スーパーロボット活劇、超世王セイバージャッジメント   作:dwwyakata@2024

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この話でも解説していますが、ビームというのはなんらかの流れの事です。ホース持って蛇口捻れば水が出ますが、あれも立派なビームの一種ですし、なんなら川は水のビームな訳ですね。夢がないはなしですが。

第四話では、ビーム兵器を開発することになります。

ちなみにレーザーではありません。現状の人類技術では、中型種相手に効果的なダメージを与えるレーザー兵器を開発できていないのです。






炸裂正義のビーム
序、ビームとは


ビームとは何か。それは元々、何かしらの流れを意味する言葉である。基本的に一定方向に何かが流れていればそれはビームとなる。要するにホースを持って水を撒いているとき。その水はビームになるし。

 

川はそのまま水がビームとなっているのである。

 

そういうものだ。

 

アニメや特撮などで何とかビームというものはよく見られるが、それは何かしらのものを一定方向に放っているということであり。

 

ビームという何か特別なものは存在しない。

 

電磁ビームだったら電磁波を一定量一定方向に放っている訳だし。

 

熱ビームだったら、熱を投射していることになる。

 

そういうものなのだ。

 

説明を軽くすると、畑中博士は、プレゼンでぐったりしているGDFの要人達に、にんまりと笑った。

 

「今まで人類が使って来たビーム兵器には幾つかありますが、レーザーなどはその典型でしょうね。 高出力の光を放って、相手に熱でのダメージを与える。 文字通りレーザービームと言う訳です。 ただ、レーザーは残念ながらシャドウには通じないことが分かっています」

 

シャドウとの戦いの前。

 

主にミサイル迎撃などのために、レーザー兵器は既に実用化されていた。極超音速で飛来するミサイル相手には、同じくミサイルを飛ばすか、光速で高熱を届けられるレーザーが有効だったからである。

 

ただレーザーには弱点がある。

 

距離が離れれば離れるほど減衰が激しいし。

 

更に悪天候の影響をもろにうけるのだ。

 

そういう事もあって、レーザーは必ずしも万能の兵器ではなかったし。更に言えば、シャドウにも通じなかった。

 

シャドウに通じなかった理由は、熱が足りなかったからだと畑中博士は解説する。

 

今までシャドウを倒して来た……中型以上に関する話ではあるが。シャドウを斃せた高圧プラズマは、それぞれ数十万度に達するもので、これを数秒以上シャドウに押しつける事で、やっと致命打を与えられた。

 

物理的な衝撃は無意味だ。

 

実際問題、ランスタートルなどはマッハ12で本体ごと突撃をして、それで無事な様子が確認されている。

 

戦艦などの超大質量を直接叩き付けたところで、シャドウには効果がないのである。

 

少なくとも、今まではそうだった。

 

「それならば、今まで以上の出力のレーザー兵器はどうなのかね。 確か車両に搭載できるレーザー兵器でも、ミサイルに対する破壊力は有していると言う実戦での結果は出ていた筈だが……」

 

「そ、そうだな。 なんとか王に搭載するほどの大型レーザー兵器であれば、安全に遠距離から相手を焼き払えるのではないのかね」

 

「残念ながら、それには今までは無理がありました」

 

要人達に、畑中博士は説明をする。

 

まず問題となるのが、出力の確保だ。

 

シャドウを斃すためのレーザー兵器は、点による熱破壊ではなく、面による熱破壊が必要になるが。

 

その超高温を発射する出力となると、原子炉クラスが必要になってくると畑中博士は説明した。

 

軽く計算式について説明するが、いずれにしても対ミサイル用のレーザー兵器などでは話にもならないという。

 

ちょっとやそっとそれを増強したところで、結果は同じだそうだ。

 

「原子炉と言っても、此処で必要になるのは核融合炉です。 核分裂炉はそもそも出力が足りませんね。 更に言えば、核融合炉は残念ながらシャドウが来る前に実用化が完成していません」

 

此処で言う実用化というのは、車両積載が可能なサイズの核融合炉についての話である。まあ、そういうものだ。

 

幾つかあった核融合炉は、いずれもがシャドウに破壊され尽くしている。

 

現在日本での神戸などの動力に関しては、小型の核分裂炉を使っている状況なのだが。これについても、核廃棄物の問題が深刻で。シャドウを刺激するのではないかと、常に使っている者達は戦々恐々している状況ではあるが。

 

そもそも神戸が今までシャドウに襲われなかったのが不思議なくらいなのである。

 

