スーパーロボット活劇、超世王セイバージャッジメント   作:dwwyakata@2024

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空の王ブライトイーグル。中型種シャドウです。

こいつは名前と裏腹に鳥にはあまり似ておらず、羽ばたくような真似もせず、欠けた月みたいな形をしていて空にずっと浮いています。当たり前のように超音速で動き回る上に、凶悪なEMPを自由自在に放つ事ができます。

こいつのせいで既存の航空兵器は全てがらくたと化しました。ミサイルは勿論、近接信管も誤動作を起こす上に、そもそも質量兵器が通用しないので、既に人類は制空権を手放しています。制空権があってもどーにもなりませんが。

今回は此奴が相手になります。此奴は普段は浮いているだけですが、浮いているだけで人類に多大な被害を及ぼす難敵なのです。





1、空の王を引きずり降ろす

琵琶湖西岸に展開したのは、第二師団の前衛である。琵琶湖には現在、イエローサーペントが一体。その上空に、ブライトイーグルがいる。どちらも前回の会戦で交戦した相手とは別の個体だ。

 

前回の戦闘時、ずっと呉美玲奈少尉は、最前線で観察手を続けていた。

 

滅茶苦茶に叩き落とされるドローン。ミサイル。

 

それらを観察し、どう動いているのかを最前線で記録し続けた。かなりの至近にミサイルが落ちたときはひやりとしたが。

 

爆発する前に逃げ出すことが出来。

 

それでどうにか、戦死は免れた。

 

58人の戦死者の中には、同じように観察任務についていた兵士も多かった。その中で玲奈が戦死に入らなかったのは、ただ運が良かっただけだ。

 

畑中中佐は今回も昇進無し。

 

人事のバランスがどうのこうので、出世はなしらしい。

 

どうでもいい。

 

玲奈としては、あの人に勲章なんかではなくて、行動のグリーンライトを渡すべきだと思うのだが。

 

そうもいかないのだろう。

 

たった五千万しかいなくても、人間は未だに愚かしい権力闘争から逃れられないでいる。無能は上層にしがみつき、仕事が出来る人間を蹴落とす好機ばかり狙っている。それが分かるから、溜息しか出ない。

 

こんな世界で権力を握ったところで、一体何をするというのだろうか。

 

欲のまま権力を得たところで、シャドウの気分次第で瞬く間に滅ぼされてしまうのだ。それに何の意味があるというのか。

 

そういう行動を人間らしさというのなら。

 

人間はそれ故に滅びようとしているのだとしか言えない。

 

無言で敬礼した相手は、海兵隊の新しい指揮官である。リーダス大佐という。リーダスはあの前任者で悪名高かったファーマーと比べると協力的だが、それもいつまでか。とにかく、幾つかの話をする。

 

今回の戦いでは、海兵隊も第二師団と連携して動く事が分かっているが。

 

リーダスは人員の供出を快く受け。

 

再建中の第四師団のアグレッサー部隊としても、活動をしている。今の時点では、まあ警戒はしなくてもいいが。

 

それもいつまで続くか。

 

引き継ぎを終えた後、戻る。

 

海兵隊の兵士達が、暗い視線を向けてきている。

 

話には聞いている。

 

海兵隊には、今でも逆恨みしている兵士がかなりいるらしい。

 

最優先で兵器を渡せば、シャドウなどに遅れを取らない。今までの戦いも、兵器の供出を出し渋ったからだと。

 

更には偶然で中型を倒せたに過ぎず、あんな変態兵器がいつまでも通じる筈が無いとしきりに嘲笑しているとか。

 

こういうのは、神戸の街の歓楽街などで噂されているらしく。

 

SNSが極めて限定的にしか動いていない今では、どうしても目に入ってくる情報である。

 

勿論それが本当かどうかは分からないが。

 

いずれにしても、海兵隊に良くない噂がついて回っているのも事実。

 

