国のトップにつくことを防ぐためだ。
たまにノワールはまだSNSに現れているが。その発言を分析しているものもいるようである。
いずれにしても人間がシャドウに勝つ事は不可能。
今は黙々と技術を進歩させ。
そして明日に備えなければならない。
「広瀬元帥」
「はい。 どうしましたか」
足を止めると、北条だった。
相変わらずの貼り付いたような笑みである。
ちなみに老化が普通の人間より早いらしく、衰え始めたとこの間笑っていた。非人道的な実験の結果だ。
自分の体に行われた実験の結果は。
後の時代に、マシな方向で生かして欲しい。
そう北条は言っていた。
医師によると、何倍も早く老化する病気が世の中には存在しているらしい。
北条のはそれとはちょっと違って、無理矢理成長させたことによって、老化に関係する体内の仕組みが壊れてしまっているのだとか。
ただ、本人はそれを恨んでいないらしい。
必要な時に、必要なだけ動けた。
飛騨中佐を徹底的に鍛えて生き残らせる事ができたし。
広瀬大将を死地から救い出せた。
それだけで充分だと。
欲がない事である。
「四国の地下都市で、新型ホバー船の模型が作られました。 それについて視察をお願いしたく」
「分かりました。 向かいましょう」
「車は小官が運転します」
「お願いします」
広瀬は基本的に誰にでも丁寧に接する。これは元帥になった今でも同じだし、今後も変えるつもりはない。
だからだろうか。
皆、広瀬に忠誠を誓ってくれる。
それだけで十分。
神戸も十分に発展しているが、今では別都市からの人員は基本的に大々的には受け入れていないし。
受け入れた場合は、法に従って貰っている。
これを拒否して暴れる輩は即座に送り返すようにもしている。
また、この間ずっと暴れていた活動家達のリーダーが老衰で死んだ。
病院でも最後まで好き勝手なことをほざいていたらしく、マルクスの資本論を未来に引き継げと周りにがなり立てていたらしいが。
既に活動家達は老齢化が激しく。
子供や孫の支援を期待できない状況でもある。
SNSでの工作など、稚拙すぎて鼻で笑われる状況が続いている。
これらの活動家達には、インテリを拗らせたものだけではなく、元マスコミの関係者も加わったようだが。
いずれにしても烏合の衆であり。
今では監視を受けながら、隅っこでふるえているだけである。
近いうちに活動家は歴史の闇に消えるだろう。
教科書の中だけで出現することになる。
今ですら、広瀬元帥が車で移動していても、誰も活動家が邪魔しに来ない。北条は気を張ってくれているが。
それも、あくまで念の為だ。
神戸の街を抜けて、淡路島への橋を行く。
無骨な造りの頑強な橋だが、下でブルーカイマンやイエローサーペントが移動していて。橋を攻撃するそぶりは見せない。
四国でも、地下都市の側にキャノンレオンやストライプタイガーが見張りについているけれど。
襲ってきたという例は無い。
海外だと、バカが発砲する事がまだあるようだが。
普通の鉛玉なんて通じないし、爆弾だって基本的に通らない。
自爆テロを試みる阿呆も、完全に無駄死にするだけ。
それを理解してからは、少しずつそれをやる輩も減っているようだ。
四国の地下都市に入る。
まだ人は少ないが、少しずつ増えている。子供をロボットが多数引率しているのが見えた。
あの子達は、もうシャドウと戦う事がないようにしたい。
此処からは歩く。
軍基地の検問で、敬礼をかわす。義手だから、どうしても動きはぎこちなくなるが。兵士達も事情は知っている。
地下のドックには模型が浮かべられていた。
船の設計をしていたのは、まだ若い博士だ。
十代前半かも知れない。
だけれども、催眠教育でスペックをフルに引き出せるのだ。
今後は子供の社会進出が更に増えていく。
しかも催眠教育でしっかり情操から何から叩き込まれる。
昔みたいな、虐めをされる方が悪いみたいな腐った思想は、既にこの子等とは無縁だ。そもそも過密によるストレスでの虐めそのものが発生しなくなる。
それでいい。
悪しき風習は、ゴミ箱に蹴り込んでしまえばいい。
「積載量は更に増え、水素動力で更に長時間の航行が可能です。 速度も今までのホバーの比ではありません。 これから、このホバーを量産して、世界の海運を一気に回復させる事ができるかと思います」
「それで入り込む悪辣な輩に対処も必要ですが、テクノロジーの進歩も事実ですね」
「……研究をそのまま進めてください。 最終的にこの船は何という等級にしますか」
「広瀬級はダメですか」
却下と即答。