何を今更、というところだろうか。

 

「というわけで、そもそも原子力空母に積んでいたような原子炉を、更に大型化するか、核融合炉を実用化しない限り、レーザーによるシャドウの撃破は現実的ではないかと思います。 しかしながら、此処に盲点があります」

 

「な、何かね」

 

「レーザーでなくても、超高熱は作り出せると言う事です」

 

方法としては粒子加速器が有名だ。

 

質量が重い分子を粒子加速器で加速して衝突させる。それによってビッグバン直後の宇宙に近い状態を作り出して、超高熱を作り出す……のだが。

 

コレには問題がある。

 

そもそもとして、瞬きをする時間にすら届かない程の時間しか、超高熱を維持できないのである。

 

他にも陽電子と電子をぶつけて純エネルギー化するなどの手もあるにはあるのだが。

 

これらは基本的に途方もない放射線を出す上に、そもそもとして制御出来るような代物ではない。

 

陽電子は精製が可能だが、それも短時間特定環境下で精製出来るだけ。

 

まあシャドウが現れなければその技術も進歩していたかも知れないが。残念ながら、シャドウが現れなかった場合、人間はとっくに核戦争で破滅していたという説まであるという。

 

どうなっていたかは、正直分からない。

 

幾つかの説を説明した後、畑中博士は、教鞭を執る教師さながらに言う。

 

「これらはあまり現実的ではありませんが、一つだけ方法があります」

 

「き、聞かせてくれ」

 

「こうします」

 

そうして、またしても訳が分からない絵が提示される。誰にも理解出来ないその絵を、畑中博士は実に分かりやすい図だと自画自賛。

 

そして凍り付いている皆に、咳払いしてから説明をしていた。

 

「次に相手にするのは飛翔種。 今まで戦闘データをもっとも取れているにもかかわらず、倒す事がかなわなかった相手です。 質量弾、レーザー兵器、化学兵器、いずれもが一切効果がありません。 で、す、が! この戦術を用いれば、ついに倒す事が可能となるでしょう」

 

「……」

 

「この兵器を超世王セイバージャッジメントに搭載します。 今回の勝率は、84%というところですね」

 

そう、畑中博士は締めくくっていた。

 

 

 

プレゼンを終え、予算を確保した畑中博士が、うきうきで要人達のいた部屋から出てくる。

 

助手である三池は、その様子をしらけた目で見ていた。

 

「また大暴れをなさっていたようですが」

 

「ふふん、次もあの子が勝つための膳立てよ。 そして飛翔種の撃破によって、シャドウ対策は一気に加速する事になるわ」

 

「確かに理論的には中型を斃せる事は分かっています。 しかし中型複数が相手になると、毎回畑中中佐ですら苦戦しています」

 

「なんとか不確定要素を減らさないとねえ……」

 

それに関しては、畑中博士も考えているらしい。

 

三池は嘆息しつつ、とりあえず京都工場に向かう。これも位置が変わっていないので、実際には奈良県に存在するのだが、別にどうでも良い。

 

車の運転は三池がする。

 

これは畑中博士の運転が、極めてヤバイ代物だからである。事故は起こさないが、センスがない上に極めて乱暴なので、兎に角酔うのだ。

 

それもあって、運転は基本的に三池がするようにしている。

 

移動中、軽く話す。

 

「それにしても、あれをビームというのは色々と無理があるような気がしますが……」

 

「超世王セイバージャッジメントの必殺技、ついに解禁だからそれでいいの。 名付けてジャスティスビーム!」

 

「名前負けも著しいですね……」

 

「あの子に技名を叫ばせたいところだけど」

 

頼むから勘弁してやってくれ。

 

そう呟きながら、工場に到着。最近は小型シャドウの目撃例はほぼ存在しておらず、神戸から民間人を少しずつ遠出させても良いのでは無いのかという議論が出始めている。だが、まだまだ三池はそれには賛成できない。

 

キャノンレオンを倒してから、半年も経っていない。

 

今の時点で中型が人間に対して攻勢を掛けてくる場面には遭遇はしていないのだが、それもいつまで続くかどうか。

 

キャノンレオン二体、ランスタートル一体、そしてイエローサーペント二体。

 

これだけ中型が倒されて、平然としているものだろうか。

 

痛くも痒くもないと考えているのか。

 

或いはもっと全然違う理由でシャドウは攻め寄せてこないのか。それについてすら、まだ分かっていないのだ。

 

人間はシャドウに対して、なんの優位性も持っていないと判断して良いだろう。

 