対人戦でいえば未だに世界最強の部隊だろう事に疑いは無い。

 

だが、マッチョイズム信仰なんぞのせいで今まで無駄な被害を出し続けてきた集団なのもまた事実なのだ。

 

それ故に警戒してしまう。

 

玲奈も戦場で生きている兵士である。

 

そろそろ19になる。

 

そういうこともあって、どうしても生きるためにシビアにならざるをえない。今後はシャドウとの戦いが更に激しくなるのも目に見えている。

 

それもあって、なおさら神経は過敏になりがちだった。

 

戦線を離れると、宿舎に戻る。

 

横になって休んでいると、リーダス大佐への悪口を言っている兵士がいた。

 

今は娯楽が少ない。

 

玲奈も悪口を言われる側だ。

 

キルカウントを稼いでいるが、それでもである。

 

体で師団長に取り入ったとか。

 

好き放題言っている連中はどうしてもいる。

 

シャドウを倒す所を見ている戦友には、玲奈を悪く言うものは余り多くはないのだけれども。

 

それでもどうしても、その手のダニみたいな奴はいるのだ。

 

さもしい連中だな。

 

そう思いながら、横になる。

 

SNSを見ると、イエローサーペント撃破のニュースについて、ケチをつけているコメントが入っていた。

 

「どうせまた偶然だろ」

 

「第七艦隊を潰したような化け物に、偶然で勝てるのかよ」

 

「そもそもそれも怪しいんだよ。 実際には第三次大戦が起きて、それをシャドウのせいにしているって噂もある。 シャドウのせいだってされている被害は、実際は核兵器のせいだって話もな」

 

「じゃあ自然が回復していることはどう説明するんだよ」

 

陰謀論者か。

 

今もそれらはいる。

 

特に民間人はシェルターから出られない者も多い。それで、好き放題をほざく者もいるのだ。

 

ストレスがそれだけ溜まっていると言う事だろう。

 

気持ちはわからなくもない。

 

ただ、今は催眠学習で、誰もが昔とは比べものにならないパフォーマンスで学習できている。

 

それなのに、こんなアホらしい陰謀論に引っ掛かる奴がまだいるんだなと、少し呆れてしまったが。

 

「シェルターから出られない以上、自分の目では確認出来ないだろうがよ。 俺は外に出るまで大本営発表なんて一つだって信じないからな」

 

「勝手にしろ」

 

「だいたい英雄だなんて言ってるが、どうせお得意のプロパガンダだろ。 あんな変態兵器がシャドウだかなんだかに通じるとも思えねえしな。 そのうち人間の姿でもしたシャドウでも出るんじゃねえの」

 

陰謀論を話している連中にも、一定の擁護がついている。

 

これは、まずいな。

 

そう思う。

 

ただでさえ纏まって等いない人類だ。シャドウに破滅寸前までに追い込まれているにもかかわらずだ。

 

これがもしこのまま行くと。

 

五千万しかいない人間は、またシャドウが現れる前みたいに、大分裂と内ゲバを始めるかも知れない。

 

神戸近郊で、人間同士で殺し合うとか。

 

はっきり言って、想像もしたくない事態だった。

 

溜息が出たので、SNSを閉じる。横になって休んでいると、連絡。ナジャルータ博士からだった。

 

玲奈個人に対するものではない。

 

知り合いに向けての一斉メールのようだった。

 

「それぞれのブライトイーグルにたいして気付いた事を連絡で入れてください」

 

内容はそれだけだ。

 

まあ、それでも別に良いだろう。

 

玲奈は以前仕事を一緒にしたとき、ナジャルータ博士とは色々話した。それで分かっている事は全て話したと思うが。

 

ただ、この間の対イエローサーペント戦で、幾つか新しく気付いた事はある。

 

軽くそれらについてメールを送っておく。

 

それで一眠りして、起きだす。

 

指示が入る。

 