少なくとも広瀬元帥が生きている間は、そういう神格化は許さない。そうも付け足しておく。
ちょっと少年博士は悲しそうにしたが。
すぐに代案を出した。
「それではアカエイ級ではどうでしょうか」
「アカエイというと、あのエイですか」
「いえ、それとは違う妖怪のアカエイです。 全長五十mもあるという伝承が残されています。 この大きさから言っても、クラーケンのような伝承が残るアカエイがいいかなと思いまして」
「分かりました、それで良いでしょう。 アカエイについての説明は、きちんとしておくようにしてください」
敬礼をかわして、その場を離れる。
デスクに戻ると、ロボットが茶を淹れてくれた。幾つかの書類を決裁する。
義手だからちょっと辛いが。音声での認証なども補助はしてくれるので、その辺は助かる。
畑中中将はもう滅多に病院から出られなくなってしまったし。
ネメシスエンドを斃した二年後、呉美准将は満足したようにこの世を去った。
広瀬元帥は生き残ってしまった。
だから飛騨中佐と一緒に。
この世界を守らなければならない。
いや、シャドウとともにか。
それもまた、不思議な気分ではあったが。
ノワールが明かした情報の内、恐らく差し障りがないと判断したものについては、ナジャルータ博士から広瀬元帥も聞いている。
だから、今はもうシャドウへの憎しみも怒りもない。
シャドウにはそうするだけの理由があったとわかったのだから。
重要な書類が来る。中身を確認すると、スコットランドでの催眠教育システムについてである。
少し前から試験的に導入されていたのだが、強硬に反対する者も多かった。
それ故に、たまにまだデモが起こるらしい。
しかしながら、先んじて導入された経済管理システムが、スコットランドから貧富の格差を消し飛ばした。
それもあって、特に貧困層だった人間が暴れるような事もなくなりつつあり。
それが実績となって、シャドウ憎しの保守的な思想が強かったスコットランドでも、催眠教育の全面的な導入が決まったのだ。
問題は導入についての説明などだが、これは現地でスタッフがやるという。
決済をして、次。
北米ではまた大統領が替わった。
大統領選の時期だ。
今回はごく穏当な人物で、北米の人達もシャドウとの戦闘もネメシスとの死闘ももううんざりだと考えているのがよく分かった。
北米の四都市でも既にAIでの催眠教育と経済管理システムが導入され、裁判システムも導入が進められている。
昔は山ほど弁護士が無駄にいたらしい北米だが。
今ではそれらがシャドウに一掃されてしまった結果、落ち着くところに落ち着いており。
何年も無駄に裁判をして、しかも汚職が蔓延っているのが当たり前だったのを変えてくれたAIによる裁判システムは元から熱視線を送られていた。
今回は、最後に残った都市に、裁判システムを導入したいと新しく就任した大統領が言っているようだ。
まあ、それはすっかり覇気が失せてしまった市川代表が決済することだ。
広瀬元帥は知らない。
今回は軍も関係無いので、管轄外なのだ。
無言で仕事をして、それで休憩を入れる。義手のメンテや、足のパワードスーツのメンテ。
体調管理などは医療ロボットが全部やってくれる。
それらのデータを見た上で、医師が判断する事になるが。
今の時点では、仕事をしないようにとかは言われていない。一応、それなりにやれるということだ。
ただ、食事制限は厳しい。
あまり好きなものは食べられないので、それが辛い。
分かっている。
体はかなり無理が掛かっている。ただでさえ新生病なのだ。これはどうにもできないと、医師も言っている
ただ、その後新生病の人間は出ていないらしいから。
恐らく、広瀬元帥の世代だけの病気。
クローンと人工子宮の時代が始まったときだけに生じた、歪みみたいなものなのかも知れない。
仕事を再開し、夕方までデスクワークをする。
それが終わってから、外に出て視察をする。
地下では研究を主にやっている。作物栽培や、家畜の育成などもやっている。これらを、たまに視察する。
軍の高官が視察しても意味は無いかも知れないが。
英雄の中の英雄が来てくれるということで、気が引き締まるとかで。是非視察して欲しいと、時々声が掛かる。
英雄なんかじゃないのだが。
それでも、請われるのなら行くだけだ。
今日は茶を見に行く。
既にシャドウ戦役前の水準の茶葉は造れるようになってきており、今度は絶滅してしまった茶の品種の復旧を進めている段階らしい。
確かに茶は目だって美味しくなった。
次はコーヒーだろう。
ちなみに広瀬元帥は紅茶派である。
