スーパーロボット活劇、超世王セイバージャッジメント 作:dwwyakata@2024
近代戦では第二次大戦以降は制空権が圧倒的重要となった事もあり、ブライトイーグルの存在は人類の最大脅威の一つとみなされました。
ブライトイーグルに対する戦闘記録が豊富に残っているのは。
それだけ多数の攻略作戦が実行され。その数だけ失敗して参加者が悉く死んでいった事を意味しています。
膨大なデータがある。ブライトイーグルとの戦闘記録だ。
それを菜々美は確認しておく。
これについては当然だ。
制空権を潰された各国は、必死になってブライトイーグルを含む飛翔種に挑み続けたからである。
ステルス戦闘機もドローンもその過程で湯水のように使い捨てられた。
前世代最強と名高かったF35ライトニングはこの過程で殆ど全てが撃墜されてしまったという。
撃墜ですら無かったのかも知れない。
ブライトイーグルのあの凶悪なEMPである。
近付く事すらなく、全機能を停止させられ、落下してしまった。機能停止の結果、脱出装置すら働かなかった。
地上でシャドウが滅茶苦茶に軍を食い荒らすのも、空軍が機能すれば止められると各国は考えていた。
それくらい、シャドウが現れる前の制空権というものは、各国で最重要視されていたのである。
だが、それも無意味に終わってしまったのだ。
しばらく資料を見ていた菜々美は、これは無理だなと呟く。
客観的に見て、今までの中型に比べても相手が悪すぎる。
少なくとも同じ土俵に立って勝負出来る相手では無い。
姉はそもそも高空戦を挑むつもりはないようだし、それだけは救いか。ただブライトイーグルは、対地上用の攻撃手段を持っている。
こっちが地上から行くとしてもだ。
それでも簡単に勝つのは不可能だろうと、菜々美は分かっていた。
さて、此処からだ。
黙々と着替えると、宿舎を出る。
結局イエローサーペントを倒しても出世はせず、勲章をまたもらっただけだ。人事のバランスがとか。特殊部隊の人員だからとか聞いているが。
はっきりいってどうでもいい。
中佐の時点で給金は充分すぎるくらい貰っているし、なんなら給金なんて退役でもしてシャドウが神戸に来たら何一つ役に立つ事は無い。
今退役しても楽隠居で死ぬまで生活する事は出来るが。
反社の人間じゃあるまいし、自分だけが今良ければ後はどうでもいいと考えるほど。菜々美はアホじゃない。
まあ、そういうのはシャドウに皆殺しにされて、今は誰も残っていないのだが。少なくとも悪名高かった世界規模の反社は、ではあるが。
工場に出向く。
今回姉はビームを使うと言っていたが、ビームが何かの流れである事は菜々美だってとっくに知っている。
それについては、姉が中学生男子のネーミングセンスを持っているし。
何よりロボットアニメが大好きで、幼い頃は暇さえあれば見ていた上にそれにつきあわされたこともある。
それでどうしてもある程度知識はついた。
工場にカードキーで入ると、また突貫工事が続けられていた。
姉はまた凄まじい勢いでキーボードを叩いていて。こっちには気づきすらしない。三池さんが来たので、敬礼する。
相手の方が軍での地位は下だけれども。
姉はこの人がいないと、まともに生活すらできないので。これは当然払うべき敬意である。
ちなみに菜々美はちょっと普通より苦手くらいで、それなりに身の回りの事は出来る。
「どうですか、状況は」
「現在少しずつ畑中博士が部品をくみ上げていますが、まだまだですね。 私の目から見ても、何を作っているのかさえよく分かりません」
「さもありなん……」
「シミュレーションマシンは出来ています。 今のうちにやっておいてください。 それをベースに、畑中博士が調整を入れますので」
頷くと、いつもと同じ卵形の装置に入る。
入ってみて驚いたのだが。
いつもの超世王に比べて、かなり背が高い。原因は足だ。
40式の車体の横に、三対の強力な足がついていて、車体を持ち上げている。40式はMBTであり、相応に重いはずなのだが。それを余裕を持って持ち上げられる、ということである。
なるほど、恐らくこれが。
ビームを放つための切り札なのだろうと思う。
シミュレーションで、色々と試す。