少尉ともなると、以前よりも前線に出なくなるかと思ったが、そうでもない。任務だ。スカウトの護衛である。

 

螺旋穿孔砲を担いで、ジープに。運転手の他に、狙撃手三名を乗せる。玲奈自身は指揮をするが、狙撃もする。

 

まあ、ジープに乗っている四人である。

 

アクティブリンクはいらないのがいい。

 

指定地点に行くと、既にスカウトの分隊が三つ来ていた。基本的にスカウトは手練れだし、彼等の行く所に護衛で付いていくだけである。

 

問題は、スカウトが深入りしそうになったらとめる事。

 

深入りしたスカウトが、シャドウにひとたまりもなく殺されるような事故は、たまにおきるのだ。

 

今日は琵琶湖近辺を見に行く。

 

この間の会戦で、自走砲部隊が小型に襲撃を一度ならず受けた。それもあって。今回は戦場の周囲を徹底的に洗う。

 

琵琶湖にはイエローサーペントとブライトイーグル。特にブライトイーグルはEMPで広範囲を攻撃出来る他、対地攻撃能力も持っている。

 

出来るだけ近付かない方が良い。

 

移動経路について、提出して貰って、先に目を通す。

 

スカウトの隊長はベテランだ。

 

問題はないだろうと判断して、許可を出す。四台のジープで、出来るだけ音を消して移動。

 

この辺りは、小型種が普通に出る。

 

それもあって、相手の出現頻度などを、常に気を配らなければならない。

 

「此方スカウト19。 これより緩衝地帯に入る。 小型種との戦闘が懸念される。 追撃を受けた場合、支援を請う」

 

「スカウト19、了解。 くれぐれも深入りはしないように」

 

「イエッサ」

 

連絡をしているのを横目に、周囲を警戒。

 

いるな。

 

クリーナーが数体。ブラックウルフもいる。

 

まだ距離があるが、警告はしておく。

 

ジープは悪路でも相当なスピードが出るが、それでもシャドウに比べるとどうしても速度は落ちる。

 

というか、奴らが速すぎるのだ。

 

警戒しつつ、測量や調査などをしていくスカウト。

 

それを横目に、周囲を常に警戒。

 

玲奈もじっくり辺りを見ていたが、気付いた。数体のブラックウルフが此方を見ている。スカウトの隊長に、警告を出しておく。

 

「稗方曹長。 ブラックウルフが此方を見ています。 いつでも逃げられるように備えてください」

 

「分かりました。 距離はどれほどですか」

 

「今の時点では1200」

 

「……分かりました。 近付いてくるようなら、即座に声を掛けてください」

 

全員のゴーグルに、今確認出来ているシャドウの位置を転送してはある。また見つけた。玲奈だけで全ての周囲を見ているわけではなく、他の狙撃手も確認はしている。最悪の場合、最後尾で殿軍をするのがこのジープだ。

 

それもあって、特に気を付けて、周囲を確認しなければならない。

 

「! 呉美少尉!」

 

「どうしました」

 

「13時方向、キャノンレオン! 距離、8000!」

 

「引き続き警戒を」

 

キャノンレオンか。

 

まあ、いてもおかしくない。

 

そもそもこの辺りは、警戒が余り出来ていない場所だ。元は在った舗装道なんかも全て失われてしまっている。

 

そういう意味もあって、測量などはやり直しだ。ひたすら淡々と作業をして、情報を集めるしかない。

 

ブラックウルフ。

 

あ、これはまずいな。

 

さっきよりいつのまにか50距離が近付いている。こっちが見ている事に、気付いているとみていい。

 

連中は生物ではないが、それぞれが連携して動く。そして人間を殺す事に、特化しているのだ。

 

「ブラックウルフに動きあり! 撤退を!」

 

「分かりました! 各自撤退準備!」

 

「撤退準備!」

 