紅茶も出来ればもっとおいしくなってほしいが。現場は良くやってくれている。
昔はZ世代とかいって、若い世代をとにかく馬鹿にする風潮があったらしいが。その手の輩はシャドウ戦役でほぼ死に絶えた。
だから、新陳代謝は無理矢理進んだと言えるのかも知れない。
視察をして、それで説明を受ける。
此処でも催眠教育を終えたばかりの子供がかなり活躍している。力仕事ではないし、頭のスペックをフル活用出来る分野だ。
茶の育成などで細かく指示を出し、それをAIが実行する。その試行錯誤の末に、良いものが出来る。
昔は手でそれをやっていたのだが。
今はその過酷な労働を指示するだけで出来るようになった。
これは堕落では無く省力だ。
それでいいのである。
帰路につく。
宿舎は軍基地にある。これは、いつでもいざという時に備えるためだ。
せめてデスクも軍基地にという提案を医師にされたのだが。この辺りは、今後四国の地下都市が。
確か新土佐とかいう名前にするらしいが。
この新土佐が新しい世界の中心に一つになるという理由もある。
それもあって、広瀬元帥がデスクを置くことは、それを促進する事につながるので。そうする意味がある。
まあ、おかげで毎日淡路島を通らなければならないが。その程度は、別に苦労でもなんでもない。
「今日はそれほど遅くなりませんでしたね」
「医者に怒られますから」
「医者の言う事を聞いているのに怒られるのも理不尽な話ですが」
「怒る人は大事です。 鬱陶しいから誰にも怒られないような環境を作るような人間は、あっと言う間に堕落します」
北条にそう答えると、真面目ですねと言われた。
まあ、それくらいしか取り柄がない。
軍神だの英雄だのと持ち上げられているが。広瀬元帥は、そんな過大評価は相応しくないと。
今でも、ずっと思っていた。
翌日。
京都基地に出向く。
シャドウは途中の舗装道にも普通に姿を見せるが、人に危害は加えない。ずっと監視はしているが。
ただ、小型種が此方を見ているのは、ちょっとひやりとする。
小型種の恐ろしさは、広瀬元帥だって知っている。
この位置だと、それこそ瞬きもしない間に首を刈り取られる程の相手だ。
衰えたりとはいえ北条が、螺旋穿孔砲があっても複数同時を相手は無理と言い切るほどの存在である。
虎よりまだ生身で強いらしい北条がである。
まだまだ、シャドウはとても恐ろしい存在であることは変わっていない。今後も、人間はこの圧倒的な存在と、上手くつきあっていかなければならないのだ。
京都工場に出向くと、畑中博士が、超世王セイバージャッジメントを調整していた。細かい部分を調整しているが、大規模なアップデートは無理らしい。
現時点でも、中型種二体くらいまでなら同時に斃せる。無理すれば三体も行ける。勿論種類にもよるのだが。
だが、戦う意味がない。
だから、ネメシス対策の武装を強化して、調整しているらしい。
やはり耐熱が課題だ。
ネメシスエンドとの戦闘でも、飛騨中佐……当時は大尉だったが。彼女が奮戦したから勝てた側面は大きい。
気付いた麟博士が来て、敬礼する。
ちょっとみない内に、もの凄い美人になっている。
ただし、口から出る言葉と思考している事がまるで異なることは変わらないし。運動音痴が酷くなっているようだが。
いくつか話を聞いておく。
今の時点でこれといった問題は発生はしていないようだ。問題があるとすれば、シャドウに監視されていることだが。
畑中博士は面白がっているし。
自分も少しずつなれてきていると、麟博士は言うのだった。
「そろそろ後継者が必要ですね」
「そうですね。 まだあまり自信はありませんが」
「何があるかわかりません。 ネメシスは退けましたが、シャドウといつまで仲良くやっていけるかはわからない状態です」
「……」
これは現実的に考えて、シャドウが本気になったら人間なんてひとたまりもないということもあるが。
それと同時に、人間側にも問題がある。
一世代くらいしてネメシスやシャドウの恐怖が忘れ去られた時。
GDFの代表が、シャドウに対してまた仕掛けることを画策するかもしれない。
前はまったく得体が知れない相手だったシャドウだが、今回は違う。
ナジャルータ博士から差し障りがない程度の正体は広瀬元帥も聞いているし、ノワールが時々SNSに現れるくらいだ。
相手が人間のテクノロジーなんて紙のように貫通する存在で。
物理法則すら意にも介さない化け物であるということを、既に知っている。
だがそれが必要以上に身近になった時。
人間は果たしてシャドウを恐れ続け。