今回はイエローサーペントがいる琵琶湖の上空にいるブライトイーグルを狙う。勿論いずれイエローサーペントも倒さなければならないが。それはそれとして、まずは制空権を完全に握っているブライトイーグルの撃破が先だ。
彼奴を仕留められれば、仮に航空機から地上のシャドウを攻撃する事が有効打にならないとしても。
それでも輸送機などで、人員を迅速に展開出来るし。
将来的には各国を空路で接続して、それでかなり物資や人員の輸送を楽にやれるようになる。
ブライトイーグルを倒す事は。
シャドウを駆逐する第一歩であると同時に。
各国で孤立している人間を助けるために必要な、戦略的行動であるのだ。
それを理解しているので、文句をいうつもりは一つも無い。
黙々と作業を続けて、順番に操作を覚えていく。
なるほど、わざわざ車体を浮かせているのはこういうことか。
車体の後ろに牽引している粒子加速器をまもりつつ戦わなければならないが。基本的に万能兵器なんて都合がいいものなんて存在はしていない。
それもあって、まずはどう戦うかを考えつつ、戦術を試す。
ブライトイーグルのEMPは、これもまたそうなのだが。
イエローサーペントのソニックブームと同じく、指向性を持たせることも出来るし、なんならあの咆哮がなくても、体の周囲に常時展開されていることが分かっている。極超音速ミサイルがぶっ放されて直撃したところで、ブライトイーグルには無傷。それは嫌と言うほど資料で残されているし。
またEMPで機能が停止してしまうため。
ブライトイーグルの近くで核兵器を爆発させる事も出来ず。
核に破壊にブライトイーグルを巻き込んだところで倒す事も出来なかった。
空の悪魔と言われる所以である。
それを今回の超世王で斃せるなら、まあ安いものだろう。
操作をしていて、だいたいやりたいことは分かった。
まあ、確かにビームではある。
このワイヤーが特別製であることも、射程を確保するために長大な射出機構と粒子加速器がついている理由も理解できた。
だがいずれにしても、これは無茶だろう。
しかしそれを実現してしまうのが姉の恐ろしい所だ。
ともかく、確実にデータを取る。
「ビーム」が重いな。
姉曰くジャッジメントビームだそうだが。まあ、何かしら得体が知れないものを放っているロボットアニメのビームに比べればマシではあるのだが。
それはそれとして、これはなんというか。
色々と、ロボットアニメのファンが見たら、色々と文句を言いそうだなと、遠い目になる。
いずれにしてもこれ、ビームを当てるのがとにかく大変だ。
それにブライトイーグルは音速を余裕で超えて動き回る。
不可解な事に、奴が音速を超えて飛んでも、ソニックブームはごくごく限定的にしか発生しない。
これもイエローサーペントと同じく、ある程度ソニックブームをコントロールしているのかも知れないが。
少なくとも攻撃に使ってはいないという事だ。
無言で操作を終えて、一旦マシンから出る。アラームが鳴ったからだ。
軽く三池さんに話をしておく。
そうすると、すぐにレポートにまとめてくれるそうだ。ありがたい。
今日はカップケーキを焼いてくれたので、有り難くいただくことにする。しばらく黙々と食べて。仮眠を軽く取る。
整備工の人達も、交代で仮眠を取りながら作業をしている様子だ。
まあ、それでいいだろう。
菜々美も仮眠を取り終えると、すぐに作業に戻る。
早速問題が改善されているのは、流石姉だ。
この短時間でプログラムを直し。
そして最終図面にも調整を入れているのだろう。色々と人間離れしているが、それについてはもう驚かない。
いつものことだからだ。
更に作業を進めていく。
ブライトイーグルとは琵琶湖湖畔でやり合うことになるのだが。現在近場に二体のキャノンレオンと、それに随伴する小型多数が確認されている。
更に問題なのがブルーカイマンで。
これがもしも超世王に集ってきたら、ただでさえ色々繊細な機構を積んでいる今回の超世王は、ひとたまりもないだろう。
今まで五体の中型を倒して理解出来た事だが、中型種シャドウは、どれもこっちの想定以上の能力を持っている。