スカウトが装備を片付けて、ジープに乗り込むのと同時に、ブラックウルフ、シルバースネーク、クリーナー。全てが同時に動き出す。

 

ラン。叫ぶ。

 

ジープが激しい車輪と地面の擦過音を立てて、一台ずつ走り出す。案の場、ブラックウルフが走り始める。またたくまに時速百キロを超え、更に加速。スカウトの三台が行くのを見送ってから、狙撃部隊のジープも移動開始。

 

「此方スカウト19! 敵の追撃が始まった! 座標転送! 狙撃大隊、支援請う!」

 

「此方第七狙撃大隊、配置についた」

 

「同じく第九狙撃大隊、配置に……」

 

「いや、第九狙撃大隊、即座に退避を!」

 

玲奈が叫ぶと同時に、榴弾プラズマが、頭上を越えていく。そして、炸裂していた。

 

キャノンレオンによるものだ。

 

スカウトのジープが散開して、横転しそうになる程激しくカーブをする。玲奈は即座に狙撃開始。他二名の狙撃手も習う。距離を見て、まずはブラックウルフを撃ち抜く。命中。更にさがりつつ、弾丸装填。

 

この螺旋穿孔砲は、弾丸の装填に時間が掛かるのが弱点だ。だが、弾丸に高熱を込めている機構を内蔵しているらしく、こればかりはどうしようもない。

 

今は第九狙撃大隊の安否を心配している余裕は無い。

 

近付いて来ている敵を、順番に狙撃して、削るしかない。

 

シルバースネークを撃ち抜く。

 

他の二人は、明らかに動揺していて、狙撃を外した。そのカバーとしての行動である。とにかく、確実に削るしかない。

 

キャノンレオンは。

 

叫ぶと、あわてて一人が確認。最初の位置から近付くどころか、むしろ動かなかったため射程範囲外に姿を消したようである。

 

だとすると、此方に牽制をしてきただけか。

 

それだけでも、下手をすると一個連隊がまとめて消し飛ぶのだ。

 

シャドウが陰謀だって。

 

そう思うなら、前線に出てこい。

 

そう、SNSで陰謀論をぶっていた連中に対して、面罵したくなる。ただ小柄な玲奈が面罵したって、迫力は残念ながら無いかも知れないが。

 

凄まじい勢いでブラックウルフが追ってくる。狙撃大隊があわててさがったか、もしくは粉砕されたか。

 

それを察知したのだろう。

 

また一体を撃ち抜く。

 

続けて一体。

 

ブラックウルフは凄まじい勢いで追ってくるが、それも確実に減らす。舌なめずりして、弾丸を装填。装填しつつ、スコープで確認。来ている。かなり接近しているブラックウルフよりも、少し離れて回り込んできているシルバースネークを狙撃。あれは死角から、毒を放ってくるつもりだった。擦っただけでジープは横転していただろう。先に手を打って、潰しておく。

 

もう、走ってくるブラックウルフが見えてきている。

 

ひっと、声を上げたのは狙撃手の一人だ。

 

スカウトも、すぐ前を必死に逃げている。

 

中型と連携している小型の恐ろしさは異常だ。接近を許せば、連隊単位の戦力ですらまたたくまに瓦解させられる。

 

それがたかが四人である。

 

まあ、秒ももたないだろう。

 

「小川兵長、あわてず深呼吸してください。 三度深呼吸してから、狙撃を再開してください」

 

「い、イエッサ!」

 

「もう一体、いただきます」

 

狙撃。

 

迫ってきていたブラックウルフを倒す。更に再装填。それで勇気づけられたのか、もう一人の狙撃兵である三木上等兵が、狙撃。

 

斜め後ろから迫っていたブラックウルフを撃ち抜いていた。

 

三木上等兵は、今まで二度、其奴に狙撃をかわされていた。これでリカバーだ。グッドキル。叫んで、士気を上げる。

 