何よりも、シャドウのおかげで地球の寿命が延びたことを忘れずにいられるだろうか。
広瀬元帥がシャドウとの戦いで思い知ったことはいくつもあるが、どんな天才だろうとあっさり死ぬし。
人間の悪意には際限がないということが一番大きい。
ネメシス種の恐ろしさは今でも悪夢をたまに見るほどだ。
あれはとてもではないが、人が手に負える存在ではない。
超世王セイバージャッジメントがなければ絶対に勝てなかった。
それも、後の時代にプロパガンダとか言い出す阿呆が出てくる可能性もある。
人間の愚かさは底が知れないのだ。
今ですら、シャドウとの戦いが終わった今が稼ぎ時だと考えたのか、時々シャドウが徘徊する中に出向いて、貴重な資源などを奪ってこようとする阿呆が出始めている状況である。
それらは即座に小型種に捕獲されて、街に突っ返されてくるが。
被害者面をしている輩も多い。
これだけのことがあっても、まだ人間は万物の霊長という妄想から抜けられていない。だから、その妄想を今の世代で終わらせなければならないが。
広瀬元帥は。
終わらせられなかった時に備えていなければならないのである。
それが、軍司令官の立場というものだ。
麟博士と話しながら、工場を見て回る。
訓練用の設備が残っているが、残念ながらどれだけ扱いやすくしても、まだ飛騨咲楽中佐の跡を継げるパイロットは出てきていない。
つまり、飛騨中佐しか超世王セイバージャッジメントは動かせない。
これは決してよいことではない。
一応、若いこの中から見繕って、パイロットの適性試験を受けさせているようだが。
デチューンモデルを操作できる子はいくらでもいるが。
超世王セイバージャッジメントの実機を動かせる子は、まだ出ていないようだった。
一通り見学を済ませてから戻る。
北条が相変わらずの貼り付いた笑みで言う。
「二人、あまり好意的ではない視線を向けてきていました。 許可をいただければ始末してきますが」
「いや、そこまでは必要ありません。 一応念のために素性は探っておいてください」
「イエッサ」
ネメシスエンドとの戦いが終わった今。
平和を世界は一応は謳歌できている。
ネメシス戦で、人間は明確に多くの死者は出したが。今ではその死者は帳消しとなり、十分に人は増え始めている。
近々六千万を超えるかもしれないと、連絡が来ているが。
それはそれとして、結婚して普通に子供を産む家庭はどこの街でも国でも減る一方であるそうだ。
近いうちに人間はデータバンクに保存された遺伝子データを掛け合わされて人工子宮から生まれ。
もしくはクローンとして生を受ける。
そういった存在だけになるかもしれない。
それが生物としての劣化かどうかは広瀬元帥は言葉を避ける。というのも、だからこそに恋愛結婚なんてふわふわしたものとは無縁に子供が生まれてくるようにもなったし。現状の進歩しきったAIの支援により、少なくとも催眠教育システムが普及した地域では、子供はフルスペックを発揮できている。
これが世界中に広まれば。
おそらく、世界は変わるのだ。
それは人間性の喪失なのかもしれないが。
少なくともシャドウ戦役とネメシスとの戦いを生き残った広瀬元帥は、否定するつもりにはなれないし。
今までの、人間のすべてを肯定するような寝言がどれだけ世界を無茶苦茶にしてきたかもよくわかっているから。
現状に不満もない。
ただそれでも、備えなければならない。
それが広瀬元帥の仕事だ。
統一王朝が短時間で瓦解してきたことは、人間の歴史にいくらでもある。
それは大体の場合、統一王朝の創設者が、一番大事な統一直後というタイミングで気を抜いたからだ。
統一からが一番大事であることを、人間は忘れがちだ。
そして平和も。
広瀬元帥は、今まで繰り返えされてきた愚行を繰り返さないためにも。気を張り続けなければならないのだった。
宿舎に戻る。
実は、ノワールが体を治そうかと提案してきたことがある。断った。
広瀬元帥だけそんなのを受けるわけにはいかない。
人間のテクノロジーが発達して、それで治るなら、治療を受ける。
少なくともシャドウにおんぶでだっこではいけないし。いずれ自立もしなければならないのだから。
あれだけの激戦の果てでも、広瀬大将もとい元帥は、未来のために動いています。
シャドウとの約束をしっかり把握しているからです。
人間が真に自立できるようになった時、シャドウは世界を去る。
そのときのために、準備をしなければならないのです。
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