奴らを倒すにはプラズマレベルの高温を、長時間当て続けなければならないという事が分かっているが。
逆に言うと、死体が残らない事もある。
それ以上は、シャドウについて人間は何も分かっていないのだ。
ブライトイーグルは三日月のような形状をしていて。実際の猛禽とは似ても似つかない。そもそもどうあれが浮いているのかさえ分かっていないのだ。頭部や足などは存在しておらず、イエローサーペント以上の異形感がある。
それはそれとして、今回も奴を真っ二つに出来れば、まあ斃せるだろうというのは分かっている。
ただ奴の体のサイズは二十mを超えていて、近代戦闘機とほとんど変わらない。
その巨体でありながら、意味不明な空中機動をするし、なんならホバリングだって余裕でこなす。
そういう厄介な相手なのだ。
何度も練習するが。
今まで膨大に確認されている情報からも、奴に当てるのは困難極まりない。
無言で作業を続けるが。
菜々美でもこれは当てるのは至難の業だ。
しばらく集中していると、アラーム。
シミュレーションマシンから出て、ため息をつきながら三池さんと話す。今回は対空戦と言う事もある。
非常に厳しいというのが本音だった。
「これは厳しいですよ。 多少小細工したところで、どうにかなるかどうか」
「ブライトイーグルはロケットやミサイルの類は即座に回避する習性を持っています。 動きを先読みするしかないですが……」
「先読みって、簡単にいってくれますけれど」
「分かっています。 無理を言ってすみません。 ただ、それでも畑中中佐にしか頼めないんです」
お願いしますと頭を下げられる。
ため息をつく。
姉も膨大なデータから、ブライトイーグルの動きはほぼ完璧にシミュレートしてくれている筈だ。
ただこのままだと。
新しい超世王が仕上がっても。「ビーム」を当てるのは、ほぼ無理だ。
数日後。
工場に、性別がよく分からない小柄な子供が来ている。肌は褐色だが、今は珍しくもない。
ナジャルータ博士と言われているようだ。
姉が珍しく手をとめて、話を聞いている。
あれはと三池さんに聞くと、軽く説明してくれた。
ナジャルータ博士は、シャドウ研究の第一人者であるらしい。広瀬中将も含まれる第一世代クローンは新生病などで内臓に欠陥を抱えてしまっているケースがあるのだが。本来はナジャルータ博士の世代になると、それもなくなったはずなのに。
無性だということだ。
これは色々きな臭い噂があって、強化人間として作られたのではないかという話もあるらしい。
いずれにしても菜々美にどうこうできる話ではないが。
姉と話し終えた後、ナジャルータ博士が来る。
なんというか、本当にお人形さんみたいな顔をしている。笑顔で握手を求められたので応じる。
「英雄畑中中佐と会えて光栄です。 畑中中佐の対シャドウ戦は、全て拝見させていただきましたが、凄まじい集中力と判断力で瞠目させられます」
「いえ、そこまででは」
「今、私の分析したブライトイーグル含むシャドウのデータを畑中博士に渡しておきました。 それを元に、シミュレーターを改造するそうです。 それで当てられるようになるといいのですが」
「……そうですね」
礼をすると、ナジャルータ博士がいく。
シャドウ研究の第一人者か。
今まで姉が単独でだいたいなんでもやれていたのに、そうきたか。恐らく、今回は姉も相当に苦労しているのだろう。
それについてはよく分かった。
しばらく、外で体を動かして鍛練する。
マッチョイズムなんてものは菜々美は持っていない。ただ、雑念を払うためにやっておくのだ。
雑念があると、何かしらの事に気付けなくなることは珍しく無い。
それを経験的に菜々美は知っている。
そもそもとして、菜々美は今まで偶然生き残ったと考えている。死んでいた可能性は、最初にM44ガーディアンだけでブラックウルフと戦い、生き残った時からなんぼでもあった。
それが生き延びているのは強運からだが。
それ以外にも、ある程度生きるための手札を増やす必要がある。
ブライトイーグルとの戦闘では、それが必須だ。
ブライトイーグルと戦うために、体も頭も柔軟にしておく。
筋肉で何もかも解決できると考えている程菜々美は阿呆ではないが。