がつんと激しく石を踏んだジープだが、その程度で横転するほど柔ではない。だが、見ているとかなりまずい。複数のシルバースネークが追いすがってきている。全部処理するのは無理か。

 

ブラックウルフはもうかなり近い。

 

悲鳴を漏らしつつ、小川兵長がブラックウルフを狙撃。当てた。良い腕だ。吹っ飛んで転がったブラックウルフ。まだまだいるが、それでも確実に減らす事が出来た。

 

だが、直後。

 

玲奈がシルバースネークを撃ち抜いた瞬間、別のシルバースネークが、毒吐きの態勢に入る。

 

まずい。

 

そう思ったが、横殴りに飛来した狙撃が、そのシルバースネークを撃ち抜いていた。

 

同時に、小型がきびすを返して戻り始める。

 

見ると、焦げ焦げに装甲を焼かれているジープが、数台来ていた。

 

「第九狙撃大隊、現着」

 

「良かった、無事でしたか」

 

「はい。 どうやらキャノンレオンは、脅すだけのつもりだったようです」

 

「……戻りましょう。 長居は無用です」

 

すぐにその場を後にする。

 

此処は安全圏では無い。それがはっきりしただけでも、充分だった。

 

護衛対象のジープは無事だ。

 

ただ、第九狙撃大隊の損害が気になる。キャノンレオンは連隊規模の戦力を蒸発させるのである。

 

帰りに確認をする。

 

ジープなど装備類がやはりかなりやられたようだ。死者は出なかったが、負傷者が十数名出たという。重傷者もいて、後方に下げられているそうだ。

 

死者がでなかっただけマシとは言えるが。

 

キャノンレオンが放つ超高温のプラズマによる負傷だ。生半可な傷では無い。それを思うと、襟を正す気分である。

 

無言で、帰路を急ぐ。

 

死者は出なかったかも知れない。

 

だがこうやって集めた情報を無駄にしない。

 

次の会戦は、玲奈が投入されている事もあって、ほぼ確実に此処だと判断していい。だとすれば、勝つために。

 

この犠牲を、無駄にしてはならなかった。

 

 

 

陣地に戻ると、ナジャルータ博士と広瀬中将が話しているのが見えた。少尉風情の玲奈が中将に話しかける事は基本的にない。

 

広瀬中将から話しかけてくる事はあるが、それはあくまで兵卒に対してである。

 

たった数歳しか違わなくても、それだけ立場が違う。

 

玲奈もそれは分かっていた。

 

とりあえず幕僚に情報を渡して、その場を離れる。それで、連絡が来た。連絡は、ナジャルータ博士からだった。

 

戦場の情報を出来るだけ集めたい。

 

現在琵琶湖周辺にはキャノンレオン二体の生息が確認されている。このうち一体は玲奈達を攻撃して来た個体だ。

 

そして日本に十数体いると言われていたキャノンレオンは、これにて倍は最低でもいるだろうという推察が立ったという。実際には三倍以上かも知れない、ということだ。

 

「あの」畑中中佐であっても、二体を倒すのに死ぬ思いをした相手だ。倒すための装備が出来たからといって、簡単にあしらえる相手などでは間違ってもない。これはランスタートルやイエローサーペントも同じ。

 

現在急ピッチで斬魔剣を一般の兵士でも使えるように調整しているそうだが。それもいつになることか。

 

使いこなせるようになったところで、本当にキャノンレオンを駆逐出来るのか。

 

極めて怪しい所であると玲奈は思っていた。

 

ともかく、ナジャルータ博士は、更なる情報が欲しいと言ってきている。そして、同時に命令が来ていた。

 

八時間ほどの休憩後、また偵察である。

 

測量部隊の護衛もしなければならない。現在少しずつキャノンレオンの配置と、小型の生息数の分析をしているようだが。

 

問題は琵琶湖の水中で、イエローサーペントがいるため調査には限界がある。

 