それくらい、戦況は好転していないのだ。

 

工場の内部で、早速超世王を構築開始。今回もまた、擱座したり壊されたりした40式戦車の車体を用いる。これをベースに、コアとなっている支援用のブロックを組み込んで、仕上げていく。

 

本当に毎回作っているので、毎度別の機体としかいえないのだが。しかしながら、ある意味魂は毎回受け継がれているわけで。それはそれで、意味があるのかも知れない。

 

そして、である。

 

今回は、なんと足がつく。

 

ただし二足歩行するわけではなく、無限軌道に並ぶようにして、三対の足がつくのである。

 

これは作戦上必要な役割も果たすのだが。

 

シャドウとの戦いの前、小型のロボットくらいだったら、歩行は過不足無く可能になっていたという話がある。

 

畑中博士にしてみれば。

 

当時の技術を解析して、更にブラッシュアップすることくらいは簡単なのかも知れない。

 

言動は0点でも、間違いなく天才なのだ。少なくとも、この人がいなければ、未だに中型は一体も斃せていなかっただろう。

 

だから三池は淡々と手伝う。

 

他に助手でやっていける人だっていない。

 

人口が減りに減った時代だ。

 

今は、誰かが無理をしなければ人間は滅んでしまうのである。

 

「今回もワイヤーを使うんですね」

 

「こればっかりは仕方が無い」

 

「まあ、それはそうでしょう。 海底に不法投棄されていた物資が悉く消え果てているのはそれほそれで不可解ではありますが」

 

「場合によってはそれらも再利用できたのだろうけれどね」

 

連絡が来る。

 

どうやら前回の戦闘の際につかわれた、超世王の前のボディが回収されたらしい。勿論これから再利用する。

 

今は物資は少しでも必要なのだ。

 

工場に運び込まれてきた部品をくみ上げる。

 

連絡が来た。

 

広瀬中将からだった。

 

畑中博士にそのままつなぐ。

 

「此方第二師団。 次の戦闘の準備を開始しています。 此方で何かしら支援することはありますか」

 

「いつも良くして貰っているので大丈夫ですよ。 それはそうとして、ブライトイーグルのデータはどれくらい取れましたか」

 

「いえ、全く。 とにかくあらゆる戦術が通じないと分かっただけです」

 

「……」

 

まあ、そうだろうな。

 

シャドウ全般がそうだが、そもそも人間が蓄積してきた戦争の知識は、あくまで同胞を如何にして殺すかのものだ。

 

シャドウという明らかに生物を逸脱した相手が現れたとき、一万年の歴史から蓄積されたノウハウは全て灰燼と帰した。

 

そればかりは、どうしようもない。

 

そして人間は、再起するには数を減らしすぎた。

 

今シャドウがいきなりすべていなくなっても、再起にはどれだけの時間と人員を費やす事か。

 

それすら分からない。

 

「現在戦術コンピュータに掛けていますが、まるで有効な戦術が見いだせない状態です。 超世王セイバージャッジメントには期待しています」

 

「了解です。 強いて言うのであれば、スウォーム攻撃の弾や、小型対策の狙撃大隊の育成を続けてください」

 

「分かりました。 此方でも戦闘の準備を続けます」

 

戦争は才能の分野だ。

 

どれだけの秀才でも、天才には絶対に勝てない。それが戦争というものだ。

 

広瀬中将はそういう意味ではしっかり勝てる条件を満たしている。ただし、それは人間が相手の場合。

 

相手がシャドウの場合は、どれだけそれも通じるか分からない。

 

淡々と図面を引いて、少しずつ部品を作らせる。

 

整備工は小首を傾げながら、旋盤を回し、或いは金型を使い。部品を作りあげていく。40式を完全に再生はさせない。

 

むしろ今回は、今まででもっとも激しい変化を加える事になるだろう。

 

淡々と作業をしていると、連絡が来る。

 

病院からだ。

 

畑中中佐が退院して、それでリハビリを始めているそうである。

 

イエローサーペント戦では酸欠気味になるまで頑張ってくれた。

 

今度は少しは負担を減らしたいが。それも厳しいか。

 

いずれにしても、空の王を倒す事が出来れば、少しは状態は変わるかも知れない。どれだけ進んだ戦闘機であろうと手も足も出ない相手。

 

畑中博士と。畑中中佐の連携に勝機を見いだすしかないのだ。

 

渡された図面を取り込んで、整備工達に渡す。皆に目を配って、疲弊が激しい人員は休ませる。

 