筋肉をある程度ほぐしておけば、それで生き残れる可能性は少しはあがるのである。それもまた事実だった。
訓練を終えてから、工場に戻る。
三池さんの反応からして、シミュレーションマシンのプログラムにアップデートが入ったらしい。
相変わらず人間業じゃないな。
そう思いながら、淡々とシミュレーションマシンに入る。
それで驚かされる。
補正機能が追加されていた。
なるほど、専門家による助言の結果か。
ブライトイーグルの動きについて、より精度が上がったと言う事だ。更にビームを当てるための前提条件もこれで整った事になる。
放つ。
一発目はかなり惜しかった。
だが、少しずつ菜々美もコツが分かり初めて来た。
舌なめずりすると、第二射。
今度も外れたが、また惜しい。
先は早すぎた。
今度はちょっと遅いかも知れない。
だが、それでもどうにかできる筈だ。無言で淡々と続けて行く。
四度目にして、ついにブライトイーグルに直撃を入れられる。ただし、このビームはここからが本番になるのだが。それはまた別の話。
まずは直撃を確実に入れられるようにする。
それからだ、全ては。
淡々と作業を続けていき。
順番に、コツを少しずつ頭の中で構築していく。コツを完全に掴んでしまえば、命中率を100%とはいかないにしても、80%強くらいまでは持って行けるはず。勿論それで満足していてはいけない。
ブライトイーグルとの戦闘は、今までにないほど厳しいものとなる。
コツを掴んだ上で、徹底的に挙動を体に叩き込む事で、命中を100%に限りなく近くする。
それがまずは第一目標。
そしてブライトイーグルがまだ手札を隠している可能性を考慮すると。
そこからが本当の勝負だとも言えるのだ。
黙々と作業を続けていく。
命中。
だが、次はまた外れた。
コツを掴んだだけではダメだ。体に徹底的に叩き込む。ブライトイーグルの戦闘資料は何度も見ている。
それを思い出しながら、少しずつ、確実に命中精度を上げろ。
何日か、そうして徹底的にシミュレーションで、ブライトイーグルと戦う。
そもそもイーグルと似ても似つかない空の王者。いや暴君。
奴を叩き落とすためには、それくらいの訓練がいる。
英雄だのと言われていても、それが現実である。
菜々美は完璧超人などではないし。
初めて乗ったロボットの性能を、いきなり100%引き出せるような存在でもなんでもない。
ましてや今乗っている超世王は、ロボットと言って良いのか極めて疑問な代物なのである。
それを考えると、荒馬を乗りこなすようなものであり。
なおさら色々と厳しい訓練をこなして。
やっと勝負の土俵に立てるのだと言えた。
姉の方で、失敗したデータをまとめて、更に補正を入れてくれている。
この膨大な対シャドウの戦闘データこそ、超世王の本体と言えるのかも知れない。毎回どれだけ破壊されても残り続け、そして次の戦いに魂をつなぐ。
まあそういう意味では、どれだけ破壊されても立ち上がるスーパーロボットの姉なりの定義は守っているのかも知れない。
どこからどうみても戦車や潜水艦を改造したボディであるのは目をつぶるとしても、である。
疲れたので、アラームが鳴って訓練を切り上げた後、ちょっと仮眠室を使わせてもらう。かなりペースを上げていたこともあって、中々にヘビィな訓練だった。頭も目もちょっと痛い。横になると、それでも即座に落ちてしまう。
仮眠を取ってから、後は宿舎に戻る。
三池さんが菓子パンを焼いてくれたので、有り難く貰う。メロンパンだ。有り難い話である。
宿舎に戻って、それで本格的に眠る。
何があっても起きないぞと、決めながら。
今の時点で、命中率は95%。
だが、実戦で更に想定外の動きをブライトイーグルがする可能性がある。
また有線である以上、勝負は一瞬だ。
奴との戦いは、初撃を失敗したら、その時点で負ける可能性が極めて高くなる。ただでさえ姉は、プレゼンで今までの最低の勝率を口にしたらしい。
鈍重な超世王の今回の体では。それこそブライトイーグルが地上戦に切り替えてきたら、逃げる事すら出来ずに殺されるだろう。
それを思うと、本当に笑えない。
イエローサーペントと戦った時も緊張感が凄まじかったが、それ以上の恐ろしさかもしれない。