水中にも小型は何種類かいるのだが、問題になっているのがブルーカイマンと言われる種だ。

 

カイマンというのは最小種のワニを含む魚食性のワニであり、基本的に他のワニと違って其処まで獰猛な種ではないのだが。

 

こいつはただ体型がカイマンに似ているだけで、実際には獰猛極まりない。

 

水辺に生息していて、近付いて来た人間を容赦なく襲う。

 

喰うのでは無く殺戮に特化しているのは他の小型種シャドウと同じ。口も尾も、とてつもなく鋭い刃になっていて。

 

いかなる防具も役立たず、そのまま切り裂かれてしまう。

 

体の前後を使って人間を効率よく殺戮する上に、水陸両用で、水中から極めて機敏に奇襲してくる。

 

これが多数潜んでいた場合、苦戦は免れない、ということだ。

 

まあ、それはそうだろうなと玲奈も思う。

 

すぐに休息を入れ。

 

それからおきだして、作戦区域に向かう。兵士達の士気は高い。会戦で大きな被害を出し続けているが、それでも今まで手も足も出なかった中型を今までで合計五体も倒した上に、小型種も近隣から駆逐しているのだ。

 

兵士達に勝利を確信させる将を名将というのだが。

 

間違いなく広瀬中将はそれである。

 

名将でも必ずしも全戦全勝といかないのが歴史で証明されているのは玲奈も知っているのだが。

 

それはそれとして。その空気に水を差すべきでは無い事も分かっている。

 

だから、そのままでいい。

 

ジープに乗って、また最前線に出る。牽引車とすれ違った。破損したジープを回収していた。

 

偵察でやられたのか。先にキャノンレオンの威嚇射撃でやられたのか。どっちかはちょっと分からない。

 

ただ分かっているのは、こういう損害は無視出来ないし。

 

でた以上、勝利に生かさなければならない。

 

だが、場合によっては、さっさと引く判断も必要になる。

 

それが難しい所だった。

 

偵察をまた始める。

 

先に攻撃を受けた地点とは別方向だ。遠くに小型種は彷徨いているが、少なくとも今仕掛けて来る様子は無い。

 

無言で作業をする測量班を護衛。

 

今度は何も起こらないでくれよとぼやくが、一番危険な場所だから、信頼を受けている玲奈が派遣されているのだ。

 

それも分かっている。

 

他の部隊が任せられない仕事をしていると思って、それも我慢するしかないのだった。

 

測量終わり。

 

次の地点に行く。

 

その間もずっと警戒を続ける。

 

偵察が終わったのは夕方少し。測量班とともに帰還する。その時。琵琶湖でうねっているイエローサーペントを見た。

 

昔都市伝説にくねくねというものがいたらしい。

 

丁度その言葉で示すようにくねくねと動く、見た者を狂気に誘う怪異だったそうだが。なんだか動きからして、それを思わせる存在だ。

 

無言で観察を続けつつ、湖畔から出来るだけ離れるように指示。

 

あいつが操るソニックブームは凶悪だ。水辺にいると、容赦なく消し飛ばされる可能性が高い。

 

そして、高空にもちいさな影が旋回している。

 

ブライトイーグルだ。

 

イエローサーペントは前回の会戦で倒す事が出来たが。それだって楽な戦いではなかった。

 

今度も畑中中佐に勝ってもらうしかない。

 

それを祈ることしか。玲奈には出来ないのが悔しかった。







無能なGDF上層部と、こんな状態でも一丸になれない人類。

既に色々と限界が来ていると言えますね。

そもそもとして、地球にしても世界にしても人類の私物などではありません。なんか宇宙全部人間の私物なんて考えている節がある人は結構多いようですが、まあこれは万物の霊長とか言う寝言から起因しているのでしょうね。

シャドウという存在は、そういう妄想から人間を蹴り起こした存在だとも言えるでしょうね。








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