事故が起きると却って進捗が遅れる。

 

疲弊があると判断した場合は、休憩時間などを前倒しにする。

 

そういう気配りをする事が三池の仕事だ。それしか出来ることがない。だから徹底的にやる。

 

「この部品は用途がまったく分からないのですが……」

 

「私にも分かりません。 後で使うと思うので、何かしらの目印をつけて置いておいてください」

 

「いつもですね……」

 

「すみません。 頭の中で最終設計図まで畑中博士は作っているようなので。 私は凡人ですので、それしか言えません」

 

整備工は嘆息すると、作業に戻る。

 

夕方までしっかり作業をして、仮眠を取れるときに取る。作り始めが一番忙しい。思えば超世王の中核部品である戦術支援AIを納めたコアパーツを作る時もそうだった気がする。

 

淡々と作業を進めていく。

 

相変わらず凄まじい威力でキーボードを叩いている畑中博士。

 

その間、周囲に気を配る。連絡も来るが、三池で対応できるものは全てやってしまう。周囲の負担を少しでも減らす。

 

それが仕事だ。

 

しばしして、一段落が来た。そういうときに、手を叩いて皆を休憩させる。整備工達も慣れていて、休憩できるときに一斉に休む。

 

畑中博士はまだキーボードを叩いていて、その音だけが工場に響いていた。博士の近くにあるマットで、三池も休んでおく。

 

畑中博士も疲れると、電池が切れたように寝る。

 

その間も、皆は休めるが。とにかくエネルギッシュなので、その機会はそれほど多くは無い。

 

作業を進める。

 

戦闘は一瞬だ。いつも激しいやりとりをしているが、それでも数時間で確実に決着はつく。

 

畑中中佐の実力があっての結果ではあるのだが。

 

それでもその一瞬のために、数ヶ月でも準備をする。そうしなければ負けるから、である。

 

その上今回、畑中博士は勝率84%と口にした。

 

これは今まで聞いた対シャドウ戦での勝率で一番低い。これははっきり言ってあまりよろしくない数字だ。

 

だから、少なくとも戦闘が開始される前に。この確率を少しでも上げなければならないだろう。

 

さて、次は。食事の差し入れか。先に連絡を入れておく。食事の差し入れは士気が上がる。

 

こういった気配りは、案外出来ない人間が多い。

 

畑中博士は論外だし、此処にいるのは一芸特化型の者ばかりだ。だから、やらなければならないのである。

 

そうすることで少しでも作業効率が上がるなら。

 

休憩を時々意識的に入れる。自分だけではなく他人にも。

 

三池に出来るのはこれくらいしかない。

 

残念ながら畑中博士はリーダーシップを取れるような存在ではないのだから、こうするしかないのだ。

 

作業が進められる。

 

足についても、今回はどう使うのか、今の時点では説明はしてくれてはいないが。役に立つのだろう事は、ランスタートルとの戦いの事を思い出しても理解は出来る。それでいいのである。

 

空駆けるような異次元の思考をするのが畑中博士。

 

凡人の思考回路に、それを落とし込む必要などないのだから。

 

何度も改良が加えられたワイヤーの巻き取り装置が、更に改良を加えられていく。こういった技術は、四半世紀でロストテクノロジーにならないように必死に保全されていたものが。

 

今になって、畑中博士によって更に進歩している。

 

実に凄まじいが。

 

逆に言うと、今畑中博士が倒れたら、人類は詰む。

 

案の場、勝ち始めたと判断した阿呆どもが、よけいな動きを始めているらしいという噂もある。

 

今までは暇に飽いていたMPが、今後は動かなければならないかも知れない。

 

いずれにしても、三池に出来る事はない。

 

今は、支援作業を続けるだけだ。

 

連絡。

 

どうでもいい内容なので、三池で受けておく。一応、後で畑中博士の耳にも入れておく。こういう判断も三池でしなければならない。負担ではあるが、それもまた、仕方が無い話ではあった。

 

作業を更に進めていく。

 

問題は幾らでもあるが、それもまた仕方が無い。

 

とにかく作業を進めていき。一つずつ解決していくしかない。

 

シャドウに勝っても、未来が開けているかは分からない。それもまた事実なのだ。それが非常に苛立たしいが。

 

それでも出来る事を全てやらないと。

 

死んでも死にきれないというのが、実情なのだろうと思う。

 

ある意味意地だ。

 

シャドウと意思疎通が出来ず、降伏も和平もない以上。

 

そうして、人間は抗うしかない。それが事実だった。

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