それでも眠れるのは、色々からだが壊れてしまっているからか。
心が壊れてしまっているからか。
両方かも知れない。
夢は見なかった。
おきだして、それで顔を洗って歯を磨いて。それから昨日もらったメロンパンを朝食と一緒に頬張る。
まあ、充分に美味しいので、頑張ろうという気迫が出てくる。
命中率を出来れば98%。いや、シミュレーション内では100%まで上げておきたいが。
それは流石に無理だろう。
万全の状態を確保して、それからの勝負だとしても。人間に100%はないのだから。ともかく、まずはもう少し確率を上げるところからだ。
出来る所から、確実にやっていく。
それが菜々美に出来る事。
英雄と言う虚名を背負った。
ただの強運に守られているだけと、自身を評している兵士に出来る事だ。
工場に向かう。
今日の目標は、まずは命中率98%まで。
幸い訓練を重ねた結果、掠りもしないような事はなくなった。だが、命中させる以前に、命中させ方が重要な事もあって、中々色々と厳しいのである。
イエローサーペントの邪魔は、今の所考えていない。
勿論展開する自走砲や戦車による部隊が支援攻撃をするのもあるのだが。あのソニックブームが、空中にいる兵器にまで届くという話は今までなかったし、戦ってみた後でも恐らくはないと判断出来る。
問題はやはり二匹目以降か。
二匹目を、やれるか。
工場について、ジープを降りながら、そう思う。
今回はビームを使い捨てにするために、支援用の補給装置までついている。ワイヤーをまるごと取り替えることが出来るユニット式のものだ。接続は数分で出来るようだが。それはそれで、中々にハードな戦闘になる。
小型も超世王を狙って来るだろうし、狙撃部隊が展開しつつ、乱戦になることは想像に難くない。
シミュレーターに入って、訓練を続ける。
コツを更に掴んで来ていること。命中しなかった場合に、姉がその理由を調べて、更に補正をしてくれていること。
それもあって、目標の98%は達成出来た。だが。これで満足してはいけない。50回に一回は外れるのだ。
シミュレーションマシンを出ると、姉が伸びをしていた。
これは完成したらしい。
そのまま電池が切れたらしく、がくりとするのを、あわてて三池さんが抱き留めて。体格でも上の姉を仮眠室に運んで行く。
手伝おうかと思ったが、大丈夫と視線を向けられる。
整備工達も呆れてそれを見ていた。
まああれは、同性でしかできない支援だな。そう思いながら休憩する。既に超世王の構築は進んでいて、六本の足で半ば車体……機体だろうか。それが浮き上がる異形の姿が明らかになっていた。
あの足は、以前ランスタートル戦で使った抵抗用のバンカーのノウハウを取り込んでいるものだという。
まあ、それについては分かる。
シミュレーターで、実際にブライトイーグルとの戦闘をこなしているのだから。
戻って来た三池さんに聞かされる。
「畑中中佐には話しておきますね」
「はい。 なんなりと」
「今回は対ブライトイーグルよりも、近隣で活動しているキャノンレオンが懸念になっています。 二体が確認されていて、もしも接近された場合どうにもなりません」
「まあ、そうでしょうね」
それで秘密兵器が用意されているという。
子供だったら大喜びするワードだろうが、秘密兵器か。苦笑いするしかない。ただ、斃せるかというと、どうにかなりそうだと言う話だ。
しかも乗るのは、以前ちょっと関わったあの腕利き。呉美玲奈少尉だという。もう少尉だと言う事だ。
「シャドウには学習能力があるので、足止めになります。 安心してブライトイーグル戦に集中してください」
「了解です」
「……休んだ後、訓練を続けてください。 勝つためにも」
分かっている。
休憩を取った後、幾つかのシミュレーションを脳内でしておく。イエローサーペントについては今回は考えなくてもいい。
考え得る最悪の事態について、今は幾つかを想定しておかなければならなかった。
ブライトイーグルの撃破は人類にとっての悲願です。
ただブライトイーグルも他の中型と同じくわんさかいます。
それを想定して動いてはいますが。
どうにもならないほど、状況が悪くて対応しきれないのです。